#5
「じゃ、あれを撃って。」
ノインが指差した5m先には、人型の標的がぶら下げてあった。
「いぇっそ。」
俺はM19の撃鉄を上げた。最大限にばねが引き絞られていく。そして、その終点で、大金庫のダイヤルのようなシリンダーが、まるで鍵をかけたときのように、撃鉄や梃子、シリンダーストップが定位置に収まっていく。
まるでアスリート走者が、号砲に向けて、全身の筋肉を爆発させる一点に集中していく。そんな緊張感が心地よい。
と、ノインはいきなり俺の手を後ろから取った。まるで、人形のような、繊細でほっそりした指だった。少なくとも引き金をひくより、ピアノの鍵盤を叩いていた方が似合う。
「撃ち合ってる時には、いちいち撃鉄を上げている暇なんてない。それに、たとえば、物陰から人影が出てくる。あんたみたいなトリガー・ハッピーは、一にも二にも、撃とうとするでしょ。だけど、そいつが味方だと分かったとき、撃鉄をおろしていれば、長いトリガー・プルと、重さのせいで、即発砲とはならない。シングル・アクションにしてたら、時すでに遅し。アンタは発砲している。」
ちょっと物言いがついて、少々気分を害した俺は、おざなりに銃口をターゲットに向けた。
「狙うのは体の真ん中。」
ノインが呟いた。
「どうして、ドタマ吹き飛ばしゃ、一発だろ。」
「マグナム弾を体の真ん中に食らって、生きてる奴もいないわ。それに、あなたのような素人が撃っても、体のどこかには当たる。強力な357マグナム弾よ。肩に当たれば、肩が無くなる。足もしかり。」
俺は引き金を引いた。カチリ、と冷たい小さな音がした。
不発か?
俺は目をむいて、銃を手元に引き寄せる。
「不発なら、そのまま的に銃口を向けたまま、10数える。それでも、発射しなかったら、弾を抜く。」
「ばかすか弾が飛んでくるってのに、そんな悠長なこと、するのかい? 」
「もちろん、そのときは続けざまにトリガーを引きなさい。だけど、ここはレンジよ。実践云々よりも、基本的なルール。味方に安全、敵に危険。これを徹底的に体に覚えこませる。それに・・・。シリンダー開けて見なさい。」
彼女のいうとおりにする。心地よい冷たさと重さのシリンダーが手に落ちてくる。中は・・・。
「空じゃねぇか! 」
「あなた、本当に素人なのね。銃に触る前に、まず弾を有無を確認する。拳銃使いの基本よ。」
言いながら、ノインは、少々小ぶりの弾丸を六発、手のひらに出した。
「38スペシャルじゃないか! こんな豆鉄砲で打ち合わせるつもりか。」
「あんたみたいな、素人には、これがお似合い。」
露骨に嫌な顔をしながら、弾を六つの穴に滑り込ませていく。
金色の弾が、金属特有のするリ、という感触とともに入っていく。この「弾を満たすとともに、自分の闘志を満たしていく。」この緊張がたまらない。
と、そこで、唐突に昨日から気になってたことを聞こうと思った。
「昨日、ヘリで逃げようとした子・・・。何か、あんた奴にこだわっていたようだけど・・・。」
「この組織は、有能な人物をさらってくるのさ。暗殺の役に立ちそうな人材をね。その中には、年端の行かない子どももいる・・・。」
ノインの中に、暗い炎が宿る。
「昨日の子は・・・。」
思わず漏らしてしまった同じ言葉に、珍しくノインが饒舌に答えた。
「あの子はね。殺しとはまったく関係ない。アルバイトでメッセンジャーをやっていただけさ。ただ、偶然に、組織のことを追っていたジャーナリストから、資料を渡されただけ。スカウトなんて体のいい言葉を使ってるけど、実際に奴らはここで『訓練』と称して、奴に組み手でもやらせて、なぶり殺しにしようとしただけさ! 分かる! ここはそういう組織なの! 」
ノインは、そして、しばらく言葉を押し殺した。だけど、言いたいことはなんとなく分かった。
「だから、今度の計画で、真っ先にヴァルキルを潰す。それが、翼を奪われたものが、翼を奪い返す第一歩なのっ! 」
「翼を奪われたもの・・・か・・・アンタもその中に含まれているよな・・・。」
今までの、まるで感情を捨てたような口調とは大違いの、激しい口調。いや、今まで殺していた感情が、一気に爆発したんだろうか。
「いまさら、体のよすぎることを、って思ってるんだろ?
そうよね。アンタみたいな気ままに人を殺せる殺人鬼には、わかんないだろうね。」
俺の手が先に反応した。弾を込めたリボルバーを、まるでコーヒーカップを差し出すような気楽さで、奴に向けた。
しかし、その一瞬、ノインは銃を、俺の額にポイントする。
「殺人鬼、大いに結構さね。だけど、俺は勝手気ままに人を殺せるから、大空を飛ぶ猛禽の翼も手に入れられた。俺の主人は俺だけさ。飛ぶのが怖くて、羽ばたかなかったテメェとは違うんだよ。証明してやろうか?
飛ぶ勇気もない青い鳥さんよぉ。」
俺のたぎる血は、こいつを射殺したくてたまらないという風に、トリガーにかかる指を、神経を焼いていく。
「頭の悪い犬は、射殺するに限るわね。どっちが立っていられるか、試すのも悪くない。」
ノインは、殺意を凝縮させながら言った。
紅い殺意と、蒼い殺意のつばぜり合い。
このままでは、おそらく銃声の後に、どちらかが倒れるだろう。あるいは二人とも、この世にいられないかもしれない。それでも、いや、それだから。
コイツハ、オレガ、カミコロサナケレバナラナイ!
しかし、それを止めたのは、カジモドだった。
「おい! 何しとんねん! 」
カジモドの声に、まるでスイッチを切り替えるかのように、真っ先に反応したのは、ノインだった。
「ごめんなさい。ちょっとお互いの信条について、意見交換してた。つい、熱心になりすぎて、ね。」
ノインが銃を収めた。俺も、それが合図で、M19を台に置いた。
「そんなら、いいんやけどな。」
俺とノインの表情を、注意深く伺いながら、まだ何か質問したげなカジモド。
「それよりも、何か新しい進展でもあったの?
」
ノインが言った。助かった。俺としても、このままこの話題について突っ込まれたら、バツが悪い。
「ああ、ヴァルキルをぶっ潰す方法なんやけんども。お前、『ワッツーシゾンビ』っていう組織、知っとるけ? 」
俺は、首を振った。
「今のところ、環境保護団体って名目で活動しとるんやけど。実体はタダのテロリスト集団や。なんせ、黒社会やらポンニチのYakuzaとも、まー、もちつもたれつの仲なんやと。当然、敵も多いわな。
で、この莫迦ども、よりにもよって、軍事衛星を手に入れやがった。」
「軍事衛星!?!?
」
俺は、カエルが車に踏み潰されたような間抜けな声をあげやがった。
「人工衛星一つたぁ、大したモンじゃねぇか。」
「東側の没落国家から買うたんか・・・どっかの国家機密盗んだんか、その辺はどうでもいい。重要なのは、そいつらの手に、衛星があること。」
「まっさか、おめぇ、その衛星使って、ヴァルキル落とそうってハラじゃ・・・。」
俺は、思わず大声を上げた。
「せや、何ぞ問題でもあるか? 」
結局、「撃ち落とし作戦」の詳細の説明は、大人数が入る地下室で行われた。
この島の西南にある閉鎖された坑道、その一角を秘密裏に改造したものだ。
実際に参加する奴は、およそ30名以上いて、とてもじゃないが、カリガリの医務室に入りきらなかったのだ。
「撃ち落し作戦」ってネーミングは、センスを少し疑ったが、少なくとも、アメリカのセンスよりかはよかった。
「で、今皆に見てもらったとおり、環境テロリスト『ワッツーシゾンビ』の持っている軍事衛星『天牙』は、ヴァルキルをその射程距離内に押さえている。だから、『天牙』を押さえてしまえれば、それを使って、ヴァルキルを落とすことができる。何か、質問は?
」
ドクター・カリガリが声を荒げた。相変わらず、その横ではナースが、所在なさげに微笑んでいる。
そして、小学生の参観日の教室のように、手がたくさん上がる。まことにほほえましい。
「はい、そこの、エーと、君、名前、なんだっけ?
」
「仲間からは、『赤の三号』って呼ばれ取ります! で、早速の質問なんですけど、唐突に、どうして軍事衛星略奪なんですか?
そして、どうやってそれを奪うのか、具体的なプランがございましたら、どうぞお聞かせ願いたいですっ! 」
「ふふふ、そんな質問をすると思っていたよ。うぶな子猫ちゃん。実はな、このワッツーシ・ゾンビをブチ殺す依頼が来ている。というのは、奴らは『グリーンディ』における、捕鯨船団を一個殲滅、あるいはアジア最大の黒社会である『呑龍』の売り上げを一部強奪する、など、各方面からの怒りを買いまくっている。で、ここをシメているやんごとない組織・・・まぁ、公的機関かもしれない・・・そんなことはどうでもいい。肝心なのは、奴らをぶっ潰せ、という依頼が来ていることだ! 」
おお、という、喝采があたりを支配する。
「われわれは、その混乱に乗じて、この天牙を奪う。そして、同時に、この島の幹部専用棟・・・あのクソ忌々しい要塞の地下から、軍資金一切を奪い取る。これはわれわれの明日への軍資金・・・。自由という青空へ飛び立つための翼なのだ! 」
拳を振り上げる、カリガリ。皆、スタンディング・オベーションで、拳を振り上げている。
「そうだっ! もう殺すか、殺されるかの日々は、もうクソ食らえだっ! 」
「今度こそ・・・今度こそ・・・われわれの自由を、この手で取り戻さなければならないっ! 」
半狂乱状態になっている会場を、どこか冷ややかな目で見ながら、ふと気になることが浮かんだ。
口々に「自由をっ」とか「首輪を引きちぎれ! 」とか叫んでいる奴を尻目に、俺はカジモドを探す。
真摯な目で、それをうれしそうに見つめているカジモドの肩に手を触れ、聞く。
「聞き違いならすまねぇんだが、さっき、奴ら『今度こそ』っていったな。」
「ああ、さすがにウサ耳をつけている奴は違うな。確かに、誰か、そう言ったぜ。」
カジモドは、にやりと笑いながら、そう言った。
「ということは、前にも静止衛星破壊計画を企てた、ってことがあるってことか。」
「ああ、せや。ぶっちゃけ失敗したが、あの時は・・・。」
その時、カジモドはその視界に、ノインを捕らえた。バツの悪そうに、慌てて彼女から目を泳がせると、言った。
「とにかく失敗したんや。こっちの負けや、アハハ。」
わざとらしい笑いをした。いいだろう。何か隠してる笑いだが、人間、そりゃ何か言いたくないことだってあるさ。
「・・・そのせいで、私の青い鳥が、死んだ。」
いつの間にか、こちらの話を聞いていたのだろうか、ノインが近くに寄ってきて、俺の耳元でぼそりと呟く。
「エレン! 」
「エレン! もうその話は・・・。」
カジモドと、これまたどこかから話を聞きつけたカリガリが、声をそろえた。
ノインは、無表情のまま、答えた。
「いいんだ。私も、これで、『青い鳥はもういない』ってことが、確認できるかもしれない。」
それは、俺にかけられた台詞じゃ無かったかもしれない。あるいは、ノイン自身に。
会場には、いつの間にか酒まで配られ、士気を高める大騒ぎに発展している。
ノインと俺は、そっとその前夜祭から抜け出すと、海の見える屋外を回って、医療棟まで来た。
小学校みたいな建物があり、その一回の南側に面する七部屋が、病室として使われている。反対側には、CTスキャン室、レントゲン、そして、俺にあのいまいましい首輪をつけた部屋など、医療器具が満載された部屋があった。もちろん、建物の入り口は、カリガリが普段常駐している医務室だ。
しかし、せっかく病室まで用意したというのに、中からは「人の気配」というものがしない。
おそらく、ここへ回すよりも「狩り」の標的にしたほうが手っ取り早い・・・島の連中は、そう考えるからだろう。
そして、ひっそりとした静寂しかない、その部屋の奥で「彼女」は待っていた。
ノインは、まるでその部屋の主の従者のように、丁寧にドアを開ける。
そして、その中にいたもの。
南向きの窓から入ってくる、柔らかい日差しの中、半分起こしたベッドの中にたたずんでいるのは、「人形」だった。
どこかで、海鳥が羽ばたく音がした。
人形、に見えたのは、一瞬の錯覚だった。
実際には、白いパジャマを着た娘が、ベッドの上に横たわっていた。
口に・・・酸素マスクが当てられている? そういえば、目元にも、生気が無く、腹の上で組まれた手も、だらりとしているような印象を受ける。
「神は自分の姿に似せて人間を造り、人間は自分の姿に似せて、人形を作る。」
ただ、動かないからこそ、まるで魂が抜けたような表情を持っているからこそ、彼女は極上の人形に見えた。
しかし、死に対しても不感症となりつつある、俺の心は、そんなものでは驚きがたくなっている。
俺が驚いたのは、彼女がノインに瓜二つだったから・・・。そう、髪が長い短いの違いはあるが、確かに奴は、ノインそっくりだった。
しかし、魂が抜けているだけで、こんなに印象が違うとは・・・。
俺が、ほんの少し、彼女のその「ものを言わないが故の迫力」に見とれていると、後ろからノインの声がした。
「それが、私の青い鳥・・・。」
彼女はそういって、部屋の暗がりの部分から出てきた。一瞬だけ笑ったように見えたのは、おそらく光線の加減だろう。
「青い鳥って・・・お前・・・。」
言葉を続けようとした俺の口をさえぎって、彼女は続けた。
「彼女は、もう一人の私・・・。親であり、娘でもあり・・・九番目の妹でもあり、姉でもある。」
あいにくと、禅問答や哲学は、俺のもっとも嫌うところでもあり、俺のもっとも苦手なところでもある。
だけと、その言葉は、俺をも思考の迷宮にいざなう、何かがあった。
言葉を探していると、ノインがささやくように言った。
「実は、アインと呼ばれるにふさわしいのは彼女。私は、彼女のクローンだから。」
俺の瞳が丸くなる。
煙草を懐から出すのも忘れて、彼女の話に耳を傾ける。
「彼女は天才・・・。ナチス・ドイツの『超人計画』を引き継いで、冷戦時代に、東西の裏側が秘密裏に連帯して、東西両陣営を、ひいては全世界を支配するべく作り上げた組織、「G」の中でも異端だった者が作り上げた『究極の兵士』。人の上に君臨する『神々』や、歴史に災厄を起こし人々を支配した『悪性英雄』を作ろうとした同じ組織の改造人間の中では、異端児だったけど。
だけどね。これだけは言える。少なくとも、私が今まであった中で、ナンバーワンの人よ。
遺伝子レベルで人体に改造を加える。各国の優秀な人材から、精子と卵子を集める。やり方はよく知らないし、彼女もしゃべらなかったし、私も聞きたくなかった。
だけど、彼女は、コンピューターのハッキングから、効率的に人を殺す方法、軍事の指揮、ありとあらゆることができたし、それを成功させる鉄の意志と肉体を持っていたわ。
私は、もともと、彼女のスペアとして作られた・・・。彼女が肝臓を負傷したときは肝臓を、すい臓を負傷したときはすい臓を。
そして、彼女が無くなってしまったときは、彼女の全記憶を・・・。」
ノインは、少し顔を背けた。
「そう、究極の兵士は、不死であることが要求される。さらに、工業製品なんだから、量産されることが目的とされる。その技術や、クローンたちは、転々と売られていく中で、世界中にばらばらになった中、私と、彼女はQ.E.P.Dに売られた・・・。」
衝撃的な話が続けられる中でも、ベットの少女は、顔色一つ変えない。いや、心ここにあらず・・・違うな、魂がまったく抜け落ちているから、この話について、感情を出したくてもだせない。それが、天に見捨てられた天使のようで、ひどく哀れに感じられた。
「私は、記憶も人格も無い、ただのスペアとして用意されたんだけど、彼女は違った。彼女は、私の『目を覚ました』・・・。それが私の誕生日で、私の全世界は、たった10キロ弱しかないこの島。だけど、彼女は、生まれてきた私に、すべてを教えこませようとした。格闘術、射撃、諜報活動。この島で生き残る方法・・・そして・・。」
ノインは、まるで何かの呪詛にも、祈りにも聞こえる声でこういった。
「短いピアノソロと、おいしいアールグレイの入れ方。リンゴのおいしさ。だけど、それらを完全にマスターしないうちに、彼女は『処刑』された。」
「処刑!?!?
」
アインの瞳に、一瞬瞳の中に隠しきれない悲しみが広がった。それが臨界に達する寸前、口を開いた。
「彼女も、この島から出る青い鳥の翼を探していた。静止衛星にハッキングをかけて、自爆させる。それが彼女が取った策・・・・。だけど、それは最後の段階で発覚した。
私も、ドクターも、そして彼女も、みんな協力してた。それを疑ったマスターたち幹部は、私たちに処刑させようとしたわ。だけど、彼女は、自分ひとりの単独犯と言うことで、自分で自分の命を終わらせることにした。だけど、奴らの方が一枚上手だった。
その日、私たちが見たのは、命尽きるまでベッドに横たわらざるを得なくなった彼女の姿・・・。
発見したマスターの親衛隊は、彼女が自殺しようとしたのを止めようとして、もみ合っているうちに銃が暴発。一命は取り留めたけど、植物人間状態に・・・。これが公式の答えだけど・・・。」
「信じている奴は、一人もいない、だろ。」
俺は、自分が善人ではないのはハナから知っている。生まれついてのバトルマニア。凶暴なケダモノ。しかし、それでも、時間かけようがどんな方法を使おうが、この手の「手を汚さないで裏から手を引いて・・・。」という悪党には、暗い血がうずく。きっと、ただぶっ千切りゃいいなんて考えていた俺より、同じことが出来た上で頭が良くて・・・俺よりも優しかっただろうに、そうだからこそこんな目に合わされたこいつを見ると、自分の中の人間の部分が疎ましくなって、俺はいもしない首狩兎という生き物に近づいていく気分を覚える。
そのとき、窓の外で、羽音がした。
「今日も、とても空が青いね。アイン。」
ベット上の少女に語りかけるアイン。そう、アインは、その人形姫を「アイン」と呼んだ。しかし、彼女は、心が抜かれた人形のように、外を見ようともしない。
彼女の視線の先には、うつろな空虚しか広がってないのだろうか?
「・・・アイン、アインは、空が好きだったよね。今日は、ほんと抜けるようないい天気よ。空の蒼さが、そのままここに落ちてきているみたい。」
アインは、窓を開けた。潮の香りか・・・。懐かしい豆と、新しい豆をブレンドしたような空気が入ってくる。
ベッドの少女は動かない。だけど、ここにはノインと、そして俺がいる。
続きを読む
戻る