【断片5】

「シャアッ!」

「ハァッ!」

凪と将人、キルファードとデスファードの拳と蹴りが激突する。

ビシ!ビシ!バシ!バシ!ズバン!ズバン!

鋭い打撃音と、込められた気のパワーが炸裂する閃光が瞬く。

その攻防は互角。

しかしキルファードが明らかに一手早く先手を取っている。その打撃は早い上に威力も大きく、デスファードの灰銀と黒の体に鋭い衝撃を叩き込む。

だが頑健さにおいてはデスファードが上回る。過去のガイファードとの闘いを生き延びたのもその鍛え抜かれた肉体と執念の気が齎すメタルファ―ドのファラーパワーによる防御力故だ。キルファードの狂暴に抗うデスファードの執念!

「やっぱり楽しいな!」

「……否定はせん、だが今の俺は……!」

 下段中断上段中断下段と見せかけ上段後下段三連!

 凄まじいフェイントと連撃破壊力を併せ持ったキルファードの連続蹴りを全て剛健にしのぎ切るデスファード。爛々とキルファードは笑う。互いに拳王流、手の内は知れている。精妙無比の足技もだ。

 それが楽しいと笑うキルファードに、デスファードは誓うように噛み締めるように答える。今の己は違うと。武の闇の面に飲まれ戦う事に狂った己ではないその罪を償う為に、少しでも剛を、ガイファードを助ける、その為に戦うのだと。

「お前には、負けんっ!!」

 楽しむ為に戦う、己の為に戦う己に、負ける訳にはいかぬと気力を振り絞る。ガードの上から強引に削る様に、力強い連打で押し切りにかかる!

「上等!」

 牙を剥いて凪=キルファードは笑う。あえての真っ向勝負。素早く腕を回転させ、更に何度も鋭く交差させ、気の障壁を張り巡らせて防ぐ。正面から受けて立つ。弾き飛ばされ、間合いが離れる。軽量級のキルファードは不利ではないのか。戦いに酔っているのか。それとも何かの意図があるのか。

「「王気!」」

 微かな疑念を感じながらも、迷いながらでは勝てぬと気力を練るデスファード。構わず、最初から覚悟しきった勢いを保ち気を練り上げるキルファード。

「烈火撃!」「風花乱舞!」

 デスファードの連続拳が火を噴く!連打自体が奥義の布石。だがキルファードもそれは同じこと、防御が既に同時に気を練り上げる構えだったのだ!キルファードの足が閃き旋風の刃を放つ!風で炎を絡め取り、弾き、撃ち返す!相殺!

「流石だな……!!」

「どうしたどうした!お前がそんなもんじゃないのは、よく知ってるんだよ!?」

 放逐された身とはいえ同じ流派を極めた身、一筋縄ではいかぬと唸るデスファード。猛りながらも油断なきキルファード。一度間合いが離れた以上、デスファードもここからは蹴り技も使ってくる。蹴りも、いや寧ろ拳より蹴りの方が巧みかもしれぬ位の技前である事はよく知っている。

(まあ、精々命がけで遊びながら時間は稼ぐさ)

 闘争を楽しみながら、理性は冷静に……モニカの師として凪は思考する。

(上手くやりなよ、モニカ……)

 モニカの山住=ガイアソルジャー・ムラマサへの反逆の為に舞台を整える。それが成就するかはモニカ次第だが、策は授けた。

 ならば後は彼女の戦いだ。だが、それでも。その成就を凪は強く祈った。それが、彼女の中にも残った、拳王流の義であった。

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