第二話 タイトルなしの続編

「ちょっとまて!なんだそりゃ!」
「いや、メンツがメンツなものだから結局どのタイトルにするわけにもいかなくて」

「ん?」
「どうしたの牡丹お姉ちゃん?」
研究所を守るロボットのうち、格闘家型の機体が首をかしげるような動作をした。パイロットの動きをそのまま機体がトレースする、「新光学モーションキャプチャー」システムのせいだ。
「いや・・・なにか妙な空耳が。タイトルがどうとか。」
「タイトル?何、それ?」
「気にしないでください、ただの空耳です。」
そういうとすぐさま、視線を敵に向ける。なにしろ、気を抜ける状況ではない。


「むぅ・・・「憂国機団世界を制する日」は駄目だったか・・・」
「は?ラー様?」
突然の指揮官の呟きに、環境のオペレーターが首をかしげた。
「?・・・私が何か言ったか?」
「え、あ、いえ。」
何事もなかったかのように、憂国機団部隊の指揮官・・・ミス・ラーはディスプレイを見た。
そこには今までの先頭から得られた、敵のデータが表示されている。
現在残っている敵機は4。

爆砕姫。
姫夜木研究所所属。格闘用で、パイロットは桜小路牡丹。パイロットの精神感応波により増幅したエネルギー両手に集中することが出来、高い機動性を誇る。
爆撃姫。
同じく姫夜木研究所所属。(以下、特に記述のない限り同じ)パイロットは四条沙羅沙。大量の火器を搭載し、電子戦装備も持つ。
ビストーム。
パイロットはミーア。動物のような外見同様、機敏な動きと鋭い爪が武器。口に火炎放射器を積んでいる。
レスキュート。
パイロットは高見柚子。現在のところ姫夜木研究所で唯一の飛行タイプ。テストの意味合いが強いのか、強力な武装はなく、支援のための装備を多く搭載している。

このほかにもう一体、「猿皇」という機体がいるが、それは先ほど敵新型機の謎の自爆で吹っ飛んだ。
猿皇は、出力・装甲ともに姫夜木研究所所属機では一番の高性能機だったため、大分やりやすくなった。

「よろしい・・・総攻撃!!」
ミス・ラーの決断は早かった。チャンスは最大限に活用し、拡大せねばならない。

「敵が動き出したよ!」
上空を飛んでいたレスキュートがまず気づいた。あわてる柚子。
「ええ、こちらでも確認したわ。」
続いて、爆撃姫。沙羅沙の気の強そうな顔にも、わずかな焦りが見える。うっとうしげに長い髪をかき上げた。
「ふうううううっ!」
髪の毛を逆立ててミーアがうなる。耳といい尻尾といいただの人間には見えないのだが、こういうしぐさも動物じみている。
「多勢に無勢・・・でも、負けるわけにはいきませんね!」
身構える牡丹。
「お師様・・・敵は必ずとります!」
猿皇のパイロットに言っているようだが、猿皇が爆発したのは敵のせいじゃないのだが。
「閃真流皇応派継承者、桜小路牡丹!まいる!」
掛け声とともに、牡丹が飛び出そうとしたそのとき。
「民〜間〜人はぁ〜下がっていたまえぇ〜〜〜!!」
「あらっ!?」
妙に気合の入った声が割り込んだ。つんのめるように停止する牡丹の前に、立ちふさがるように現れたのは。
ドラム缶そのものの胴体。筒をつなげたような手足。ヘルメット状の頭部を持つ、全身濃緑色の・・・えらく古臭いデザインのロボットだった。
「国を守るのは我ら自衛隊の仕事!さあお嬢さん方、ここは我々に任せて逃げるんだ!」
そうスピーカーで叫ぶと、自衛隊のものらしきロボットは憂国機団の部隊に飛び込んでいった。
「ロクヨンビーーーーーーーーーーーム!」
雄叫びとともに胸部に書かれた「64」という数字のあたりからビームが発射される。
ちりちり。
憂国機団量産型ロボット・デスオークSの装甲表面でビームはわずかな音を立てるが、それだけである。
「隊長!ビームが効きません!」
「ぬぅ!ならば格闘戦だっ!ロクヨンパーンチ!」
腕を振り回しながら突進する自衛隊ロボ。
べこ。
パンチが命中したとたん、壊れたのは自衛隊ロボの腕のほうだった。
「駄目です隊長!我々の武器では歯が立ちません!」
「くっ・・・しかしここで退いてはこの町が!憂国機団に対し立ち上がった勇敢な民間人が!・・・くっ、・・・やむを、得んか。」
「隊長!まさか・・・」
「すまん・・・何も出来なかった私を許してくれとはいわん。」
「いえ、隊長!お供いたします!」
「・・・感謝する!いくぞ!最後の手段!!特攻じゃあああああああああ!!!」
ドッカーーーーーーーーン!
憂国機団の中心部まで走りぬけ、爆発するロボ。

でもぜんぜん敵は無傷なんだけど。

まぁ特攻といいながらも脱出装置は作動させたようだったが、はてしなく無駄な最後だった。
「あ、あれ・・・なんですか?」
普段礼儀正しい牡丹でさえ、すこしあきれたような声で問う。
「陸上自衛隊の保有する六四式ロボだ。西暦1964年に採用されたので、この名がついた。」
「それって滅茶苦茶旧式じゃないの。どうりで・・・」
研究所からの返事に、沙羅沙はあきれかえった。敵もあまりの弱さに当惑したらしく、進行がストップしている。
「!今だ!」
咄嗟に牡丹が飛び出す。64ロボの弱さに気をとられていた憂国機団は、完全に不意をつかれた。
「はっ!」
敵の只中に踊りこんだ爆砕姫が、舞うような動きで次々と拳と脚を振るう。
「閃真流皇応派・奥義!竜皇天舞!」
舞が終わった瞬間、奇妙にねじくれた姿勢で凝固する敵ロボットの群からとびだし、次の動きのための型をとる。
「爆発!」
牡丹のその声とともに、敵は倒れふし爆発する。
「よーし・・・やってやるわよ!プロトンミサイル、全段発射!」
続いて沙羅沙の爆撃姫が動いた。全身から白煙を引き大量のミサイルが発射され、次々と爆発する。
「うおわぁっ!」
吹っ飛ばされた一機のデスオークSが、ビルに激突する。すぐさま起き上がろうとするパイロットの動きは、しかし無駄に終わった。
「がうーっ!」
獣の咆哮とともに、切り刻まれて崩壊するデスオーク。ミーアのビストームにひっかかれたのだ。
反撃に移ろうとする敵を、上空からレスキュートが搭載されたビームで牽制する。

意外と善戦する敵に、ミス・ラーは苛立った。
「ええい、ふがいない!それでも憂国機団の一員かっ!」
ともあれ、叫ぶだけでは現状は打開されない。落ち着いて敵の戦い方を見る。と、ミス・ラーは一つのパターンに気づいた。
敵は高機動の二体を前衛にし、後方からの火力支援でその二体を縦横無尽に動かしている。ならば、その連携を断ち切ればいい。
「よし・・・」
通信機を取る。
「要塞巨人テュポーンよ!お前の出番だ!」
「ハハッ!偉大なる憂国機団の理想のため、どうぞこの私めを存分にお使いください!」
若干甲高いが、流暢な日本語である。この返事をしているのがテュポーンの電子頭脳だとは、普通は思わないだろう。憂国機団の技術力でつくりだされた、忠実な人工の兵士。

ズン!
それまで後方に控えていた巨大な影が、一歩踏み出した。巨大な城が歩くがごとき重圧感・・・要塞巨人テュポーンである。
同時にそれまで前衛のビストームや爆砕姫を狙っていたガンゴリラとデスクマCMがいっせいに動きを変える。
集中する射線上にいるのは・・・爆撃姫。
テュポーンの無骨な頭部、鋭角的な角から激しい雷が放たれ、爆撃姫を直撃する。爆撃姫が手に持っていたバズーカ砲が吹き飛んだ。
「っ!!やったわ・・・」
ね、まで沙羅沙は言うことが出来なかった。次の瞬間には戦艦からの砲撃も含め一斉に敵の火力が集中したからである。
「!!」
壮絶な爆発。と同時に、前線も動く。
味方の危機に気をとられているすきに、一気に包囲する。
「いくわよ、皐月!」
「わかってるわよぉ!卯月ちゃんこそ!」
言い合いながらも息を合わせ、「四月号」と「「伍月号」の鎖鎌がうなりをあげ、ビストームと爆砕姫をからめとる。
「っ!しまったっ・・・」
もがく牡丹だが、鎖が複雑に絡みつき、脱出できない。ミーアのほうは暴れすぎで、かえってがんじがらめになってしまっていた。
「ふっふっふ、変な耳ぃ、捕まえたぞっ!」
「ふみゃーーっ!」
「ミーアちゃん!このぉ、何するのっ!」
上空のレスキュートが急降下する。攻撃して、鎖を切るためだ。
柚子の指が、ビームの発射ボタンにかかる。
ガン!
同時に衝撃を受け、軌道を外れるレスキュート。
「きゃ!」
あわてて体勢を立て直した柚子だが、すぐに次の攻撃が来る。高速浅海を繰り返しながらなんとかレスキュートのカメラアイが捕らえたのは、レスキュートよりさらに小型の鳥型メカが、三機。

「ふふふ・・・どうだ!」
戦艦のブリッジで、ミス・ラーは高らかに笑う。まず味方の火力を集中して敵のもっとも重火力なロボをたたいて前衛を孤立させ、機動性重視の敵の足を殺し、テュポーンに搭載されていた小型飛行メカで制空権を奪う。
これで後は身動きの取れない敵を各個撃破すればいい。前衛二機は軽量化のため装甲が薄いので、動きさえ抑えればこちらの量産型でも撃破は可能だ。

「食らえっ!ビットライフル!」
指揮官型の赤いデスオーク、デスオークSSの命令の元、いっせいに爆砕姫とビストームに攻撃がかけられる。
「うああああああっ!」
銃弾の雨にさらされる爆砕姫。薄い装甲がたちまち貫かれ、火を噴く。
「くっ、手出しできないのをいいことに・・・卑怯だとは思わないんですかっ!!」
「う。」
たじろぐ兵士。なまじっか地球防衛のロボット軍団だったため、内心まで悪になりきれないのだ。
「それでもかつては地球を守ると誓った戦士なのですか!もっと正々堂々と勝負しなさい!」
「・・・む。う・・・」
うなる憂国機団兵士たち。
「戸惑うんじゃないの!」
四月号で爆砕姫を縛り上げている卯月が命令した。
「し、しかし」
「これは作戦の内なんだから!超電磁スピンの前の超電磁タツマキみたいなものよ!」
「は、ははっ!」
再び銃を構えるデスオークSS。銃口が不気味に光った。

「むぅ・・・」
それを見てうなる、髑髏眼帯の男。
「敵もやるな。」
「ああ、超電磁タツマキと表現するとはな。」
何か、どっかずれているような気がする影山研究所だった。

「ふっ・・・」
勝利を確信するミス・ラー。
「見たか、憂国機団の力を!貴様ら愚か者が、我らに勝てるとでも思っていたのか!さあ、止めをさすの
ドゴォォォォォォォォォォォン!
「だわあああああああああっ?!」
唐突に、戦艦が揺れた。バランスを崩し転倒するミス・ラー。
「う・・・な、何!?何なの!?」
一瞬口調が変化した。自分自身はそれに気がつかないらしく、すぐもとの調子に戻る。
「ええい、何事だ!」
理由はすぐにわかった。前甲板、艦橋のすぐ前にロボットがめりこんでいた。それも女性型。グラマラスな曲線を描く、銀色の美女だ。長い髪まで生えている。
「どうやらロケットのようなもので打ち上げられ、弾道コースで落下してきた模様です!」
「なにっ!?」
驚くミス・ラー。だが次の瞬間さらに驚いた。唐突にディスプレイというディスプレイに、サングラスをつけた老人のどアップが移ったのだ。
しかもこの映像、無差別な電波ジャックらしく敵味方両方の通信機ににこの老人のどアップが映し出されている。

「わーっはっはっは!我がSCEBEIが誇る全領域要撃支援レディ(オールラウンド・インターセプト・アンド・エスコート・レディ)、略してARIEL(エリアル)、ただいま参上じゃ!」
「す、助平?」
きょとんとする柚子。なんで助平がロボットを繰り出すのかわからない、と言った顔だ。
「助平ではない!科学・化学・電子工学・生化学・航空宇宙技術工廠!(サイエンス・ケミカル・エレクトロニクス・バイオケミカル・エアロスペース・インダストリー)の略称だ!」
「なんか、変・・・」
「変も何も、むちゃくちゃなネーミングよ、それ。こじつけたんじゃないの?」
やっぱり納得できない柚子に、同意する沙羅沙。爆撃姫はぼろぼろだが、態度は相変わらず強気だ。
「誰が好き好んでこんな誤解うけそうな名前にこじつけるか!」
どアップからさらに画面いっぱいになりながら、老人が怒鳴る。
「岸田のじじぃか!」
別の怒鳴り声。研究所のトラキチだ。
「一体何しにきた!」
「何するもないわい、お前んとこのぽんこつがピンチだから助けを出してやったにきまっとるだろうが!」
この発言、さすがに今戦っているロボットを作った博士が起こるかと思われたが・・・
「むうう、確かにそのロボットのプロポーション、なかなかのものがある。」
関係ないところを見ていた。
「よーし、我が孫娘、美亜!洵!和美よっ!エリアルの力を見せてやるのだぁぁぁぁ!」
雄叫びを上げる岸田博士。
「はいはい、お仕事お仕事」
博士の孫娘、長女の美亜がぼやく。
「ああもお、私は受験が、大学受験があるのにぃ、なんでこんなことしなきゃなんないのよぉ!」
次女洵は頭をかきむしり、ヒステリックにさけんだ。分厚いめがねがその拍子にずり落ちかける。
「え〜、いいじゃないの面白くて。」
三女和美は、楽しそうだった。なんも考えてない、ともいえるが。
「面白くなんかないっ!受験失敗したらどーするのっ!」
パイロットの士気は底値、連携は破産状態だった。
「撃て」
どかずかぼかーん!
エリアルがなんかするまえに、戦艦のほうが動いた。甲板上の砲がエリアルを撃つ。
「っきゃ〜〜〜!?」
「なに、なに!?」
「ええい何をしとる!さっさと反撃せんかぁ!」
岸田博士の檄が飛ぶ。が。
「博士。」
「なんだ研究員A!」
「今の攻撃で、もってったミサイル全部誘爆してしまいましたが。」
「なんじゃとぉ!?」
あくまで要撃支援兵器であるエリアルは、基本的に外部兵装しかもっていない。それが全部なくなったとなると・・・
「ただのでくの坊ってわけだ」
「わ〜!わ〜!わ〜!」
あわてて逃げまくるエリアル。
追う憂国機団。甲板の端まで走ったエリアルは、そのまま飛び出す。
「博士っ!もう帰還します!いいですねっ!!」
「そりゃ無理じゃ。」
「もうなんにも出来ないでしょうがっ!このぼろロボットは!」
「ブースターがふっとんどる。歩いて帰るのか?」

墜落した。

「あ〜〜〜〜〜〜っ!」
「どうせ私は不幸な星の下に生まれたのよ〜〜〜〜っ!」
「きゃ〜〜〜〜っ!」

ずご・・・ん!
ビルにめり込むエリアル。それでもおきあがるが、敵の攻撃の前にあわてて逃げ出す。

「う〜む、やはりリアルロボットスタイルでは限界があるようだな。ロボットはスーパーロボットに限る!」
うんうんとうなずくトラキチ。それに岸田博士がくってかかる。
「それでいきなり自爆したのはどこのだれじゃい」
「問題ない。」
トラキチは急に机の上で手を組むと、顔を目が組んだ手の上に出るくらいの高さにおいた。
「予備が届いた。」

そのころ、逃げ回る巨大銀色美女に翻弄されていた憂国機団はようやっと体勢を立て直した。というか、エリアルを無視することにした。
「よぉし、これ以上邪魔が入んないうちにさっさととどめさしちゃいなさい!」
今度こそ、とデスオークの群がライフルを構える。
「これ以上邪魔が入ったら大変だしね」
などといって笑う皐月に、卯月はいらいらせざるをえない。
「縁起でもないこと言わないでよ皐月!」
だが皐月はどこ吹く風、といった様子である。
「だって今回、最初っからいきなり敵が自爆したり掟破りの連続だよ?あげくに乱入ももう二回も入っているし、もう何がおきたって・・・」
「でもいくらなんでも散会も乱入なんて、そんなワンパターンな・・・」
はっきりいうと、彼女たちはんな無駄話している暇があるんだったら攻撃するべきだった。「ワンパターン」発言はましてや蛇足だった。西洋のことわざにもあるが「名前を呼べば悪魔は出てくる」のだ。
決して「ワンパターン」と言われて作者が意地になってしまったわけではない。

「撃てっ!」

放たれる銃弾は、しかし届かなかった。間に割って入った緑色の障害物に当たって、空しく火花を散らす。
「ち、ちょっとなによこれ・・・って、えぇ!?」
それは上空のレスキュートを牽制しているはずのテュポ−ンの鳥だった。いずれも破壊されている。

「え!?え!?うそ!レスキュートにそんな力あるはずが・・・」
「エックスカッターーーーーーッ!」
飛んできた赤いブーメラン状の武器が、鎖鎌の分銅を断ち切った。
レスキュートではなかった。別のロボットだ。
「上だ!」
咄嗟に対空射撃体勢をとるデスオーク部隊だが、間に合わなかった。
「X1キィィィィィィック!」
反応できないほどの速度で急降下したそのロボットは、そのままの勢いでけりを放った。衝撃波だけでデスオークたちがショッカーの戦闘員のように吹っ飛ぶ。
地面に着地したロボットは、青いボディに赤い翼を持っていた。精悍な、猛禽類を思わせる頭部には二本のアンテナがついている。そして両腕には、損傷したレスキュートをいわゆる「お姫様抱っこ」の形で抱いていた。

「おお!」
歓声を上げる研究所の面々。
「呉石博士!」
通信機にはもじゃもじゃの髭と白髪に眼鏡と白衣という、典型的な科学者スタイルの老人が姿を現した。
「ぬっはは、少しばかり遅れたがの、我が宇宙ロボット研究所もスーパーロボット軍団に参加するぞい!」
「いやまあ、パイロットの選定に戸惑っての。」
「選定って・・・今?」
「そうじゃが?」
「じゃ、訓練とかは・・・」
「ぜぇんぜん。」
「・・・聞いたか馬鹿息子!」
オーバーなしぐさで振り返るトラキチ。
「世の中にはそれであそこまでヒーロー然とロボを操縦できるやつがいるんだぞ!お前字恥ずかしくないのか!?」
そこまでまくしたてて、トラキチは初めて知覚・認識した。バクサイオーと猿皇二体分の残骸と、そこに埋もれるパイロット二名。
「そーいや、救助とかぜんぜん考えてなかったな。」

「世のため人のため、憂国機団の野望を打ち砕くゲッP−X!」
レスキュートをおろし、背後に爆砕姫とビストームをかばって大見得を切るゲッP−X。
「この日輪の輝きを恐れないならかかってこいぃぃぃぃぃ!!!」
だがそれは、何か間違っていた。
「その機体のどこに日輪が輝いてるのよ!どこに!」
思わずに怒鳴る卯月。たしかに、太陽を思わせるマークなどどこにもついていない。
「あれ?おっかしぃなぁ・・・?」
メインパイロットが首をひねる。
「なにやってるんだケイ!」
「ジン、しかたないだろ。こんなメカ乗るのも動かすのも初めてなんだし。」
「名乗りミスには関係ないだろう?
「にしてもわしら、それでよく操縦できてるのう・・・?」
三人目が、頭をがりがりとかく。
「まあとにかく、やったろうやないかい!」
「ああ、そうだな!」
「やらせないわよっ!」
左右の四月号・伍月号が同時に特殊結晶体製の鎌を振り下ろす。
「オープンゲッP!」
その攻撃をゲッP−Xは、なんとばらばらになって回避した。
「えっ、えぇ!?」
しかも三つに分裂したそれぞれが飛行機となって急上昇する。
「まかせたぜ、ジン!」
「わかった。X2チェンジ!」
そして上空で再度合体し・・・合体前と違う形に変形した。
「何ですってぇ!?」

「おおっ!合体変形!」
歓声を上げる研究所の面々。
「三つの力が合わされば、百万パワーじゃ!ちなみに、百万パワーって単位何?という質問は厳禁じゃぞ!」

バリバリバリッ!
変形したゲッPは赤を基調としたスリムな姿になっており、両手ははさみというか鍵爪状になっていた。その鋏が電光を放つ。
「Xシーカーッ!」
放電する腕を高々と空に掲げ、叫ぶ。
ピッシャアアアアン!ゴロロロ、ドカーーン!!
音も見かけも、まるっきり雷である。幾筋にも分かれた電気のヤマタノオロチが、次々と憂国機団のロボットを吹き飛ばしていく。
「ええい!ならミサイルでふっとばしてやる!」
月号二体の腹部が開き、大型のミサイルが顔を出す。
「させませんよ・・・」
「え!?」
後ろから声をかけられあわてて卯月が機首をめぐらせると、鎖を切られた爆砕姫とビストームが立ち上がっている。
「あっ、あんなに痛めつけたのに!」
「極限状態においてこそ内なる力が呼び起こされるというもの…負けませんよっ!! 」
「うがう!」
ミーアも咆える。
「ちょ、ちょっとやだ!うっそぉ!?」
あとずさる皐月。
「閃真流皇応派、必殺奥義!破竜咆哮閃!!」
「ガウガウ、うがあああああああああああ!!」
流派の
光の拳が四月号を打ち砕き、ビストームの強烈な突撃で伍月号がばらばらになって吹っ飛んだ。
「っきゃあああああ!」
「ぷんぷん!おっぼえてろ〜〜〜〜・・・」

「オオオオオオオオオオオッ!」
巨大な足が振り下ろされた。地面が揺れる。
「やったか。ふっ、我ら正義の具現たる憂国機団に逆らうものは、みな必ずこうなるのだ!はははははは・・・」
ミス・ラーの笑いは、テュポーンの足がじわじわと下から持ち上げられるまで続いた。
「何!?」
「ゲッPXのパワー、なめるんじゃなかとよ!!」
テュポーンの足の下から姿を現したとき、ゲッPはまた姿を変えていた。今度は黄色でがっしりとした、いかにもパワーがありそうなデザインである。
口調からするに、変形するごとにパイロットが交代しているらしい。

「投げるな。」
トラキチが笑った。
「投げ技じゃな。三号、パワータイプ、黄色、固太り、方言。間違いないのう」
山羊髭の老人もうなずく。
「当然じゃ。」
呉石博士の答えは、二人の予想通りだった。

「六甲山おろしじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いっ!!」
身長が何倍もある巨大な相手を、豪快に振り回すゲッP−X。

「ウゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?」
「どっせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!」

投げ飛ばした。テュポーンの巨体は長々と空を舞い・・・

「こ、こっちにくる!」
憂国機団戦艦の艦橋、見張り員が悲鳴交じりに報告する。
「回避しろ!」
「間に合いません!」
ミス・ラーの命令を待つまでもなくあわてて操舵手は舵を切るが、巨大な空中戦艦が沿う簡単に方向を変えられるわけはない。

本日二回目、戦艦が揺れた。

「わああああああああ、あっ!?」

つんのめるように窓際に倒れこんだミス・ラーは気づく。
真正面。巨大な砲を抱えた爆撃姫の狙いが、こっちをむいている。

「さっきやよくもやってくれたね・・・でも、その程度じゃあたいは落とせないわよ!」
コンピューターが損傷したので、手動照準だ。だが、沙羅沙には十分な自信があった。あれだけ大きな目標を、自分がはずすわけがない。
砲にエネルギーが集中していく。あれだけくらっても、エネルギーバイパスはまだ生きていた。
「あたいと戦おうなんて、.10年早いってことを教えてあげるわ。必殺!爆滅砲撃!」

激烈な光が砲門からあふれ出た。反動で重い機体が後退するほどだ。
ぐんぐんと伸びた光が、テュポーンもろともに戦艦を貫く。

三度、戦艦が揺れた。
「ええい・・・!」
反応がなくなった計器を、拳がたたく。
「この戦艦は「遺跡」の産物。失うわけにはいかん・・・撤退だ!撤退する!!」




撤退する憂国機団。戦いは終わった。

だが。

「お〜〜〜〜〜い・・・・・・・」
コウヘイたちはまだ救助されていなかったり、する。


次回予告

安藤トシヒコ
うおおおおおおおおおおおおおっ!!!
作者
な、なんじゃい!?
安藤トシヒコ
結局俺の出番がなかったじゃないかっ!!
百舌鳥恵一
それに俺たちパイロットの紹介もほとんどなかったし・・・
作者
戦闘中にゆっくり自己紹介しとる暇があるか。そういうのは次回きちんとやるわい。
安藤トシヒコ
俺の出番はどうしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??
作者
真打ともなると、最大限効果的勝つかっこいい出番を作らなければならないからなかなか大変でな。
安藤トシヒコ
うむ!そうか!
影山コウヘイ
なんかだまされてないか?
謎の大阪弁を話す娘
それはともかく・・・次回はうちらの出番なんか?
作者
ああ、まあな。
謎のやたら元気な少女
よっしゃー!やったるぞー!ひゃー!
謎のちっこい女の子
と、いうわけで次回「紅の流星機〜やまぴかりゃー、その理由〜」です。
影山トラキチ
バクサイオーの真似は危ないですから、絶対にしないでね。


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