突撃!パッパラ隊2

第一部 全員集合編最終回

ミッション3 ゴッドファーザーの息子



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シーン1 頭上の敵?

 派手に破壊された帝都イーストシティー直情に浮かび、巨大な影で都市を覆う物。
 それは、呆れるほど巨大な飛行物体。 スットン共和国の開発した「二十年前の」超最新巨大無人爆撃機メガントよりも、シュバルツランド地球帝国軍移動司令空中戦艦シュターリングよりも更に大きい
 全長推定千メートル近く、全幅推定八百メートル。翼を広げた鳥のような、薄桃色のなめらかな曲線を描く優美なデザインの巨体を、重量を置き忘れたようにゆったりと空中に制止している。
「ななな、何だありゃあ!?」
 それを、ただただ呆然と見上げるパッパラ隊員達。
「あれは・・・」
 それを見上げながら凛名が何か言おうとした瞬間。
 なめらかな機体から突然無数の火砲が飛び出し銃座が現れ爆弾倉が開き、当然のごとく砲弾が銃弾が爆弾がばらまかれた。破壊された町が更に破壊され、もうほとんど更地だ。瓦礫も残らない分再建はしやすそうだけど。
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 吹っ飛ぶ隊員達。そして純也。
「こ、このっ!」
 それを見て応戦しようとする桜花。だが。
「こらーーーーーーーお前等!やめんか〜〜〜!」
 ヘリコプターが接近してきた。その操縦席で水島総司令が叫んでいる。
「こういう登場は江口さんの得意技なんだけど・・・それはおいといて。ほんとにもうお前等親子そろって!!登場するときには破壊活動をせずにはいられないのか!!!」
「そのとおり!可愛い女の子の登場にバックは紅蓮の炎がよく似合うのよ。」
 水島の叫びに唐突に空中に浮かび上がる水島財閥総帥水島・アリスン・ブランディー・メルセデス・ローズマリー・フォン・ランコの巨大なホログラフィー映像。最近髪型をかつての「恐怖の女王」ことランコの母に似た形に変えたので、少し大人っぽく見える。
「女の子って年か?」
「心はいつでも19歳よ?」
「単に精神的に成長しないだけだろ」
「そんな私が好きなくせに、ま。それはおいといて。みんな乗って、基地まで送るから」
 その言葉と同時に、空中船はゆっくりと更地になったイーストシティー中心部に降りてきた。


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シーン2 二人

「まったくもう・・・何意味もなくぶっ放しているんだか」
「そうはいったって折角作ったこのエターナル・ドミニオンなんだから、たまには使わないともったいないよ」
 水島財閥本社兼総合情報統御船兼後光院私設軍総合司令部、超々メ級(メガント級)空中軍艦、エターナル・ドミニオン。その豪奢な総帥室で、水島とランコは会話していた。
「使い方に問題があるだろ」
「久しぶりね〜、こうしてふたりっきりになるのって・・・」
 水島の苦言を思いっきりランコは無視した。じっと水島を見据えて呟くように言う。
「あ、ああ。互いに忙しかったからな」
 少し赤くなって水島はそれに答えた。
「思い出すわよね、新婚の頃」
「まあ・・・な。」
 にこにことランコは笑う。少し、水島の頬の赤みが増したたように見える。
「それはもう遊びまくって・・・でも驚いたわ、あなたって本当に楽しむことを何も知らなかったから・・・」
「物心付く前から訓練訓練また訓練だったから、しかたないんだよ」
(本当、ランコと会う前はそうだったな。戦うことしか知らない自分、戦士と言うよりは殺人マシーンだった私。ランコにはいろいろなことを教わったものだ。しかし・・・・・・・・そんな私は・・・幸せになる権利があるのだろうか・・・)
 結婚してから常に心の一部を閉めてきたその問いに水島が沈みかけたとき、ランコが言った。
「そんでもってあなた『幸せすぎて震えが来る、そばによっていいか』なーんていっちゃったりして。嬉しいし可愛いし、あの言葉忘れないよ、うふふ。」
 途端に水島の顔は完全に真っ赤になった。
「も、もお!あれは・・・」
「しっかり録音してたりして」
 といいつつ『二人の愛のセリフ集』と書かれたMDを取り出すランコ。
「っわ〜、恥ずかしいから捨てろ!それ!」
「やーよ、二人の愛のあかしじゃない」
 どたばたとおいかけっこをする二人。
「待てっ!」
「捕まえてご覧なさい、な〜んちゃって」

十分後。

「きゃっ」
「うわっ!」
 ランコが転んだ。水島もランコにつまずくように倒れ込む。
「あ」
「うふっ、あなたったら、まだ昼間よ。ぎゅ〜・・・」
 抱き合うような格好で倒れ込んだ水島にしがみつくランコ。
「ちっ、違う!何考えてるんだ!」
「あっはっはっはっはは!」
 笑うランコ。笑うような怒ったような表情を浮かべる水島。が、どういう訳か笑い声は三人分響いた。
「ん?」
「ランコさん、相変わらずお熱いですな〜」
「わうわう!」
 とびかげと轟天号だった。
「ふたりっきりの所に割り込むな〜!」
 吹っ飛ぶとびかげ達。
「あー、まああれやそれはおいといて」
「おいとくのか・・・」
 少し疲れたような水島。が、ランコの次の一言でその顔が引き締まる。
「家出した百合花達をそそのかして悪の道に引きずり込んだ犯人が分かったわ、ロンズ・ワイリナー王国でクーデター未遂を起こして逃亡中の国際指名手配犯、カズマ・デーレアムよ。」
「そいつはまた・・・意外な大物が出てきたな。早速警戒態勢を敷こう」
「ええ。気をつけないと。」
 殺気までのラブコメから一転、刑事ドラマになる二人だった。


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シーン3 予告からここへ

 水島財閥本社という役割から、多くの部屋を持つエターナル・ドミニオン。純也達はその多数の部屋に分散して入っていた。蘭魅香達五人姉妹や純也はVIPルーム、宮本五兄弟達やその他隊員は物置などに押し込められているが、それは部屋わりをしたランコの責任である。
 その中の一部屋、純也の部屋のドアを桜花は叩いていた。
「純也様〜、お話ししたいことがあるのですが・・・」
 返事がない。ただのしかばねのようだ
もとい。
「純也様〜」
 更に強く叩く。普通のドアなら倒れているくらいの強さだが、流石に空中戦艦のドア。びくともしなかった。が、それでも純也は出てこない。
「どうしたんだろ・・・?」
 更に強く叩こうとした桜花は、鍵が開いていることに気が付いた。
「・・・入りますよ。」
 そう言って、桜花は扉を開けた。
 中には誰もいない。
「あ・・・あれ?」
 当てが外れた桜花は、とりあえず辺りを見回した。その途端、机の上に置かれた便せんに気が付く。
 手に取り、封を切り、中の手紙を読む。
「思うところ有って旅に出ます 心配しないで下さい 純也」

・・
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「何いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!??」
 どういう訳か、いつの間にか後ろには蘭魅香、凛名、瑠希亜、恋子、鹿野美の姿が。
「あれ、お前達何時からそこに?」
「純也関係の事件有るところ常にあたし達あり、よ!それよりとっとと探しに行くわよ!」
「おう!純也〜〜〜〜〜!!!」
 どどどどと出ていく五人。
 それを見送りながら、桜花は手紙をめくった。
「これから自分がこの隊でなにをするべきか考えに、お父さんの知人の所を回ってみます」
 まだ、続きがあった。


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シーン4 芹沢 舞

 がたんがたん・・・がたんがたん・・・ぷしゅしゅうう〜〜〜〜・・・・・・きーーーーっ、がくん。
「五十年前〜・・・五十年前〜・・・お下りの方はお早めにどうぞ〜・・・」
 ぷしゅん、と音を立てて扉が開き、そしてまた閉じ、列車は走り去っていく。
「着いた・・・と。早く行かなきゃ。」
 ホームに降り立った乗客・・・純也はそう呟くと歩き始めた。

こつ、こつ。
「おや?お客さんかな?」
 書斎でロボット工学に関する論文を書いていた芹沢英次博士は、玄関から聞こえてきたノックの音に耳をそばだてた。
「おーい、マイ!お客さんみたいだ、一寸見てきてくれないかな?」
「はーい」
 芹沢博士の呼びかけに、かつてパッパラ隊基地で幾多の隊員を和ませた声が答える。
 ぱたぱたとスリッパの音をさせてマイさんは走っていき、玄関のドアを開けた。
「あ・・・!?」
 瞬間マイは、自分が十八年前に戻ったかのような錯覚を受けた。十八年前のあの人と、少し若い以外はそっくりな少年を眼にして。
「お、お邪魔します、水島純也です。」
 そしてその言葉で、瞬時にして我に返った。
「あ、ああ。いらっしゃい純也君」
 そして純也は、マイさんにいれてもらった茶の湯飲みをを手で包むように持って、大きな応接間のソファーに、縮こまるようにちょこんと座っていた。
「大きくなったね純也君・・・お父さんに似てきたのね、正直言って今あったときびっくりしちゃったわ。」
 そう言ってにっこりと微笑むマイさんに、純也もぎこちなく笑みを返した。
「マイさんは・・・お若いままですね。昔の写真を見ましたけど、ほとんど変わっていませんよ?」
 本当にマイさんは、不自然なまでに若かった。多少大人っぽく見えるが、まだ二十代でとおるだろう。
「私、看護婦ですから。手段はどうとでも・・・それより、今日はどうして急に?パッパラ隊に入ったって聞いたけど・・・」
 いまいちよくわからない説明をして、強引に話題を変えたマイさん。「パッパラ隊」という言葉の響きに、多少の郷愁が混じる。
 その問いに、浮かぬ顔で純也は応じる。もっとも、浮いた顔をしていることはほとんどないけど。
「・・・パッパラ隊にいた間、父はどういう人でしたか?」
「え?」
「教えて下さい、どうすればいいか、知りたいんです」


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シーン5 ミラルカ一世

 巨大なシュバルツランド宮殿の長い長い廊下を歩く、スットン共和国陸軍突撃機動防衛部隊パッパラ隊S水島(中略)純也特務臨時少尉と、シュバルツランド帝国(元大シュバルツランド地球帝国)戦闘家老リヒテンラーテ・フォン・マーテル。
 歩きながら純也の方は、物思いに耽っていた。先刻訪れた、マイさんとの会話について。
「本来ならお前はとてもではないがミラルカ陛下にあえる身分ではないのだが、陛下の特別にお許し下さったのだ。感謝するがいい。」
 マーテルが横を歩きながら言った。
「でも、僕の家もフォン(ドイツで「貴族」)ですよ?マーテル様が会えるのなら・・・」
  丁度重そうな扉の前に立ったマーテルが振り返る。
「うるさい!ここから謁見の間だからな、無礼のないようにするのだぞ!」
「はい」
 そして、扉は開いた。
「陛下、客人をお連れいたしました。」
(うわあ〜・・・凄いや・・・)
 純也は呆気にとられた。
 純也とて水島財閥の息子、パーティーとかで豪華な会場にいったこともあったが、この宮殿は豪華さの格が違った。
 何しろシュバルツランドが最盛期を迎え、地球の陸地総面積の95パーセントを支配していた頃に立てられた宮殿である。ロンズ・ワイリナー城も、改装して非武装化したヴァジュラムの武國殿改め「和國殿」も、ここの壮麗さには足下にも及ばない、世界最大の宮殿である。もっとも、数で考えれば水島財閥の方が凄いのだが。
 そして、この部屋を壮麗にしているのは凝った内装だけではない。
 入り口からかなり遠い玉座に腰掛けた、「ヴァージンクイーン」ミラルカ一世。若い頃からは想像もできないほどの彼女の気品が、部屋全体に高級感を与えていた。傍らの止まり木に、Xハトとその家族が並んでとまっている。
「ようこそ・・・純也君。私が女王だからって、堅苦しい挨拶はいいわ。訊きたいことが有るんでしょう?」
 そう言ったミラルカに、純也はほっとした様子で答えた。
「はい、解りました陛下」
 そう呼ぶとミラルカは少し寂しげな顔になった。
「ミラルカさん、でいいわ。」
 そう言われ、純也は慌てて言い直す。
「ごっ、ごめんなさい!ミラルカ・・・さん」
 横でマーテルが渋い顔をしている。
「でも、安心しました。聞いたとおりでない人で」
「?どういうこと?」
 純也の変なセリフをミラルカは聞きとがめた。純也は困ったような顔をする。
「え、えと・・・父さんはともかくとして、母さんから聞いた話が・・・」
「あ、わかりました。」


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シーン6 存在の耐えきれない重さ

 公園のベンチで、純也はぼんやりと座っていた。
 もう暗い。夜が迫ってきていた。
 だが、純也には夕闇迫る町もそこを歩く人も目に入らない。
 その目に映るのは、今日一日で会った人々の、「水島一純」について語るときの、表情。
 芹沢舞、ミラルカ一世、フォン・マーテル、そしてさっきまで会っていた、漫画家・白鳥沢愛(注・職場の様子は・・・お見せできません)
 父がどれほど強かったか、優しかったか、責任感があったか、かつ逆境に耐えてきたか、総じて、凄い人間だったか。
 知るほどに、父という存在が大きく、重く感じられる。そしてその重さに潰されている、ちっぽけな自分。
 父に比べ、余りにもとるに足らない自分。
 何一つ取り柄のない自分。 桜花や姉たちに、守ってもらう価値など無い自分。
 夜の闇より更に濃い闇が、心の中を埋めていく。
 そのまま、闇に沈む心と同調するように暗くなる公園に、ぼんやりとたたずむ。
「すーみーやー君っ!」
 唐突に、呼びかけられた。
「何暗い顔しているの?」
 ぼんやりとしたまま、純也は声のする方を向いた。
 ぼんやりとしたままの眼が、ベレー帽を被り、片目に赤く染めた髪を垂らした女性の姿を写す。


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シーン7 江口家の人々

 「家に来ない?」
 パッパラ隊S所属半独立戦略機甲部隊長江口夏海少将にそう言われて、純也はそれに従った。
 特に、考えがあったわけではない。ただ、どうでもよくなっていたのだ。
「さあ、あがってあがって!」
「はい」
「ヨシツネ〜、お客さんよ、お茶でも入れてちょうだい。」
「いえ、いいです、別に気にしないで下さい。」
 と純也はぼそぼそといったが、奥の部屋から出てきた源時ヨシツネはそれを無視した。当年とって28のはずだがまだまだ若い。まだまだ絶世の「美女」である。
「純也君僕も昔いわれたことがあるけど、子供が遠慮するものじゃないよ。」
「あら、お客様って、純也君のことだったの?」
 字面を見ただけでは女の人の声に思える、だが紛れもなく男の声。どたどたと音をさせて、江口家のもう一人の同居人、エステの達人スマイリー熊本が出てきた。家事をしていたらしくピンクのフリル付きエプロンを着用している。
「ゆっくりしていっていいわよ?」
「・・・・・・・・・・・・はあ・・・」
 にっこりと笑ったスマイリーに、純也はただ頷いた。

 そのころ。
「あ〜もう!純也は何処いったのよ!」
 蘭美香達は、純也探して三千里だった。
「もう疲れたよ〜・・・」
「そうはいってもほっとけないでしょ!あの子はああなんだから、私達が付いていないと駄目なのよ!」

 そして純也は。
 しっかり晩ご飯まで一緒に食べてお風呂にも入っていた。
 風呂から上がってきた純也に、江口夏海は笑いかけた。
「湯加減はどうだった純也君?」
「え、あ、はい、よかったです。」
 多少どぎまぎしながら純也は答えた。
「ね、なんだったら泊まっていってもいいわよ?」
「・・・」
「どうしたの?」


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シーン8 萌芽

「・・・・・・・・・・・・」
 沈黙を続ける純也に、江口はいった。
「『どうして僕なんかにかまうんですか』といいたいの?」
「!!な・・・何で・・・解ったんですか?」
「経験、よ」
 驚愕する純也に、江口は続けた。
「貴方は不必要な存在じゃない。みんなに思われてる。必要とされている。お父さんも、姉妹も、桜花も、貴方が必要なのよ。実際貴方の姉妹って、行動はランコそっくりに滅茶苦茶だけど、貴方を守るために行動を起こしていることが多いでしょ?」
「・・・だからつらいんです。それに対して、僕は何もできないから」
 江口の励ましに、下を向いたまま、純也はぼそぼそと呟いた。
「純也君は優しいのね・・・でも、他者と比較して自分を卑下するのはよくないわ。貴方には、貴方に出来る、貴方にしかできないことが必ずある。そして、あなたは『自分でも何かしたい』と思っている。あとは、頑張るだけよ。」
「でも・・・」
 また純也は呟いたが、今度は顔を少し上げている。
「皆だって、きっとそう思っているわ。例えば桜花ね、この間の必死の戦いぶり、あれは貴方に『旧式でも、今はまだ出来なくても、やれば出来る』というのを教えたかったからだと思うわ。」
「でも、僕に何が出来るっていうんですか?」
「それは自分で探すのよ」
 自分で・・・ 純也がその言葉を反芻している間、江口は聞かせるともなく呟いていた。
「誰もが、何かを探しているのよ・・・力を持っている人はその使い道を、優しい心を持っている人は人の癒し方を、恋をしている人は思いの伝え方を、護りたいものがある人はその守り方を・・・・・・・・・・・・・・そう、みんなそうだったわ・・・・・・」
 昔の仲間の姿が、江口夏海の記憶をよぎる。
「自分で・・・」
 もう一度、純也は呟いた。
「そう。そして見つかったら、一生懸命、悔いることのないように頑張りなさい。」
「出来・・・ますか?出来ますよね?」
 純也は問うた。その目には、わずかながら積極的な意志の光が見えている。
「もちろんよ」
 江口は、優しく微笑んだ。
「・・・ありがとう・・・ございます」
 礼を言う純也に、江口はその直前と少し変わった笑みを浮かべた。
「お礼なんていいわ・・・その代わり、ちょっとつきあってくれない?」
 その笑みは、怪しい笑みだった。


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シーン9 お色気BGM

「つきあうって・・・なんですか?」
 江口の怪しい視線に少しどきどきしながら純也は質問した。
「うふ・・・お母さんから、私のこと、どういう人って聞いたの?」
「え、と・・・・・・!!」
 青ざめる純也。
「で、でも・・・でも、ミラルカさんだって会ってみたらそんなに悪い人じゃなかったし、ああえと、その、あわわ!」
 動転する純也を見て、江口はまた微笑んだ。
「大丈夫、多分貴方が想像しているほどひどくはないわよ?」
「・・・そ、そうですか?」
 少しだけほっとする純也、が、甘かった。
「単に綺麗な男の子を見つけるともっと綺麗にして上げたくなるだけよ」
「ひええええええええっ!?」
 あっというまに純也は江口に押し倒された。動転する純也の背に、柔らかいソファーの感触がした。
「い、嫌です!やめてください!」
「怖がらないで・・・最初はいやでも、すぐ気持ちよくなるわ・・・」
 懐から注射器を取り出して、純也に突き刺す。それだけで純也の華奢な体は痺れ、動かなくなった。
「ちょっと、あたしも混ぜてちょうだいよ!」
 そう太い声が響き、スマイリー熊本がやってきた。
「いいわよ・・・でも先生、スマイリーマジックは無しでよ?」
「当然。初めてなんだから、ゆっくりじっくり、とね。」
 ばちっとウインクするスマイリー。 その影で、源時ヨシツネは膨れていた。
「僕にはもう飽きたの?」
「いいえ、毎日お刺身だと、たまにステーキが食べたくなるのよ」
 美香氏みたい田リアの映画のセリフのアレンジで答え、江口はヨシツネの不満をそらした。
 ぷち、ぷち、ぷち・・・と、ゆっくり純也のシャツのボタンが外されていく。
「だ、駄目・・・です・・・駄目・・・」
 薬のせいで酔ったように朦朧としながらも、純也は何とか拒否の言葉を絞り出した。
「駄目、なの?嫌、じゃなくて?」
 そんなことをいいながら江口はわざとゆっくり、撫でるようにくすぐるように純也の上半身を裸にした。
「んんん・・・・・」
 わずかな抵抗も意味をなさず、白く、細い、華奢な少年の躰が外気に晒される。
 江口夏海、血圧20上昇(笑) 瞳に危険な色を浮かべ、ゆっくりと純也の体をなで回す。
「ひゃあっ!」
「ふ、ふ、ふ。いいわよ純也君、とっても。硝子細工のように繊細で、すべすべしている・・・」
 上気した頬を純也の薄い胸にすり寄せ、徐々に首筋から顔に向かって滑らせ、髪をまさぐり、耳に息を吹きかけた。
「ひゃあ、う!」
「艶のある髪・・・澄んだ瞳・・・白磁より白くなめらかな頬、・・・怖いくらい綺麗よ、だからもっと綺麗にしてあげるわね・・・どんな服がいいかしら?」


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シーン10 五人

 ようやっとのことで純也が江口の所にいると知って、ランコにせかされ焦りに焦って駆けつけた蘭美香たちが到着したのは、大体純也が押し倒されてから十分ほど後だった。
 つまり、遅かった。
 瑠希亜が拳で壁をぶちこわし、開けた視界の中にあったのは、満足した様子の江口夏海とスマイリー、ヨシツネ、そして・・・
「純也!・・・か?」
 そこにいたのは、芸術品、と呼べるほどの美しさを持った、はかなげな美少女?水島純也。
「・・・・・・ごくっ。」
「蘭美香姉ちゃん、よだれでてるよ?」
 妹の注意も耳に入らない様子で、蘭美香は純也をじっと見つめていたが、やおら凄い勢いで飛びかかった。
「純也ーーーーーーーーーー!」
「襲うな!!」
 瑠希亜の拳が蘭美香の後頭部にめり込む。
「はっ!?あ、あたしは一体何を!?」
 我に返る?蘭美香。
「やれやれ、で、何しに来たの?一緒に純也君と遊びに?」
「そうじゃない!純也を助けに、お前を成敗しにだ!」
 叫ぶ蘭美香。
「姉ちゃんがいっても信じてもらえないと思う・・・」
 呆れる凛名。
「ひょっとして、自分がやりたかった、とか?」
「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
 江口に指摘され、蘭美香はやけに怒った。
「ふっ、邪魔はさせないわよ小娘達。」
 昔のようにそう言うと、スマイリーは指をはじいた。
「ヘイーーーーーッ!」
 スマイリーエステサロンのお客様アンド従業員が現れた。
「やっておしまい!」
「甘い!行くぞお前等!」
 蘭美香が叫ぶ。
「はいはい、っと。」
 凛名。
「おっしゃあ!」
 瑠希亜。
「は〜い」
 恋子。
「うわ〜い、はやくやろやろ!」
 鹿野美。
 そして五人の声が、一つになって響き渡る。
「変っ身!!!」
「な、何いいいいいいいい!?」
「嘘!」
 キラキラと光が瞬き・・・・・・・・・・・・・・地面から着替え室がせり上がってきた。
「・・・へ?」


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シーン11 とりあえず・・・

 その後の展開は、あえて語るまでもない。せいぜい、使用中に着替え室が分解したり、
「きゃーーーーーー!」
「うわーーーーーー!」
「安心して、女には興味ないから。」
「僕は興味有るよ?」
「いやーーーーーーー!」

 恋子がこの装置を売った人の家にICBMを発射したり。
ぽち。
「あのオールバックグラサンのマッドサイエンティストめっ!」
「・・・容赦しないわね、あんたらも。」

 お約束の戦隊ヒーロー的戦闘が展開したり、
「へいーーーーーーーーっ!」
「とおっ!」
「おーーーほほほほほほほほほ!」
 スマイリー熊本が巨大化したり
「行くわよ先生!七つの超能力、その三!巨大化光線!」
 ぐんぐんぐんぐん。
 ずしーーーーん!
「おーーーーーーーーーーーーーっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!」
 それに負けずに五体合体ロボ(当然、蘭美香、瑠希亜、凛名、恋子、鹿野美の総合イメージ、つまりランコがモデル。)を呼び出し、凛名が操縦して戦ったり
「食らえ必殺!チェルノブイリバケツでウランチュレンコフ光環礁核実験切り!」
「いやーーーーーーーーーーーーーん!」
 お約束通り純也が瓦礫に埋まったり、
「ううう・・・」
「あれ?純也〜、どこ〜〜〜!?」
 逃げた江口とヨシツネを水島一純司令が直々に捕まえたり、
「み、水島君・・・」
「江口さん・・・人の息子に何やってるんですか・・・」
「あーと、あの、その・・・ヨシツネお願い!」
 ヨシツネの後ろに隠れる江口。
「無理。あの剣幕で体調が完全の水島さんに勝つ自信なんてないよ。」
「とっくり話し合いましょう、え・ぐ・ち・さ・ん!」
「あう〜・・・」
せいぜいそんなところである。

第一部 終わり


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次章新展開!

 次元の壁を破り出現した、謎のロボット軍団!
 果たして、敵か味方か?
 流行りの小説に秘められた、恐るべき真実とは!?
 南太平洋に浮かぶ謎の小島、そこで突然アメリコ軍が消えた。
 急行するパッパラ隊に襲い来る、過去の遺産達。
 その姿を見たとき、水島とランコの脳裏に閃光のごとくよみがえった、失われた記憶とは?
 掟破りの豪快さで送る第二部、夢の大騒ぎ編!
 乞うご期待!

 ふう・・・やはり私には、こういうの向いてないな・・・(実は声・水島一純)

一時撤退するか?