突撃!パッパラ隊2

ミッション1 不幸な少年とぶっ飛んだ五人



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シーン1 2018

「ふう・・・」
 もうじき夜明けとなる午前5時、水島一純はパソコンに向かい、報告書を書いていた。

 西暦2018年四月の交戦記録

 「江戸時代地帯」を占領してスットン侵攻をはかった「旧ヴァジュラム大僧正派残党軍」を討伐。その際、仮称「パステルカラー(注・しばしば出現し侵略を行っている軍に無差別な攻撃を掛ける三人で構成された戦隊。それぞれ今のところパステルカラー赤、青、黄と呼称)」とトラブル。桜花にじゃれついてきた「青」に、桜花が反撃。「赤」もよってたかって「青」を攻撃する一幕があった。

「五十年前」にいる芹沢博士拉致をねらった某国のテロを阻止

「ロンズ・ワイリナー王国軍」と合同で「魔物」と交戦、撃退

・・・・・・

 頻繁な戦闘を記録しながら、水島はこうなる原因となった過去を回想せずにはいられなかった。
(西暦2000年、二十世紀最後の年に起こった、私がランコと結婚するきっかけとなったあの大事件により、世界は変わった。ランコの時空破壊爆弾により分割された世界。それをとびかげが、あいつの言うところによるとのりとご飯粒で接着した。
 接着。そう、接着だけ。その結果この世界は複数の時間軸、複数の次元を持つひどく込み入った世界となってしまった。別の時代と、他の次元からやってきたいくつもの国が争いあう、大戦国時代が幕を開けた。我がスットン共和国は突然国があちこちに出現したため大分領土が減ったが依然として世界最大のシュバルツランド帝国、「勇者の乱」という動乱を乗り越えたロンズ・ワイリナー王国、パステルカラーが関与したと言われるクーデターで大僧正派が一掃された神聖魔法国ヴァジュラムと四国同盟を結び、この時代を戦っている。)
「博士、お茶が入りました。」
 と、そこまで考えたとき、桜花が十八年前から変わらない笑顔を浮かべ、お茶を持ってきた。
「ああ、ありがとう桜花。」
「博士、総司令の任は忙しいでしょうけど、頑張って下さいね」
(総司令、か。あの騒ぎおよびどきメモ関連のスキャンダルで上層部が軒並み粛清され、白鳥沢隊長も引退。そんなわけでの「スットン共和国軍元帥兼突撃機動防衛部隊パッパラ隊S総司令」か。SASと合併し、事実上スットン国軍の主力となったこの部隊の総司令・・・はっきり言って、後光院いや水島財閥総帥になったランコが裏から手を回したのかとも思ったが、どうもそうではないらしいし・・・やるしかないと言うことだ。ランコは水島財閥私設軍隊に守られているし、息子達は疎開させたから、心配することはないしな。)

 だが、そうそううまくはいかないのであった。


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シーン2 鏡像

 パッパラ隊Sの基地の前にたたずむ人影が一つ。
 その姿は、かつて同じようにこの基地の前に立った、死神と呼ばれた軍人に似ていた。
 だが、全体的に少し異なる。同じ軍服に身を包み、似たようなバッグを肩からかけ、何より、その顔が実に似ていたの、だが。年齢が若く、まだ十五かそこら、眼のラインも違う。だがなにより雰囲気が違った。
「ここが・・・僕が戦わなきゃいけないところ、か・・・」
 よく言うなら優しげな、悪く言うなら弱そうな、そんな雰囲気を漂わせている。
そんな少年は、巨大要塞に改造されたパッパラ隊基地をしばし圧倒されたように見ていたが、やがて歩き出し基地の入り口に着いた。
「誰だ?何のようだ?官姓名およびここに来た用件を言え。」
 衛兵が居た。当然、問いかける。が、この普通の行為に少年は変わった反応を示した。
「え・・・えっとあの、そのぼ、僕は」
 上がり性なのか人見知りする質なのか、えらくおどおどとしていた。
「どうしたんだ?」
 じろ、と衛兵はにらみつけた。それだけで。
「ひっ、ごめんなさいごめんなさい!僕・・・う・・・」
 なんか涙ぐんであやまっている。 これには衛兵もどうしようかと頭を抱えた、そのとき。
「くぉらあーーーーーーーーー!」
 五つの災悪が基地を襲った。




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シーン3 オムレツで茶会を

 ずっどーーーーーーーん!
 凄まじい爆音が基地を揺らした。
「なんだ今の爆発は!敵襲かっ!!」
 ようやっと仕事が終わり、仮眠をとろうとしていた水島が叫ぶ。
「い・・・いえそれが・・・衛兵が基地に入ろうとしていた不振な少年を尋問していたらいきなり・・・別の何者かが攻撃を」
 それを聞いた水島は素早く監視カメラからの映像に目をやった。そして呻いた。
「あ・・・あの五人・・・」
 あっという間に戦場と化した基地、その中を五つの災厄が駆け回っていた。
 それは、五人の少女。 一人は、狙撃用のライフル他、大量の火器を持って以上に正確な銃弾の雨を降らせる、髪の長い、五人の中で一番年上の、十七歳くらいの少女。
 一人は、あれこれ武器を搭載した超高速のバイクを軽々と乗りこなす。
さらに一人は、卓越した格闘技でもって素手で兵士を倒していく。この三人は、それぞれ年齢が一つずつくらいしか違うまい。
 残りの二人は、もっとずっと幼い。それぞれ、十歳と十二歳といったところか。
 この二人は、そろって動こうとはしない。だが、その周りに近づく兵士は片っ端からいつの間にか仕掛けられたトラップの餌食になり、どういう訳か基地の電子的装備がほとんど作動しない。
「ふーう、あらかた片づいたかな、凛名姉ちゃん?」
 格闘で兵士達をなぎ倒していた少女が、息を弾ませて尋ねた。呼吸に合わせて金色のポニーテールが揺れる。
「そーね。一件落着、ってとこかしら?」
 答える、バイクにまたがった少女。各自勝手に戦っていた他の少女達も集まる。彼女たちは、皆かつてこの基地にいた少女に似ていた。
「いや、まだいるぜ!」
 そういうと、長髪の最年長が銃を構えなおした。その照準の先にいるのは・・・
「・・・・・・お前等・・・・・・何を考えてるんだ?」
 頭を抱え引きつった表情を浮かべた、水島総司令だった。


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シーン4 当社比で5倍

「なーんだ、ここがパッパラ隊基地だったのか」
「案外だらしないもんだな。」
「そりゃー、私達五人に勝てる奴なんて居ないわよ、ねえ?」
「とーぜんね、と・う・ぜ・ん」
 思いっきり破壊しておきながら、まるっきり悪びれる様子もない五人の少女達。
 それを、水島は思いっきり怒鳴りつけた。
「お前等!!反省とかそう言うこと考えないのか!大体なんでここにいる!ランコと一緒じゃなかったのか!?」
「まあ、そうおこんないでよパパ!」
「ここで怒らず何時怒る!」
 それを聞きとがめた桜花は、瞬間愕然とした。生き残った兵士達もはっとする。
「パパって・・・博士こいつ等まさか!」
 それを聞いて、ポニーテールが我が意を得たり、といった表情で言った。
「そーよ。私の名前は水島瑠希亜、水島総司令の娘よ。趣味は格闘全般、特技は必殺技の十五歳の三女よ、よろしくね。」
 続けて、ライフルの長髪。
「同じく、俺の名は蘭魅香。こいつ等の姉、長女だ。年は十七。趣味はお料理、特技は射撃だ!」
 バイク乗りの、瑠希亜に凛名姉ちゃんと呼ばれていた少女。
「あたしの趣味はバイクの違法改造、特技はどんなマシンの操縦でも出来るってこと。ヘリコプターからスペースシャトル、戦車から原子力潜水艦まで、なんでもござれの次女凛名十六歳さ!」
 そして、帽子を被った小さな女の子。
「四女恋子十二歳でーす、趣味はパソコンゲームです」
 そこまで聞いた周りの兵士達は、一瞬安心しかけて、次に来た言葉で自分の甘さを悟った。
「特技は国防省のメインコンピューターにハッキングをかけて・・・うふふ、これ以上はな・い・しょ。」
「おねーちゃんだけ自己紹介に四行使ってずるーいんだ。ぷー。」
 そう言ってきたのは、最年少らしき女の子。
「五女鹿野美です、十歳です。趣味はトラップづくりで、特技は狩りです。特に大型肉食獣が好きです」
 こちらはさらに激しく凶暴だった。


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シーン5 瓦礫の下から

「で?なんでここに?そしてなんで暴れた?」
 まだ頭を抱えながら水島は聞いた。
 瑠希亜が胸を張って答える。
「簡単なことよ。純也がパッパラ隊に入るんで、私達も入ろうと追ってきたら何か純也門番にいじめられてるじゃん、で、後は当然の結果。」
「何が当然の結果だ・・・まあいい。でも何で大人しいお前がパッパラ隊にはいるなんていうんだ純也?お前はお前の好きな道に進んでいいって私はあれ程」
 純也は居なかった。
「あれ?純也何処だ?」
「そういえば・・・」
「さっきから見ないわね」
「純也〜?どこいった?」
「あの〜・・・博士・・・」
 そのとき、気まずそうに桜花が言った。
「あそこの瓦礫から足が着きだしているのは私の故障による錯覚なんでしょうか・・・?」
 見ると、確かに誰か生き埋めになっている。
「おわーーーーーーーーーーー!!純也あーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「は・・・早く掘り出さなきゃ!」
 それからしばらくの後、純也は無事救出された。
「ううう・・・怖かったよう・・・」
 泣きじゃくる純也に、ばさっとのしかかる蘭魅香。
「大丈夫大丈夫、いざとなったら俺達が守ってやるからよ。」
「それが怖いんだよ〜〜〜〜〜」
 ・・・純也がこんな性格になってしまった理由が、その会話にすべて集約されていた。
「ま、俺の特製料理でも食って、気を取り直せや。」
「いやだよ〜〜〜」
「俺の料理が食えないってのか!?」
「ずるいよ蘭魅香お姉ちゃん、自分だけ純也と遊んで!」
「わーーーーーん!」
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シーン6 暮れる 日があるいは途方に

 その日の夜、水島・アリスン・ブランディー・メルセデス・ローズマリー・フォン・純也他5名の入隊手続きを終えた水島(中略・これが結婚後の名字です)一純は、電話の受話器を取った。
 電話番号を押し、暫く待つ。
「もしもし、水島一純ですが」
「あら、電話かけてくるなんて久しぶりね、一純ちゃん。なにかあったの?」
「いい加減「一純ちゃん」はやめてくれないか姉さん」
「あら、別にいいじゃない。」
 そう、電話の相手は姉。だが、今回はなしたいのは姉ではない。
「わっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 突如水島は信じられないような大声で叫んだ。と同時に、電話口でびっくりした姉がひっくりかえる音が受話器から聞こえる。
「・・・で、何の用だ馬鹿息子?」
 瞬時に、電話の相手は姉の体を乗っ取った父の亡霊へと変わる。
「何故純也の夢枕に立って「兄弟家族、呪い殺すぞ」等と脅して純也をパッパラ隊に入隊させた?」
 あの後・・・正確に言うなら事態が何とか収まりかけた直後に襲来した、何処かに雇われたらしい、昔懐かしい戦車野郎と、誰だったか思い出せない将軍の軍団を瑠希亜達があっけなく粉砕した後、純也はそう言った。
「それが一番効果的な脅しだからだ」
「違う!そうじゃない!聞いているのは目的だ目的!」
「言うまでもあるまい、我が血は戦士の一族・・・それだけだ。」
「純也を戦士にさせるつもりはない!あの子は優しい子だ!」
「ふん・・・なら姉の体ごと儂を倒すか?阻止するか?出来まい?ふはははははは」
 電話は唐突に切れた。
 つーっ、つーっ、つーっ、・・・・・・・・・
「くっ」
 がちゃん。

 とりあえず第一話終わり、次回へ続く。


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次回予告(声・瑠希亜)

 おいっす!とにかくこんな訳で始まったパッパラ隊2、みんなどうだったかな?私の魅力にもうどっきどき、でしょ?
 でも、私達の活躍はまだまだ始まったばかりよ、こんなもので驚いちゃ駄目よ〜。
 さて、次回は、と。
 スットン共和国帝都イーストシティーに出動した私達パッパラ隊。
 何で出動したかって言うと、なんと原因は新型ロボットの「反乱」?。
 そのうち事態はどんどん発展して、いまここに戦いという名の科学の祭典がまきおこる!

次回突撃!パッパラ隊2

「ウルトラロボット大戦」

お楽しみにね!

 

・・・それとも、一旦戻る?