・とある銃砲店からでた後で
「なあ、そういやさクリオネ。銃って言えば。」
「何?マシロ」
「お前の銃ってさ…」
「Cz75だよ。」
「ああ。いい銃だ、特に初期型がいいって言われてんのは知ってる。けどさ、初期型とかどうとか、ってんじゃないよな、それ。」
「ああ、このカスタマイズね?へへ、可愛いでしょ」
「…………………………………」
「???」
「いや、カスタムっつうか可愛いっつうか、デコ銃じゃねえか!?」
「そーとも言うね」
「こんなんで撃たれる奴の気にもなれよ…シリアスに死ねねえだろ。いや、シリアスに死ぬことになんざ尻ass程の値打ちもないかもしれねえけどよ。」
「ん、でもそうギャグばっかって訳でも無いんだよ?ハートマークは、貴方の命を奪ったことを忘れない、って意味なの。」
「キルマークってか?冗談こけ、お前こんなにやってねえだろ!?」
「てへへ。」
「笑って誤魔化すな、ったく。ま、いいけど。逆字のLove&Praceは皮肉としても、こっちの文句は、まともだしな。「Q.E.P.D.=que
en paz descanse(死者の霊が安らかに憩わんことを)」…か。」
「心構えでもあるし、お祈りでもある、って所かな。」
「…ふん。自分にその言葉を使う日が来ないようにしろよ?お前の手でも猫の手よりゃ借り甲斐があるんだ」
「にひひ」
「こき使ってやるってのに何でうれしそうなんだよ。まあ、其れはそれとしてだ。…何でジョリー・ロジャーなんだ?確かに保険会社ってよりゃ近いかもしれねえが、海賊って訳じゃ無いだろ、俺ら。」
「んー、そこはまあ、いい女の秘密、ってことで。」
「はは、お前がそんな柄かよ。…にしても、ある意味一番謎なのは、このシール自体だよな。Cz75っつったって、この町で使うんだからある程度カスタムガンなのは前提としてだ、その熱だのマズルファイアだのガンオイルだのでの劣化はどうなってんだ?一々張り直してんのか?」
「実は超高級特殊素材製。御値段は(ごにょごにょ)」
「ぶっ?!馬鹿だ、馬鹿がいやがる!はは、ありえねー?!」
「可愛いの為なら惜しくない!…可愛いは大事だよ?だから、私マシロの側にいるんだし。」
「?…そりゃどういう意味だ?」
「ひーみーつー」
「…なんじゃそりゃ。やれやれ。」
…銃を、殺しの道具をがちゃつかせながら、二人歩く兎と貝。
色々間違ってて、アンバランスで。
けれど…とても和やかで、穏やかな。