OVA第二期シリーズ・第三(最終)巻「人の戦い」(不完全版)
完成寸前の作品をうっかり消してしまい、どうしようもないまま幾星霜。
・・・そろそろ色々な意味でけじめをつけなくてはならないだろうと思い、草稿段階でアイディアを練るために断片的に書き残した「不完全版」
を公開、もって「最終回禁止に抵触しない完結」として、これにて了とさていただきます。
色々とご迷惑をおかけしましたが、どうぞ今後ともご指導ご鞭撻の程を。
断片拾遺 返信 △ ▲
「・・・・・・」
まだ日も昇らない早朝・・・、とはいえ、現在地中にいるのだから日光など関係ない。
電灯の消えた闇の中、カーネルはたった今まで自分が眠っていたベッドを見下ろした。
・・・生栗が寝ている。ソドムも。
ぬくもりが欲しかった。また悪夢を見ることが、知れきっていたから。
だが。
「・・・・・・」
もう、それも無理。
せめて、最後に・・・と思い、まだ寝ている生栗の顔に、カーネルは自分の顔を近づけ・・・そしてあきらめたかのように目をつぶり、首を振った。
そして、ベッドを離れると静かに身支度をする。
いつもの黒い軍服。だが、続いてカーネルはいつもは着用しないもの、本来は別の人間が着用するはずのもの、持つはずのものを取り出した。
小柄な彼女にはサイズが合わない、もっと長身の人間用のそれは・・・
表地が黒、裏地が赤の襟付きマントと、長い杖、だった。
彼女たちがHV団筑波支部を離脱して、三週間目の朝。
反崎秋名死神大教授は、頭を抱えていた。
悪の博士が倒れ、総帥代行アーク・ダーマは親衛隊にさらわれた。
この結末で、全てが終わったわけではない。
あの後、親衛隊が突入し大混乱となった筑波支部。月機動より更に外側にいた黄泉の艦隊はとてもではないが間に合わなかったし、JYUNNKIのイグアナトレインは神刺塔につぐ反乱候補・重要目標とされていたため、いの一番に攻撃を受けていた。
だが、そんな中で動いた部隊がいた。
なんと、TK666。なぜ、彼は動けたのか?
はっきりいって、ノーマークだったのだ。ふらふらしている上、対して強大な戦力というわけでもなかったため親衛隊は完全に彼等を忘却していた。
己の強さにおごった結果である。
その結果、一部の部隊が脱出に成功し、HV団臨時維新政府を設立。司令部をHV団に占拠されたHV団はこれを反乱軍と断定。以後、完全に分裂状態に陥っている。
辛うじて連携が取れ始めている臨時政府。だが。
怪人軍団。
「悪の博士」怪人軍団。
この維新臨時政府の発端であり最大の戦力と目される集団が、事実上完全に戦力として停止状態になっていたのである。
第一にメンバーの欠如。博士が死に、三貴子の内二人までもが囚われ、脱出の際の地獄のような乱闘の中蠍師匠とまんぼうが行方不明となってしまっている。
悪の博士、蠍師匠、そしてまんぼうは事実上彼等以外の他の悪の博士怪人軍団全員あわせたのと同じくらいの戦闘能力を持つので、怪人軍団戦力は四分の一以下にまで低下したと言っても過言ではない。
第二に、イカンゴフが敵手にあり、悪の博士が死亡した・・・つまり、改造人間はともかくVR獣の整備・補給が出来る人間は一人も居なくなってしまっていた。故にVR獣の稼働率は急降下、残された乏しい資料を基に復元を試みているものの、共食い整備で持たしているためばらして部品にされてしまった機体も数多い。
そして第三に、いや、これが一番重大なことなのだが・・・。
「くはははははははははは!」
「!!!」
不意に、聞こえるはずのない笑いが聞こえた。
一瞬にして、怪人軍団全員が跳ね起きる。
一縷の期待を込めて、振り返った視線の先には・・・
「待たせたな、我が子らよ。」
・・・
暗幕のような襟付きマント、そして長い杖。いずれも、確かに悪の博士のものだ。
だがそれを着ているのは悪の博士ではない。マシーネン・カーネルだ。
身長があわないので、長いマントを引きずっている。
あまりに突拍子もない光景に、カーネルなのか生きていた博士がカーネルに化けているのか判断しかねて、怪人達は動けずにいた。
「
「・・・すまない生栗。私は、いや我が輩は」
無理に声を低くして、博士に似せた口調で答え直す。
「今日から悪の博士になる。もう、マシーネン・カーネルは居ない。」
「は?」
「
「ええーーーーーーーーいっあんたたち!!」
「!?」
いきなり、聞き慣れない叫び声。
その場にいた全員が、それが反崎の声だと気付くのに一瞬時間を必要とした。
「この娘はねえ、ふがいないあんた達のために博士を演じてやると言ってるのよ!自分を捨てて!犠牲にして!あんたら、それで恥ずかしいと思わないわけ!?!?」
「・・・
「
「
「・・・よっし!」
「姉御、黄泉殿から入電!Aフォースの、セブン除く全軍が出撃、HV団筑波支部に向かっているそうです!」
数の減少した蝗軍兵はのこらずより攻撃的任務に振り分けられてしまったため、一般戦闘員がオペレーティングする。
「そうかい・・・どうする?戦術指揮官。」
最後に残った三貴子、神刺塔艦長蛇姫が報告する。
環境にしっかりと・・・いつもの黒い軍服で・・・今博士に代わって怪人軍団の指揮を執るカーネルは、立っていた。
「無論攻撃する。現在不幸な状況になっているとはいえHV団は本質的に我等の味方だし、Aフォースは絶対敵だ。ためらうことはない。」
「了解!」
「黄泉艦隊、紅華、蒼華、黄華、全艦上空到達。「エレメンタルマスター」ルヴィアゾート発進準備完了。砲撃準備良し。」
「反崎怪人軍団、強襲揚陸艇乗り組み開始。」
「僚艦ブランププラント、イグアナトレイン、いずれもしっかり付いてきています」
「艦隊集結、ぜぇんぶ予定通りだよっ!みんな、うまくやってるねぇ。」
蛇姫が歓声を上げる。事実、あれほど手ひどい目にあった軍隊とは思えないほどの復活ぶりである。
「ふむ・・・。流石ですな。」
ゴモラも感心のため息を付き、そして吸いかけの葉巻を灰皿に投じた。
「さて、儂らも出番か」
「敵艦隊見ゆ!」
電波妨害と巨大測距儀により、頼り切ったレーダーを封じられた敵より有利に情報を得るシステムの効果により、敵影補足はこちら側のほうが早かった。そして、その測距儀に映ったのは・・・
「・・・地球防衛号・・・アレを持ち出してくるとはな・・・」
「三笠屋、ムー、かいしょー、東方、・・・・・こりゃ劇場版以来のオールスター・キャストだ。」
「あの一般併用の機体・・・鴉女の情報にあったMAMだな。MOAERの量産タイプとか言う」
「もうあんなに数をそろえたのか・・・厄介ですね。」
「HV団筑波支部は?」
「迎撃機を飛ばし始めました。こちらもほぼ全力出撃。ですが、親衛隊はいません。おおかた高見の見物を決め込むつもりでしょう。」
「見慣れない機体も混じっているな。」
これの、のちに「世界最大の前哨戦」と呼ばれることになる戦いにおいて、HV維新政府側の作戦は次のような物であった。
1.Aフォースに対してはかつてそれを壊滅寸前に追い込んで見せた怪人軍団が当たる・・・と見せかけて機体を失った悪の博士怪人軍団のメンバーと反崎怪人、カンパニー怪人を揚陸艇で「地球防衛号」に突入させ、一気に勝負を決める。
2.HV団正規軍に関しては、今回は出来るだけ刺激せず、もし仮にかかってくる場合は上級VR獣以上の戦闘力を持ちながら、それ故に今まで封印されてきた黄泉艦隊のルヴィアゾートと冥甲龍をもって、「阻止」する。
正直、穴だらけの計画である。だが、戦力は集結により何とかなっても、「味方であるHV団を傷つけるわけに行かない」というのはかなりの難問なのである。
「カーネル様、HV団正規軍部隊です。」
「分かっている。」
「もし、彼等が我々に攻撃を仕掛けてきたら、どうします?」
「・・・HV団は恐らく、VR獣に攻撃を集中する。無視しろ。避けるな、打ち返すな。」
「な、そんな・・・」
「VR獣の装甲と、HV団を信じろ。必ずそうなる。それに・・・」
ふ、とわずかに笑い、カーネルはそれ以上口にしなかった。だが周囲の兵士はその意志をくみ、迷わず進撃していく。
顔を恐怖に引きつらせて、HV団は突進する。以前と違って。
両手を広げ立ちふさがる、「黒い稲妻」。HV団総帥アーク・ダーマ専用機。
「っな!?なぜ総帥が此処にいるんだ!?」
「まずいですね。止められなかったのですか?ライシスさん。」
灰が、いかにもやれやれと言った仕草をする。
「それは」
「いや、これぇでいいのぉよ。」
ライシスが反論する前に、カオスが割って入った。
「血迷ったんですかゲドーさん!」
よりのもよって、味方であるはずのアークに、しかも親衛隊の命令も強制もないのに斬りかかるとは。
そして、その返事は。
「ああ、まぁな・・・総帥が死んでから、ずっとずっと血迷ってたさ!」
「主砲、射撃用意!一番から六番まで、放射能火炎弾装填!七、八、九には引力光線弾!全砲門掃射射撃!!」
「射ェっ!!」
「潜地!」
「親衛隊ドルドレイタイプ、後方十二機追ってきます!」
「地中魚雷エルドラド後部発射管発射、同時に全速後進!!」
「こ、後進ですか!?
「そうだ。魚雷の爆圧でどうにかなるほどこの艦の装甲はもろくない。爆発に乗じて浮上、再び親衛隊のみを叩く!」
戦いが最高潮に達しようとした、まさにその時。
「ん?・・・な、何だアレは!?」
唐突に、地面が揺れたかと思うと、爆ぜた。
「ぎゅおおおおおお・・ん!」
つきあがる土煙の中から、
「か、か、怪獣!?」
それは現れた。巨大な、異形の生物。
「正体不明生物体内より、高熱反応。攻撃の可能性、97パーセント!」
「撃ってくるぞ!」
「いかん、退避ぃ!!」
AフォースとHV団の決戦から、三ヶ月が過ぎた。
世界は・・・Drオカモトの作った新生物達が闊歩し、親衛隊による「命狩り」が続く、混沌の地となり果てていた。国家は辛うじて形を残している程度、人類という種の明日す知れない、そんな時代になっていた・・・
だが・・・
「ダークネス・・・」
「シザースッ!」
砕け散る、巨大な獣。
「これからどうする、少年よ。」
燃えさかる巨大な巣を見つめながら、蠍師匠はジュンに問うた。
「親殺しの罪を背負い、この崩壊しかけた世界で、どう生きる!?」
「・・・」
「もし、もし何だったら我々の所に来ないか?博士も昔誘ったそうだが・・・」
「いえ・・・いいです。お心遣いだけ感謝します。」
「・・・お前なら 別に新しい体に嫌悪を憶えたり、力に溺れることもないだろうに。」
「ワールド・マスタリング?・・・というと?」
「いわゆる「お約束」「法則」の具現化みたいなもので・・・この世界をゲームに例えるなら、我々ゲームの中の登場人物には逆らえない、基本プログラミング。それがマスターZの正体、なんだそうだ。」
「マスターZが「非道な」悪事を私達に強制し続けるかぎり、「倒される悪役」という運命からは逃れられない、てことかにゃ?」
「そうだ。だが、絶対正義の陳腐さの限界から生じたAJという名のバグ、本来それを消し、世界のバランスを保つべきメビウスの稲元化による機能の消失。これによってチャンスは生じた。」
「それにプラスして、悪の博士怪人軍団」
「マスターZがつけねらうわけだ。あいつ等は他の世界から来たから、この世界の法則には縛られない。同じようにゲームに例えるなら、ヒットポイントがないようなものだからな。話の筋は、ひっくり返る」
「あ〜あ、あの動物キチガイ、死んじゃったぁの?。もうちょっと暴れて欲しかったのぉに」
「ふ、それは単に奴の僕の獣に人間が食われる様が面白いからだろう?カオス。そもそもあの男には、此処で退場する予定ではないか」
「ええ。既に計画通りの量の「 エネルギー」を発生させるだけの人は死にましたから。マスターZ様復活のためには、充分なエネルギーです。」
「ま、そうなんだけぇどぉね。」
「物は考えようではないかカオス。これでまた、HV団と「遊べる」のではないか?」
「・・・ん、んっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃ!確かにそうだぁの!きゃきゃ、きゃきゃきゃきゃきゃ!!」
「何故だ!?何故動かん地球防衛号!!」
顔を引きつらせ、必至にレバーを動かすMOAER。だが、システム・ユダ、ジャスティスコンバーターを中心に、どれもこれも動かない。
「簡単なことさ・・・もう誰も、貴方の作ったシステムすらも・・・貴方を正義だなんて思ってはいない!!」
「ば、馬鹿な・・・馬鹿なぁぁぁぁぁっ!!!」
「惨めだな・・・MOEAR」
「・・・殺すか?私を。」
「いや。」
「偽善か?」
「悪だ。・・・一生、この記憶を抱え、はいずって生きろ・・・それが俺の復讐だ。」
「あ、あれは!」
カーネルは一駿目を疑った。加藤保徳のマニピュレーターが掴んでいる、ぼろぼろの死体。
それは・・・
「そぉう、貴方に殺された、かわいそぉうなカマドウマ男なぁの。」
「一体、その死体で何をする気だ?」
笑いながら、かおすはカマドウマ男と同じくらいの大きさになる呪府を、べたりとはりつけた。
「ぐ・・・る・・・ぅうおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
「!!」
死んでいるはずのカマドウマ男が、叫んだ。電流を流されたかのように、からだがびくびくと痙攣する。
「ふふふ、ちょっと・・・彼が恨みを晴らすのに協力して上げるだけ。さぁあ・・・思う存分、闘うぅの!」
そう言うと、ぼとりと掌から落とす。
「!!」
カマドウマ男は、地上に「着地」した。だが、そんなことは大したことではない。
地上に着くまでの間に、カマドウマ男の身長が数十メートルにまで巨大化していたことに比べれば。
「う・・・」
「げぇ」
味方から、うめきが漏れる。
巨大化したカマドウマ男の姿は、ひどいものだった。全身バラバラになった死体を強引に縫い合わせてある。
「・・・哀れな。」
「っち、じゃあぁ・・・今度はこれなぁの!」
唐突に加藤保徳の背後に、三つの透明な球体が出現する。魔力・呪術などの力で別空間から物質を瞬時に転送する・・・召還だ。
そして、
「イカンゴフ!?」
「フェンリル・・・」
「エアーーーーーーーーーーーーッ!」
「それでも・・・私のこのわき上がる怒りは・・・戦う意志は・・・」
「私にとっては、本物なんだ!!」
瞬間、閃光が走った。
「にぇあああっ!?」
かおすは驚愕した。たったいままで、無敵の勢いで敵を蹴散らしてきた自慢の怨巨魔が、イカンゴフを収納した胴体部分からぶっちぎれたのだ。
「な、何が・・・があっ!?」
身長、52メートル。白銀の鎧をまとい、面頬をつけ陣笠を被った女騎士、とでも言うべき姿。
まっぷたつになった怨巨魔、二つに分かれて地面にひっくり返ったその間に、それは裁っていた。
「あ、あれは・・・」
蛇姫が圧倒されたように呟く。
「ハテヨノエイゲツ!対M78星雲人用最終決戦兵器!」
「イカちゃん!」
「・・・ボクは・・・何のために此処に居るんだろう・・・ひたすら怖がって、みんなに迷惑をかけるため?・・・ううん、そうじゃないはず、そんなのはいやだ!」
「そうだよ、嫌なんだ・・だって、みんな大切な仲間だから、そして、僕を大切に思ってくれる、仲間だから!」
「だから!戦う!!」
「こんな事じゃないかと思っていたら案の定・・・」
「!?!?」
「何故、今頃になって裏切るぅの?博士を殺しておいて。・・・今更許されるとでぇも?・・・馬鹿じゃないぃの?」
「ふ、ふふふ・・・」
「何笑ってるぅの、不愉快だぁの。」
「・・・こうなること、予測出来ない、って思っていたのか、の?」
「な、何だと!?」
「こ」
「ん」
「な」
「こ」
「と」
「も」
「あぁろぉうかとぉおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」
ズガッシャーン!!
「くぁ〜〜〜〜っはっはっはっはっはっはっはぁ!」
「ま〜〜〜っぼっぼっぼっぼっぼっぼ!」
「な、何いぃぃぃぃぃ!」
「は、博士!?」
「き、貴様生きていたのか!?だ、だが確かにあの時・・・・」
「ふっ。種明かしはこうだ。えーちゃん殿の最初の攻撃直後に即座に脳電位受信による科学的テレパスにより互いの考えを察知、あとは瞬間的に大量の情報をやりとりできるこの方式を活かし、会話の末えーちゃんに一芝居うってもらって空爆発をおこしそのすきに我が輩は別次元に待避、とはいえ腹をぶち抜かれたのは事実なので我が弟まんぼうに修理用の部品を集めさせていた・・・という訳だ。親衛隊!貴様等の悪巧みももはやこれまで・・・ぐはっ!?」
「な、何をする!?」
「はぁ〜かぁ〜せぇ〜!何で生きてるの黙っていたんですかぁ〜〜!!!」
「そそれは敵を欺くには」
「言い訳無用です!ど、ど、どれほど私達が、どんな思いで・・・う、うわぁあああん馬鹿バカバカばかばか馬鹿ばかばかぁ!!!」
「そうだそうだ!」
「いいかげんにせい!」
「そこになおれぇ!」
「やめれやめ痛い痛い痛い痛い!!!!本当に死ぬる!!」
「って・・・あれ?」
「・・・へ、変身してるぅ!?」
「ふ、これも計算通り。」
「・・・嘘でしょ」
「・・・ああ。」
「だって私・・・私なんかが思ったって、あんな風に強くなれないもの!」
「馬鹿野郎!!」
「クラヴィ・・・」
「 そんな問題じゃねえだろうがっ!!」
「こっ、これは・・・?」
動転の度が過ぎて、むしろ惚けたようにソドムは自分の背中から生えてきたものを見つめた。
羽。砕けたガラスのかけらと虫の羽を蝙蝠の皮膜型によせあつめたような、いびつだけれども、キラキラと輝く羽。
「磁力・・・これって・・・」
「ああ。」
「滅びのっ、星〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「ギンヌンガギャップ・メツ!」
「天変地異・氷雷爆空斬螺旋!」
「さ・・・行くか。」
全てが終わった、焼けただれた平原。空に開いた異次元への門。
「ま・・・待て・・・」
AJだった。黒こげになった機体から這い出してきたらしく、見る影もないほどにぼろぼろになっている。
「何故だ?何故お前等は進める?何の見返りもない、勝てる保証も、ましてや命の保証すらない戦いに、何故踏み出していけるのだ?世界の法則に守られていない、お前等悪が、何故!?」
「・・・昔はあなた達正義の味方も、こういう戦いに赴いたはずです・・・」
「!!!」
「それに、この世界は我々のものだ。我々が征服する、我々が支配する我々の所有物だ。自分の物を守るのは、当然のこと。」
「・・・・・・」
何も言えず、中途半端に伸ばした腕を引っ込めることもできないAJ「では、いくか。」
暫く、時が流れた。
「スクランブル、スクランブル!」
DN社軍事基地のレーダーに、巨大な影が映った。慌てて兵士達がサイファーに乗り込み、出撃していく。だが、その表情はどこかやる気が無さそうだ。
「高度一万、識別信号なし・・・といっても、正体はたぶんあれだな。一応けいかいはするよ〜に」
と、オペレーターの声も投げやりだ。
「隊長!「あれ」とは一体何なのでしょう?」
唯一やる気をみせている、基地配備されたての新兵が質問する。
「ああ、お前はそう言えば初めてだったな、しっかり見ておけ。」
そうしているうちに、不明機は、一気に速度を上げて飛び込んできた。
衝撃波が唸る。
「っどうわああああああああああ!!」
翼長数十メートル、下手すれば100メートル近い、巨大な黒と赤の龍。
「キュゴオオウェエオオオオオオン!ギュグオオオオオオオオオオォン!」
大音量の吠え声が、通り過ぎた後で機体を揺する。目にも留まらないスピードだったにも関わらず、新兵の目には怪獣の頭部から生えた三つの角と八つの目がはっきりと映っていた。
「な、な、何ですかあれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
わめく新兵、それを諭すように隊長は答えた。
「あれがHV名物、世界最大の空飛ぶ親馬鹿だ。」
結局HV団は、世界を征服し損なった。
マスターZを倒した直後、一連の大騒ぎのせいで正体が割れてしまい、そのまま全面対決へとなだれ込んでしまったのだ。
流石に戦力を消耗していたため(それですまされてしまうマスターZは哀れだが)この状況はきつく、全陸地面積の三分の一を制覇した時点で和議を結ばざるをえなかった。
(それでも十二分凄いという気もするが)
現在HVは国・・・HV団員が住まう、住まう事の出来る国・・・として、世界と互角に対峙、次へと向けて国力を蓄えている。
Aフォースは・・・倒産した。戦力的に壊滅してしまった上に、博士が親衛隊の次元移動を阻止するために作った装置、それを黄泉や反崎やえーちゃんが応用して作った「アジムほいほい」で、アジムのこの世界への出現が阻止されたためである。仕事自体消えたのだ。
ジュン・オカモトは消えた。父の所行を背負い、父と戦い、・・・再び、母と別れ・・・
それでも「一人の人間として生きる道」を、堂々と歩んで。
クラヴィ団の面々は・・・活動の場を写しこそしましたが、未だ健在です。ただ、一緒にマスターZを倒したという意識からか、最近余り攻撃してきません。
ずぅっしいいいいん!
地響き立てて巨竜、悪の博士が着陸したのは、HV国直営医院・地獄病院の駐車場。
「いっかぁぁぁぁん!遅れたっ!」
慌てまくった風に口走ると、すぐさま人間大サイズに変身、走り出す。
「ぬ お お お お おぉぉぉぉぉ!!」
階段を駆け上る。
エレベーターあるのに気が付いていない(笑)
「あぁ博士!遅い遅い!」
踊り場で待っていたフェンリルがすっかり元気に手をぶんぶん振る。
「わあかっとる!」
そのまま突進し、ある個室の前で停止した。しばらくぜいぜいと荒い息を整える。
ごくり、と唾を飲んで、珍しくもわずかに逡巡。
「・・・入るぞ。」
戸を、いつもと違って静かに開ける。
「ああ。博士・・・」
穏やかな声が出迎える。
病室には、HV団メンバーの名のあるものがそろっていた。皆、ベッドの上から博士に出迎えの言葉を発した女性を囲んでいる。
白い病人用の服をまとったマシーネン・カーネルが、ベッドの上で微笑んでいる。当然、入院しているのは病気のせいではない。
その細い腕で抱きかかえられ、産着でくるまれた小さく新しい命のためだ。
「む、むううん・・・」
なぜだか圧倒される博士。優しく我が子を撫でる娘の姿、それは博士にとっては万感迫る物だったようだ。
母の腕に抱かれ、きゃっきゃっ、と赤ん坊は笑った。
こうなったら娘をめとった男をからかって場を和ませるしかない、と思って大慌てで八つの目を蠢かせるが、
「ひゅーひゅー、憎いねぇ〜!」
「なんだかんだいって、やる時ゃやるじゃん」
「うりうり、このー」
すでに生栗は「集団うりうり状態」にもみくちゃにされてどうしようもなくなっていたのであきらめる。
「おめでとうございますわ。」
「ああ。」
アラネスとイカンゴフ。今では二人の薬指にも指輪が輝いている。
「次は、私達・・・ねっ!」
「ぐぶほっ!」
顔に似合わず積極的なことを言うイカンゴフ。色んな意味で、強くなっていた。同じく顔に似合わず慌てるアラネス。
「いーなー。あたしも子供作れたらな〜」
赤ん坊の頬をつつきながら、ソドムもとんでもないことを言う。
「博士や黄泉殿に頼んで、改造してもらえばいい。」
あるいみ滅茶苦茶まずいことをいうカーネル。
「お、おいおい!」
「よかったな婿殿、ハーレム確定。」
「お〜い〜こ〜ら〜!!」
どたばたしながらも、互いに笑みをかわす。
「そう言えばカーネルよ。」
博士は、気になっていたことを尋ねた。
「お前の子、我が初孫・・・名前はなんとした?」
「そうだね。」
「名前?」
カーネル、生栗。両名は会わせたほほえみを周囲へと向けた。
「名前は・・・」
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