禁じられた・・・ 返信 △ ▽
「あ・・・」
クラヴィ団と、悪の博士怪人軍団が今日も激突した荒野。
そして、明日も激突するかも知れない荒野。
戦いが終わり、何とはなしにそこを歩いていたクラヴィーアは、こんな場所にあまりにも似つかわしくない、否、ある意味最も似つかわしいかも知れないモノを見つけていた。
「子供?」
五歳くらいの、ぼろぼろの服を着た男の子が、血塗れの手で地面をひっかいている。傍らには、墓とおぼしき、木の板が立てられた土饅頭が、一つ、二つ、三つ・・・
そしてその男の子はまだ傷ついた手で硬い土を掘り、墓に書けている。
その光景の残酷さに、クラヴィーアは息を呑んだ。そして、一拍置いて
、その子への哀れみと「敵」への憎悪が燃え上がる。
「君、どうしたんだい?」
我ながら分かり切ったことを聞く、とクラヴィは思った。そして、振り向いて涙を拭った子供から当然の答えが返ってくる。
「・・・お墓、作ってるの・・・」
そしてまた沈黙と共に土を掘る。ぎり、とクラヴィが歯を食いしばる音。
「HV団にやられたのか・・・行くところが
「違う!!」
・・・行くところがないなら家に来ないか、といいかけたクラヴィは、唐突かつ激烈な否定に戸惑った。
「じ、じゃあ、どうして?誰に殺されたんだ?」
男の子の答えは、クラヴィの予想の範囲外で、そしてだからこそ拒絶される原因となったモノだった。
「それは・・・お前だぁあ!!!」
「!!」
ふいに、小さな子供とは思えない形相と声で、男の子がつかみかかってきた。ショックを受けたクラヴィは、自分でも驚くほどあっけなく倒れ込んだ。
「お前が・・・お前のVRだぞ!お前のVRが・・・」
それは今まで、クラヴィの想像の埒外だった。
「人々に犠牲を出さないための戦い」をしている自分たちの「戦い」も、結局「人に犠牲を出している」ということ。
それが戦いであり、それを知りながらも、自分たちの願いを達成するには闘わねばならないと言うこと。
その重みを。
不意に、目下の強敵である、それまでただの「手前勝手で傲慢なキチガイ」としか思っていなかった、鉄仮面の科学者の言っていた言葉が頭に浮かぶ。
(あいつがしつこく言っていた、「戦う覚悟」・・・これか・・・これのことか・・・?)
悪の博士が、いらだつもの。それは、己を正義とおごるモノ。自分だけは汚れていないと、いばるもの。
(お前も汚れている、それを認めろ・・・あの男?は、そういいたかったのか?!)
その上でなら、闘うことも許されると。
心から慕われる者達が、共に闘う悪の博士。
それは、クラヴィと同じ。
それに気付いているからこそ、博士はいらだつのだ。
彼は、自分たちも所詮「家族ごっこ」にすぎないことを認めている。それでも、寄り添わねばならないことも。
だから、クラヴィの無自覚を、博士は怒る。怒り続ける。
どうせ一人を選ぶことが出来ないのに、何人もの女性からの思い(恋愛感情であるなしはともかく)を保留し続けるクラヴィを、博士は「利用している」というのだろう。
そんなことをぼんやりと思いながら、クラヴィは少年の小さな拳の雨に身を任せていた。
それすらも、偽善。それで死んだ人が帰れば、苦労はしない。
だが、せめてもの謝意。
それしかできないなら、それをするしかない。
そんなところまで、戦いあう二人はよく似ていた。