童話「子猫のお姫様」
つくば市の、ごく普通の公園。
「まだかなあ・・・」
「もうすぐ来るよ、きっと。」
鳥が鳴き、犬を散歩する人達が通り、子供達が遊び、老人がくつろぐ、ごく普通の公園。
なにやら、幼稚園児くらいの子供達が話し合っている。誰かが来るのを、待っているらしい。
「あっ、来た!」
一人の子供が嬉しそうに叫ぶ。他の故達も、同じく。
「お話のお姉ちゃんだ!」
「すいません、遅くなってしまいましたわね。」
柔らかな声。そこに立っていたのは、白いロングスカートに長袖のブラウスを来た、髪の長くのばした女性。繊細で、はかなげで、まるで水の精霊。
「はい、どうぞ」
子供達にお菓子が配られる。手作りのようだが、どれもおいしそうだ。
よろこんでほおばりながら、子供達は口々にその女性に尋ねる。
「ねえ、今日はどんなお話ししてくれるの?」
小さな女の子が尋ねた。
にこり、と笑って、女性は子供達の頭を撫でた。
「今日はね、この間話した王国の、お姫様のお話。」
「この間の、騎士ナマクリが行った王国?」
元気そうな男の子がいう。
「ええ、そうよ。」
そういうと女性はほほえみ、物語を始めた。



むか〜し昔、こことは違う世界のお話です。

あるところに、HVという名前の国があり、アークという名前の、お姫様がいました。

お姫様はとてもとてもかわいらしかったのですが、普通の人とは少し変わったところがありました。

お姫様の手には肉球があり、耳は三角形で頭にピンと立っていました。

そうです、お姫様は猫だったのです。まだ小さい、子猫のお姫様でした。

お姫様は、最初は普通の子猫でした。

でも、悪い魔物が現れて、アークに魔法をかけてしまいました。

するとどうでしょう、アークは耳と手を残して人間になってしまいました。

びっくりしたアークは、お母さんに言いました。「助けて」と。

でも、お母さんにはもうアークの言葉が解りません。アークは人間にしか見えません。沢山いたお兄さんや弟、お姉さんや妹も、みんなアークのことが解りません。

アークは、ひとりぼっちになってしまいました。

仕方がないのでアークは、人間の国へ行きました。あんまり寂しいので、人間とお友達になろうと思ったのです。

でも、アークを見た人はびっくりして逃げました。アークの耳は猫の耳、アークの手は猫の手だったからです。

人間達は、アークのことをお化けだと思って虐めました。アークは泣きました。本当にひとりぼっちになってしまったからです。もう、猫でも人間でもありません。世界にひとりぼっちです。

アークは寂しくて、寂しくて、泣いて泣いて泣きました。

すると、通りかかった、不思議なお面に三角の頭巾を被ったおじさんが言いました。

「わしのところにおいで。君みたいに寂しい子供達が、友達と一緒になれるところだよ。」

アークは嬉しくなって、付いていきました。そして、そこは本当にそう言うところだったのです。優しいお母さんみたいな人もいました。友達も沢山出来ました。仲にはアークみたいに普通の人と違う姿をした人もいましたが、みんないい人でした。その人達は、変な格好だからって虐めるのが悪いことだって、自分の身で知っていましたから。

アークは思いました。姿が変だって、別になんとも恥ずかしい事じゃないんだって。みんなと仲良く出来るんだって。

その国の王様にあったとき、アークはびっくりしました。此処に来るように教えてくれた、あのおじさんだったからです。

王様は、アークを自分の子供にしてくれました。一人ぼっちのアークは、お姫様にまでなったのです。

でも、ある時から、急に王様の様子が変になりました。隣の国の王様と戦争を始めたのです。

隣の国の王様は、自分が世界一番えらくてただしいんだと、固く信じていたので、戦争は終わりそうにありません。

でも、どうして王様は変わってしまったんでしょう?アークは不思議に思い、こっそりお城を探検しました。そして、恐ろしい者を見たのです。

それは、アーク仁摩法をかけた、あの悪い魔物でした。魔物が、魔法で王様を操っていたのです。

アークは何とかしようとしたのですが、魔物の体はとらえどころが無くてつかまりません。

暫くして王様は、隣の国の王様に殺されてしまいました。

魔物はアークに言いました。お前が姫として次に戦え、と。

アークはそうしました。魔物が怖かったのではありません。そうしなければみんなが危なかったからです。

アークは頑張りました。すると、だんだん仲間が集まってきました。そして・・・

「そして、どうなったの?」
小さい女の子がアークに聞いた。
「そして・・・」
「動くな!」
不意に、無粋な声がかかる。彼女・・・HV団に協力する、悪の博士怪人軍団の怪人イカンゴフ・・・の、敵だ。
ばさり、と軍用外套の裾を翻し、立ちふさがるアラネス・・・かの女が趣味で子供に聞かせている童話の中で、「糸の騎士」と呼ばれていた仲間。

そして、また新たな章が書かれる。


「間の使い方」の練習。そして・・・あくにゃんへ愛を込めて。

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