秘密結社バリスタス第一部第五話「偵察作戦『日流子』」

「う〜み〜は〜広い〜な、大きいな〜」
呑気に月を見て歌いながら、バリスタス幹部イルカ怪人lucarは呑気に水面を仰向けになって泳いでいた。
「こんなに広い海なのに、どうして人は領域を争うのかしら・・・。こんなに広く、いろんな生き物が居る海。正義も悪もなく、純粋に命を躍らせ、時に共存し時に競争する輝ける生き物の住処・・・それなのに、人は鉄を浮かべ、主義主張をがなりたてずには居られない・・・」
そう慨嘆するように呟き、lucarは横目でちらりとその原因を眺めた。
HUMA海上基地。海上・海中での戦闘を目的とした、水中用ヒーロー部隊「シーファイターズ」の基地だ。
環境汚染や密漁の防止から海賊退治、海で起こるありとあらゆる事件の解決を目的としている。
「あら・・・?」
一隻の船が海上基地に入港していく。その光景自体はこれといって違和感のあるものではない。
この海上基地に次の補給船が来るのは、あと二週間後だということを除けば。
lucarは直感的にただごとではないと感じ、潜望遠鏡を伸ばして海上基地の港湾部についた船を改めた。
船名は消されている。だが、確かに見覚えのある船だ。識別表に乗っていた記憶がある、ということは普通の船ではない。
「!」
次の瞬間、船のタラップを人目をはばかるように降りる男の横顔を見て、lucarは全てを思い出した。
桐原コンツェルン籍貨物船、その実態はネロス帝国偽装アジト船・セントエルモ。
船から降りた男は、ネロス帝国戦闘ロボット軍団凱聖・バルスキーだ。彼の秘書的役割を務めている軽闘士ローテールも一緒だ。
正義の軍団であるはずのHUMAシーファイター基地に、何故日本最大手の財閥系組織の幹部が・・・!?
幾通りか脳内でシュミレーションを行い、lucarは決断した。
「ワタリブルーさん、居るんでしょう?すぐこのあたりの海上兵力をかき集めて。潜入するわよ。」
「ふっ、隠密で護衛していたつもりでしたが、ばれてましたか。分かりました。」
戦闘能力の少ない怪人・幹部護衛用部隊、甲殻戦隊カニンジャーNo2のワタリブルーは、戦隊一の高速でもってすぐさま動き出した。

「やあ、ようこそようこそ、お待ちしていましたよぉ!」
と機嫌よく出迎えたのは、極東HUMA技師長の烈破丈だった。この海上基地の司令であると同時に、HUMAの改造人間・人造人間の開発を一手に引き受ける科学者でもある。
だが、その姿はかなり奇怪だ。科学者とは、いやはっきり言って人とは見えないだろう。バリスタスの幹部にも、ここまで変な格好の奴は居ない。
仕事の能率を上げるため、彼は肉体を捨てコンピューターと一体化していた。むき出しの脳髄と直結された量子コンピューター、肉体のあったころの彼の顔を映し出す感情表現ディスプレイにスピーカー、多目的マニピュレーターと武装に移動用特殊多脚併用キャタピラと、ごてごてした機械の集合体だ。人間の形というよりは、キャタピラとマニピュレータの生えたディスプレイ一体型パソコンだ。
対するバルスキーが、機械でありながら二つの鷹のように鋭い目と口、力強く均整の取れた体と手足をもつ格闘戦用アンドロイドであり、情報処理用のローテールもまた顔こそフルフェイスヘルメット状ながらAIの個性にあったしとやかな女性らしい体を持っていることから、さらに異形ぶりが際立つ。
「ふん、それは待つだろう。我々の活動を黙認する、つまり本来の仕事すら何もしない「だけで」多額の金と貴重な技術が手に入るのだからな。」
苦々しげにバルスキーは呟く。自分達がそもそも非合法とはいえ戦って得たものを、この連中はただ安穏とするだけで分捕っていくのだ。
「そもそも、あなた方の活動は非合法なのですよ?黙認しているだけありがたいと思ってください。それに、利益は一応出ているのでしょう?外国から新規参入しようとする組織から貴方達を守ってもいるのです。安いものですよ。」
そこに、このコンピューター男はつけ込んでくる。そしてあくまで自分達の行為は慈悲であると言い張るのだ。そして・・・実はネロスに知られることなく、その外国組織たちとも取引を行っている。絞りきったら、ネロスを売るために。
そこまで面の皮の厚くないバルスキーは苦々しげな様子を隠しきれずに顎をしゃくり、ローテールに持ってきたトランクを渡させる。丈の体から長いマニピュレーターが伸び、素早くそれ受け取る。その瞬間には既に内部をサーチして、中身が規定の額の札束であることを確認する。
「物資、技術サンプルはコンテナで運び込んである。そちらも確認はしたはずだ。」
「結構です。これでまた三ヶ月、あなた方は好き勝手が出来ると言うわけだ。いや〜、正義の皮を被るため自重せねばならないわれらと違って、結構なことですな、はっはっは!」
流石にもはや怒りより呆れの感情回路が作動した。バルスキーはへんに人間くさく肩をすくめる。
「まるで、ばれないなら自分達で暴れたいといわんばかりだな。」
皮肉のつもりだった。だが丈は平気な顔をして言う。
「えぇ、実際にばれない程度にならやってますし。我々が密漁や不法投棄を監視しているのですから、逆にそっち方面ではやり放題、てことですからなぁ。はっはっは!」
鋼鉄の兵士として長年最前線で戦ったバルスキーですら慄然とした。こいつらの邪悪さは、はっきりいって自分達組織すらはるかに超えている。
正義が悪から搾取する、凄まじいまでの腐敗の実態が、ここにあった。
「用件は、済んだ。そろそろ・・・」
と、帰ろうとするバルスキーの手をマニピュレーターで引っ張り、丈は引き止めた。
「何だ?まだ何か?」
「まあまあ、折角来てくださったのですし。少しはおもてなししようかと思いまして。」
おもてなし、といわれても自分は戦闘用ロボットだ。人間のように飲み食いは出来ない。一体この男は何をするつもりなのかと考えるバルスキーを尻目に丈はてきぱきとまわりのシーファイターに命令を下した。
と、見ているバルスキーの前で床の一部がへこみ、古代ローマのコロシアムのような様子になった。同時に、透明ながら組織に従事するものなら人目で特殊超剛性樹脂壁と判別できる壁がおりる。
そして、その中に一人のシーファイターが遠隔操作指揮ロボットで引きずり出されてきた。必死に抵抗するその姿はほっそりとしていて、12〜3歳の少女と知れる。装甲の形状からして、どうやらカブトガニの改造人間らしい。
「やっ、やめてください!烈破技師長、あなたが組織の犯罪を黙認してお金と物資をもらっているって噂、本当だったんですね!?」
ロボットに突き飛ばされ、即席コロシアムの床に倒れこむ少女。それを見て、プラズマディスプレイの丈の顔がにんまりとゆるんだ。明らかに、この状況を楽しんでいる。
「ふっふ、その噂を確かめようとして、馬鹿な真似をしたものだ。あれはお前のような世間知らずをおびき出す罠だったとも知らずに・・・」
「な!?」
驚く少女。周囲のシーファイターたちもこらえかねたように一斉に笑い出す。
「ひゃっひゃっひゃっひゃ!」
「はーっは!馬鹿みてぇ!」
「いまやこの基地全て、いやHUMAのほぼ全てが、我々の同類だよ!知らんのはお前たちのような、我々に必要ない捨て駒だけだ!ははははははははははははは!」
スピーカーの音が割れそうなほど馬鹿っ笑いする丈。
それまで信じていた世界全てを一度に粉砕された少女が、呆然とその狂態を見る。凍りついた無表情、瞳だけが涙を流していた。
「そ・・・んな・・・」

「何の見世物だ?」
その様子にバルスキーはうんざりとした声を出し首をかしげる。ローテールもまた、居心地が悪そうだ。
対照的にわくわくした様子で、丈は説明する。
「あの娘は潤 美々といいましてな、新米のシーファイターです・・・いやでしたというべきですな。カブトガニと合成し、シーファイター・カブトレオンに改造しました。ですが改造段階で成長に合わせて戦闘能力が強化される仕組みとしたのですが、どうもうまくいかない。役にも立たない潔癖な子供ですからね。処分がてら実戦データ収集をしようかと思いまして。」
と、そこで今度は四体ものロボットが現れ、鎖を引っ張る。それに抗い引きずられながら、こんど現れたのは醜悪な巨人だ。ぶよぶよしたオレンジ色の皮膚、触手がより合わさって出来た巨大な腕、胴体部に目玉と牙の生えた口があり、頭部に類するところは突起の生えた肉塊となっている。まるでいびつな鬼だ。
それを見た美々の顔が最初は恐怖に、次の瞬間驚愕と悲しみにはっと引きつる。
「そっ、そんな・・・まさか、彪さん!?そんな、なんて姿に・・・」
「あれは彪門太、ヒョウモンダコ型のシーファイター・オクトーガだったのですが、我々のことを宇宙刑事機構に暴露しようとしましてねえ。いや、報告した宇宙刑事機構の幹部が我々の仲間でなければ、とんだことになるところでした。そこで懲罰として筋力強化限界の実験台にしましてねぇ、意識もなくして怪物になるまで実験してしまいましたからなあ。こうして最後のご奉公、と言うわけです。」
「いや・・・いやぁ・・・」
「ぐるるっるるるるるるらあ!」
泣き伏す美々と、暴れ狂う彪。正反対のその様は、いずれも砕かれた運命、外道どもの糧となる贄だ。
「さぁて、古代ローマの民が楽しんだという豪華な見世物を、思う存分堪能しようではありませんか!ふひひひひひ!」
生身だったらよだれをたらさんばかりの声で笑う丈。シーファイターたちも皆この残酷な舞台に見入っている。
「ごべええええええええええ!」
とても人間の声とは思えない咆哮を発し、オクトーガは自分を引きずっていたロボットどもを叩き壊した。もはやまともな理性は残っておらず、自分にもわけの分からない脳髄を突き破らんばかりの怒りと餓え、破壊衝動に突き動かされている。
そんなかつての仲間の様子を、信じられないといった風にカブトレオンは呆然と見ていた。彼女の知っている彪は海洋生物学の知識と水泳で鍛えた体を持つ好青年で、まだ未熟な自分に兄のように接してくれた、淡い憧れの人だった。
それなのに、今彼は。
「ごぶぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぉ!!」
ロボットどもを破壊したオクトーガは、その、物そのものの壊れ方に不満を覚えた。歪められた本能が囁く。血を、肉を、断末魔の悲鳴を。
その赴くままに、オクトーガは後輩に突進した。ほとんど心理が崩壊状態だったながらも戦士として受けた訓練が警報を発し、飛びのこうとするカブトレオン。
恐ろしかった。彼は。
優しく肩を叩いてくれた腕を、叩きつけ。
あんなに静かに海を眺めていた目を血走らせ。
熱く理想を語っていた口は、牙だらけででろでろと粘液を垂れ流し。
その心は、破壊されて跡形も無い。
「ヴォアアアアアアアアアアアアアア!」
叩きつけるように殴り、倒れた細い体を踏みにじり、必死に起き上がろうとする脚をわしずかみにして振り回し、何度も何度も地面に叩きつける。
「ば、バルスキー様、私・・・私、もう見てられません!」
ローテールが泣き声のように細く叫び、アイカメラを掌で覆う。しかし、情報収集・記録用の彼女の優秀な感覚器は、視覚以外でその惨劇を捕らえ続けた。
ばりばりばりっ、と何かが破れるような音。聴覚集音マイクはそれを即座に解析、カブトレオンの着用していた戦闘服を構成する高分子ポリマーだと判断する。そして、同時にオクトーガの腕とぶつかっているものが、甲殻と服ではなく生の人間の肌に変わったと彼女の電脳に伝える。
カブトレオンの悲鳴。同時に周囲のバルスキーを除く男達が、息を呑むその気配すら敏感な彼女の聴覚は察知してしまう。それどころかその脳電位の変化から彼らの生理的興奮すら手に取るようにわかってしまう。同時に、破壊されたオクトーガの脳にも同様の変化が起こったことを感知し、ローテールの電脳の一部はこれからの状況推移を推測・・・するまでもなく理解し、頭部パーツをかきむしった。
今日ほど、偵察ロボットとして作られた自分が悲しくなったことは無い。見ることはいやでも出来る、しかしなにもすることは出来ないのだ。
ダン!!!!!!
「!!」
突如、凄まじく強く大きな音がした。一瞬ローテールの聴覚機関が麻痺し、集音レベルを調整、聞きたくなかった音が聞こえなくなる。
「・・・無粋な。見るに耐えん。帰るぞ、ローテール。」
バルスキーだ。かれが全力で、へこむほど床をけり立ち上がったのだ。
「は、はい。」
「おや、お気に召しませんでしたか?前回いらっしゃったゲルドリングさんとガマドーンさんは、このもてなしがいたくお気に入りでしたが。」
「あんな卑怯な馬鹿と一緒にして、私を見損なうな。私は武人だ、あんなものを見て喜ぶ感覚回路は無い!」
「武人ねぇ、所詮財閥の私兵でしょうに。」
「・・・・・!!」
ならばそういう貴様は何なのだ!と叫びたい気持ちをこらえる。ネロス帝国のため、そして何より忠実なローテールのためこれ以上ここにとどまりたくなかった。
そして、靴音高くバルスキーが踵を返したとき。
グワーーーーン!
「なんだぁ!?」
唐突に、基地に大爆発が起こった。
「どうしたァ!」
烈破丈が画面を明滅させながら叫ぶ。
「襲撃です!バリスタスの水蝗兵部隊!」
「何ぃ!」

本来なら、偵察で済ますつもりだった。純粋に偵察として行動するならばこの惨状の証拠をカメラ・テープなどで持ち帰り、宇宙刑事機構の汚職に絡んでいない部分に垂れ込むだけでかなりの成果を得ることが出来ただろう。
だが、lucarどころかその場に居た戦闘員一人一人まで全員が、そうするつもりは毛頭なかった。
悪であるからこそ、なおさら許せないという思いがあった。彼らは正義を名乗るものである。正義の名の元に、日の当たる世界から思うさま自分達を攻撃してきた者達である。それが・・・許せなかった。そしてあの少女。助けなければならない。どこの誰であるというよりもさらに前、人であるのなら。
「いけえ!」
「ぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」
鋭い爪を光らせ、水蝗兵達が突進する。

戦況は戦力の質・量ともにバリスタスが不利のはずだった。カニンジャーを除けば量産型の水蝗兵は所詮本来陸上用の蝗軍兵を改造した水陸両用型、水中戦に特化したシーファイター相手ではいささか苦しい。
さりとて、彼女、lucarとヘルバーチャ団のクリオネ女は、あまり戦闘能力の高いほうではない。イカンゴフも悪の博士流瞬間解剖術をマスターし以前とは比べ物にならないほど戦闘能力を上げているが、やはり元の肉体の虚弱さはなかなかカバーできていないようだ。
「うぅ、計画中の影磁さんの勢流鯨や、せめて海牛型量産怪人が完成していれば!」
と、lucarが弱音をはいたほどであった。
呈して敵の戦力は強大そのもの。強力な鋏を持つロブスターマン、俊敏なマグロマスク、その名のとおり全身を刃と化した銀色のタチウオ男、甲殻で覆われたナックルを高速で繰り出すシャコファイター、鋭い角や牙で持ってlucarと似たような改造でありながら数段上の攻撃力を持ったモノホーン、セイウチマン・・・
ラプトルノイドや蝗軍兵の量産、電脳世界から帰還した悪の博士怪人軍団の補給などで時間を取られ、結局水中怪人の充実が間に合わなかったのだ。
もっともその結果HV団からの補給と、怪人の派兵が行われたのだが今収集した水中戦闘が可能な怪人はウミホタルだのボルボックスだのウキヅノガイだのフナクイムシだのコケムシだのの怪人たちと、いずれも一発屋の撹乱用、基本ポテンシャルはそう高くない。
だがそれでも、バリスタスは善戦した。
「ニードルブリストルッ!」
「ぎえっ!?」
カニンジャー・ケガニレッドが全身から放った針のように鋭い毛が、敵シーファイター・カジキングの目を潰す。カジキマグロの角を変化させた剣を構え突進しようとしていたカジキングは勢いあまって壁に激突。そこにすかさずイカンゴフが十本の触手で人体改造用、改造人間の強化皮膚を切るのを目的とした超振動メスを振るい、一瞬で解体してしまう。
「ぐげぇ!」
「むんっ!」
続いてカラッパホワイトが巨体でもって海亀シーファイター・タートラを押さえ込み、連携してlucarがメロン体で増幅された超音波を何回も打ち込む。強力な超音波は甲羅を貫通し、内臓に致命傷を与えた。
同じようにタカアシオレンジが長い手足で転ばせた相手にウキヅノガイが体当たりを仕掛け、ウミホタルが強力な光で目潰したやつにタラバブラウンがとげだらけの体で体当たりをかまし、モズクメイサイが奇襲をかけ、後ろ足が遊泳用の鰭になっていて高速をもつワタリブルーが撹乱する、という風に抜群のチームワークを見せたのだ。
何よりも、士気が違った。激怒するバリスタスと、汚職隠しに欲で肥えた体を億劫に動かすシーファイターでは。
「バルスキー、加勢しろ!」
思うように敵を倒せないで焦った丈がわめく。が、バルスキーはむしろいい気味と言わんばかりの声で返答した。
「お前達、正義の味方だろ?悪の秘密結社を倒すのは仕事のはずだ。せいぜいがんばるがいい。」
「ぬっく・・・貴様・・!」
そしてついに、突破したlucarがカニンジャーとともにバルスキーの前に現れた。
「何故です、バルスキー!貴方ほどの武人が、どうしてこのような策略を!」
「く・・・私とて好きでやっているわけではない。私は戦闘ロボット、せめて戦う使命を全うしたいのは事実だ!だがネロス帝国のため、しかたがない!我等ロボットは、命令に従うしかないのだ!」
哀しみ、苦渋、一瞬の視線の交錯。
その時。
「きゃあっ!」
「ふはははっ、捕まえたぜっ!やいバリスタスの改造人間、動くんじゃぁねえ!」
「!」
悲鳴に仰天し、lucarが振り返る。すると、何とクリオネ女がネロスの戦闘ロボットに捕まえられ、頭に拳銃を突きつけられているではないか。そいつは二挺拳銃の使い手らしく、もう一挺の銃を構え、こちらに向けている。
「へへ、二挺拳銃にはこういう使い道もあるんだよ。おら、動くんじゃあねぇ!」
カニンジャーたちの足元に拳銃を威嚇射撃。
「クロスランダー、お前なんという卑劣な真似を!」
これにはlucarたちより先に、バルスキーの方が激怒した。だが当のクロスランダーはどこ吹く風、上官たる凱聖に怒鳴られたというのに微塵も反省を見せない。
「勝利のために手段は選ぶな!どんな手を使っても敵を倒す・・・それが俺のやり方だッ!!」
どちらかというと、モンスター軍団の連中に性格的に近いかもしれない。少なくとも武人肌のバルスキーとは似ても似つかない。
「おおっ、お手柄お手柄!よい部下をお持ちのようですな、バルスキー殿?」
皮肉交じりに丈が感嘆する。
「それっ、皆!我々に味方してくれる義勇の人の活躍を見過ごすな!このチャンスを生かすんだ!」
「へへ、了解了解!」
この逆転にそれまで心理的に押されていたシーファイターたちが元気付き、冗談めかした様子でげらげら笑いながら接近する。
「くっ・・・」
「やっちまえ!」
ガスッ!バキッ!ビシッ!
蹴りが、拳が、武器が、嬲るように四方八方から叩き込まれる。もとから頑丈ではないlucarたちの体はたちまち悲鳴を上げる。
「あぐっ!くうっ!くはっ!」
「く、くっそぉ〜〜〜〜!」
本来護衛役のカニンジャーが屈辱に唸る。彼らは反撃がかなわぬなりにかばおうとしたのだが、クロスランダーは威圧的に言った。
「おい、ロシアンルーレットって知ってるかッ!?ちょっと違うが、てめえらがその女どもをかばうたびに、俺はこの女に急所外して弾丸ブチこんでいく・・・さぁて、いつ死ぬかな!」
「ぐく・・・」
しかも、それとは別にもう一丁拳銃も持っている。襲っても確実に返り討ちに会い、クリオネ女は殺される。
(・・・このままじゃ・・・)
だが、一番苦しいのはクリオネ女本人だった。何もされない分、精神が苦呻をあげる。
(私が、私のせいで、みんなが!)
彼女はもともと事務系の戦闘員出身で、前線任務とは怪人になるまで縁がなかった。しかしそれでも彼女も組織の一員であり、その心構えも熟知している。
(このまま迷惑をかけるくらいなら・・・)
クリオネ女は、覚悟を決めた。奥歯に仕込まれた、自爆スイッチ。普段間違ってかんでしまわないようにかけたカバーを、舌で外す。
(みなさんっ、さよなら・・・!)
ガァン!
「っなあ!?」
と、その時突然、クロスランダーの構えていた拳銃が吹っ飛んだ。発射音。銃弾で撃ち落とされたのだ。それも、遠距離からの狙撃。
周囲が動転し始めようとする間の一瞬に、バルスキーは即座に弾丸の飛来した方角を見抜いた。その方向、狙撃に絶好のポイントであるキャットウォークに視線をめぐらす。
そこに、確かに居た。黒い装甲、つるりとしたシンプルな頭部に赤く輝く片目のロボット・・・
「トップガンダーッ!」
ネロスを裏切った、組織の中でも狙撃にかけては最も凄腕のガンマンロボ。
咄嗟にバルスキーの腕の機関砲が火を噴くが、流石にトップガンダー、用は済んだとばかりに素早く姿を消した。
同時に、クリオネ女も動いていた。自爆装置の覆いを戻すのももどかしく、自分を抱えたクロスランダーの腕に思い切り噛み付く。
「痛えええええ!!」
強烈な溶解液が仕込まれた牙は、クリオネ女唯一最大の武器。見事に装甲を食い破り、内部電装とモーターを腐食した。力を失った腕を振り払い、脱出するクリオネ女。
「くっそぉぉぉ!」
喚きながら、クロスランダーは動く方の腕でもう一挺の頭部に仕込んだ隠し銃を取り出した。走るクリオネ女の背中に狙いをつける。
「死ねっ!!」
「クリちゃん!」
叫ぶlucar。
「まんぼうファイヤ〜〜〜〜〜!」
ごおおおおおお!
唐突に烈火がクロスランダーを襲った。隠し銃もろとも腕が一撃で溶解、火薬が爆発し千切れ飛ぶ。
「ぐぎゃあああああああお!!!」
喚きっぱなしのクロスランダー。両腕を失い、倒れのたうち回る。
「銭金ずくの悪党ら、正義からしてぐるの内、誰も裁きを下せまい、驕り高ぶる悪鬼外道・・・」
シーファイター部隊発進用の水中ゲート。そこから、見事な啖呵が聞こえてくる。水中からだというのに、音が非常に明瞭だ。
「な、何者だ!?」
「闇の裁きは闇がせん、天無く地無く人として!いざや誅せん返り血浴びて!秘密結社バリスタス大幹部・・・」
「ぬぬ・・・」
「ふむ。」
唸る丈と対象に、バルスキーはむしろ余裕のある声で言った。
「ローテール、クロスランダーの状態はどうだ?」
「かなり危険です。すぐ帰還し、修理せねば。」
上司の意図を察したのか、はきはきとローテールが答える。
「そうか。では丈殿、残念だが我々は戦線を離脱する!ご武運を!」
「な!あ、ま、待て!待ってくれ〜〜〜〜〜!」
叫び声を尻目に、もはやこんな連中と一秒たりとて共闘するのはごめんだったバルスキーはローテールをつれ、クロスランダーを乱暴に引きずってさっさと転進した。内心、トップガンダーに感謝しながら。あるいは、トップガンダーもそのつもりだったのかもしれない。
焦る丈。この上増援、それも大幹部が現れてはまずい。悪の博士、AG、ドクターゴキラー、いずれも高い戦闘能力を持つという。一体、誰だ!?
ざばりと音を立て水からあがり・・・
「まんぼう見参!まぼよん。」
ぷみょみょん、と独特の音を立てて着地した。
つぶらな瞳、愛らしいたらこ唇、ぷにぷにした白く丸っこい体。確かに、まんぼうそのものだ。
「・・・・・・・・・」
沈黙。そして爆笑。
「どわっはっはっはっは!こいつが!?こんなあほみたいな魚が幹部!笑わせてくれるぜ、殺せ!その道化を刺身にしてしまえっ!」
「おおう!」
モノホーン、一角のシーファイターが命令のままに突進する。
「すおー、ぱく、ごっくん。」
そして、呑まれた。
「・・・へ?」
呑まれた。突撃をかけたシーファイターは、一瞬大きく口を開けたまんぼうが息を吸ったと見る間に吸い込まれ、その腹の中へと消えていったのだ。
脳内がホワイトアウトし、状況が理解できず立ち尽くすシーファイターたち。
その真ん中で、したり顔でまんぼうは説明する。
「ふっふっふ、まぼの体内は非連続多重空間門、すなわち見かけよりはるかに広い空間を擁する無限の穴まぼ。さっきはこの空間のゆがみを外部に展開して水中で炎を放ったり声を通したりという小技だったまぼが・・・本来の用途はこのとおり!」
きらりん、と小さな黒目を光らせ、居並ぶシーファイターを見据える。それは敵意ではない。悪意でもない。人が戦う相手に向ける目ではない。もっと原始的な、動物的な感情・・・食欲だ。
「いただきますまぼ〜〜〜〜〜!」
「ぎゃああああああ!!」
原始的な、「捕食される」という本能に刻まれた恐怖に従い、シーファイターたちは逃げた。逃げ惑った。
「ひえええええええ!」
だが、逃げ切れなかった。
「な、なんとか逃げ切っ、」
必死に基地内を走り、ようやく後ろに誰も居ないことを確認して一息つく。だがその途端、正面から声。
「まぼまぼ、まぼはどこにでもいるまぼよん。」
「う、うわっ!うわああああああ!」
行く先々、どこまで逃げてもまんぼうは唐突に現れ、彼らを食った。小指の一本も残さず、丸のみに、捕食した。
一見コミカルで、マスコットのようなまんぼう。だがその実態は、やはり世界を恐怖につつむ闇のもの、怪人である事を知らしめる。
lucarは軽く身震いすらした。非常にコミカルだが、今目の前で繰り広げられているのはまぎれもない、狩りであり捕食だった。凶暴で、過剰な武装と破壊力を見せ付ける兄とはまた違う怖さ。
「逃がさないまぼ。全員・・・とぉ!?」
ズガァァァァァァン!
最初にバリスタスが進入したときと同じくらい激しい破砕音。
粉煙がどっと吹き込んできて、視界を奪う。
「な、何事!?」
「ひっ、ぎゃあああ!」
「ぐげぇぇ!」
「わ、ゆ、許して、ぎええええええええ!」
そしてそれと同時に、シーファイターたちの逃げていった場所から、悲鳴と・・・そして血臭。
「た、た、助けてくれ〜〜〜!お、俺が悪かった〜〜〜!」
キャタピラを全力回転させて、コンピューター・・・丈が逃げてくる。
そして、煙の向こうから影が追ってきた。
「す、すまん!後生だ命だけは・・・」
そういいつつ後退しながら、素早く丈は端末にコードを差し込んだ。
「死ねえ〜〜〜〜〜!」
イキナリ態度を180度転換させ、トラップを発動させる。爆発、電撃、プレスの複合式だ。
「へ、へへっ・・・ひい!?」
が、影はそれを力任せに突破した。
「ひええええええぇえごえぶっやぁsdgh!!?!?!」
・・・煙の中からぬらぬらした赤、血塗れの剣が突き出されて丈の機械の体を貫いた。正確に脳が収められたカプセルをぶち抜き、脳漿と特殊緩衝液、そして血と灰色のぶよぶよした塊がぶちまけられる。
その剣は、先ほどまでコロシアムでいたぶられていたカブトレオンの装甲の一部、本物のカブトガニでは尾剣と呼ばれる鋭いとげだった。本来その用途に無いものを毟り取ったらしく、甲殻のついた手に握られた部分に肉が付着している。それを持っているカブトレオン、本人の肉だ。
「うぅうぅぅううううう・・・」
全身自分の血と返り血で真っ赤になったカブトレオンが迫る。既にぎとぎとに血脂にまみれ、斬りすぎで刃こぼれも著しい刃をおめきながら振り回している。
「誰だ!敵っ!敵っ!敵っ!敵っ!あたしの味方はどこにもいない!みんな正義だっていってたのにぃぃぃぃぃ!!」
完全に錯乱状態だ。壁、動力伝達パイプ、床、天井、防衛設備、手当たり次第に尻尾剣を叩きつけて破壊していく。すでに切れ味を失っているはずの刃だが、鈍器としての破壊力がまだ十二分にある。だが、それでもさっきまでの彼女にあれほどの力はなかったはずだ。
「まずい・・・」
感情の激発か肉体的損傷か、脳内の改造された筋力を制御する回路が破損したらしい。
「まっ、マンボウさん!」
「駄目まぼ、こっちはこっちで、わわわっ!!」
ちらりと見ると、マンボウは魔獣と化したオクトーガと水蝗兵とともに格闘をしている。なんとか取り押さえるつもりらしいが、手足が短い鰭状のまんぼうではなかなか難しそうだ。すいこもうにも触手でからみついているため、それも出来ないらしい。
早く取り押さえないと彼女は廃人になってしまう。さりとて、近づけばこちらが肉塊にされる。
瞬時迷いに陥るlucar、彼女に決断させたのは、カブトレオンの頬だった。血塗れの頬を洗いつたう、一条の涙。
「・・・大丈夫・・・大丈夫・・・」
ゆっくりと、ゆっくりと、lucarは荒れ狂うカブトレオンに近づく。唸り声を上げるカブトレオン。
「ぐぅううううううううう!」
「大丈夫、私はなにもしないから。」
ゆっくりと、lucarは両手を広げた。かすかに隆起を見せる胸、華奢な体が完全に無防備で刃の前にさらされる。
「大丈夫・・・・・・私、悪だから。正義の人に斬られるの、慣れてるんだ。好きにしていいよ。大丈夫、悪だから、勝てないんだ。安心して。私に、貴方を傷つける力は無いから。」
僅かに悲しげに、視線を下げ、凶刃のもとに覚悟して身をさらすlucar。先ほどのようにカブトレオンが刃を振るえば、彼女の体は両断される。
「うああああああああ!!」
「!」
刃が振り上げられた。それを見るlucar。イルカのような黒い瞳に写った自分の姿が、カブトレオンの瞳に帰ってくる。
よろり、振り上げた刃の重さに、カブトレオンはよろめいた。力を使い果たしたらしく、そのまま刃をとりおとし、倒れこむ。
lucarの手の中に。
つるりとした変わった触感の、濡れた、だが暖かい肌。
その腕の中で、少女は、泣いた。泣いて泣いて、刃から人へと帰っていった。
安堵の表情を浮かべるlucar。
「こ、こっちも何とかなりました・・・」
イカンゴフの声。見ると自分の触手をオクトーガのそれにからめ、他の水蝗兵と怪人たちが全員でかかって巨体を押さえ、まんぼうが柔らかい肉でのしかかり、麻酔注射と鎮静剤を打ち込んだらしい。
「・・・良かった。」
「とはいえ、回復するかどうかは五分五分、いやもっと悪いかもしれません。少なくとも、言語障害が残るのは確実。」
「・・・そう・・・」
lucarはうつむく。しかし、イカンゴフは鞄の中から色々な器具を出しながら、穏かさの中に凛とした光を見せた。
「私は、看護婦でした。医者と看護婦の共通の心得は、「諦めず、たとえどんな結果でも常に最善を尽くす」です。それは、組織の一員でも変わりありません。」
「ええ、そうだったわね。」
僅かにだが微笑むlucar。と、突然カニンジャーの面々が慌てて報告した。
「大変です、物見より報告!HUMA極東本部の増援が!」
全部言い切るまもなく、岸の崖の上に現れた。まずい。
「ふ・・・ここはまかせるまぼ。」
と、ついとまんぼうが立ち上がり、ひょいひょいとはねながら基地の屋上、相手から丸見えの場所に出た。
「マリネラ国王発案の集中力拡散効果のある幻惑舞踏「クックロビン音頭」それを更に強化した究極奥義!さぁて皆さん、ご一緒にどうぞ!このまんぼう一世一代の大舞踏、電波脂肪遊戯!」
と、妙な口上・・・ではなかった。
妙では、なかった。事実を告げただけだった。
つまり。
まんぼうは、踊った。
「受信〜」
右回転で腰(どこ?)を振り踊る。たぷんたぷん。ぷにぷにの肉が揺れる。
「送信〜」
左回転で腰(どこ?)を振り踊る。たぷんたぷん。むちむちの肉が揺れる。
「混信〜」
細かく左右に動き踊る。ぷるるるる。ぱよぱよの肉が震える。
白ける世界。硬直するHUMA部隊。
「・・・今だ脱出!」
「一気に何もかもぶち壊しになった気がする。」
ぼやくlucar。ともかく、あっけに取られた隙を突いてうまく脱出に成功したのだった。



しかし、その脱出行とはまた別のところで、この戦いを見ていたものが居た。海上基地を見渡せる、少し遠くの海上。。
赤いプロテクターのついた灰色のスーツ。黒に黄色のラインが入ったマフラー。そして・・・ピンと二本の触角を生やした、赤い大きな複眼のついた銀色の仮面。
表情の読めない仮面。だが、手にした防水型の通信機に話す声は、怒りの色を帯びている。
「・・・ええ、そうです。やはり先輩の言っていたとおりになったみたいですね。今のHUMAは腐敗しきってる。例のゲートキーパーを使った龍計画も、この分だと嘘ではないでしょう。」
しばらく相手の話を聞くと、銀色の仮面の男は付け加えた。
「それと、バリスタス・・・中々興味深いです。」
そして、最後。
「・・・・・・わかりました、頼みますよ、風見先輩。」
と言って、彼は乗っていたバイクもろとも海中に消えていった。

かつて、「衝撃を与える者」から手を引き、罪滅ぼしのために深海作業用に人体改造技術を転用しようとした男の手により生み出され、「神」の名を冠する組織と戦った改造人間がいたという。
変幻自在のロッドを操り、水中にて無敵無敗。
その名は・・・仮面ライダーX。


「ミスタ・レ〜ッパは、しくじったようでぇ〜すね。」
奇妙に間延びした口調で、男は報告した。強いていうなれば、いんちきくさいバテレンの宣教師か。
地蔵仏を思わせる糸のように細い眼を除けば、禿げ上がった頭、丸い顔、口の周りをおおう髭と恰幅のある体格とあいまってなんだがだるまのようだ。
宇宙刑事機構の科学者、マモン=ムギヒト。
一見善人顔である。だがしかし、烈破丈の死をむしろ愉快そうに告げる姿には、底知れぬ冷酷さという真実がまる見えとなる。事実彼こそ、丈が語っていた彪の報告を握りつぶした宇宙刑事機構の人間なのだから。
「死んだのか?」
対する男も、やはりまるで悲しむ様子を見せない。いかにもそれっぽい、口ひげを生やし派手な軍服に身を包んだ中年の男・・・イーグルやジャッカー、バトルフィーバーなど歴代戦隊、とくに初期のそれの司令官に似た顔の、一見平凡な男。しかしてその善人顔が眉一つ動かないのが、ある意味ではいかに恐ろしい怪物よりも異形。
HUMA長官、城町満。
「ホッホッホッ、バリスタスの改造人間の中では比較的弱いと思われる水中部隊と幹部lucarにてこずっていたようでは、とても次元技術まで投入した上級改造人間には歯が立たなかったで〜しょう。ミスタレ〜ッパの自慢のシーファイタ〜もたいしたことなかったで〜すね」
PCの画面上に表示される基地の戦闘データ。
「所詮人道にかなう程度の簡易な強化人間のシーファイターごときが、本物の改造人間にかなう道理があーりません。やつらはまさに人外の魔。」
改造人間たちが聞いたら怒り出すであろうセリフをはきながら、不意にマモンは目を開いた。ぎょろりと血走ったその大きな目と、口元を引きつらせる笑いは先ほどまでの善人顔を一気に本性に近づける。
「人外の魔を相手にするのなら、こちらも人のままではだーめです。神の力、それを手に入れなければ」
と、一人の男が入ってきた。黒い長髪をオールバックにした、鋭い目つきをしたスーツ姿の男だ。
「マモン先生、準備が整いました。」
それを聞くとマモンは、天にも昇らんばかりの嬉しそうな表情を浮かべる。
「よーろしぃ、白龍(パイロン)。ああ・・・ワターシは今初めて恋をした少年のようにときめいています。神へ至る道、その第一歩が、ゲートがひらかれ〜るのです、まさしく!」
「はは、ワシらが神となるための、栄光のゲートか!それはいい!」
はっはっはっは・・・と、HUMA極東本部司令室には、場違いな邪気が満ち、そして外へとあふれ出した。

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