秘密結社バリスタスの世界征服戦略
バリスタス参謀 白き輪舞曲 著
現時点(第三部決着編直前)で我々バリスタスは地球圏の半分
以上を掌握するに至った。とはいえ、読者諸兄の中にはここま
で勢力拡大がスムーズに進んだことを疑問に思う方も多いだろ
う。それには様々な潜在的要因をうまく突けたことが大きい。
この考察はそれらの要因と戦略を簡潔に纏めたものである。
要因
1. 地球圏の現状
1.1 旧HUMAの腐敗
かって地球圏を数多の闇の勢力から守り抜いた正義のヒーロ
ー。彼らの力を束ね、国家権力と結合した絶対正義の象徴と讃
えられた組織・HUMAも、時と共に腐敗した。むしろ公権力と結
びついたせいで却ってそれらの暗黒面に影響され、財閥系秘密
結社などの犯罪組織との迎合、海賊行為、人身売買、人体実験
といった、本物の悪である我々の眼から見てすらあきれるほど
の悪逆の限りを尽くしていた。
2. 潜在的同志の存在
先に述べた現状に対して不満を持っているのは我々だけでは
なく、世界中に大勢存在していた。ただ彼らを纏め上げて、実
行に移すだけの人物が存在しなかった。そのため彼らの怨嗟の
象徴ともいうべき旧HUMA極東支部を我々バリスタスの総力であ
る1,000人弱の最強精鋭部隊によって完全粉砕、死傷者数は軽
微という大戦果を成し遂げた。これが彼らの支持を集めるきっ
かけとなり、現在では、地球圏に存在する潜在的同志のほぼ全
てと同盟を締結したといえよう。
政治的、戦略的考察「HUMA長官・風見四郎の失敗」
バリスタス参謀 白き輪舞曲 著
第3次対グロンギ、ゴルゴム、タロン攻防戦時、グロンギ族族
長・ン・ダグバ・ゼバの圧倒的戦闘力によって新生HUMAは壊滅
した。しかし私はこの結果が風見長官が日本政府の仲裁による
我々バリスタスとの同盟を蹴った時点でほぼ確定していたと推
察する。ここでそれに至った要因を簡潔に纏める。
要因
1. 保有戦力の絶対的不利
第三部、国内編初頭での第1次対グロンギ、ゴルゴム、タロ
ン攻防戦時、新生HUMAはその新戦力の全てを披露したが、それ
でもその戦力的な不利は否めなかった。この時点で地球圏にお
ける激戦を勝ち残った勢力は新生HUMA、国際警察機構、HA、ア
メリカ合衆国、日本国、タロン&ゴルゴム、滅人同盟、グロン
ギ、ガーライルそして我がバリスタス&諸同盟国家、組織(UNCLET
、夜真徒、十二天星、蒼月、ヘルバーチャ団、BF団、中南米諸
国連合、阿弗利加共栄圏、豪州連邦)である。その内、新生HUMA
に友好的な勢力が二日本国、国際警察機構であり、逆に敵対姿
勢を示しているのが、タロン&ゴルゴム、滅人同盟、グロンギ
、ガーライルである。この状況下で、いかに戦力を増強したと
はいえ、これだけの組織をまとめてはおろか、簡単に各個撃破
できるだけの戦力を保有しているはずもなく、前方の敵を相手
にしている間に、後方から別の敵に奇襲をかけられるといった
可能性は十分にあった。実際、グロンギの無差別テロには常に
後手に回っている状況であり、日本政府、暗黙の了解とはいえ
我らがバリスタスとの共闘でも、翻弄される一方であった。仮
に非常に低い確率で各勢力が共食いを始めてうまく漁夫の利を
得られるという事態になったとしても、そのときに巻き添えに
なって世界が被る戦いの被害は半端なものではなく最悪、世界
経済崩壊、文明維持不可能というレベルに達する公算が高い。
2. 兵の質の著しい低下
つい最近まで旧HUMAは宇宙警察機構と共に腐敗の絶頂を極め
ており、実力はともかく、彼らの魂はヒーローはおろか、悪党
と呼ぶ価値もないほど腐りきっていた。無論、この恥知らず以
下どもは我が組織の手によって極東支部もろとも完全粉砕され
、現在は風見四郎長官のもと、再建と信用回復に奔走している
のは周知の通りである。そして帰還した歴代仮面ライダーが引
き連れてきた新戦力によって旧HUMAを凌ぐ力を手に入れた・・
・と世間一般は考えておられるようだが、精神的に問題がある
ものが多数いた。断っておくが別に精神に異常がみられるとい
う意味でなく、良くも悪くも、彼らは現代人だということであ
る。己を捨てて他人に、世界に尽くす、滅私奉公といった考え
が通用した黄金の混沌期(60〜70年代)までならいざ知らず、
現代の若年層は、利己的、自分第一主義が主流と化してきてお
り、その風潮がHUMA内部まで絶対蔓延してないとは正直言いき
れないだろう。MR級の原種というべき世紀王ブラックサン、古
代戦士クウガ、超人類アギトにしても潜在能力は未知数だが、
戦闘に関しては素人レベルであり、真の覚醒を果たす前に戦争
の基本たる圧倒的戦力を揃えてこれに当たれば、撃破も不可能
ではない。結論を言わせていただくと、残った敵対組織一つ壊
滅させられるかどうかも怪しい。
3. HUMAの存在意義
旧HUMAの悪行が白日のもとに晒されたおかげで、彼らの権威
、信用は地に落ちた。そもそも彼らが発足当時からしてきたこ
とといえば、ひたすら社会を闇の勢力から防衛してきただけに
過ぎず、闇の勢力発生の一因となる、社会的病理(戦争、飢餓
、貧困、差別、環境破壊、社会的不均衡)といった問題解決に
対する努力(旧10人ライダーや一部のものは力を尽くしてい
たが)や彼らの信念、魂を社会に根付かせるといったことを何
も行っていなかった。社会の矛盾はそこにいる人々自身がいず
れ正すとかぬかしながら。悪く言えば体制のイヌである。それ
もいまや不忠の番犬と化していた。大して我らがバリスタス&
諸同盟組織は悪の名のもとに、第三世界において害悪を垂れ流
す旧勢力に強制的にご退場いただいて、新秩序を樹立、目下、
加速度的に圧倒的支持を得ている。暴力革命はやり方によって
は間違っているかもしれないが、傍観をきめこんで指一本動か
さない連中より劣る行為なのであろうか?話がそれたが、結論
を述べると、HUMAは世界(社会)を外部から守っているだけで
あり、内部の矛盾を可能な範囲で是正するといった努力はあま
り成していない。終いには、一度とはいえ社会の腐敗に汚染さ
れる始末である。
4. 風見長官の致命的選択ミス
以上の点から結論付けると、新生HUMAでは例え日本政府、国
際警察機構の応援があったとしても単独で事態の収拾を図るの
は不可能に近いということである。この状況を打破するために
は、我々バリスタスの提案した同盟締結以外、有効な選択肢は
ほぼ皆無である。それには日本政府も賛成の意を示してくれた
。にもかかわらず風見長官は我々の・・・いや私の提案を蹴っ
た。彼とはこの会議で始めて会ったが、なるほど威風堂々とし
た伝説のヒーロー仮面ライダーV3だった。“本当にそれ以上で
もそれ以下の存在でもなかった。”彼は私にこういった「どの
ような状況に追い込まれても、正義と悪が迎合するなど言語道
断!」と。確かに旧城町時代の御乱行を考えればそういう結論
にも達するだろう。しかしこの判断は現状を全く理解してない
し、そもそも戦略・・・いや「守る」という言葉の意味を全く
考えていない。第一に、そもそもHUMA本来の理念は「力なき人
々をあらゆる脅威から“守る”」であり、“正義”を貫くため
の組織ではなかったはずである。“正義”は手段であり、断じ
て“目的“ではなかったはずである。さらに最近は様々な作品
(特に少年サンデー系)が“守る“という言葉を美化している
傾向があるが、現実世界において”守る”ということは守るべ
きものが大きければ大きいほど“奇麗事“から遠ざかっていく
。その確たる例が国家であろう。例え世界が表面上、ほぼ平和
に見えても、その裏では他国よりも豊かに、強大な軍事力を得
るために様々な陰謀が蠢いているのは、日常茶飯事である。そ
の中で国家は、曲がりなりにも国民を国益を守る為にそれ以上
に汚い方法で対抗するのはもはや常識である。かってアメリカ
に移民してきたイタリア系、中華系といった人々が周りの差別
から身を守る為にマフィア化したように、奇麗事の”守る“と
いう言葉は基本的に小さいレベルでしか語れないものである。
第二に風見長官は我々を赦せぬ”悪”と断じているが、現時点
で、我々はすでに中南米諸国連合、阿弗利加共栄圏、豪州連邦
、夜真徒さらに日本政府の支持を受けている。すなわち我々の
活動は世界から一定とはいえ理解を受けており、逆にHUMA
と雌雄を決する状態になってしまうといたずらに世界を混乱さ
せてしまう危険性が高く、かえって逆効果になるということで
ある。さらに現場レベルではすでに暗黙の共闘がなされており
、そのことに対して周囲から批難がほぼ出ていない今、何をた
めらう必要があったのか?私見で述べさせてもらうが風見長官
はっきりいって、せいぜい現場指揮官が関の山の器である。あ
まり言いたくはないがHUMA長官という官僚職で城町満が“
そこそこ有能なカス“ならば風見四郎は”清廉潔白な無能者“
であろう。彼は曲がりなりにもHUMA長官職についた時点で
精神構造からヒーローのヒューマニズムを捨て、官僚のヒュー
マニズムに変更すべきだった。乱世の時代において人々が求め
るのは”正義のヒーロー”ではなく乱世の終結のために手段を
選ばない織田信長のような”英雄“である。いくら知名度、実
績、カリスマ、リーダーシップが備わっていても、ヒーロー気
分で組織の舵取りをさせられてはたまらないものがある。現場
レベルでは連日の出動で疲労が目立ち始めており、とても長く
は持ちこたえそうになかった。黄金の混沌期クラスのヒーロー
があと100人もいれば逆転の目処もたっただろうが、早々都
合よく行くはずもない。近代戦において戦の基本は戦力であり
、ライダーパワーやガーライルフォースがいくら強大でもダグ
バのようなそれ以上に強大な力でぶつかられた時点で、HUM
Aの力の限界を悟るべきだった。例え我々と共闘し、世界を分
かち合う状況になったところで、人々の生活が破壊される可能
性が限りなく低い・・・というか我々は断じてそんなことはし
ない!それ以前に我々を利用し尽くしてでも人々を守るような
心意気を見せて欲しかった。彼は自分の魂が汚れるのを厭った
時点でヒーローとしての限界を示したのである。ダグバ率いる
グロンギ族は確かに強大だった。結束したところであの被害は
避けようがなかったかもしれない。しかし被害を減らすことは
できたはずである。正直言って私にはHUMAは風見長官の個
人的なヒロイズムに付き合わされて自滅したように見えるのだ
が気のせいだろうか。 了