第一話 しっと団侵攻編・第壱話・飛行部隊襲来。
というわけでしっと団はついに本格的な侵攻を開始したのだった。 そこらへんの弱小国を吸収し、躍進するしっと団であったが、そんな彼らに最初の敵が立ちふさがる。
「総統!!! 大変です!!」
しっとマスクのもとに海岸が駆け込んだのは3月16日のことであった。
「ん? どうした海岸? アベックでもいたのか!!?」
「違います・・・。 進行方向にある国ですが、どうやら飛行部隊を有しているようなのです。」
「何!!?」
しっと団には飛行部隊どころか戦闘機すらない。 無論、開発中なのだが、戦車と歩兵だけでは戦闘機どころか気球を撃墜できるかも怪しいところである。 つまり、しっと団が飛行部隊に勝てる確率は、非常に低い。
「・・・とにかく対空砲だけでもそろえねばな・・・。」
「総統・・・新型臭い爆弾(従来の男の汗と涙に加えてくさや、リバロ、ドリアンなどの一般的に強烈な臭いと言われるものを混ぜたステキな爆弾だ!!! 薄めてお使いください。)の開発に費用を割いたため、ほとんど・・・・・・。」
「総統!! そんなこと言っている間に攻めてきました!!!」
「あああああああああ!!?(混乱中)」
その時その場にいた全員が負け戦を覚悟したという。
20分後、しっと団軍、世界野鳥鳥国(旧スットン野鳥の会)野鳥飛行部隊を撃破。
「しかし・・・・・・やっぱり早く戦闘機を作らねばな・・・・・・。」
「はい・・・・・・そうですね・・・。」
「まあ何はともあれ圧倒的勝利でしたね!!!」
「うむ、今日も飯がうまいのう!!!」
あわれ野鳥はしっと団の今夜のおかずになり、おいしく頂かれ、団員たちの腹に納まった。 野鳥を喰われた野鳥の会は野鳥を守るという大義名分を永遠に失うのだった。
こうしてしっと団はバカを撃破し、さらに侵攻する。 しかし次なる敵はこんなバカではない(かもしれない)
鳥のからあげとローストチキンとフライドチキンと鳥の丸焼きと焼き鳥の先にあるものは一体・・・・・・?
しっと団、本日の戦果
・野鳥鳥国を撃破!!!
・戦闘機の大切さを再確認。
・鶏肉料理フルコース。
・満腹!!! ごちそうさま。
つづく。
第二話・ウィルスの恐怖・再び。
あっさりともはや名前すら覚えちゃいないへっぽこ国家を片付けたしっと団は、足取り軽やかに進軍していた。
「もう少しで敵国(って味方など近所にはいないが)だ。 気をつけろ。 ほとんどがノリで独立した国とはいえ、いやそれ故にキテレツな国が多いからな。」
「しかし・・・・・・いい天気ですねえ。」
「うむ。」
さんさんと照りつける3月の日差し。 まだ風は肌寒いが、しっとの炎を燃やしている漢どもにはそんなもの感じはしないのだ。
と、そんな矢先であった。
「!!? 急に暗く・・・? 雲ではない!!!」
「日食だ!!!」
「いやパン食だ!!!」
「・・・!? 巨大な飛行戦艦!!!?」
「総統!!! 突っ込んでくださいよ!!!」
そして何処からとも無く声が響き渡った。 もはやお約束である。
「うはははは!!! 我らは『風邪の帝国!!!』!!! あたり一帯にインフルエンザウィルスを撒き散らした!!! 風邪に苦しむがいい!!!」
11年前、国民の80パーセントに風邪をうつした風邪の団。 当時活躍していたヒーローに敗れたものの、再起を図っていたのだった。 撒き散らされたウィルスは風に乗って流れ、ハイキングに来ていたリンダとジョーにほぼ全てが命中し、かなり無理して予約したホテルに泊まることも無く病院に担ぎ込まれたリンダとジョーであった。
「わはははは!!! 降伏すれば風邪薬をやるぞ・・・・・・ん・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「バカは風邪はをひかないんじゃー!!!」
「しまったあああああ!!!」
数秒後、しっとの炎に焼き尽くされた戦艦がリンダとジョーの入院していた病院に突っ込み、その病院は爆発四散した。 かくして、『風邪の帝国!!!』(これが国の名前か!!?)の野望は潰えたのであった。
「終わった・・・・・・な。」
「終わりましたね・・・・・・。」
何故か夕日をバックに崖の上で語り合うしっとマスクとしっと団員たち。
「・・・ところで総統。 インフルエンザと風邪は違うんですが・・・。」
杉野の発言にしばし熟考するしっとマスクたち。
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
「ゴホゴホゴホッ!!!」
「インフルエンザになっちまった!!!」
「病院ー!!!」
夕日が完全に沈み、辺りが闇に包まれてもなお、しっと団員たちの咳の音は止まなかった。
そして次の日・・・・・・。
「あーよく寝た!!!」
「よーし! 今日も頑張るぞー!!!!」
所詮しっと団員である。
今回の教訓
・気にしなければダイジョーブ!!!
・風邪とインフルエンザは別のモノ
続く。
第三話 新たな仲間
「情報だ!!!」
しっとマスクが叫んだ。
「どうしたんですか総統?」
「いやあ、前回の戦い、敵がインフルエンザウィルスを撒くと分かっていればもっと楽に勝てたはずだ!!! だから情報を集めるのだ!!!」
「なるほど。 それは一理ありますね。」
「しかしワシらはあからさまに怪しいですよ・・・。 一体誰が?」
そりゃそうだろ。 まだ3月だというのにふんどし一丁にマスクだけの姿。 そのうえ筋肉隆々である。 というか夏だろうが十分怪しい!!!
・・・しかしこいつらに変装するという考えは無いのだろうか?
「安心しろ!!! 来い!!!」
しっとマスクに呼ばれ、現われたのはあの二人だった。
「木下君と・・・・・・藤谷君だ!!!」
現われたのはネコとネズミである。 彼らもしっと団員の一員で、去年のハルマゲドン富士すそ野の戦いでは多大なる戦果を挙げた大佐である。
・・・・・・しっかししっとランドはとことん階級があいまいな国だなあ。 総統が最高で下に副総統、その下が幹部でさらに下はいちおう軍隊の階級を使ってはいるが陸軍提督がいたりともう無茶苦茶である。 最下層は下っ端。 これでいいのかこの国の仕組みは?
「なるほど!!!さすがは総統!!! 彼らに任せれば安心だーーー!!!」
・・・・・・・・・もはや突っ込むまい。
「よーし!!! 行け!!!」
「にゃおう。」
「ちゅー。」
こうして彼らは情報入手のために出かけていった。
数日後。
「二人が戻った!!? よし今すぐ情報を見せろ!!」
近くの山の中にある仮設アジトで二匹が入手してきた情報を見ることとなった。
「でわスイッチオン!!!」
『クカー!!! うらやましかー!!! いーなー若いおねーちゃんいっぱいでー!!!』
「・・・・・・・・・・・・・・・」(沈黙)
『うらやましかー!! 浦山歯科ー!!! 思わずうらやましゲローーーー!!!』
『うわー!!! 最低だこのオヤジー!!!』
(以下略)
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
数十分後
「うははははー!! ワシこそがドヘンタイ帝国皇帝セクシャルハラスメント世ー!!!!! 10年前、天晴荘を追い出されたワシらの苦難の日々!!! 全く女ッ気の無いそれはもはや地獄と呼んで差し支えなし!!!」
「いや、私も本当に苦労しました。」
「そして約一ヶ月前、ワシらは復活を果たした!!!もはや今までのワシではない!!!
『ウルトラゴイスーデヘンタイ帝国リターンズ無差別級チャンピオン究極無敵皇帝ファイナルアンサーセクシャルハラスメント9分の11世』
ってところだな!!! うははははは!!!」
そう言って高笑いする山田たかお(めんどくさいので略)。 部下のスカートメックリンガーも冷や汗をかいている。 と、
ぽんっ(肩をたたく音)
「誰かがしっとに燃えるとき!!! しっとマスクを呼ぶ合図!!!」
「は?」
「しっとに狂ったキミは今日からしっとマスクだ!!! しっとマスクS(セクハラ)と名乗るがいい!!!」
「お前は何者だ!!!」
「愛と勇気と希望の戦士、しっとマスクだ!!!」
その後どんな対談が行われたかは同じような発言が繰り返されるだけなので略。
30分後
「というわけでしっとマスクS!!! 共に闘おう!!!」
「ウッス!! 総統ー!!!」
いいのかこの展開・・・・・・(天の声)
天の声は全く無視し、しっとアジトに来た二人。
「でわ我らしっとランドに協力してくれると言うことで。」
「はい!!!」
「そこまでだヘンタイども!!!」
そのとき謎の声が響き渡った。
「ぬ!!? 何奴!!?」
崖の上に立つ3つの影は一体・・・?
続く
第四話 安藤メモリアル3 〜あのヤロウぶっ殺す〜
前回までのあらすじ
彼の名はとびかげ。 世界一有名な探検家である。 ある日彼はジャングルを探検中大穴に落ちてしまう。 手堅い馬券を買い集めていた彼は多額の借金を作り、逃亡。 逃げ込んだ山はかつて古代文明があったという禁断の地だった!!! とびかげの運命やいかに!!?
「うおおお!! デタラメ教えるなー!!!」
「はっはっはっ。」
しっとマスクの放った怒りの鉄拳をひょいっとかわすとびかげ。
「いやー、最近出番が無いものですからヒマなのでつい・・・。」
「・・・・・・・・・頼むからどっか行ってろ!!!」
「はいはい、わかりました。」
そう言うととびかげは文字通り消えてしまった。
「さて・・・・・・ペースを崩されたが・・・・・・何者だー。」
「え? ああ、俺たちは・・・・・・。」
とびかげにペースを崩されたのはしっと団員たちだけでは無かったようだ。
「とうっ!!!」
その影はガケから飛び降り、着地した。 これもお約束だね。
「ドヘンタイ帝国と手を結び、世界を征服しようなど、不届き千万!!! 俺たちクロスレンジャーがいる限り、そんなことはさせん!!!」
それこそ約11年前、一斉に立ち上がった悪の組織を(まあ立ち上がらせたのもこいつらだが)壊滅させたヒーロー戦隊だった。 悪の組織立ち上がりの余震ともいえる世界的な戦争と冷戦の緊張化にともない、いつのまにか姿を消したのだ。
「な・・・? クロスレンジャー!!?」
「安藤? 知っているのか!?」
「はい。 俺が高校生くらいの頃、近所に出没していたヒーロー戦隊です。 高校生でしかもオレと同い年とか・・・近くに本拠地があるとか、数々の噂があったんですが、真実は闇の中・・・・・・。 我がクラスが亀くさくされたときに実物を見たことがあるんですが、てんやわんやで声すら覚えていません。」
「何!? お前安藤か!? どきメモマニアの・・・・・・。」
安藤の話に反応する、クロスレンジャーレッド。
「・・・その声・・・・・・もしや天堂!? クロスレンジャーってお前らだったのか!?」
このときこそかつての同級生が再開した瞬間であった。
「・・・・・・とにかく貴様らしっと団の横暴を許すわけにはいかない!!! 覚悟しろ! 安藤!!!」
「こっちのセリフじゃーーー!!! 死ね天堂!!! あのときの恨み!!! 今晴らすとき!!!」
「安藤、お前昔何があったんだ?」
「・・・・・・それは・・・・・。」
しっとマスクの言葉を受け、安藤は静かに語り始めた・・・・・・。
「あれはオレと天堂が高校二年だったころ・・・・・・。」
「こんにちはー!!! 安藤!! 遊びにきたぞ!!!」
「おう! 勝手に上がってくれ。」
「・・・何やってるんだ? 安藤?」
「ああ、これはどきメモっていう恋愛シミュレーションゲームで・・・・・・・・・。」
「そんなことより外で遊ぼーぜ!!!」
ぶちっ(コンセントを抜く音)
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ってなことがあったんです・・・・・・。 オレはあいつを許さない!!!」
「・・・そ、そんなことがあったのか・・・・・・・・・。」
(総統、安藤って昔からどきメモマニアだったんですね。)
(うむ、よく大学に入れたな。)
次回、しっと団とクロスレンジャー、全面対決!!?
哀しい(そうか?)同級生対決の行方は一体・・・・・・?
つづく
第五話 決戦!!! 安藤対クロスレンジャー!!!
「うおおおおおおおお!!!!!」
安藤はクロスレンジャーレッドに殴りかかった。
「くっ!!」
吹き飛ばされ、受身をとるレッド。
「レッド!!!」
「邪魔だあああ!!!」
「うわああ!?」
改造に改造を繰り返され、ついにはほとんどの動物を制覇し、飽きたという理由で元に戻されたグリーンが助けに向かったが、弾き飛ばされる。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!! どきメモの恨み・・・今晴らさん!!!」
一方それを見守るしっとマスクとその部下たち。
「・・・安藤って・・・こんなに強かったのか!!?」
「総統・・・・・・アイツも一人前のしっと戦士です・・・。(涙)」
「アイツのしっとパワーが、力を与えてくれるのでしょう!!!(泣)」
・・・違うと思うが。
「よし!!!安藤に続け!!!」
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
「逃げるぞ!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
その一言で、しっとランド軍総兵力5万(有給休暇者を除く)は、一斉に逃亡した。
安藤は思いっきりズッコケた。
「総統!!!? 何故!!?」
「いやだってこいつら国家勢力じゃないから、闘っても領土獲得できないだろ。 じゃ!!!」
「そんな総統殺生なあああああぁぁ!!!」
しっとマスクは走った。 夕陽に向かって走った。
「よし! グリーン、ブルー!! 一斉攻撃だ!!!」
「ぎゃああああああ!!!」
しっとマスクは走る。 地平線に向かって走る。
「うりゃああああ!!!」
「ぎええええええぇ!!!」
走れ! しっとマスク!!! その魂、燃え尽きるまで!!!
「ハイパークロスバズーカ!!!」
「うぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
闘え!!! しっとマスク!!! ステキよ!!! しっとマスク!!! 行け!!! アベックをぶち殺せ!!!
数十分後・・・・・・・・・。
小高い丘の上にある十字架の前で、しっとマスクとその部下たちがたたずんでいた。
「安藤、許してくれ。だけど、いいだろ? こうしてしっとランドの土になれるんだから・・・・・・。 お前の創った、しっとランドの土だよ。」
墓にはこう刻まれている。
<安藤みつる(へっぽこヤロウ)の墓>
『もてない漢の夢としっとランドの発展のために死んだ戦士の魂、
ここに眠る。』
こうしてしっとマスクたちは、亡き安藤のためにもしっとランドの発展のために闘うことを改めて決意する。
勢いに任せてしっとランドに戻ってきてしまったことと、墓まで作っておきながら安藤が生きていたことに気づくまでには、かなりの時間がかかったという。 つづく
第五話 未来への不安
一ヶ月以上に及んだ大遠征が(ノリで)終了した。
この遠征の成功により、しっとランドの領土は大幅に増加することとなる。
富士周辺からナゴヤシティーをほぼ完全制圧し、オオサカシティーへの進行の準備を整えつつあったのだが・・・・・・。
「はぁ・・・・・・・・・。」
しっとマスクは大きく溜息をついた。 本来なら喜ぶべき遠征の成功にもしっとマスクの表情は(マスクなんだが)ぱっとしない。 例えるなら・・・・・・しなびたキュウリのように・・・。
「どうしたんですか総統?」
「しなびたキュウリでも食べて当りましたか?」
そんなしっとマスクに声をかけたのは杉野と海岸だった。(ちなみに安藤は療養中)
その言葉にしっとマスクはふぅとさらに溜息をついて答えた。
「いや、世界征服目指して突っ走って来たんだが・・・世界征服ってどう考えても不可能だよな・・・。 シュバルツ・ラントも倒さなきゃならない訳だし、仮に成功しても通貨の統一・文化の差その他モロモロ・・・。どう考えても不可能だな・・・。と思って・・・。」
(総統もまともなこと考えられるんだな)
と二人は一瞬思ったが、すぐに正気を取り戻した。
「たしかに不可能ですね・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「本当に・・・これからどうしよう・・・・・・。」
イヤな雰囲気が伝播し、しっと団アジト(しかし独立国家なのに本拠地がアジトってのはどうなんだろう?)が重苦しい空気に包まれた頃だった。
RRRRR・・・RRRRR・・・・・・。
しっとマスクに電話がかかってきた。
「もしもし、しっと団秘密アジトですが」
「あ、先輩! お久しぶりです!2号です!」
電話の主は故郷であるシュバルツラントのためにしっと団を一時離れているしっとマスク2号だった。
「・・・様子を聞きに電話をかけたんですが・・・何だか元気がありませんね。」
「うむ、実はかくかくしかじかで・・・・・・。」
しっとマスクは国の未来に関する不安をしっとマスク2号良い子の電話相談室に打ち明けた。
「先輩、何か間違えていませんか?」
「?」
「先輩の、いや俺たちの目標はあの憎き水島を葬り去ること。 独立国家を作ったのは水島と対決するためです。 世界征服にこだわる必要は無いのではないですか?」
「2号・・・・・・俺が間違っていた!!!」
「先輩!!!」
「よっしゃあああああ!!! ヤル気が出てきたぞ!!! ありがとう2号! 水島とつりあう男になるために頑張るぞ!!!じゃ!!!」
(ブツッ! ツー・・・ツー・・・ツー・・・)
しっとマスクは電話を切った。
(水島につりあう男・・・?ともかく先輩が元気を出して良かったな・・・。)
こうしてしっとランド崩壊の危機は去ったのだった。
闘え!しっとマスク!!! 水島打倒のその日まで!!!
一方、その頃彼らの怨敵である水島は・・・・・・。
つづく
第六話 『水島』と『死神』
ドォオオオオオオン!!!
音速以上のスピードで投げられた小型爆弾が戦車を撃ち抜き、爆発炎上させた。
破壊したのはスットン共和国第3師団隊長の、しっとマスク以下しっと団員が怨敵とする水島・・・水島一純だった。
彼は今ちょうど作戦を終了させた所だったのだ。
「・・・作戦は終了か・・・だがかなりの兵がやられたな・・・。」
「はい・・・数百人の兵が犠牲となりました・・・。」
水島の側近である兵(ええそうですよ、名前なんて面倒だから考えていませんよ)が報告した。
(死神・・・か・・・。)
帰還のヘリの中で水島は思った。
『死神』
それは水島につけられた異名のことだ。
不死身の身体を持つ水島は、戦場に送られ百倍の兵を相手にしようが死ぬことは無かった。必ず相手を再起不能にして帰ってきた。 だが彼の仲間である生身の兵士たちはそうはいかない。水島の出陣の度に兵士たちは戦死していった。そしてついた異名・・・・・・それが『死神』だったのだ。
「あの時の私には帰る場所が無かった・・・。だが今は・・・」
突風を巻き起こし、轟音と共にヘリが着陸する。
ヘリの扉が開けられるとそこには
「おっっっかえり水島クーン! 私がいなくて寂しかったでしょ〜う?待ってたのよ〜!」
そこには水島の妻である、ランコがいた
「水クーン、水島君のためにお料理作って待ってたの!!!ほ〜〜〜ら!!!」
そこには異形の物体があった。
ぐにゃぐにゃと何かが混ざっているかと思えばうにょうにょと触手のようなものが動いている。 色は見る向きによって変わり・・・いや、何もしなくても変化しているのだろう。そのうえ、
「キョシェェーー!!!」
「モフゥアー!!」
などといった奇声を発しながら近くの人間を吸収しようとしている。そのうえ中心部には『かげ』の文字が・・・。
「・・・って『かげ』!?まさか・・・。」
「これはこれは水島君、疲れているのでしたら私を食べればお笑いの道まっしぐらですぞ。」
とびかげである。
「さー水島くん・・・食・べ・て!」
「喰えるかーーー!!!」
油断すれば口に入ってきそうな異形(ケーキ)に必死に抵抗しながらも水島は思った。
(今は独りじゃない・・・)