いつか、どこか、その両方がわからない空間。なにやら暗い中、スポットライトが当たった一点。
豪華な椅子に、とびかげが座っている。
「さて、ここはいつものパッパラ隊基地・・・ですが、この世界は貴方の知っている「突撃!パッパラ隊」の世界とは;<B>少しだけ異なります。</B>そして、そこで起きる事件も。;これから貴方の目は貴方の体を離れ、この不思議な世界を旅していくのです。もしも生きて帰れたら、またお会いしましょう。」
轟天が、咆えた。
「ワウ。」
今度はうって変わって、いつもの場所。(パッパラ隊基地)
キーん・・・コーン・・・カーン・・・コーン・・・
あるときは祭りのお囃子、またあるときは学校のチャイム、しかしてその実態はスットン共和国陸軍「地獄の最強部隊」パッパラ隊の、サイレン代わりである。
「あいかわらず、変なサイレンだな・・・作戦会議室集合か。」
水島はもう幾分は慣れたものの、やはり今日もげんなりとした様子で作戦会議室へと歩を進めるのであった。
OldG'sSaga オペレーション1「パンドラの箱」
「おんどれら、良くない知らせだ。」
いつに変わらぬごつい顔で、白鳥沢隊長が語り始めた。
「良くない知らせって・・・一体何なんですか?」
水島はなんとか場をまじめに維持しようとしたが、
「どうせ円形毛はえ病になったとか、あほらしいことでしょ」
「何じゃそりゃああああっ!」
「わーい、タコが怒った〜!」
無駄だった。結局ランコが引っ掻き回して、隊長と騒ぎになってしまう。
「とかなんとかいつもの漫才をしている場合じゃないのよ。」
大蛸と化して暴れまわる白鳥沢隊長と、とびかげが変身した地球防衛軍的な戦闘機に乗って室内を飛び回るランコ。
もはや水島には制御不能となった状況を沈静化する、赤い髪で片目を隠した女性。
「あ、江口大尉。」
「ほえ?ど〜して?」
毎回毎回、彼女はここに情報伝達に来ると、必ず頭を抱える羽目になる。
「はぁ・・・全世界規模で突如出現した怪物の群が暴れ回っているってのに、呑気なものね・・・」
「何ですって!?」
「何で水島君も知らないのよ〜(涙)」
「ここは僻地だからのう・・・」
何しろ前の敵と戦っていたころには、敵地のど真ん中にある飛び地だったくらいである。今でも、ガール半島の端っこという立地は変わらない。が・・・
「それですまさないで下さい!」
無線機とかもあるのに。
「江口さん、まさか、一年前とおなじ・・・」
「いえ、魔神(ディーバ)ではないらしいわ。詳しいことまだよく分からないけど。」
「そうですか・・・ともかく、一刻も早く町へ!」
白鳥沢隊長が、咆える。
「パッパラ隊、出動っ!!」
ガール半島・パッパラ待機地に程近い山中。
都市近郊の山としては、ごく普通の森である。しばしばパッパラ隊関連の騒ぎで燃えたり吹っ飛ばされたりしてはいるが。
その平凡さは、二種類の存在によって消滅した。
・・・追うもの、追われるもの。
「はぁ、はぁ。はぁ、はぁ、くっ・・・な、なんとかまいたか、な・・・それにしても、此処は一体・・・」
山道とは思えないほどの速度で藪をかきわけ、飛び出してきたのは、おおよそ山にいるカッコウではない少女だ。
長い、腰まで届く黒い髪の毛が、森を突っ走ったせいでおれた枝が絡んでいるのはともかく、その少女はまるで火事場か爆発事故の現場から逃げ出してきたような格好になっていた。
着用していた風変わりな衣服がほとんど吹っ飛んでしまっており、傷ついた肌がぎりぎりまであらわになってしまっている。
いったん停止すると、少女はあたりを見回した。警戒に瞳が鋭く光る。
次の瞬間。
「がーっはっはっは!そうはいかんぞぉ!」
めりめりと木がなぎ倒され、そのむこうから「異形のもの」が現れた。
身長は4メートルは下るまい。巨木のごとき太い手足を持つ、凶暴そうな顔の「なにか」だ。
ゴリラに体つきが似ているが、生物とは断定できない。その肌はまるで金属のような質感を持っていたが、同時にロボットとは思えないほど、有機的な動きを見せていた。
「ラルド・・・!」
少女がその異形の名を呼ぶ。それは目つきからも姿勢からも、明らかに敵に対するものであることが見て取れる。
太い、獣がうなるような声で異形のもの、ラルドは応じた。
「追いついたぞアジャンタ!今日こそ我が主・従属神K-5様に刻印のバイオコアを渡してもらうぞぉ!」
どすの聞いた大声に少女はひるまずに身構えたが、その顔は焦燥の色が濃い。
「くっ、さっきの妙な空間転移のせいで独立戦闘ユニットが壊れていなければっ!」
確かに彼女は、構えからしても何か武道の経験がありそうに見える。だが丸裸同然でこの体格差では、いかんともしがたいものがある。
そんな彼女の様子に無遠慮な視線を走らせると、ラルドはべろりっ、と舌なめずりをし、嗜虐的な笑いを浮かべた。
げへへ、その柔らかそうな体ずたずたにして内蔵までゆっくり喰らった後、バイオコアをえぐり出してくれるわ!いでよガビット共!」
ラルドの号令とともに、また別の異形の群れが現れる。
今度現れたのは、ラルドに比べれば慈雨分と人間に近い背格好をしている。もっともそれはあくまで背格好の話だ。
仮面のような顔、頭巾のような頭部、それでいてそれは明らかに衣服ではなく、生物の皮膚を機械で作り上げたような、何か別のもの。
そんな格好の「ガビット」と呼ばれた者たちが十名ほど、いっせいに両手から生えた鋭い爪を少女に向ける。
「くっ、ここは逃げるしかないかっ!」
再び駆け出す。
「もうすこし、4分ほど粘って下さい。」
「!?」
一瞬機の抜けた声が聞こえたような気がした。
「・・・・・・」
まったくの無言のまま、逃げる少女の背中にガビットが爪を振り下ろす。
「ええいっ!」
紙一重のところで少女は前転するようにかわし、起き上がりざまに蹴りを見舞う。ふっとんだがすぐさま起き上がろうとするガビットを尻目に、再び前に現れたガビットをかわして走る。
さらに二匹。今度はほぼ同時に左右から出た。
右から迫る爪を、合気道か中国拳法のような動きではねとばすも、その隙に左の爪がかわしきれずに太ももに突き刺さる。
「あくっ!」
転倒し、気にぶつかる少女。それでも必死に立ち上がろうとする・・・
「な、なんじゃ!?」
その目前の森から唐突に野太い声が飛び出した。
「え!?」
現れたのは、チョッパーグラスにふんどし一丁という犯罪的な外見の集団。というか実際に「もてる男撃滅」を目指す犯罪集団「しっと団」なのだが、アジャンタはそれを知らない。
「ひ、人・・・な、の??」
相手のあまりの異相ぶりに、戸惑いを隠せないながらも恐る恐る問いかける。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
しばし、不気味な沈黙を続けるしっと団。
「あ、あの・・・」
不安に狩られ、アジャンタがもう一度声をかけようとしたとたん。
「おっ、をんな〜!」
「裸の女ぁ〜!!」
「え・・・」
男たちが咆えた。
軍団を指揮する、目の周りに炎の模様のついた白マスクにチャンピオンベルト、レスラースタイルの怪人s「しっとマスク」が断定口調で言った。
「水島打倒作戦会議の帰り道で、こんなおいしい光景に出会うとは・・・まさにしっとの神の思し召し!きっと彼女はしっとの神が我等に下さった勝利の女神にちがいない!」
「へ?」
危機も忘れ、目を点にして硬直するアジャンタ。
「生け捕りじゃ〜っ!!」
しっとマスクの司令がとんだ。
「おぜうさ〜ん!わしらとねんごろに〜!」
檻から解き放たれたように、いっせいにアジャンタめがけて突進するけだものたち。
「いっ、いやああああああああああっっっっ!!」
「ちょっと待て!なんだてめぇらは?!」
これには、追っ手も止めに入る。それは任務というより、なんかもっと切実な感じの声だったが。
「ふ・・・問われたならば教えてやろう!我等こそ、この世のもてない男達の救世主、アベック倒して西東、その名も素敵「しっと団」だっ!」
思いっきり胸を張り、名のりを上げるしっと団。なんだか果てしなく無駄な上に馬鹿な感じがするが。
「な、なんだかしらねえがカスの人間共の分際で俺等の獲物かっさらおうとはイイ度胸だ!やっちまえ!」
繰り広げられる、異形の仮面武道会。少なくとも片方は一応人間だが、異形という点では変わりはない。
「邪魔だどけぇぇぇぇぇぇぇ!!」
しっと団の一般団員が、手に手にもった角材や釘つきバットで殴りかかる。
が、相手の兵隊は殴打の嵐をまるで気にする様子もなくつかつかと接近してくる。まるで痛覚など存在しないかのようだ。
「な、なんでぇこいつら!?」
あわてて距離をとり、悪臭爆弾を投げつける。これはしっと団の汗と涙と何年も洗濯してない下着を混ぜた代物で、たとえシロナガスクジラでも失神悶絶確実という、恐怖の化学兵器?である。
だが、それも効果を及ぼさない。いや、良く見ると奥のラルドはにおいを感じてはいるようだが気にしている様子は見えず、迫ってくる頭巾覆面の兵士たちにいたってはまるで感情など存在しないようだ。
「やっちまえぇ!ガビットども!」
号令とともに、ガビットがいっせいにとびかかる。
「うわらば!」
「ぶぎぇえ!」
鋭い爪による攻撃で、たちまち劣勢に陥るしっと団。普通ならそこで撤退していたであろう。だが。
「うおおおおおおおおおおおおおーーーーっ!」
総統しっとマスクが咆えた。
「ジェラシードライブっ!」
雄たけびとともに、数対のガビットを持ち上げ、投げ飛ばす。
「しっと・ビーーーーーーーーームッ!」
もはやここまで来ると人類なんだか何なんだか怪しくなってくるが、マスクの下の目からからまばゆい光がほとばしり、空中のガビットを焼き尽くした。
「みなの者!ひるむな!」
しっとマスクは部下たちを叱咤激励した。
「で、でも総統、あいつらなんか不気味ですぜ・・・」
「ばか者!」
熱き血涙を流すしっとマスク。
「半裸の美少女がそこにいるというのに、逃げるなど男として恥ずかしいと思わんのかぁぁぁぁぁぁ!!」
・・・その発想自体どうかという気もするが、とにかくこの一言でしっと団全員の目に怪しげな炎がともった。
「うおおおおおおおっ!総統っ!」
安藤が咆えた。
「そうでした!そうでしたっすね!」
海岸も咆えた。
「据え膳食わぬは男の恥!!」
そして、杉野も咆えた。
かくして、
「わ、私は据え膳じゃありませんっ!」
という少女の抗議もむなしくしっと団は盛りかえし、拮抗した両者の激突は激しさを増した。
「ぶひゃひゃひゃひゃ、死ねぇぇぇぇっ!」
剛拳を振り回すようにして、しっと団団員をなぎ倒すラルド。
「そ〜はいかん!そのねぇちゃんはわしらのじゃ〜!」
あるときはプロレス技で、またあるときは目からビームを放ち応戦するしっとマスク。これまた、化け物。
「だ、駄目、このままじゃ・・・」
絶望が少女の心を侵食し始めた、そのとき。
「そこまでだっ!」
再び声が響いた。今度は、鋭く凛々しい声が。
「今度はなんじゃ〜い!?」
わめくラルドと正反対に、「その声」を何度も聞いたしっとマスクは気がついた。
「こっ、この声は!!」
つづいて、かわいい声。
「そっ。そのとーりよ変態マスク!何でここにいんのか知んないけど、とにもかくにも成敗よっ!」
「ちょ、ちょっとランコさん・・・」
優しい声。
「まぁ、事実指名手配どころか破防法適応されてるし、今回ばかりはいいんじゃないの」
大人っぽい声。
「そうですマイお姉さま。国家に仇なす悪漢どもを成敗いたしましょう!」
やや幼い、それでいてはりのある声。
「パッパラ隊、参上!」
猛々しい声。
「・・・と、いうわけですが・・・」
「みっ、水島ぁ!」
宿敵の姿を見て、猛るマスク。
「あれが例の怪物共なのはわかるが、なんでしっと団までいるんだ?」
怪物を迎撃するために出動したパッパラ隊だったのだが。
そして、桜花が少女に気づいた。
「それより博士、あそこに非武装の婦女子が!」
「なんですって!?」
「大変だ、早く助けないと!!」
江口の悲鳴がまるでスタートの合図だったかのように、水島は猛然と走り出した。
「何だぁ?人間の分際で・・・ガビットども!あの馬鹿をぶっとばせ!」
無表情な仮面がいっせいに水島のほうを向き、飛びかかる。
「一体、何者なんだ?ロボットのようにも、生物のようにも見える・・・」
呟くが次の瞬間には水島はもう戦いに集中していた。
「どっちにしろ!許すわけにはいきませんけどね!」
「危ない!」
とっさに少女が叫んだ。。
(いくらガビットとはいえ、あの数だ。、とても普通の人間が勝てる相手では!!)
・・・彼女の心理の中でしっとマスクは「人間」の範疇外のようだった。
だが次の一瞬。
突き出されるガビットの爪を、水島は真っ向から拳で砕いた。
「!」
「なぁにぃ!?」
「う、うそ!」
驚愕の声が交差する中、さらに水島は一体のガビットの顔面をけり砕き、もう一体を手刀で両断した。
「す、素手でイーデアを圧倒するなんて・・・この人一体・・・」
心底の驚愕。彼女の知っている範囲では、こんなことの出来る人間は今までいなかった。(やはりしっと団は範疇の外らしい)
戦える、人間は。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
一瞬の沈黙の後、水島は少女のそばに駆け寄り、裸同然の彼女に自分の上着をかけてやった。
「あ・・・」
それまでの自分の格好を思い出し、赤くなる。
「大丈夫でしたか?ええと・・・」
「あ、アジャンタ。六芒聖神・A・アジャン・タトゥー」
「アジャンタさん、ですか。大丈夫!絶対守りますから!」
あわててか、何でか自分でもわからないままに、普段は名乗らない正式な名前まで名乗りながら、アジャンタは自問する。
一体この人は何なんだろう。
横顔をみながら、アジャンタはそう思う。
・・・分からないけど・・・悲しそうな目を、している・・・
「ところで六芒聖神?って・・・今はそれどころじゃないかっ!!」
一瞬で振り返り、再び背後からかかってきたガビットを投げ飛ばす水島。
だが、彼は気がついていなかった。
「あ〜っと水島君、謎の女の子に上着を掛けてあげています、流石です。」
「ワウ、ワワワワ、ワウ。」
「おっと、確かにそうですね解説の轟天さん。ランコちゃん、むくれてます。」
「む〜っ・・・」
「桜花!手伝ってくれ!」
「はい!博士!!」
返事とともに、桜花の桜3型光学熱線砲があたりをなぎ払う。
「私達が来たからには、もう大丈夫。安心して下さい!」
にこりとアジャンタに笑いかけ、周囲をきっと警戒する桜花。それを見て、アジャンタはかすかに呟く。
(この子、イーデア?まるで、千年前の私達みたい・・・」
それを見て、ラルドががなる。
「何だてめぇイーデアじゃねえか!何でクズ共の人間に味方する!?」
桜花の電子頭脳に、「イーデア」という単語はなかった。大戦中に組み入れられたプログラムのままに、桜花はそれを「敵国語」と判断する。
「イーデアなんて敵国語は知らん!お前は敵だ!」
問答無用の熱線砲は、しかしほかのガビットにあたって阻まれる。
「くっ、なら!」
白兵戦しかない、と前に出る水島に、不意に後ろから襲い掛かる影。
「なにっ!?」
「水島ぁ!貴様というやつはぁ!ワシがレスラーパンツ一丁なのをいいことに、女の子にポイントアップな行為かましおって!許さん!」
・・・しっとマスクだった。
一瞬脱力仕掛けた水島だが、そうしている暇はない。
「お前なあ!自分の悪事を棚に上げて、なにを言うかっ!」
振り払おうとするが、しっとに燃えさかるしっとマスクは普段より力が上がっており、なかなかふりはらえない。
「しっとの業火をなめるな!!」
全身から炎を立ち上らせるしっとマスク。
「うおおおおっ!このっ!」
振り払えず、もがく水島。
「いっつも貴様がヒーローかぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
さらに燃え上がらんとするしっとマスクのに、半ばあきれの入った挑発が届いた。
「そういうこと、言うから駄目なのよ。ただ行くのみ、それがヒーローよ、ね、水島くん!」
珍しいまともな発言とともに、さらっとした金髪をかきあげる、後光院ランコ。
見たとたん、しっとマスクの目がハート型になる。
「ランコちゃ〜ん、ワシのヨメに〜!」
節操なく目標を変更してとびかかるしっとマスクに、ランコはたださめた視線を返す。
「それも駄目・・・気色悪いこというなっ!死ねっバカ!」
叫ぶや否や、ポケットからなにやら無線のスイッチを取り出す。
「食らいなさい!衛星軌道上からのレーザー攻撃っ!」
点から閃光が舞い降り、しっとマスクのいた空間が、強烈な熱による空気膨張で爆発した。
ドドーーーーーーッン!
「うわっ!」
・・・水島も吹っ飛ぶ。だが、爆風程度ならどうともないくらい強化されてしまった体のため、すぐ起き上がる。
「くっ、今回の所は我々の負けにしておいてやろう!だがっ!アイ・シャル・リターンッ!」
しっとマスクは、吹っ飛んでいた。相変わらず、水島とはまた別の意味でタフなやつである。
「そ、総統ーーーーーーーっ!」
あわてて吹っ飛んだしっとマスクを追いかけ、しっと団は戦線を離脱した。
それで困るのは、ラルドだ。これでは残った自分は集中攻撃を食らう。
「が、ガビットども・・・っ!?」
ラルドが、見たのは。
「見さらせ〜〜〜〜〜っ!銃はペンより強いんじゃ〜〜〜〜〜〜!!」
と叫びながら、長さ二メートルはある巨大な丸ペンでガビットを次々串刺しにする、白鳥沢隊長の姿だった。
何かが著しく間違っているようだが。
「お・・・ご・・・」
絶句するラルド。
「どうする?後は貴方だけよ?」
「あの・・・おとなしくしたほうがいいと思いますが・・・」
江口の勧告のあとのマイさんのせりふは、なんだかずいぶんちぐはぐで。
「う・・・うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
とっさに、ラルドはマイに突進する。突破できると判断したのだ。
が、彼にはマイに悲鳴を上げさせることも出来なかった。
ドズン!ドカン!ズドン!
「こんなこともあろ〜かと、そこに落とし穴の中で地雷が炸裂して力士が降ってくるトラップを仕掛けて追いたのよね〜!」
うきうきと言い放つランコに、全員ただ、「いつのまに!?」と思うことしか出来なかった。
「どうやら片づいたようだな。」
ペンをしまい、ようやく隊長らしく周囲を見回しながら、白鳥沢隊長。
「・・・一体、何があったんですか?狙われていたみたいですけど。良かったら話して・・・」
戦闘のせいで途中で切れていた水島の問いに、
「あの・・・」
「はい?」
「此処は一体、どこなんでしょうか?奇妙な爆発に巻き込まれたと思ったら、急に此処に出て・・・いえ、追っ手はその前から居たんですけど・・・」
「・・・へ?」
彼女は逆に、問い返した。
「え〜、所変わってパッパラ隊基地。服装も整えた謎の少女アジャンタさんから事情を説明してもらっています。」
ととびかげがアナウンスを終えると同時に、アジャンタの説明もほぼ終わった。
「・・・というのが、私が元いた世界なのですが・・・」
そのとっぴさに普段からとんでもない事態に離れているはずのパッパラ隊員たちもさすがにうなる。
「うーむ・・・人類文明が崩壊し、地球の半分が吹っ飛んだ世界、か・・・」
「そして、人間の生命エネルギーを吸収するように進化した半有機体ロボット、邪進化イーデアが、地上を支配している・・・アジャンタさんは、そんな中でも数少ない、昔のままの、人の味方のイーデア、六芒聖神・・・」
「にわかにはちょっと信じがたいわね〜・・・」
普段は一番非常識なランコの発言とも思えないが、確かに急に言われたら信じられまい。だが、水島は考えた。
「だが、彼女がうそを付いているとも思えない。事実、彼女を追っている奴らが居た。」
ランコと水島、二人の考えをマイはまとめ切れなかった。
「どう思います、お母様・・・」
「・・・間違いないわね。彼女は、未来から来たのよ。」
「未来!?」
意表をつくレイ医師の回答に、隊長が素っ頓狂な声を上げる。
「ええ、彼女の壊れた戦闘用ユニットも、回収した追っ手の連中の残骸も、かつて存在したと言われる超古代魔法文明ならともかく、とても今の技術で作れる物じゃないわ。それに彼女の話を総合すると・・・答えはそうなる。」
だがそもそも、根本的な問題がある。それは、
「でも、どうやってきたのよ?」
ランコの質問に、逆にアジャンタは不安そうに首をひねる。
「私も、それが分からなくて・・・」
変わって江口が、それに答えた。
「あり得ない話じゃないわ。これは本来軍事機密だったんだけど、今朝方、軍の観測装置に物凄く大規模な時空振動・・・一つの時空に、別の時間軸や世界が割り込む時に特有の現象・・・が観測されたわ。邪進化イーデアの出現と、ぴったり同じ時間にね。;ただ・・・
「ただ、なんなんですか?」
「人一人などの小規模な物なら、「越界の鏡」とかを使えば可能だけど、此処まで大規模な時空振動を起こす方法なんてないわ。それもこの時空振動は、このパッパラ隊基地を中心に発生したらしいのよ。」
「ぎく。」
「おいランコ、ぎくってお前・・・」
その言葉に、ランコが固まった。だがそれ以上に周囲の人間のほうが硬直する。
そして、真実は驚愕より怒りを呼び覚ます。
「そういえば、今朝方水島君にお弁当作ろうって思って料理してたら、なんかそれっぽい爆発が・・・」
「お〜前のせいかぁ〜〜〜っ!」
水島の剣幕にわたわたと手を振りながら、ランコはとびっきりかわいいつもりの笑顔を取り繕った。
「ほ、ほんのおちゃぴいよ。あはは・・・」
無駄だった。
「おちゃっぴいですむかーっ!」
「この大事件が、ばかランコのお弁当一個が原因だなんて・・・あ、頭痛い・・・」
とびかげ、ここで唐突に。
「まさに、パンドラの弁当箱ってやつですなぁ。」
寂寞の、風が吹いた。
「あっはっはっはっはっは・・・・・・」
次回予告
かくして始まったこのお話、予告コーナーは私こと一億二千万人のアイドル、ランコちゃんがお送りします。
それでは、次回予告!
マイちゃんのお母さんの提案で、アジャンタ(なによ、水島君に助けてもらっちゃってさ。ふん。)の独立戦闘ユニットを修理するために知り合いの研究所に出かけた私達。
ところがそこのドクターってのが、もう最悪。ホモよ、ホモ。そいつが水島君にべたべたするし、頼みの綱のそいつのオヤジは果てしない馬鹿だし・・・
しかもそこに襲来する、従属神K-5と邪進化イーデア軍団!
しかも町の人の避難が、まだ終わってないんですってぇ!?
次回オペレーション2「その名はイーデア」
貴方のハートに結界鋲!!