機動戦艦ナデシコ
・・・惜しい!
実に惜しい!
それがまあ、感想である。なぬ?それだけでは解らない?
しかたがない。
この作品には、重要なキーワードが一つある。恋愛?いや、そっちはとりあえずおいといて。
それは「熱血ロボ・ゲキガンガー3」。
すぐ死んでしまう熱血男、ダイゴウジ・ガイ(本名山田次郎)が主人公テンカワ=アキトに託し、アキトがはまってしまった「熱血70年代風アニメ」
(劇中設定では百年前の品物)である。
アキトは時にこれに励まされ、時に周囲に冷たい目で見られながらも「熱血」の道を進んでいく。これは「リアルロボットによるスーパーロボ
ットのトレース」という前代未聞の事態であり、きわめて興味深い実験であると言える。
「せちがらい現実」を描ききることが多い「リアルロボ」の世界で、「スパロボ」を追求する。それはすなわち、はるかなる「理想」を求める道とも
いえる。
ヒーローのいない世界で、ヒーローを目指す。
中盤までは、大体そんな感じで進むストーリーが「自らを正義のスーパーロボット軍団と信じる敵」という、これまた前代未聞の「優人部隊」によって、
事態が二転三転、複雑に面白くなってみる。
「正義が勝ち、悪が全滅する!それがゲキガンガーのテーマだ!」
という、きわめて独善的である意味最もたちの悪いタイプへと変貌する「優人部隊=ゲキガンガー」
スーパーロボットの矛盾をついた、確かに「ああ」と思う指摘。
ここが、「機動戦艦ナデシコ」にとって大きなチャンスであった。スーパーロボットを否定し、リアルロボットを否定し、ここで自作品なりの論理をぶちあ
げれば、その両方を超えて融合した究極の「ロボットアニメ」になれる、それだけではなく全てのアニメに一大改革をもたらせる可能性すらあった
のだ。
・・・だが出来なかった。脚本家がてめーで作った問いに答えられなかったのか、監督が臆したからか、商業主義かはしらないが、
うやむやにして逃げた。
「エヴァ」が残した負の遺産の一つ、「やりにげ承認の風潮」である。
・・・ああ、惜しい。そして言おう。
阿呆が!