『葛藤』

コンコン

深夜、柾利の部屋の戸をノックする音。
「お兄ちゃん・・・起きてますか」
その後すぐに聞こえる水奈の声。
部屋で読書をしていた柾利が、本を置いてドアを開けると
「どうした、水・・・奈・・・」
一瞬、硬直する。
そこにはパジャマ姿で腕に枕を抱き、モジモジと上目遣いでこちらを見つめる水奈の姿があった。
髪は纏めていたリボンが外され、自然のままに流れている。
パジャマは柾利のお古で少々大きめ、しかも下を履いてない。

《柾利脳内》
欲望「押し倒せ」
理性「させるか!攻撃開始ッ!!」

わああああああーーーー!!!


(ヤバイ・・・すごく可愛い)
一瞬で柾利ぼ脳内で欲望と理性が合戦を始めた。(ムリも無い)
「あの・・・ね、お兄ちゃん・・・」
そんな事など露知らず、水奈は意を決したようにしゃべり始めた。
「私・・・怖い夢・・見ちゃったの・・・だから、一緒に・・・寝よ」
最後の言葉は小さかったが、柾利にはしっかり聞こえていて

《脳内》
欲望「矢を放て!」
理性「大将、前線部隊がやられました、こちらにも飛んできます」

しゅん、しゅん、しゅん


矢が飛び交え始めた。
「ダメ・・・かな・・・?」
瞳を潤ませる水奈
「え、あ、うん、良いぞ・・別に」
「本当!じゃ、じゃあ来て」
了解をもらったのが嬉しいのか、柾利の手を引いて自分の部屋に行く。




「おやすみ、お兄ちゃん」
「あ、ああ、おやすみ、水奈」
一緒のベッドに入り、動揺しまくりの柾利
対照的に、安心したのかすぐに寝息を立て始めた水奈
その顔を見てますます動揺する

《脳内》
欲望「寝てしまったぞ、今のうちにヤってしまえ」
理性「いや、いかん、そもそも安心させるために来たのだろう、しっかりしろ」
欲望「うるさい、鉄砲隊用意」
理性「ぬう、いかん、このままでは・・・」

ぱぁん、ぱぱぁん、ぱきゅぅーん


遂に鉄砲まで発射された。
水奈の寝顔を見て、興奮が抑えられなくなってきた。
手が水奈の胸元へと伸びていく。

《脳内》
欲望「あと少しだ、一気に行けーーー!!」
理性「ぬおお、これ以上持ちこたえるのは無理なのかーー」


危うし理性、どうなる柾利
既に顔は息が掛かるほど近づいている。
体には鼓動が伝わる。
その時
「ん、お兄・・・ちゃん」
「!!っ」
起きたのかと慌てる。
しかし、一向に起きる気配が無い。
(寝言か・・・)
少しほっとする。
「大・・・好き・・・」

《脳内》
理性側の後方にあった武人像が動き出す。
右手で顔を撫で上げると、無表情な顔が一転し不動明王の様な恐持てに変わる。
欲望「ぬああああああ!だ、大魔神だーーー!!」
理性「おお!大魔神が目覚めたぞ」
欲望「お、おのれ・・・ぐわあああああああ」
水奈の声に反応し、柾利の中で大魔神(兄心)が動き出した。
欲望の軍団を次々と踏み潰し、蹂躙・一掃していく。


柾利の兄心、水奈への想いは何よりも強かった。
胸元に伸びた手を持ち上げ、水奈の背中に回す。
体を横たえ、反対側の手を水奈の頭の下に回す、要するに腕枕だ。
そして、水奈の体を包み込むように抱きしめる。
腕枕にした方の手で水奈の頭を撫でる。
愛しむように、守るように、水奈の体を包み込む。
「俺も大好きだ・・・水奈」

柾利の腕の中で安らかな寝息を立てる水奈。
やがて柾利も穏やかな表情で眠りに就いた。

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