<鬼姫>

アセルスらと別れてから暫く後、烈人は人気の無い路地裏を走っていた。背後からはHAの追撃部隊が迫っていた。

(アセルス姉ちゃん達、無事に逃げられたかな・・・・くっ、目が霞んできた)

ボロボロになった体を引きずるように走り続ける烈人。霞む視界を振り払うように首を振り、突き当たりの角を曲がる。

「!!」

そこで烈人の視界に入ったのはハイスクールの制服を着た黒髪の少女だった。ただその手に一振りの日本刀が握られているのを除いて。

(くそっ!先回りされたか!)

少女をHAの兵と判断し剣を構える。その間に背後からも敵が迫っているのを感じた。もはや一刻の猶予も無い。
そして

「走って!」
「え!?」

烈人の背後にHAの部隊が現れた瞬間、少女は烈人に向かって叫んだ。と同時に

「お行き!」

少女の声とともに地面から巨大な影が出現し、HAの部隊に襲い掛かった。少女自身も烈人の背後に回り込み、その背を庇うように立った。

「早く行って!ここは私が食い止めるから!」
「な、なん、なにが・・・」

状況に戸惑い振り返ると、HAの部隊と巨大な影が戦っていた。その影をよく見ると全身が異常に発達した筋肉に覆われ、額に二本の角があった。それは日本人なら誰でも知っている最強クラスの怪物

「鬼・・・」
「くっ」

呆然とする烈人に痺れを切らしたのか、少女が地面からもう一体鬼を出現させ烈人を抱えさせ走らせた。

「よし。さあ参れ人の姿をした悪鬼ども、この鈴鹿が切り伏せてくれよう!」

そして少女=鈴鹿もその手に持った刀で斬りかかる。この国に鬼と化す呪(しゅ)が無い故に人の身を持つ悪鬼達を、自分が守ると決めた者達のために、その太刀・大通連を持って切り伏せる。彼女は鬼殺しの鬼姫・鈴鹿御前。

戻る