(紫暮4/1悪の博士Verの後日)
「紫暮様。髪、伸びましたね」
ゆまが櫛で梳きながら言う。
かつてうなじの当たりで切り揃えられていた紫暮の髪が、今は肩にかかるほど伸びている。
「これはやはり?」
「…ああ、そうだ。 お前の思っているとおりだよ」
いたずらっぽく聞くゆまに、ぶっきらぼうな声で応える。
顔も若干不機嫌そうだ。
「村正宗は、髪の長い娘が好みだと……カンナが言っていた」
言葉尻にでてきた名前を聞いて、ゆまは紫暮が不機嫌な理由を理解した。
カンナ、御雷神奈。 村正宗の従妹にしてパートナーである、紫暮の最大の敵。
その彼女が戦後紫暮と接触した際に伝えていったのだ。
曰く「村正宗はロングヘアーが好き」「最低でも肩にかかるくらいは必要」「元凶の片割れである自分が言うのだから間違いない」とのこと。
恋慕を想いを見抜かれ狼狽える自分を、ニヤニヤしながら見るその態度が酷く気に障った。
まるで、この程度の事を教えても自分の地位は小揺るぎもしないと言っているような、その余裕の表情。
「思い出しただけで……ぐぬぬっ」
握り締めた拳を震わせ、想像上の神奈に闘志を燃やす。
負けてなるものか、見ていろ、と。
ただ
最後に「もし上手くいったら、その時はご相伴に…」と紫暮の身体をジロジロ見ながら呟いていたのには悪寒が走ったとか。
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