短編集
<苗字・・・>
「あなたが村正宗さんですか。私は鮎川ひよのといいます。」
「(鮎川・・・)魚紳さんの娘さんかい?」
「はい?」
「いや、いいんだ、うん」
苗字が同じ・・・ただそれだけ。
<こんな光景>
縁側に座り茶をすする村正宗と美汐。村正宗の膝の上にはレン(猫型)が丸
くなって寝ている。
なんともほのぼのした光景なのだが・・・
きっど(なんて・・・なんて年寄りくさい光景なんだ!)
ギロッ!
村正宗&美汐「今なにか失礼なこと考えなかった(ませんでした)か?」
きっど「(ぶんぶんぶん)」
年寄りくさ・・・物腰が穏やかな2人。
<猫アルク>
玉座に腰掛け思案にふける悪の博士、その下に思わぬ来訪者が現れた。
「ニャニャ、ニャ」
転がるボールを追いかけて部屋に入ってきた一匹の猫・・・否、猫耳・尻尾
の二頭身少女。
「アルク!?」
思考を中断し少女を凝視する。姿こそ変わっているがそれは紛れも無く博士
の友、神祖の姫アルクェイドだった。
「ニャ?ニャニャー♪」
呼ばれたのに気付いたのか博士の足下に寄ってくる。話には聞いていたもの
の実際に見るのは初めての博士、どう接してよいのか分からず呆然としてい
る。と
ピョコン!
「!?」
ネコアルクが博士のひざの上に乗ってきた。しかも体を丸め眠り始めた。
「・・・・・」
膝の上で眠るネコアルクをしばらくじっと見つめ、おもむろにその背を撫で
た。
気持ちよさそうにノビをしてまた丸くなるアルク。
ニヤリ
「!!!ッ」
バッ!
気配を感じ顔を上げ扉のほうを見ると・・・これでもかってくらいニヤけた
顔をした村正宗があわてて逃げていくのが見えた。
ちなみにボールを投げ入れたのも村正宗だったり・・・
<嬉しかった言葉>
村正宗が『街』を去った数日後
「ねぇ、神奈ちゃんにとって一番嬉しかった事ってなに?」
地天星の一室にてお喋りをしていた神奈に、何を思ったか彩乃がそう尋ね
る。
訊かれた神奈は嬉しそうな顔で答えた。
「一番かどうかは微妙だけど、お父さんに「何の価値も無い娘」って言われ
たことかな」
「え?」
困惑した顔の彩乃を見てクスリと笑い、そのときの記憶を思い出し
「私は・・・お父さんの本当の娘じゃなくて、小さい頃に施設から引き取ら
れてきた子で、その頃預けられていた村正宗と一緒にお父さん・・・剣冶さ
んに育てられたんです」
ゆっくりと、かみ締めるように思い出を言葉にしていく
「それで小学生の時、私の本当の両親って言う人が家に来て・・・」
「御雷さん、今まで育てていただいてありがとうございます。これ、養育費
分です、お納めください」
テーブルの上に積まれた大量の札束を見て、剣冶がふっと鼻で笑った。
「あんた方にとって神奈はこんな価値しかないんですか?」
「・・・・これでは足りませんか、では」
更に札束が積まれる。しかしそれを見ても剣冶は馬鹿にしたような顔で笑
う。
「はぁ・・・本当に親ですかあんた方?」
「な!失礼な!そんな事を言ってまだ絞る気ですか!幾らです?幾ら必要な
んです!?」
その言葉を聞いて剣冶の眉間に皺がより、村正宗の遺伝元であろう悪目付き
が鋭くなる。
「あんた方に神奈を渡す気は無い、この金持ってとっとと帰ってください」
「なにを!それでは訊きますが、貴方にとってあの子はどれだけの価値があ
るんですか?」
この問いに剣冶はゆっくりと笑って
「神奈は俺にとって“何の価値も無い”娘です」
一瞬静まり返り、剣冶の答えに呆れたのか二人が何か言おうと口を開きかけ
た瞬間
「・・・対価になる物の無い、価値なんか付けられないくらい大事な娘で
す」
そう言うと札束を蹴り落とし
「・・・私を部屋の中に入れて、「どっちを選ぶ?」って訊かれて迷わずお
父さんを選んだ。ドアの前で全部聞いてたから、嬉しくて・・・本当に大事
にされてたんだなって思って、だから」
「なるほど・・・良いお父さんだね」
言葉の意味を知り納得した彩乃が優しく笑いかける。
「はい!それと後で調べたら、あの2人も私の両親じゃなくて、偽札の処分
にきた人で・・・帰ったあとに捕まったそうです」
「へぇ〜、でも良かったの?そんなお父さんを置いてここに残って」
「・・・「幸せは自分で手に入れるもんだ」っていつも言われてたし、ここ
に残った事で私は幸せになれると思ったから」
そんな話を、2人は夜遅くまで続けた。
<ある日の夢>
底知れぬ闇の空間、そこに一人たたずむのはオクトーガこと彪門太。
どことも着かないそこをウロウロしていると、ふと声が聞こえた。誰かいる
のかと思いその方向を見ると
「彪さん、あなたも同士のはずだ」
「こっちへ来いよ〜、自分に素直になれ〜」
そこにいたのは、「刀将」村正宗と「反逆者」カズマ。どちらもロ○コンと
噂される2人。
その傍らにそれぞれ少女を伴い彼に手招きする。
「!!っ」
ブンブンブン!!
手招きの意図に気付き必死に首を横に振って否定する彪
「隠しても無駄ですよ、ネタは上がってるんですから」
「そうだぜ、可愛い彼女がいるじゃねぇか、さぁこっちへ来いー」
オクトーガとなった体、その腕を掴み“あっち側”へと引っ張る二人
必死の抵抗を試みる彪だったが次第に力を失い・・・
「!!」
“あっち側”に着く寸前に眠りから覚める。ほっと一息つく、そしてふと腕
を見ると・・・そこには・・・
<北海道にて>
北海道、浦河町。
市街地から離れた山間の地で、ある一つの計画が進行していた。
「そこ、モタモタしない!ちゃっちゃと運ぶのです!!」
「イ〜ッ!」
作業ツナギとマントを着た男が、黒い全身タイツの集団に指示を出す。
この奇妙な集団の正体は、一線を退いたバリスタス強化服戦闘員とUNCR
ETのバイト戦闘員達、そして
「この作業が終われば後はこのイモ男爵がやります!ですから皆さんもっと
効率良く動きましょう!!」
作業ツナギとマント・・・そして頭が巨大なジャガイモで、その真ん中に大
きな目が一つ付いた怪人、イモ男爵。村正宗がどこからか拾ってきた農作業
を得意とする元ゴーマ怪人である。
「この地は村正宗閣下の『北海道農地計画』の足掛かりとなる場所、気合を
入れていきましょう!!」
イモ男爵が声を上げ、周りから「イ〜ッ!!」が返る。
彼らはカムイチセの防衛部隊とは別に村正宗が組織した食料生産部隊、通称
「農部」。北海道を日本の食料基地にして、そこを押さえる事で日本の
「食」を制圧する『北海道農地計画』を進める精鋭部隊である。
・・・と言えば聞こえはいいが、実際は離農によって開いた地を占拠し、全
国の農家を熱く志す青年達によって北海道の農業を活性化させるという慈善
事業のようなものである。
ちなみにUNCRETのバイト戦闘員達が居るのは、彼らの「農作業を体験
してみたい」という強い希望から。
戦闘力の高い蝗軍兵はいない。幾らなんでも畑に蝗では不似合いかつ縁起が
悪い・・・
<ジェラシー(笑)>
朝、と呼んで良いのか、ともかく起床時間。
珍しく早起きというものをしたミリィがロアの部屋へと向かう。人、それを
夜這いと言・・・ぎゃあああ!!
「うるさい!・・・って、誰に向かって喋ってんだあたしは?」
ううう・・・(復活)・・・どうやらいつもとは逆に自分がロアを起こしに
行くらしい。
部屋に入り寝ているロアに近づき
「・・・・・」
しばし無言でロアの寝顔を眺める。襲うなよ(ニヤリ)
「誰が!っと、そうだ。起きろロア!」
「うう・・・ん」
ミリィの声に反応し微かに唸る。しかし一向に起きる気配は無い。
その後何度と無く呼び続けると、少しだけ身動ぎして
「おっ、起きたロ・・・」
「・・・ん・・エミィ・・・」
ピキッ
という音と共に一瞬時は止まった。ザ・ワールド!
・・・そして時は動き出す。
(どうしたんだろ?)
自分が起きてから、なぜか不機嫌なミリィにロアは困惑していた。
何か気に障ることでもしてしまったのだろうか?しかし全く思い当たること
が無い。
そして食後の一時
「ロア、ちょっと聞いていいか」
「な、なんですかミリィさん?」
なにやら真剣な眼差しで見つめてくるミリィにビクリとするロア。
「エミィって・・・誰だ?」
「え・・・な、なんでエミィのことを」
「いいから、誰なんだ!?」
殺気立っているミリィ・・・さながら浮気相手の存在を知った古女房(笑)
のように。
それとは対照的に神妙な顔つきになったロアが口を開く。
「エミィは・・・僕の妹です。昔ある事件で行方不明になって・・・それか
らずっと探してるんですけど・・・見つからなくて」
「・・・ごめん。」
「いえ、いいんです。でも何でそんなこと・・・」
「え?あ〜っと・・・その、えっと・・・」
「?」
赤くなってうろたえるミリィにロアは訳が分からず首を傾げる。
(兄さんの鈍感・・・)
「!」
一瞬、ロアの耳にエミィの声が聞こえた・・・気がした。
<改造(笑)>
鷹之羽高校学旧校舎、学園特武隊アジト・・・の隣の部屋。
四畳だけ敷かれた畳、その上で向かい合って話しているのはアンダーグラウ
ンドガールズの一人月宮あゆと、「刀将」御影村正宗。
「・・・という訳なんです。」
「ふ〜ん」
今村正宗はあゆにある事を相談されていた。
校内で「頼れるお兄さん」のイメージが定着している村正宗は、時々こうし
た相談を持ちかけられる。
「どうすれば良いんですか?」
「んー・・・それじゃあ」
何事か話し、必要なもののメモを書いて渡す。
「うぐ?」
「これが勝利の鍵だ。」
翌日
「JUNNKIさ〜ん!」
「お、あゆ・・・!!」
あゆの姿を見た瞬間、JUNNKIは固まった。
あるいは、たぶん。人が目を奪われるっていうのは、こういう状態なのだろ
う。
いつもの赤いカチューシャではなく白い大きなリボン、それと同色のサマー
ドレスのその姿は、なんていうか、もう文句無しに反則の域に達しているく
らい、卑怯なほど・・・
「・・・あゆ」
「ど、どうかな?」
可愛いぞ、と言いそうになる自分を、最後の理性が押し留めた。
そんなこと言ったら、きっとあゆは顔を真っ赤にして、その姿がまたたまら
なく抱き締めたくなるだろうから。
例えるならアレ、愛玩動物の思わず抱き締めたくなるオーラ・・・それはつ
まり、ぶっちゃけ・・・
「これが萌えってもんだよ、JUNNKIくん!」
物陰では村正宗が爽や、思いっ切りのニヤリ笑いを浮かべてサムズアップしてい
た。
村正宗の格言第二十六
「子供っぽいと言われるなら、逆にその可愛さで勝負すべし!」
(以下、考え中!)
<B正宗>
影磁「いい、いいねぇ村正宗くん」
村正宗「何がですか?」
影「君を取り巻く少女達がだよ。悪戯好きのお姉さん、「お兄ちゃん」と呼
んでくれるイトコ、そして可愛い義妹たち、これはまさに選り取りみどりつ
かみ取り・・・」
村「店で鳴くのは閑古鳥・・・」
影「・・・・・・・(固)」
村「?」
この日、見事なボケをかました村正宗は、ボケ+村正宗=ボケ正宗という変な
二つ名を授けられてしまった。
<謎>
村正宗が勢い良く腕を突き出す。同時に袖から何か大きな物が出てきた。
ズシリと重い一抱えもあるような二連装の大型銃。
「OMRMMG(オートマルチラウンドマグナムマシンガン)サラマンダー、毎秒
50発の速射能力。しかもこの銃に死角はない!」
「なんでそんなもんが・・・」
「?」
「あんたも分からんのかい!!」
ちなみにこれの他に、金属バット(フンサイブレードの名札付き)一本とフ
ライパンが2つ背中から出てきた。
今回のボケ正宗、R・田中一郎風。
<Aセット>
食事時、村正宗はいつもAセットを注文する。
内容が和食だから、というのが彼らしいが、他にも和食メニューは存在す
る。
では何故Aセットなのか聞いてみると
「冷や奴が付いてるのAセットだけなんで」
とのこと。
幼馴染Kに事実を確認すると
「うん、村正宗豆腐好きだから。冷や奴だけでご飯一升空けられるって言っ
てたし」
ちなみにオカラも好きらしい。
<寝相>
村正宗の部屋。
今のここの主は寝ている。
シャシャシャシャシャ・・・
手元に置かれた紙に何か書かれている。
それは何かの式・・・それも霊子制御のための術式。
自動書記というものだろうか、時々止まってはまた動・・・書き終えたよう
だ。
「う〜・・・」
少々寝苦しそうに何度か寝返りを打つ。ゴロゴロと数度繰り返す。
不意にムクッと起き上がり天井を見上げ、おもむろに壁に近づき・・・張り
付くように上っていく。
バチッ!
天井に手が付こうとした瞬間、天井の四隅に張られた呪符が障壁を展開、村
正宗を弾き落とす。
「ま゛」
ドスンと床に落ちた拍子に奇声を発す。しかし目が覚める気配なし。
そのまま布団へと転がり戻り、またムクッと起き上がって・・・倒れた。
そんな事を何度か繰り返し、村正宗は朝を迎えるのだった。
<ジンベイ>
海の底、その巨体を沈めたまま一人思考する者が居た。
あまり深く考える性分ではないが流石に考えてしまうらしい。
(出番〜・・・ま〜だですか〜ね〜)
ゴボボボボボ・・・
彼の名は大魚雷蔵。またの名を水中重爆撃怪人、魚雷ジンベイという。
<キュピーン>
JUNNKIとあゆの様子を見ていた村正宗。
なにやら考えていたが、意を決したようにさっちんに2人の事を聞く。
「弓塚さん、あの2人って」
「あ〜アレ、青春の1ページというか、そんな感じ・・かな?」
困ったような微笑ましいような微妙な表情のさっちん。
それを聞いた村正宗は
「ほほう」
キュピーン!
胸ポケットから出した眼鏡をかけ、目を光らせていた。
その様子に気づき、ぎょっとしたようなJUNNKIがあわてて駆け寄る。
「あの、何か企んでます?」
「いや・・・別に」(ニヤニヤ)
(嘘だ〜!絶対なんか企んでる〜!)
怖気ずくJUNNKI。
だが実は村正宗の言葉に嘘はなく
(・・・とはいえ、何をすればいいんだ?)
何も考えてなかった。
<おやつ>
その日あゆは鯛焼き弁当を学校に持って行き、おやつにも鯛焼きを食べてい
たのをJUNNKI達にからかわれていた。
「でもそんな鯛焼きばっか食ってる高校生も居ないぞ」
「そうかなぁ?」
そして部室のドアを開けると
「やあ」(むしゃむしゃ)
村正宗がウェディングケーキ(100%)を片手で持って食べていた。
「「「なにーーーーー?!!」」」
「やはりおやつはウェディングケーキに限るな」
言いながらまた口いっぱいに頬張る。
ちゃっかり他の女の子たちも食べてる。
ちなみに水瀬秋子作(謎邪夢内蔵)