<WILL=オピウスの闘争>

タロン別働隊を叩くべく飛翔したオピウスは、最高度へ上がると同時に「地天星」へ連絡・命令し、到着までの短い間にその気配を豹変させた。

「・・まったく、私は傍観者でいたかったんだがな。」

ぞんざいな口調と違い、その顔はやけに嬉しそう。どうやら好戦的な「性格」に変わったらしい。

「魔道書によって作られるエルダーマキナ・・・私も似たような物を持っているのだよ。」

誰にともなく呟き、白衣の隠しから何かの実のような物を取り出し食した。

「霧、骸、飛竜・・・我に生無き肉体を。」

そのまま雲に突入し、戦場上空へ。



焼け落ちる家屋、逃げ惑う人々。その所業を行ったのは海上の3隻の戦艦とそこから出撃したAS小隊。巡航ミサイルとASによる無差別攻撃。その被害はかなりの広さに及んでいる。

「レオ〜レ〜オ〜!ご覧くださいダークブレイン様、人がまるでアリのようですぞ。」

艦橋の上に立ち自らも手にした望遠鏡から光線を発射しながら叫ぶのは、青白く樹脂で出来たような表情の乏しい顔、襟にひだのついた奇妙な服を着た老人。タロンの「怪偉人」ガリレイ男。

「それもう一息だ、この島を完全に制圧し我らの植民地にす・・・なんだ?」

上空から落下音。その数秒後に何かがAS数体を吹き飛ばして着地した。

「ゴオオオオッ!」

飛び散る水しぶきの中から現れたのは大きく発達した両腕を持つ白い外骨格に身を包んだ一頭の竜。ASより若干小型の
それは、四肢に備わった鋭利な爪でASを次々に破壊していく。

「な、なんだあれは!?」
『Eee!わかりません!ただ物凄い速さで・・・クワァァァ!!』
『こちら七番艦!ミサイルが、ミサイルがこっちに・・・』

ひっきりなしに流れる通信。だがそんなものを聞かなくても現状を見るだけで十分だった。あの白い竜がASを引き裂き、発射されたミサイルを投げ返してくる。数分前までの優位が嘘のような壊滅状態。そして

「ぬ、ぬううう・・・はっ!」

現状を見て唸っていたガリレイ男が突然できた陰りに頭上を見上げると、そこにはあの白い竜が逆三角形の翼を広げて浮いている。左右に広げられた両腕に電光が走り・・・

「!!・・・・・・」

指揮官のガリレイ男が消え、うろたえる残されたAS。それに止めを刺すように上空の竜が口を開く。

キィィィィィィ・・・・イイイイイ!!!

女性の悲鳴にも似た「声」が響き、竜の姿が歪み、ASが砂のように崩れていく。



海岸に降り立った竜の胸の玉が砕け、中からオピウスが抜け出る。

「ふん、なかなか使え・・えええ、ぐっ、使えるな。」

懐から一冊の本を取り出しページを開く。抜け殻になった竜が濃い霧のようになって解け、本に吸い込まれていく。そのページには吸い込まれた竜の細密画とその下に「進化の魔獣 霧の飛竜ネブラ」と書かれていた。

『ウィル博士ー、こっち終わったよー!』
『敵戦力、全て破壊した。』
「うむ、ご苦労。さて戻るか・・・」

翼を広げ羽ばたく寸前、海上一面を「闇」で覆い尽くした。それが過ぎ去ると、海上から無数の光が天空の「川」へと吸い込まれていった。

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