吸血姫美夕

漫画・OVAバージョンなどもあるが、ここで語るは、我輩が一番好みのTVアニメ版。演出とか音楽とか監督とか、「デビルマンレディー」の先祖的存在。

神であり魔物でもあり、人の心の隙間につけこんで生きる黄昏の住人・神魔、闇から這い出るそれらを狩ることを宿命付けられた吸血鬼の姫・美夕の戦いの物語・・・

しかしてそれだけではなく、神魔という存在を介して人の心の闇を抉り出すような作品が多い。

男と女の関係の中に、一匹の猫という些細な要素がわりこんだことによって始まる狂気の崩壊、蝶に心奪われた男と、父の心を無自覚に独り占めしようとした少女の生む悲劇、人形しか愛せない人形製作者、過去のセピア色のフィルムに慰めを求め、フィルムに住む魔物に引きずり込まれていく老人・・・

美夕自身が、人間と言う存在に対してある意味突き放した感情を持っているが故に、隠された悪意や醜さがレンズを通したように大きく映し出されていく様は、実に毒々しく。

そして、その神魔たちにも独特な者はいて、単なるレンズ役にとどまらずまた面白い群像劇を見せてくれる。旧友ガーリンネと主君美夕を秤にかけることになるラヴァ、最初はただ嫌味なだけのキャラクターと思っていたけど意外な事情が存在した冷羽、助け合って生きようとした梁と那海、一人の人間の夢を愛した亜癒・・・

そして美夕自身も、冷徹に監視者としての仕事をこなす吸血鬼としての仮面の裏に、かすかに残る人間性から来る葛藤を示し・・・

この複雑な悲劇の統括者として相応しい。

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