悪台詞

「わるあがきは悪の特権よ」
発言者 袁翁
怪奇警察サイポリス 著・上山徹郎
ただもう完全に勝負が決まった時に、既に相手が正しいと解っているにもかかわらず尚戦うことをやめることが出来ない悪党の、切ないやせ我慢のセリフである。何というか、悲しい。  

シャドー殿よりご紹介いただいた台詞(そのままの引用なので今までと書体が違いますが)
「クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝」より。ホワイトスネーク団の団長・アナコンダが最終決戦時、魔人の力で超能力を手に入れ、裏切ろうとしたミスター・ハブを洗脳するときに言った悪台詞。
「お前は人間を止めろ。わしの奴隷になれ」
数あるクレしん悪党の中でもかなり極悪です。

「くくく・・・憎しみは、闘いは何も生み出さないだと?ではお前達ボアザン星に平和をもたらしたのは何だ?それは話し合いだったか?お前はボアザンの支配者が憎かったことはないのか?自分の母を殺し!父を幽閉し!多くの人々を苦しめたボアザン星人を、一度も憎いと感じずに引き金を引いていたというのかっ!ハハハ、馬鹿めっ!きさまらが正義だというのなら私の行いも間違いなく正義だっ!きさまらなら解るはずだっ!石もて追われた者の悲しみが!悔しさが!憎しみがっ!心の奥の・・・抑えられない衝動がっ・・・!正義とはな常に復讐する者の側にあるのだっ!見るがいい!これが・・・全てに虐げられた・・・我等の怒りだっ!」

発言者 デュナンの子ジュエリオン
超電磁大戦ビクトリーファイブ 著・長谷川裕一

とんでもないように見えるが、意外にも筋は通っているように聞こえる。事実これを言われると正義の味方はかなりの苦境に陥るだろう。だがその「聞こえる」というのが、非常に曲者だ。
「正義とはな常に復讐する者の側にあるのだっ!」
このジュエリオンの境遇は確かに悪党としては悲惨なもので、この言葉も頷ける。だが現実世界でこの言葉をある意味そのまま実行している国家があるが・・・あれをみろとどうかと思う。

シャドー殿よりご紹介いただいた台詞(そのままの引用なので書式が違いますが)
同じく「星のカービィ」第6話「見るぞい!チャンネルDDD」より。村を魔獣が進撃しているとの報道。しかしそれは嘘っぱちの特撮ドラマだった。デデデのスタジオに侵入するフーム(このアニメのヒロイン)達だったが捕らえられてしまう。反発するフーム達に対して勝ち誇ったデデデの台詞。
「歴史はスタジオで作られるぞい」
本編では、さらっとすらりと言われてましたが、ひそかに爆弾発言。

「この世は全て強き者だけがその意を通せるのだっ!強き者が地球などいらぬといえばそれが正しいことなのだよ。君が意を通したければ私に勝つことだ!」
「そうだ!わかるかね!トビア君!何時の世も強い者だけが生き残る!これが掟だ!進化の歴史を見てみたまえ!常に新しい環境に適応した新しい種が古い種を食いつぶす!酸素に適応したものが古いバクテリアを、腔腸動物を脊椎を持つ者が!そして自ら出た魚がトカゲとなって魚を食う!」
「そう、水から出たトカゲだ!われわれは水から上がったトカゲほども「地球人」とは違う!宇宙という違う生活圏を求めたときからそれは当然の結果として起こったのだ!」
「そして魚とトカゲがけしてわかり合えぬように・・・違う生き物同士は結局は敵なのだ。」
(馬鹿な!あんたたちだって人間じゃないか!といわれて)
「違うな!我々は「木星人」なのだよ!地球人がそう呼ぶようにっ!違う惑星の生き物なのだよ!既に!SF映画に出てくる異星人のようにね!人間は宇宙に広がることによって、「敵」を作り続けているのだよ!」


発言者 カラス先生
機動戦士クロスボーンガンダム 著・長谷川裕一

徹底した弱肉強食論者、社会的ダーウィニズムの信奉者たるカラス先生、その思想の全てと言っていいセリフ。
「木星人」。地球に宣戦した彼等は、生物敵に見れば確かに、地球の人間と変わりのないホモ=サピエンスである。
だが・・・カラスはそれを違うと言い放つ。違う惑星の生き物だと。

これはあくまでSFの状況だが、ある意味現実の国家の間にも応用されるかも知れない。
国が違えば、考え方も違う。思考をもって本質とする人類、それにおいて考え方の違いとは動物におけるDNAの違いにも相当し、まさしく「違う生き物」かもしれない。
それは、理解し合えない悲しい世界の肯定。絵空事ではない。事実、アメリカは己の正義と違う存在を問答無用で殲滅している。
だが・・・
「ふ、ざ、けるなあああっ!ふざけるんじゃねえぞおっ!そんなわけのわからねえごたくで、これ以上人殺しなんかされて、た・ま・る・かーーーーーっ!!」
主人公・トビア=アロナクスはこう叫び、カラスを打ち破った。
そうだ。こう叫ばなければならないのだ。言葉を、意志の接点を持ち合う存在足る人類なれば。
「馬鹿者ーーーっ!敗者の分際で、勝者の行く手を阻むでないわーーーっ!」
倒された後、己の部下が瀕死状態で後ろからトビア少年を撃とうとしたのを、カラスはこういって阻止している。
とはいえ、これだけの潔さは評価できるだろう。

「所詮勇者なんてものは弱い大衆に祭り上げられた人柱だよ」

発言者 マック=ゲィッツ
勇者カタストロフ! 著・牧野博幸

このセリフ、一見した限りでは確かに悪セリフである。
勇者という者が存在するのは、確かに民衆のために闘うため。だがそれに安住して民衆は大衆になり、闘うことをやめる。
世界を救うのは勇者。であって、大衆は自分の手で勝利しない。
確かに、勇者という存在へ向けられた強烈な皮肉だ。だが・・・

「なあ・・・勇者よ。これだけは聞いておきたい。人が自然と共に生きるのは・・・泥にまみれて猿やイノシシと走り回るのはそんなに楽しいか?私は絶対にそうは思わん!嫌だ!!だからといってお前は私を殺すのか?勇者の思うことは全てが絶対的に正しい法律か?その考えに合わぬ少数派は殺されて当然なのか!?」


発言者 マック=ゲィッツ
勇者カタストロフ! 著・牧野博幸

彼、マック=ゲィッツはこう勇者に問うた。
これもまた、勇者に・・・正義に対する厳しい問いである。ただ一つの基準とはあり得るのか。
我が輩はただ一つの基準はあり得ないと思うが、しかし、時にはそれが必要となるときもあるのかもしれない。

「私だって自分のしていることが悪いこととは十分気付いている!しかし、それを止められる者が居ないほどに私は力を付けてしまった!そして、この先も・・・!!だから私は勇者の登場を望んだのに!私の姑息な罠を打ち破り歪んだ理屈を砕き去ってくれる力強い勇者を待っていたのに!」

発言者 マック=ゲィッツ
勇者カタストロフ! 著・牧野博幸

彼はこう思っていたのだから。おとぎ話や三流ファンタジーの魔王みたいな八ビットCPUに破壊と殺戮だけ詰め込んだぼんくら魔王と違う、思い悩む一人の人間だったから。
それ故に勇者への問いを読み返せば、それは重く悲しい。
そしてこの物語は勇者の手ではなく、人間の手で決着をつけられる。人の悩みを解決するのは、人でなければならない。これは奇しくもマックの問いかけの答えでもある。


「王ドロボウとやら・・お前がどんな大それたものを盗もうとも・・・・・・・・この私に・・・・・そして神にはとうていかなうまい・・・・私が盗むのは・・・人生なのだよ!神の名の元に私は人の感情・行動・生活・・・・・つまり人生そのものを盗む事ができるのだ・・・・!!お前にそんな真似ができますか?え?王ドロボウよ・・・・!!?子供はお前の方です王ドロボウ!」

発言者 ペスカ=ルミノサ
王ドロボウJING 著・熊倉裕一

宗教というものの本質をついた、カルト宗教「カイエ宗」教祖、ペスカ=ルミノサのセリフ。
日本犯罪史上最悪といっていい犯罪者、オウム真理教教祖の例のように、この手の犯罪はたちが悪い。実に。


「見ろ、人がごみのようだ!」

発言者 ムスカ
天空の城ラピュタ

何をかいわんや、ってくらい有名な台詞。どう考えても悪党のそれで、そしてそれゆえに人口に膾炙していると言う意味で典型的な悪党の名台詞。


「友達?そんな下らないものを信じていたのは、貴方だけよ。」

発言者 プリルン
魔法遊戯
この台詞は、ある意味で設定を表す台詞、といってもいいだろう。「魔女っ子」候補生が互いに出し抜きあい争いあう、「魔法遊戯」の世界を表す言葉。
そういう世界のネガティヴな面をも、悪党の台詞は表すことが出来る。

「困るなぁ・・・折角広げた戦争(おもちゃばこ)を、かたすようなまねをしてもらっては・・・」

発言者 技師長ルドルフ
キメラ 著・緒方てい

「憎イノナラ殺セ。やつらキマイラ共には戦いの際そんな声が聞こえるらしい。だがそれが奴らの限界だ・・・私は違うぞ。タトエ憎クナクテモオマエヲ殺シテヤル」

発言者 技師長ルドルフ
キメラ 著・緒方てい

「少年兵と言うものは、時として非常に便利な代物でな。純粋に「明日」を信じているが故に任務遂行に迷いが生じない。その上替えがいくらでも効く・・・」

発言者 技師長ルドルフ
キメラ 著・緒方てい

このルドルフという人物、敵であるゲイヴォルグ帝国の中では階級は技師長なのだが、どう考えても皇帝グスタフよりもさらに悪辣な人物である。グスタフがただの小物なのに対し、こいつの場合策士であり戦争狂でありさらに残酷だ。改造人間を使い捨てに作り出し、歯向かうものを自ら殺戮し、戦争の激化を助長する。

その悪行三昧の中でも、特に「子供を戦争に用いる」というのは最悪の部類に入る。

子供とは、すなわち「明日」である。親達が乱世を必死に生き延びんとするのも、全ては未来へとつなぐため。その「未来を使い捨てる」行為・・・まさに明日を奪う、世界を閉ざす所業。ルドルフの非道さを特に示す台詞である。

シャドー殿からご紹介いただいた台詞です。(ゆえに書体が少し他と異なります)


「星のカービィ」第37話「お昼のデデデワイドをつぶせ!」より。
カービィを24時間追いまわし、そのフィルムを編集することでカービィを犯罪者に仕立て上げてしまったデデデ大王。そんなのはデタラメだと討論番組に出場してカービィの無罪を証明しようとするフームだったが、彼女が論じようとすると急にCMを入れられ、ろくに発言ができない。反発するフームに対して、エスカルゴン(デデデ大王の召使い)。

「某民放でもやってるでゲス」

ゴールデンタイムでは決して言えない、朝アニメだからこそ言える台詞です。


シャドー殿からご紹介いただいた台詞です。(ゆえに書体が少し他と異なります)

「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(コミック版)より。
人に造られ、世界征服を企む秘密結社ロケット団の支持するまま、破壊の限りを尽くすミュウツー。そんな彼が、ふとロケット団のボス・サカキに「自分のしていることは正しいのか」と尋ねる。サカキの返答。

「時代とは常に勝者が築くもの。歴史に善悪はない」

このコミック版、コロコロコミックに特別読みきりとして掲載されたもので、単行本化はされていません。掲載された号も五年くらい前のもので、廃品回収に出してしまったので確認のしようがなく、かなりうろ覚えなのをお許し下さい。
てか、サカキは悪党です。誰が何と言おうと。

シャドー殿からご紹介いただいた台詞です。(ゆえに書体が少し他と異なります)

「星のカービィ」第89話「オタアニメ!星のフームたん」より。
アニメ制作の夢を諦めていなかったデデデ大王は、カスタマーサービスに頼んでアニメ制作のプロ・オタキング三人衆を送ってもらう。しかし彼らは「オヤジ系はダメっしょ」とか言ってフームをストーカーして回り、フームたんアニメを作ってばかり。放送前日にそれに気づいたデデデは今度は宇宙最高のアニメ作家であるオワルト・デゼニー(終わると出銭?)を招く。彼はモーションキャプチャーを使ってCGアニメを作るという。

「これでセルアニメーターは大量絶滅」
「アホ監督は野垂れ死に」
「制作期間の劇的短縮でコストも削減。お金もガッポリ」
「スグレモノぞい。がははは」
「でもそれで優れたアニメーターが育つ?」
「夢がねぇじゃん」
「夢より利益を上げなくては」


3Dとセル画が融合している「カービィ」から見ればやや自虐も入った風刺台詞。この後モーションキャプチャーから逆にデデデとカービィを操作してぼこぼこにするというシーンがやたら長く続くのですが、これは最近スペクタクルばっかやりだすディ(終

「・・・仮面、ライダー?それがお前の名前か」
「そうだ。俺とハヤトという男の名前だ。
「・・・自分たちで決めた名前か。自分たちで名前を得たのか。」
「そうだ。」
「わかった。その名、未来永劫、忘れることはないだろう。」


発言者 <大佐> <仮面ライダー>本郷猛
仮面ライダー1971誕生 著・和智正喜

そうだ、走れ。
走れ、本郷猛。狼となって走れ。
私も走った。あの大平原を。
生涯でただ一度、あのときだけは、自分が信じるもののために、ただ走っていた。
思えば、私の人生は、あそこで既に終わっていたのだ。
知らない内に、自分は走ることをやめていた。戦場を求めるといいながら、<ショッカー>に身を置くようになったときから、こうなることはわかっていた。どれだけ世界で戦おうと満たされることのない気持ち。
それは当然のことだ。魂はいつも、この地底の王国に閉じこめられていたのだから。<ショッカー>に飼われる道を選んだ、あの選択を下したとき、自分は既に死んでいたのだ。
自分で、自分を、殺したのだ。

・・・走れ、本郷猛。


発言者 <大佐>
仮面ライダー1971誕生 著・和智正喜

「本郷さん。あなたは言っていましたよね。生化学の道を選んだのは、命に興味があるからだと。あのお話を聞いたとき、私はとても嬉しかった。だから私も正直にお答えしました。この私も『命』に興味があると。
「・・・・・・・・・」
「それは、私が、命を愛しているからです。緑川先生が亡くなられたと知ったときも、一晩、涙が止まりませんでした。この世の中で、命ほど愛しいものはありません」
「だったらなぜ・・・・・・<ショッカー>の一員でいる。<ショッカー>は・・・・・・生きる者の敵だ」
「そのとおりかもしれません。でも、<ショッカー>は『命』の敵ではありません。だって、あなたも<ショッカー>が生み出したものなんですよ」
「・・・・・・・・・」
「<ショッカー>の誇り、<大佐>・・・・・・いいえ、あの金髪のとても綺麗な少年、フランツ・フェルディナンド。この世界で最も美しく、誇り高い狼と命のやりとりをして、貴方はそれに勝ち残った。フランツの命は、貴方の中にある。そして、その貴方が、今、私の前にいる。それが、どれだけの感動か、貴方に解っていただけますか?」
「・・・・・・・・・」
「今の貴方は、命、そのものです。」
「・・・・・・楠木美代子。この男の最期を看とってくれた礼だ。今は見逃す。しかし、次にあったとき・・・俺はお前を許さない。<ショッカー>の一員として、認識する。」

「本郷猛、貴方を愛しています!」


発言者 楠木美代子 <仮面ライダー>本郷猛
仮面ライダー1971誕生 著・和智正喜

いずれも同じ小説より、<ショッカー>の構成員達の台詞。

本来ならば名台詞に分類したほうがいいのかもしれない。だが、あえてこちらに配置する。

・・・解説、不能・・・

ただ、感じてくれ。

シャドー殿からご紹介いただいた台詞です。(ゆえに書体が少し他と異なります)

「漂流教室」より。

「きさまらガキは、まだ人間になっていない動物よ!! おとなは人間でガキは動物よ! だからおとながガキを生かすも殺すもかってよ!!」

学校が人類滅亡後の未来に飛ばされたという非常事態で、子供たちを支配して自分だけ生き残ろうとする「給食のおじさん」こと関谷の台詞です。子供は未来の希望という考えと正反対な、腐りきった大人の象徴です、彼は。

シャドー殿からご紹介いただいた台詞です。(ゆえに書体が少し他と異なります)

「星のカービィ」第94話「脱走魔獣ファンファン」より。
ホーリーナイトメア社から魔獣が脱走して、ププビレッジで暴れまわる。しかし魔獣ファンファンは本当は気が弱く優しい魔獣だとカスタマーサービスから聞いたデデデは、ここぞとばかりにファンファンに向かって行きーー

「専守防衛!」

…………(゜Д゜,,)

「可愛いっ、光の叫び声・・・大好き!もっと可愛い声、聞かせて光!」
発言者 ノヴァ
魔法騎士レイアース(アニメ版)

なんというか、危ない台詞である(汗)いいのか、これ。一応攻撃を加えて言った言葉であり、それ以上の意味は無いはずなのだが。
発言者であるノヴァは、いわゆるライバルキャラ的存在で、主人公「獅堂光」を付けねらうのだが。
その執着が尋常じゃないのだ、この台詞見てもらえば分かるとおり。研究所第二課の「ハカイダー・シンドローム」のところでも取り上げたけど、サディスティックな恋愛感情の何者でもない・・・同性(光もノヴァも女の子)なのに。
彼女は元々「戦え!イクサー1」におけるライバルキャラ・イクサー2のオマージュっぽいところがあるのだが、イクサー2よりもさらに性格歪んでる気がする。

・・・というか、サドなレズ(否定不能)


「あいつが今一番憎んでいるあたしが目の前にいるのに気がつかない
そしてそのだれに見せたことのない無防備な姿を見せるのだ
この快さが分かるかい…?わたしはサキにすり寄っていき
あいつの熱い息を感じるほど近づいたときは体中が痺れるほどのを興奮を感じるんだ」
「何ヶ月もかかって…人に馴れない小鳥と心を通わせる
鳥がすっかり私になついてしまう…楽しい日が続く
そうして料理の準備ができたときも…
小鳥はいつものようにてのひらにとんでくる…うれしそうに
ナイフでその首を斬り落とされるのも知らないで」
「姉さん……」
「サキ姉さん…」
「そう呼びかけるたびに」
頬は紅潮しあたしの胸は高なる…
まるで恋でもしているように…」
「しばしこの耐えがたい快感に身をゆだねよう
料理の用意ができるまで…」
「サキ…おまえもしばらくはまどろむがいい…
これがおまえにとって最後の安らぎの時間になるだろう…」


発言者 海槌麗美
スケバン刑事 著・和田眞二

この手の危ない女性ライバルキャラクターの元祖と言えるキャラクター、海槌麗美。(他にも彼女は史上初めて「視聴覚教室を利用した学生の大量洗脳」を実行した悪の偉人でもある。この作戦はのちに学園戦闘モノの定番となり「紅い牙」「炎の転校生」「あるある!夢境学園」などに受け継がれた)
そんな彼女が宿命の敵・麻宮サキの妹に顔と体を整形してまで化け、罠を張り巡らせているときの言葉がこれ。彼女本人が言っているように、まさに恋心に近しいまでの想いと執着である。互いに少女でありながら狂った宿命ゆえ力で生きる人生しか選択できなかったが故に似ており、故に惹かれあったのかもしれない。


「なぜ私は…
サキにとどめをささなかったのか
苦しませたあげくに…殺すつもりだったのに…」
「あいつが苦しむための罠を考えるときほど楽しい時間はなかった
サキを殺そうと狙う母親
私の顔をした妹
妹に化けたわたし」
「いずれも肉親という血の絆にがんじがらめのサキには
血の逆流するような罠だったに違いない」
「それなのに
…私は心のどこかでその罠をくぐりぬけてほしいと願っている」
「私はサキに追われているのか
それとも
サキを…
追っているのか…」


発言者 海槌麗美
スケバン刑事 著・和田慎二

しかし、その執着が最終的に麗美の足を引っ張ることとなった。この言葉の直後、東京を炎上させ海外脱出を企む彼女の船エノラ=ゲイ号(凄い名前だ)に、サキが乗り込んでくる。
この二人の対立の理由は、結局のところ似たものである二人の些細な、しかし決定的な違いであろう。頭が切れすぎた故に孤独であり戦う相手であるサキ以外に友情を感じる相手の居なかった麗美と違い、やはり荒んだ生き方をしてきたサキにはこのとき学生刑事としての戦いから仲間が、友が、愛するものが生まれ始めていた。それゆえにサキの気を引こうと、サキの心を自分だけに向けようと(そのようにしか見えない)その仲間を次々手にかけた麗美の判断がこの状況でサキを追いつかせた。


「サキ…
あたしはあんたを待っていたのかもしれない」
「あたしは今人生に感謝している
一生に一度会うことがあるかどうかという敵に
めぐり会わせてくれた人生に…」
「あたしも心のどこかがそう言っている
だが…犠牲が大きすぎたぜ!海槌麗巳…」
「人間として刑事としてもはやどうしても許せねぇ…
限界まで来ちまった覚悟しろ!」

「今まで悪に後悔したことはない
そしてこれからも!
覚悟するのはおまえの方よサキ!」


発言者 海槌麗美 麻宮サキ
スケバン刑事 著・和田慎二

以前掲載した台詞であるが、今回資料が入ったので微妙に修正。

この状況、一見海槌麗美もサキも互いに心底から戦う気満々のように思える。しかしその実、我輩には海槌麗美にはこの状況で「勝つ」気があったのかどうか疑わしいような気がする。あくまで彼女はサキと「戦う気」はあってもそれだけで、「勝つ」までは考えていなかったのかもしれない、と。

仲間のあだ討ちいに燃えるサキと違い、麗美にとってこのとき命がけで得たい、というほどのものは何も無いのだ。守るものも、倒したいものも。麗美はこの時点で日本の中小犯罪組織を叩き潰し欧米大組織(第二部で「猫」という組織名が判明)の幹部として迎えられる直前であり、確かに地位としては上り坂のようにも思える。その気になれば、「猫」のトップになることも不可能ではなかっただろう・・・しかし。それは、麗美にとってそこまで重要なものではない。それはこの時点、犯罪組織幹部としての船出においても尚彼女の心を独占し、そしてこの彼女の人生の最後の、もっとも充実し生き生きした戦いの相手である麻宮サキ、結局彼女の存在しか麗美の餓えきった心を満たせるものは存在しなかった。この戦いこそが(本人は気づいていなかったかもしれないが)麗美が求めたものすべてであり、そしてそれゆえに麗美の最後の地となったのだろう。

友が居なかったことが彼女をしてサキに執着せしめ、そしてそれゆえに彼女との最後の戦いを招いた。そして決着が海槌麗美の敗北で終わったのも・・・また友輩(ともがら)が無きが故に。

結局彼女が追い求めた、渇望したものは・・・友情だった、のかもしれない。

事実その十数年後和田慎二氏はコミックフラッパーという雑誌に、「もしも海槌麗美と麻宮サキが同志だったら」という漫画を描いており、そこにおいての海槌麗美は原作においての餓えた毒蛇のような雰囲気は無く、むしろ穏かで満足げな感すらあった。


これと呼応するのが下のセリフ(なので今回の修正にあたり、上のほうから移動させた、こちらは変更ナシ)。


「不思議ね。麗巳の敵であるあなたに初めてあったとき・・・やはり憎み合う敵だと思いながら、一生を通じての友人になる予感も・・・あったのよ。」
「わかってる。麗巳も、あたしも、そしてあんたも、生きる道がそれぞれ違っていただけなんだ。出会うためには闘うしかなかった。あたしたちはわかりあうために、ぎりぎりのところで闘っているのかも知れない。」
発言者 鳴海碧子 麻宮サキ
スケバン刑事 著・和田慎二

そんな海鎚麗巳の友であった碧子が、サキとの闘いの果てにいったのが、この言葉。
似ていて、少し違うが故に。同じ激しさで、違う道を進んだが故に。彼女たちは闘わざるを得なかった。
それが、好敵手という存在。殺したいけど殺したくない、歪んだ合わせ鏡のような。同じ道を歩んでいたのなら、互いに生き方を尊敬しただろう。
そんな存在の、克明な説明。

「武器は進歩する。サーベルからマスケット銃、マスケット銃からライフル、ライフルからマシンガン、そして核・・・そのたびに古い兵士は新しい武器を見て嘆く。「なんとロマンのない、醜く、無惨なものを」とね・・・そして、馴れるのだ。たとえ怪物だろうとね。」
発言者 フランス軍事産業バイヤー
鬼姫斬魔行 神野オキナ

確かに・・・と思うかも。兵器の進歩とは、そういうものなのかもしれない。
しかし総てを焼き尽くす核兵器や、このバイヤーの眼前でテストされた人間の死体に妖怪を宿らせた自動殺戮人形など、そこまで非道なモノを「武器」と呼べるだろうか?
そう言う意味、これは紛れもなく悪辣なる言の葉。



「あなたが私よりも強い存在になるのが許せなかったのよ。あたしの周りで、一番無能で、あたしより立場が下なのは貴方だけだった・・・それがもしも鬼を手に入れたら、一族の誰も貴方に逆らえなくなる。いえ、ひょっとしたら蒼観の家でさえも。そうしたら、私は?・・・一族で一番下になる。そんなことは、許せなかった。」
発言者 緋観真凪
鬼姫斬魔行 神野オキナ

一族の堕ちこぼれである主人公の少年に誰よりも優しく接してくれた姉のような存在。
しかしその裏には、どろどろとしたくらい情念が存在していた。余りに一方的で、あまりに利己的な。
人間の嫉妬心の恐ろしさを表す悪台詞である。


「イヌイットの人達が最初に、犬ぞり用の子犬にすることが何か、知ってる?死ぬほど棒で殴るそうよ・・・・・・・・そうやって上下関係を徹底して教え込むの。もちろんそれで死ぬ子犬もいるけど、それは所詮ソリ用の犬として生きていけないから、自然淘汰の一環になるの・・・・そして、大きくなっても、少しでも反抗的な態度を見せたら、子犬の時同様に死ぬほど殴るんですって。猟犬もそうなの・・・わかる?「ダガー」という生き物はね、犬なのよ。優秀な猟犬なの。役に立たなければ何の価値もない犬なの。だからああやって恐怖を教え込むの・・・そう、要は優秀な狩人であればいいのだから。」
発言者 鷹月敏江
闇色の戦天使 神野オキナ

元祖神野系悪女(勝手に命名)鷹月敏江の残虐性をもっとも如実に表す台詞。
劇中、「人の皮の下に血塗れのおぞましい蟲の本性を隠した女」と比喩されるだけのことはある。・・イヌイットの件が本当かどうかは知らないが、演出的価値もある、まさに悪台詞の中の悪台詞である。


「スーパー1、お前は美しい。お前には醜い怪人の悲しみは分かるまい!」
発言者 <死神バッファロー>メガール将軍
仮面ライダースーパー1

全仮面ライダーシリーズ通しで屈指の名台詞(断言)。
仮面ライダーは確かに改造人間であるけれど、悲劇を感じねばならないほど醜い存在ではなかろう。それに比べて怪人は必ず「化け物」言われるような外見で、仮面ライダーには仮初にしても存在する表の社会との交流生活もなく、そして仮面ライダーより弱い。
・・・この哀しみ・・・
代弁するメガール将軍がまた宇宙開発研究所という公的組織に作られたサイボーグ第一号でありながら手術失敗で自殺しかけていたところをドグマ(悪の組織)に助けられたという存在であることが、またそれに確たる証拠を与える。

アイアンポーク大佐の悪台詞

大量ゆえ分割。クリックせよ。

「それは出来ない。このマスクは二度と人前で外さない。これは俺が人間をやめた証だ。」

「オレを蝶野攻爵と呼ぶんじゃない!その名を呼んでいいのは武藤カズキだけだ!」


発言者 蝶野攻爵
武装錬金 和月伸彦
蝶野侯爵。ギャグキャラの仮面を被った、しかし見事な悪である。病魔に冒されたゆえ名家の家督を継げずに冷や飯を食わされ(というか虐待か)、それゆえ強靭な肉体に「脱皮」することを渇望したその経緯もいかにもだが。
それほど、いやそれほど以上、名家のエゴから人間の腐った面をいやというほど見せられ、に人間を嫌悪しているがゆえに、蝶を象ったマスクをとるように言われての上の発現がある。

そして、唯一己を己としてみた好敵手・武藤カズキへの執着としての後の台詞がある。


「禁忌を犯しても悔いは無い。それだけの思いが確かにある。
  焦がれるこの胸の思いを狂気と呼ぶならば
    穏やかな恋しか知らぬ己の不憫を嘆くがいい」


発言者:レザード・ヴァレス
ヴァルキリープロファイル

村正宗殿からご紹介いただいた台詞。・・・すいません。結構前に頂いたものでしたのに今頃。
まるで詩のような印象の、それで居て激しい悪台詞。様々な状況に当てはまるゆえにことさら背景の説明を必要としないと思う。
いかにも悪(厳密にあくと言い切れるか微妙だけど)の恋、闇でありながらいやそれゆえに熱い。

「教育の自由とは何かーっ!それはつまり強制の自由!!体罰の自由!!なのです!!」
発言者・羽衣先生
スクライド(漫画版) 黒田洋介・戸田泰成

「何かしてからじゃ遅えんだよ。今してね〜から!ずっと犯罪しね〜〜わけね〜〜だろ〜〜が!!俺は無駄が嫌いな男でね・・・犯罪の芽を摘み取る・・・それは立派な正義だ!そうだろぉお嬢ちゃん。お前もそう思うだろ・・・!!アイム・ジャスティス!」
発言者・立波ジョージ
スクライド(漫画版) 黒田洋介・戸田泰成

「フフフ・・・HOLYはいいぞォ・・・合法的に殺人が可能なのだ!!!」
発言者・幽鬼霊
スクライド(漫画版) 黒田洋介・戸田泰成

ええと、解説としては下の二つの台詞を言った立波ジョージと幽鬼霊は一種の警察組織である「HOLY」に所属している、ということ。そして立波はこの台詞の後、ネイティヴアルターという一種の超能力者を、「犯罪者予備軍」として問答無用で射殺している。
そして、最初の台詞は・・・まあ教育を悪用する教師とでも言うべき悪党の台詞。

いずれにしても、相当無茶苦茶なせりふなのだが・・・よく考えて欲しい。現実の世界で、このような論理を振りかざしているものが存在しないだろうか?(くわしくは研究所第二課「悪台詞とアメリカ」を参照)

「改造人間が世界を支配し、その改造人間を私が支配する。世界は私の思うままになる。」
発言者 ショッカー大首領
仮面ライダー 石森正太郎

最も基本的古典的な悪台詞にして、ショッカーの、ひいては悪の秘密結社の基本戦略を表す台詞とも言える。

「アメリカ合衆国の大統領であるということは・・・すなわち世界の王であるということだ。」
発言者 アメリカ合衆国大統領ニコラウス=J=ベネット
沈黙の艦隊 かわぐちかいじ

これは、悪台詞です。誰が何と言おうとも。


「お前への怒りが己(オレ)を強くした。お前への憎悪が己を強くした。お前への殺意が己を強くした。お前が! お前が! お前の裏切りが!己を強くしたのだ!」
「己に殺されろメタトロン!お前は己の糧となれ!,お前は己の贄となれ! 己はお前を失わなければならない!」
「お前は己という悪夢に喰われて死ね!」


発言者 サンダルフォン
斬魔大聖デモンベイン

狂気的ライバルの台詞として、まさに一級品の代物。この貪るようなまでに宿敵を求める狂気!


「結局渚には勝てなかった。だがお姉さまには、イクサー1にだけは勝つ!私ははイクサー1と戦うために作られた、そのためだけに作られた・・・イクサー2だっ!!」

「私も・・・渚のようなパートナーが、欲しかっ、た・・・」

発言者 イクサー2
戦え!イクサー1

上のサンダルフォンのそれと違い、同じライバルキャラでもこちらは弱さを見せる言葉。
渚、というのは主人公・イクサー1のパートナーである少女。彼女の心をイクサー2は手に入れようとして、結局は失敗。渚と完全同調に成功したイクサー1は、イクサー2が叶わないほどパワーアップしてしまう。
自分にもはや勝機は無いことを認識しての、上の意地の言葉。そして敗れての、下の言葉の嘆き。

これもまた、ライバルをあらわす一つのありようである。

「愚か者め!自分が誰を選んだか・・忘れたとは言わせんぞ!」

発言者 ミスターB
ばいおれんす☆まじかる!〜九重第二の魔法少女 林トモアキ

魔族の協力して世界征服を目論んだマッドサイエンティスト・ミスターBだが、土壇場で裏切りを受ける。魔族の目的は世界征服ではなく、世界の破滅だったのだ。
それを阻止しようとするBだが魔族の長エンペローペはBを侮り、何が出来ると言い放つ。それに対するBの言葉がこれ。
マッドサイエンティストのプライド全開で、格好よすぎ。

「私は負けない!絶対、負けるものか!ここまで来た・・・貧民窟を抜け出して、黒薔薇と呼ばれたあのメリーサを蹴落として、この大役を手に入れた!私が魔王になると・・・!約束したっ・・・!負けない!負けないっ・・・!」
発言者 エンペローペ
ばいおれんす☆まじかる!〜九重第二の魔法少女 林トモアキ

・・・悪と呼ばれるものにも、必死になる「理由」がある。
そういうことだ、この台詞は。

「神は、狂血病によって人の魂を試しておられる。人の魂が殺戮と血の狂気の中で、気高き魂を持ち続けられるかどうかを試しておられるのだ。」
発言者 黒衣の者
キリエ-吸血聖女- 杉村麦太

人類を、その「人間性」なるものを試す・・・それが、吸血鬼(この世界では狂血病と呼称される)の王「黒衣の者」の目的だった。
悪たるものやはりそれくらいの信念を持ち合わせてくれねば、と思わせる言葉である。さらにこの台詞、この黒衣の者の「素顔」がまた威力を倍加させる。
吸血鬼の王「黒衣の者」その素顔は・・・明らかに「キリスト」、ナザレのイエスだった。確かに、死んでまた生き返る、死人を生き返らせるなど彼の行動はアンデッドであるな。
かつての救世主が、人を試す。その意図は・・・いわずもかなだろう。



「覚えておくがいいイクサー3、私達イクサーに弱者は必要ない。まして姉より弱い妹などな。」
発言者 イクサー2
冒険!イクサー3

前作「戦え!イクサー1」においての初登場シーンを繰り返すかのように、あの鮮烈な印象を蘇らせるかのように、暗闇の中から口笛とともに現れる、赤い髪の人造人間イクサー2。
自分の妹であるイクサー3に対し、こう言い放つ。その威迫は正に往年のライバルとしてのそのまま、のように見えるが。
実はこの台詞を良く見れば分かるとおり、ここには若干の皮肉と自嘲が見て取れる。姉より弱い妹はいらない・・・それは、戦闘兵器として作られ、妹=後継機であるイクサーにとっては確かに一面の真理。
しかしイクサー2は・・・姉、イクサー1に敗れている。単体の性能では確かにイクサー2のほうが上であり、イクサー1が勝ったのは地球人・加納渚との心の絆の力を得たからだ。だがしかし、敗北したのは事実。
それを踏まえて聞くと、この時点での心境やそこにかぶさるストーリーの味が分かる台詞だ。

「・・・何をしている、イクサー1。お前の愛した地球が、人間達が、滅んでしまうぞ・・・」
発言者 イクサー2
冒険!イクサー3

主人公・イクサー3を倒し、そしてまた手柄横取りを狙ったネオス四天王の長・ゴーレムをも一撃で倒し、圧倒的戦闘能力を見せ付けた後のイクサー2の、仇敵・イクサー1へ呼びかける台詞。
台詞の文言・語調自体は静かなものだ。しかし、その直前の凄まじい力の発現、そして渦巻く爆縁を背に、ひときわ高く流れるテーマBGMが、このシーンと台詞に激烈な格好よさを与えているのだ!
そしてその激しさと、台詞の静かさのコントラストが・・・イイ。
やはりイクサー2は、女性ライバルキャラの中ではトップクラスである。「知性・策略」では海槌麗美(スケバン刑事)、「過激さ」ではノヴァ(魔法騎士レイアース)だろうが、「格好よさ」では紛れも無くダントツでイクサー2だろう。

「・・・<大使>」
「何かね?」
「クレタ王身の巣の妃、パーシパエ」
「・・・ん?」
「彼女と牡牛の間に生まれた怪物の事を知っているかね?」
「・・・ミノタウロスか。」
「そうだ。牛頭人身の怪物、ミノタウロスだ。呪われた怪物を隠しておくため、ミノス王はダイダロスに命じて、迷宮を作らせた。そこに閉じこめられたミノタウロスは、生贄となった若き男女を貪った。英雄テーセウスに葬られるまで、な。」
「・・・・・・・・・」
「いろいろな書物を読んでみたが、私の知りたいことはどこにも書かれていなかったよ。テーセウスに倒されるまで、ミノタウロスは一体、何を考えていたのだ?」
「・・・・・何も、考えていなければいいな。それなら、幸せだったろうな。」

発言者 <大佐> <大使>
仮面ライダー−誕生1971− 著・和智正喜

「倒されるまでの怪物」というものへの、同じ「怪物」の考察。
倒されねばならず、倒されることを望まれ、そして倒されることが決まっている存在の、それにいたるまで。


「男が権力を手にいれようとするのに理由なんか要るのか?」
発言者 オルトロス
総理大臣のえる! あすか正太

なんともかんとも嫌リアリティ溢れる悪台詞。
実際この世に多いのだよ、用もないのに権力を求めたり、使いきれないほどの金を搾り取りたがる者って。
いい例だが、何千人もリストラして自分の懐に入る金を増やすCEOとかは、何考えてるんだろかね?
自分で使い切れない量貯めてどうするんだろう。それより、自分に最低限必要なだけ取ったら人に分けようとは思わないのだろうか。


「作り物の君達に、愛などあろう筈もない。花に心がないのと、同じように。」
発言者 プリンス・ゼラ
キューティーハニーF 原作・永井豪

前半は人造人間へのありきたりの罵詈讒謗なのだが、後半がちょいと特殊。
美しい花に人間は様々な思いを投影するが、しかし実際には植物には脳も何もなく、(人間的な意味では)何も考えておらず、心もあろう筈もない。
その辺を指摘した台詞というのはなかなか珍しい。

「私は非・戦闘員ですから・・・!」
発言者 神官モリモト
Z MAN 著・西川秀明

なんとも情けない台詞。
機を見るに敏でちょこちょこと動き回る小悪党キャラに相応しい台詞では在るが・・・
(しかし同時にこやつ最後の最後で大化けするわけだけど)

諸君、私は戦争が好きだ。
諸君、私は戦争が好きだ。
諸君、私は戦争が大好きだ。

殲滅戦が好きだ
電撃戦が好きだ
打撃戦が好きだ
防衛戦が好きだ
包囲戦が好きだ
突破戦が好きだ
退却戦が好きだ
掃討戦が好きだ
撤退戦が好きだ

平原で、街道で
塹壕で、草原で
凍土で、砂漠で
海上で、空中で
泥中で、湿原で

この地上で行われるありとあらゆる戦争行動が大好きだ。

戦列をならべた砲兵の一斉発射が轟音と共に敵陣を吹き飛ばすのが好きだ。空中高く放り上げられた敵兵が効力射でばらばらになった時など心がおどる。

戦車兵の操るティーゲルの88mmが敵戦車を撃破するのが好きだ。悲鳴を上げて燃えさかる戦車から飛び出してきた敵兵をMGでなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった。

銃剣先をそろえた歩兵の横隊が敵の戦列を蹂躙するのが好きだ。恐慌状態の新兵が既に息絶えた敵兵を何度も何度も刺突している様など感動すら覚える。

敗北主義の逃亡兵達を街灯上に吊るし上げていく様などはもうたまらない。泣き叫ぶ捕虜達が私の振り下ろした手の平とともに金切り声を上げるシュマイザーにばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ。

哀れな抵抗者達が雑多な小火器で健気にも立ち上がってきたのを80cm列車砲の4.8t榴爆弾が都市区画ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える。

露助の機甲師団に滅茶苦茶にされるのが好きだ。必死に守るはずだった村々が蹂躙され女子供が犯され殺されていく様はとてもとても悲しいものだ。

英米の物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ。英米攻撃機に追いまわされ害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ。

諸君、私は戦争を地獄の様な戦争を望んでいる。諸君、私に付き従う大隊戦友諸君、君達は一体何を望んでいる?

更なる戦争を望むか?情け容赦のない糞の様な戦争を望むか?鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様な闘争を望むか?

『戦争(クリーク)! 戦争(クリーク)! 戦争(クリーク)!』

よろしい ならば戦争だ。
我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳だ。
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただの戦争ではもはや足りない!!

大戦争を!!
一心不乱の大戦争を!!

我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ敗残兵に過ぎない。だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団となる。

我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう、髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう、連中に恐怖の味を思い出させてやる、連中に我々の軍靴の音を思い出させてやる。

天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる。
一千人の吸血鬼の戦闘団で、世界を燃やし尽くしてやる。

「最後の大隊大隊指揮官より全空中艦隊へ」
目標英国本土ロンドン首都上空!!

第二次ゼーレヴェー作戦、状況を開始せよ。

征くぞ、諸君。

発言者 少佐
HELLSING 平野耕太

ネットでは結構有名な少佐の大演説。悪美を存分に体現した、漫画史上に残る名悪台詞である。
個人的には、「連中に我々の軍靴の音を思い出させてやる」がツボ。

「現れたな・・・まだ癒えぬ体の傷と、決して拭えぬ恐怖を抱え、我々と戦うつもりかね。」
発言者 白の鉄槌兵団
キメラ 緒方てい

悪のゴレンジャーとでも言うべき風体の白の鉄槌兵団。一度追い詰めいたぶった相手に対するこのいやみったらしいまでに芝居がかった口調、そしてコロッセオという舞台。

実に悪っぽい台詞である。

「十字軍を見ろ、アステカの悲劇を見ろ。神の名においてまた聖戦の美名の下にどれほどの人間が殺され、幾つの文明が闇の彼方に葬り去られたか。たとえ異教徒であろうと人間が人間を殺していいという法はあるまい。宗教はそんな単純な道徳律すら忘れさせるのだ。人間の良心を麻痺させる麻薬のようなものだ。これが悪魔のつくったものでなくて何だ!」
発言者 魔界大侯爵アスタロト
アスタロト 魔夜峰央

人間の正義の根っこたる宗教を批判し、「宗教は悪魔が創ったものだ」という悪魔。何とも背徳的であると同時に、このアスタロト侯爵の持つ妖艶さが背徳感に拍車をかけて、何とも悪美学溢れる台詞に仕上がっている。
そして同時に、確かにこの台詞には正しさが在るのだから、尚素晴らしい。


「娘たちがいる。いつの時代にも、世界のどこかに必ず一人、可愛らしくて、純真で、心優しい娘が・・・だから俺は世界を滅ぼせない。」
発言者 堕天使アザゼル
妖魔夜行戦慄のミレニアム 山本弘

上の台詞とからめて。こちらは女好きの堕天使アザゼルの台詞。(厳密には彼は世界をヨハネ黙示録のように滅ぼそうしている「唯一神」という名の妖怪と戦っているので悪台詞に分類するのは違うのだが、いかにも悪魔っぽい言い回しなんでこちらに格納)
世界を滅ぼす神と敵対してそれと戦ってはいても、時々人間の愚かさや残酷さに、いっそ人間を滅ぼしたほうがいいんじゃないかと思うというアザゼルに、何故人を滅ぼさないかと聞いて、答えがこれだ。
何とも悪魔らしい、正義や倫理によらない面白い理由である。


「オレはジールに誓った・・・いつかまたこの旗を、宇宙に翻してやるとな!俺はやっぱり、骨の髄から宇宙海賊よ!」

「お前は死んだんだ・・・そして生まれ変わったんだ。綺麗だぜ・・・シーマ・・・やっぱりお前は、アマンガ星のお姫様だ。」

発言者 副官ブーバ
電撃戦隊チェンジマン

戦隊ヒーローの敵役というとステロタイプな印象を普通人は抱くかもしれないが、なかなかどうしてそうではないことを痛感させる台詞。見ろやこの渋さ。特に後ろの台詞、仲間で元王女のシーマを戦場で死なせないために相手を仮死状態にする技をあててから戦場に出て、チェンジマンと戦ってボロボロになったときにそのシーマが来たときの台詞なのだが、正直ヒーローよりも粋ではないか?


「彼女は殺されたんだ。なのにどうして、犯人は生きてていいんだい? たったひとりの女の子さえ幸せになれないというのなら、ぼくは、そんな世界は否定する。その世界がおしつけてくる倫理も、道徳も、丸ごとなにもかもだ。」
発言者 マルセル
狗狼伝承・転輪少女サヤカ 著・新城カズマ

彼の論理は狂気のそれであり、彼の言葉は悪の意思である。
しかし、そこには強さが在る。悪なりの正しさが在る。貴方は、貴方の心の不可分の領域にある存在を奪われたとき、怒りを感じるでしょう。
その時貴方の心は、1%かそこらは、彼と同じようになるだろう。
故に、彼のこの台詞は、汎世界的な魅力を持つ。


「てめェらもつくづくバカな野郎たちだな・・・奪って壊してこその星じゃねェか・・・守る価値なんてありゃしねェ・・・!」

発言者 ゼイハブ船長
星獣戦隊ギンガマン

つくづく悪らしい台詞。
ゼイハブは宇宙海賊バルバンの長。外から星を襲う者特有の、星に住む者とは決定的に違う考え方がいかにも悪らしい。


「寄るな!俺は俺でいたい!これ以上お前の側にいると、俺が俺でなくなってしまう!・・・世話ばかりかけちまったな・・・亮、ありがとう。」

発言者 的場 陣
五星戦隊ダイレンジャー

正義に近づくが故にそれに影響を受けてしまうことが多い悪のライバルの、心の叫びとでも言うべき台詞。
また物語的にも、一人の男の最後、一つの節の終わりをこの後の夕焼けの中戦って死ぬシーンと共に演出している。

「俺はいつも2番目だったが・・・災魔人生にたった一度でいい・・・大輪の花を咲かせ・・・母上様に褒めて・・・欲しかった・・・!」

発言者 コボルダ
救急戦隊ゴーゴーファイブ

四大災魔兄弟の次男で、力は強いものの頭はそれほどよくなく、魔力などを含めてしまえば折角の怪力も突出したものがないことになるコボルダ。
そんな彼が最後の最後まで、自分達を生み出した存在である大魔女グランディーヌを慕いながらも、そのグランディーヌに操られた兄ジルフィーザに倒されての台詞がこれである。
二番目の悲哀、というのがにじむ。

「何故、何故です母上!? いや、グランディーヌ!!なんのつもりだ!! 俺に・・・何故愛する弟を殺させた!?母に忠誠を誓う・・・愚かだが、愛しい弟を!!」

発言者 ジルフィーザ
救急戦隊ゴーゴーファイブ

そのコボルダを意に反して殺めてしまったジルフィーザの、血の叫び。
兄弟を愛し、そして長兄であるが故に母との間に立って、その目論見に感づきながらも一矢も報えず散ってしまった魂の苦悩が表れている台詞である。

「子供はいつか親を裏切るものだ、お前達とて例外ではない。そんな危険な存在を、この世に残すつもりなど微塵も無い。お前達兄弟が今まで生きてきたのは、利用価値があったからだ。」
発言者 大魔女グランディーヌ
救急戦隊ゴーゴーファイブ

そして四大災魔の母、グランディーヌの回答がこれなのだが・・・
あんまりだ。何者をも信じない、まさに悪辣の化身と言えるほどの台詞であるが、ジルフィーザたちが哀れでならぬ。

「フフフ、怖かろう・・・その身に鎧は纏えても、心に鎧は纏えないのだ!」
発言者 北辰
機動戦艦ナデシコ劇場版

絵は綺麗だが話的にはいまいち尻切れトンボ肩透かし感が強い劇場版ナデシコだけど、そのなかで一人目立っていた男、北辰。
こいつと部下の北辰六人衆だけ雰囲気が時代劇だけど、それが凄く似合う。それをお笑いにしない鋭さがある。

左右で黒目の大きさの違う独特の目(片方が義眼だとは最近知った)を見開いてこの台詞を言う北辰は中々に悪の美を体現している。

村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

確かに我等トランスフォーマーは戦う為に生まれてきた戦士。
だが、私は戦いの中でも光を見続けたいのだ。勝ち残る者が正義ではなく、正義が勝つのだ!!


発言者 コンボイ
超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説

ふはははははは!! それもよかろう…。
だが、戦いの中でしかその言葉を導き出せなかったこと、覚えておけ!


発言者 メガトロン
超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説

一緒に提示しないと意味のない対となる台詞である故にこちらに掲載。戦うために生まれてきたがその戦いの中でも光を見続けたいという正義のコンボイに対し、宿敵メガトロンのこの言葉は中々痛烈だ。正義の味方のいい言葉は、戦いの中から生み出されるというのは、確かに皮肉である。


「我々は生きている!!我々は紛れもなくここに生きている。しかし人間はそれを認めようとしなかった。それどころか目にも余る残虐な手を尽くして我等同胞の命を排除した。あたかも、裁きを下す者の如く、あたかも、彼等がその権利を有するかのごとくだ!!命に優劣があろうか。生きるという切実なる想いに優劣などあろうか。ただ一つの生を謳歌する言葉の重みに優劣などがあろうか。ない。・・・あるはずがないのだ!!!しかし人類は目に見えぬ天秤の上に我々を乗せた。それが仮に彼等の権利だというのなら逆もまた然り!我々がその権利を有することも可能なのだ。・・・我々はここに王国を築く。我等の命が命じるまま。我等の心の赴くままそして、我等の願いが導くがまま!!我等、地を治る新たな新造人間と称し、人間を・・・・・・・・・・・・皆殺しにする。」
発言者 ブライキング・ボス
CASSHERN

CASSHERNは映画としては微妙であった、主張やラストが。ロボット軍団の戦闘シーンなどは良かったのだが。
しかしその中で突出して光っていたものがある。唐沢敏明演じる新造人間の長、世界征服を目指す敵たるブライキングボスだ。
望まれずに生まれ、一方的に殺しつくされそうになったのを生き延びた新造人間。その長として切なる命の叫びを上げ、彼は世界を制することを誓う。
この雄叫びは、凄まじく格好いい。

「私はここで生まれた。だから貴方を父と呼ぶべきかもしれない。しかし私の憎しみは、子供が親を愛するのと同じように深い。この憎しみが私を蝕み滅ぼそうとも、私はこの憎しみを開放することが出来ない。何故なら私は憎しみによって産み落とされ、憎しみによって育てられた。憎しみとは人間なり!!貴方にはもう一人息子がいた。みどりという暖かい母との間に生まれた鉄也という子が。しかしその鉄也は今日、本当の意味で生まれ変わる。・・・私の弟として。」
発言者 ブライキング・ボス
CASSHERN

こちらはそのブライキングボスが、彼を作った東博士を前にして博士の息子鉄也を捕らえての台詞。
子供が親を愛するのと同じように深い憎しみ、など、力だけではなく言い回しにも秀でた台詞である。

「母さん」
「みどりは眠っている。」
「母さんに何をした。・・・何をした!」
「みどりは眠っているだけだ。彼女が夢見る楽園で。」
「楽園?」
「そうだ、争いのない、誰もが共存できる世界。私が約束した世界だ。」

「ただ待つだけでは生きることすら叶わんのが人間の世界だ。ただ生きることだけを求めて、これまでどれだけの人間が死んでいったのだ?愛するものとの平穏な暮らしだけを求めて、一体どれだけの人間が死んでいったのだ?!生きるために戦うことが前提にある世界・・・それが今の人間の世界だ。私はその世界を破壊し、生きるためだけの国を作る。・・・楽園だ。」

「そのために、お前とまったく同じ願いを持つ人たちが死んでいるんだ!」
「その中に、誰か一人でも我等の言葉に耳を傾けたものがいるのか!?この城にたどり着くまでの間、一体誰が我等に手を差し伸べた!!ただ生きるという願いを、誰が聞き入れたのだ!!!・・・みどりだけだ。みどりただ一人だ。」
「お前が勝手に母さんを・・・」
「違う!みどりが我々を救ってくれたのだ。」
「嘘をつけ・・・」

「お前は一体何のために戦うのだ!我等を倒せばそれでお前の戦いは終わるのか!?生きることの叶う平穏な世界が約束されているというのか?お前はそこで生きていくことが出来ると思っているのか!?人間でないものに生まれ変わったお前に・・・甘い!!人間が人間である限り、人間が幸せに暮らせる世界は生まれない。人間の歴史や宗教が、それを証明しているではないか!お前にとって善とは何だ。悪とは何なのだ!!私と共に戦え。私と共にこの世界を作り直すのだ!私にはもうお前しか仲間がいない。忘れるな。お前は既に人間ではないのだ。」

発言者 ブライキング・ボス 東鉄也=キャシャーン
CASSHERN

そして眠る東鉄也=キャシャーンの母、新造人間達をその逃避行において生きるように励ましたみどりの前で、ブライキングボスはキャシャーンと激突する。
「正義とやらが勝っても何も変わらない」という彼の主張は物凄く痛烈である。そして、激しくも重い。
この鋭さと重さを併せ持つところこそ、ブライキングボスの真骨頂である。

「今、我が姫君の二千年にわたる苦悶と憎しみをこの剣に託し・・・己は貴様の前に立つ。越えてみせろ、伊藤惣太。さもなくば滅んで塵と散れ!!」
発言者 紅の騎士ギーラッハ
吸血殲鬼ヴェドゴニア 虚淵玄+種子島貴

分かっていても、戦わざるを得ない。
戦うより他に、術を知らないが故に。
そんな存在の、勇ましさとは裏腹の切なさを内包する台詞である。

以下三つ、村正宗殿から頂いた台詞です。

「矢沢、ソリッドステイツを工場の中に突入させるんだ。」
「そんなことしたら、SS1が衝撃で爆発するかも知れません!」
「かまわん!…突っ込め!!」
「分かりました!」


発言者 矢沢 正木本部長
特急指令ソルブレイン

「私の父も母も毒を飲んで死んだ……あの時、本当の私は死んだんだ!
 私も憎しみを捨てたいと思ったことがある……だが、父や母のことを思うと、そんな自分に腹が立ち、だから合体したコンピューターに、憎しみを増幅させるフロッピーをインプットし、え、永久に憎しみが消えないようにしたんだ!」
「高岡…」
「はぐああ!!…やめろ、私から憎しみを奪うな……憎しみが無くなったら私はどうしたら良いのか……頼む、頼むから元へ…」

発言者 高岡隆一 正木本部長
特急指令ソルブレイン

「高岡…我がソルブレインの使命とは…人命のみならず人の心も救うことにあった!だが高岡の心だけは、最期まで…」

発言者 正木本部長
特急指令ソルブレイン

犯罪を解決し、人命を救助し、そのうえで人の心をも救う。それがレスキューポリス、ソルブレイン。
一家心中で天涯孤独と成った社会への復讐鬼というべきハイテク犯罪者、高岡隆一は野望や欲望ではなくただ只管そんな「善」への敵対を選択した稀有な犯罪者だ。
自らに「憎しみ」を注入し続け、最後の最後までその憎しみと共に善と戦い続け。
そして、そのままにて死んだ。

それは高岡隆一という人間の死ではあったが、同時にとうとう高岡が善によって改心しなかった・・・すなわちある意味でレスキューポリスに勝った瞬間でもあった。

「死んでも負けない」という稀有な悪の具現例の一人、である。


「何でそんな目で俺を見るんだ。俺の力は世の不正を正せと神があたえたもうたものだ。その俺に逆らう者はすなわち悪だ。悪を抹殺するのがなぜ悪い!?」
発言者 ウルトラスーパーデラックスマン
藤子F不二雄異色短編集 著・藤子F不二雄

突然強大なセイギノミカタの力を得てしまった一般市民が、暴走していく狂気の過程を描いた傑作短編からの台詞。
正義に逆らう者が悪という単純極まりない認識が暴走した結果、次々と人を殺してしまうという結果に。
書かれたときは架空で済んだのが、最近は現実問題がこれに追いついてるってのがさらにヤバイ・・・

「たいしたこたぁねーだろーっ、毎年、世界のどっかで旅客機は墜落してる・・・それよりは軽く済む!」
発言者 プロシュート
ジョジョの奇妙な冒険 著・荒木比呂彦

罪もない一般人を巻き込んで攻撃しようかというときの言い訳というかなんというかな台詞なのだが・・・
確かに正論ではあるんだよな。放っておいても世界の何処かで毎日毎日人は死に続けている。自殺や事故死みたいな不慮のものでも数万とか数十万とか。
それならここで何人か巻き込んだところで!という、いかにも「悪党系の正直さ」に満ちた台詞である。


「くだらぬ!弱し! 弱くてくだらぬ! お前たちは我に勝てると思うているのか!? 思うてはいぬであろう。弱いからな! ならば既におまえ達の戦いは、正義などという大義の元の戦いではない。自己満足だ!!弱い自分を認めたくないという自意識が生んだ、哀れな自己陶酔者。それがおまえ達の姿だ。槍の使い手よ、おまえはわかっていたのだろう。どんなに口で人間を救いたいといっても・・・絶望の闇夜に向かうしかないことがあるということを!!夜だ。この国に、おまえ達に!我が夜をもたらしてやるのだ!!」
発言者 白面の者
うしおととら 著・藤田和日郎

悪の台詞なのだが、意外にも微妙に説教っぽいと読み返してみれば分かる。後半は悪党的なのであるが、前半から中盤に掛けては寧ろ安易なセイギノミカタ、自己満足と陶酔を履き違えているタイプへの糾弾として、悪ではなく諫言をするタイプのキャラクターに言わせても通用するだろう台詞だ。
これも白面の者の悪としての格ないし人徳(いや、彼奴は妖怪であるから妖徳か?)だろうかな。


「おれはおめーのじじいをブチ殺してやったがオメーにオレを死刑にしていい権利はねえッ!」
発言者 アンジェロ
ジョジョの奇妙な冒険 著・荒木比呂彦

正しいからこそ腹立つ悪セリフである。
確かに現在の法体系においては、基本的に復讐は許容されないからなぁ。
それを分かっていて、死が死で購われることが少ないことに奢ってのこのセリフは、現行の法をどうこう言うつもりはないがやはり腹立たしいものである。


「ホッホッホッ、なんにもトクになることはありませんよ。ただわたしはこういう悪意のないイタズラが大すきなのです。」
発言者 喪黒福造
笑うせぇるすまん 著・藤子A不二夫

お前の何処に「悪意が無い」んだぁぁぁぁぁぁっ!!?
とツッこみたくなるセリフ。確かに一件純粋に他人のために変な力を使って、それで勝手に相手が破滅してるように見えなくてもないけど・・・
どう考えても相手がはじめから破滅するのを見越した契約をしてるとしか思えぬ。
しかしまあ、それでも一人だけ喪黒の行動を逆手にとって幸せに成った奴もいたが。


「勝てばよかろうなのだッ!!」
発言者 カーズ
ジョジョの奇妙な冒険 著・荒木比呂彦

日本語としては破綻しているのだが・・・
破綻っぷりが何かいいセリフである。「なのだっ!」という言い切りが。

「わたしは『生きのびる』・・・・・・平和に『生きのび』てみせる。わたしは人を殺さずにはいられないという『サガ』を背負ってはいるが・・・『幸福に生きてみせるぞ!』 」
発言者 吉良吉影
ジョジョの奇妙な冒険 著・荒木比呂彦

ささやかだが決定的に狂っている精神的異形の、ささやかにして小市民的かつ趣味人的な願い、といったところか。
人を殺さずにはいられないという天性に歪んだ殺人者。しかし、それ以外は普通であるというところが、ややこしく矛盾を体得している。



「うるせェな・・・オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ・・・勝つのが好きなんだよォォッ!皆殺しだ! いくぜェェッ!」
発言者 氷炎将軍フレイザード
ダイの大冒険

正々堂々戦えと言われて、こう切り返せる奴はそうそういない。
あくまでも結果が総て、そこに至るまでの経過に拘ることなく、卑劣な手をも含める全力でそれを目指す。
忍びのそれにもにた、正々堂々とは違う全力の形、と言ったところか。
悪らしい、正義とは違う「正しさ」のかたちである。戦場では手段など選ぶ暇は無く、問題になるのは結果、ということ。

「ヘッ、寝ぼけてんじゃねえよ。たとえ全てを失ったとしてもオレの勝利だけは逃さねぇ…!」
「オレはただ自分の無傷をあきらめただけだ・・・これから仕掛ける最後の技はオレにとってもハンパじゃなく痛ぇんでな・・・できることなら使いたくなかったが・・・よ!」
(・・・バーン様・・・我に勝利と栄光を・・・!)
「もう過去の栄光はいらねえ・・・新たな勝利をつかむために・・・オレは生命をかけるのだあッ!!!」
発言者 氷炎将軍フレイザード
ダイの大冒険
「同情などいらねえ。仲間の羨望の眼差しだけがオレの心を満たしてくれる。」
発言者 氷炎将軍フレイザード
ダイの大冒険

残虐。卑劣。倫理観0。凶暴。徹底的に勝利の栄光だけに固執するもの。
確かに、彼はそういう存在だが、それゆえに彼は悪として純粋だ。
拳銃の弾丸の如く真っ直ぐだ。人を殺傷するという目的のみに特化し一点の迷いも無く突進する。
敵を倒すために作られた魔道生命体としてそれはある意味では正しいありよう。それが存在意義であり、総てを捨ててでも勝ちに行くその姿は存在意義の実行以外の何者でもない。
故にこそ、悪の美しさがある。


「今すぐには辞められない。現実にそれで生活の糧を得ている国民が居るのだ。代わりの産業を興すまではやめられんさ。国民を殺すわけにはいかん。」

「私もそんな国の大統領になってみたいものだ。世界の何処よりも武器を作り、世界の何処よりも麻薬を消費しておきながら、悪いのは全部よその国だと言い張って侵略を開始する。愉快な話だとは思わんかね。」

「・・・と、そんなもっともらしい建前を今更かざすつもりはないがね。強い者には身勝手を押し通す権利がある。それがこの世界だ。私とてアメリカの大統領になっていれば、同じことをしただろう。」

「弱い者は純粋とでも思っていたか?純粋なものなど、資本主義が総て滅ぼしたよ。金が無ければテロも起こせない。」

「自分は関係ない、とでもいいたいか?君は生まれた瞬間から、幸せな国に生まれたという罪を背負っている。その幸せが他の国の犠牲によって成り立っているということも知らないという罪も含めてね!良心が痛むのなら、それが君たちの原罪だ。」

発言者 バルレッタ=バルヴェイス
総理大臣のえる! あすか正太

中南米の国家、エネスドラの大統領である彼は、小説内部での登場時間は短いし、それほど重要な登場人物でもない。中堅どころの小悪党、といったところだろう。
だが、麻薬生産を止めろといわれてからの彼の台詞の数々は、悪辣な含蓄とでもいうべきものに富んだ味わい深い台詞である。
世界の二面性と複雑さとそこから発生するあらゆる汚さを代弁するが如き言葉の濁流は、中々に重い。


村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

「正義の味方?誰も傷付かない世界だと?おかしな事を。誰も傷付かず幸福を保つ世界など無い。人間とは犠牲がなくては生を謳歌できぬ獣の名だ。平和という奇麗事は、闇を直視できぬ弱者の戯言に過ぎぬ。

――――雑種。お前の理想とやらは、醜さを覆い隠すだけの言い訳にすぎん。」


Fate /stay night
発言者:ギルガメシュ

「理想を抱いて溺死しろ!」

Fate /stay night
発言者:アーチャー

よくある、セイギノミカタ志望の未熟な少年に対する罵詈讒謗であるが・・・。
ま、この手の台詞への対応は、あるスポーツ史的逸話を持って対処が可能ではあるな。
かの名打者・王貞治は、「毎打席ホームラン」を狙ってバットを振ったという。無論、そのようなことは不可能と知りながらだ。
だがそれゆえに彼は大記録を達成した。
ようは、それと同じことだ。セイギノミカタを目指すことが、途中で潰え矛盾を露呈すること必至の大難事であろうとも、だ。

そこに「至ろうとする過程」に、充分な価値が・・・全員救うのは無理としても、有る程度救うことは可能という価値が発生する。
そしてセイギノミカタとは、その理想と結果の矛盾に、僅かばかりのかすかな光という報酬で十二分に耐え得ることが、その資格となる。その状態に置いてであれば、これらの台詞はその意味を失うであろう。

犬神長元坊殿から紹介いただいた名台詞です。(ゆえに書式が違います)

お薦めの悪台詞の紹介を。
モノは岩原裕二・著のコミック、『いばらの王』。
感染するとやがて石のようになっていって最後には崩壊するという奇病、『メドゥーサ』が蔓延する世界で、コールドスリープシステムで未来に希望を繋ごうとする人々。
ところが、彼らが目覚めた時、回りはいばらで覆われていて、異形の怪物が何頭も横行する地獄のような世界になっていた……! という出だしで始まる物語です。
しかもそれは世界中に広がっていて、人々は怪物に襲われる恐怖の中で暮らさねばならなくなっているのです。
実は、それは一人の男がスイッチを入れたからこそ起きた事。その男……天才ハッカー、『ゼウス』に主人公の一人マルコが何故そのような事をしたのか問いかけた時の答えです。
「目的? わかりきった事を聞くな マルコ」
「お前にはいつも口がすっぱくなるほど言ってきたじゃないか」
「誰も飽きる事無い究極のエンターテイメントを作る」
「人がゲームにすぐ飽きるのは死ぬことを少しも恐れていないからだ」
「死に対するリアリティーがまるでない」
「闇を恐れない」
「そしてそれは現代社会にも言える事だ」
「科学は人類から闇を奪い」
「獣たちから牙を奪い」
「結果 人間どうしの中にしか恐怖も闇も存在しなくなったのさ」
「……人間どうしの小競り合いほどくだらなく 退屈なものはねえ」
「裏社会で嫌ってほど思い知ったぜ」
「だからなマルコ」
「俺様が提供するのさ 世界を」
「すべてのハイテク兵器を無力化し 同時に発電施設 通信施設を破壊」
「人類から光と牙を奪い 復旧する前に俺様の息子たちを送り込んだ」
「フランス 日本 中国 ロシア オーストラリア アメリカ」
「世界中の人間が 俺様の世界で生きようと必死にもがいている 美しいと思わないか」


いやあ、ここまで突き抜けちゃった奴はかえって清々しいなぁ、と思ったり。
……もっとイッちゃってるのが出てくるマンガもあるんですが、こちらの紹介はまた今度の機会に……。

犬神長元坊殿から紹介いただいた名台詞です。(ゆえに書式が違います)

『救世主だ。人間どもが汚した地球を新しく創りなおす救世主だ』
(『メカゴジラの逆襲』より、大宇宙ブラックホール第三惑星人のムガール隊長の台詞)
母星の太陽がブラックホール化したために、移住先を探さねばならなくなった第三惑星人たちは、条件の良い星、地球を見つけ、自分たちより文明の度合いが低いと見て取るや侵略という手段で手に入れようとします。
最初に送り込まれた部隊はメカゴジラを擁して侵略作戦を仕掛けますが、ゴジラとキングシーサーの前に敗れてしまい、後がありません。
総大将とも言えるムガール隊長は、東京を灰燼に帰しめた後に自分たちの住む町を新たに作り上げる気でいます。(何でニューヨークとかパリとかを狙わないんだという突っ込みはこの際置いといて)
そのためにメカゴジラの残骸を回収、メカゴジラ2を建造。より強化されたそれと、親のエゴ、憎しみが故に利用されてサイボーグ化された少女、桂の頭脳とを繋いで破壊活動を開始します。
しかし、桂に好意を寄せる青年がやって来て、隊長へお前は何者だと問いかける……。その時の返答がこの台詞。
自分で言うか、ヲイ! と突っ込みたくなるような台詞でしょ(笑)。


シャドー殿よりご紹介いただいた名台詞です。

「あーあ、さっきまで動いてたのに、壊れちゃった。
 ねー、どこに命入ってんの、これ」


発言者 朝倉
ケイゾク

人の命をなんとも思ってない人はどういう発言をするのだろう。
例えばこんなこと。

「こ、こんなに強いのに・・・こんなに貴方は強いのに・・・!何故挫けてしまったんだ!?」
「残念ながら挫けたのではない、・・・気づいたのだよ・・・正義のための戦いが何も生まなかったことに・・・ちっぽけな勝利では世の中は変革できん・・・!」
「そ・・・そんなことはない!!いつか・・・いつかきっと・・・!!」
「気づきたまえ・・・理想に酔うことは甘美なる怠惰だということに・・・」
発言者 藤岡公平=ドッグファイター01 大佐=スター仮面
チェンジング・ナウ 著・UMA

「正義」とは所詮現状維持でしかない、という一面を鋭く抉る元ヒーローの悪の幹部、大佐の名台詞。
それまでどちらかというと昼行灯的な印象が強かっただけに、この正体を明かしてからのかつてない緊迫戦闘展開での台詞は効く。

「どうだね。理解してもらえたかな?これが聖者である私の力、法という理の力だよ。」
発言者 西の聖者フルネルソン
黒髪のキャプチュード 著・見田竜介

聖者という称号の癖につくづく下司な悪党である男、フルネルソンの嫌らしさ真骨頂台詞。
自分は何もせず(実際戦闘能力なんてものは欠片も持っていない)、戦闘一切合切部下任せにして主人公達を追いつめながらいやらし笑いを浮かべつつこの台詞。
「この世界の法」に守られている、「この世界の法」によって何をしてもいいとされた「正義の巨悪」の、嫌らしすぎる悪台詞。
こういうのを「まさに外道!」と言うのだな。



「世界中の心ある民よ、聞いて下さい。僕の重臣メイヤーが悪しき地球人に殺されました。数日前に討たれた西の聖者フルネルソンへの悲しみの涙も癒えぬ内に・・・この史上最悪の悪魔には最早極刑すら生温いと考えます。ですから僕は、その忌まわしい意志の侵食を許さない為にも、今から一週間以内に、彼と、彼がこれまで少しでも関わった人間を、全て皆処刑することをここに宣言します。」
発言者 北の聖者・騎神召還士(スペクトマスター)スプラッシュ
黒髪のキャプチュード 著・見田竜介

おおよそ「正義の体裁をとった悪」というのは極端な行動を取ることが多いのだが、ここまでブッ飛んだ極端さはそうそう見つからない。
何しろ主人公=キャプチュードとちょっとでも接触した人間は皆殺しということ即ち、殆ど無関係でしかないはずの人間から犠牲者が何百人何千人出るのは確実なのを、まるで当然の如く宣言しているのだから。
と言うか、疫病の消毒にしても隔離だけで済ますものを、汚物は消毒とばかりに微笑みすら浮かべてそれが世界の正義だと一辺の疑いもなく信じて「正義は勝つんだよ」とさっくりやっちゃうその狂気の領域の純粋さは凄みすら在る。
なまじっか美しい少年で、自分の部下や同僚が殺されたことに涙を見せたりするあたり、その「いびつさ」が際だつ台詞である。

シャドー殿からご紹介いただいた悪台詞(随分紹介が遅れて申し訳ない)

フロッグマンショー
破壊された街をみた総統の涙のセリフ

ううう、ううう、ううぅぅ…
なんて愚かじゃ。何故、世界征服を企むのか。
くだらん国境を取り払って世界を一つに結び、疑いやいがみ合い、傷つけあうことなく
格差をなくし、誰の子供も自分の子供と同じくらい愛するのが世界征服の意味じゃないのか!

ワシは怒っとるぞ。かつてないほど怒っとる。
こんな世界征服、世界の私物化ではないか!
こんな昨日今日世界征服を始めようとしたひよっこに出し抜かれては、世界征服暦23年のワシの名が廃る!
吉田君!博士!フィリップ!今すぐ奴らに本当の世界征服組織の恐ろしさを見せ付けてやるのじゃ!
たーかーのーつーめー



普段はバカばっかやってる「秘密結社鷹の爪団」の総統、後発で世界征服を企む若造に怒りの名台詞。
まさに、世界征服の理想的な意義の具現である。

「いい目だな坊や。俺も昔はそんな目をして星を守っていたんだ。すげえ昔だ。だがな・・・戦うたびに大事なもんが無くなっちまうんだ。親や兄弟や故郷なんかもな・・・坊やもそうじゃねえのか? 何だか疲れて馬鹿馬鹿しくなっちまってな・・・気がついたらバルバンに入ってたってわけだ。」
「すまねぇ・・・ 結局、俺は・・・最後まで星を裏切っちまったな・・・」


発言者 デギウス
星獣戦隊ギンガマン

多くの星を滅ぼしてきた敵、宇宙海賊バルバンの中にいた・・・かつては「星を守って」戦ってきた奴が居た、という台詞。
本来の姿であれば、むしろ正義の味方の側に居るはずだった・・・
「だが諦め、磨耗してしまった」存在。正義を貫こうとすることで発生する犠牲と、その果て、という近年のテーマを、少し前の戦隊で既に先取りしていた、重い台詞。
それでも、最後に悔いて逝ったことに、未だ良心の欠片を持っているあたりが、また切ない。


「止めろ、お金で正義や人の心が買えると思うのか?」
「買えるとも!人間は欲の皮を被った獣よ、銭で買えない物は無い。」


発言者 コンドールマン ゼニクレージー
正義の化身コンドールマン

色々な意味で(敵も味方も)激しい昔の特撮・コンドールマンより。
拝金主義でもって人間の心を汚染しようとする魔人ゼニクレージーとコンドールマンの対決、という構図なのだが。
こうまで力強く言い切る奴も珍し・・・かったのが、今はまんざらでもないのが、逆に怖いかもしれない。
もっとも、拝金主義は拝金主義で、そういう会社社長がパクられたりしとるのだが。
それでも、「中身が獣で皮は欲」と、徹底的に人間を否定するゼニクレージーの台詞は、やはりドス黒い人間不信という点で、実に悪らしい。


「・・・確かに、世の中金だ。金がなきゃあ生きていけねえ。 それでも、その金でも買えねえものがある。」
「・・・いいか、ここに空いちまったぁ穴だけは。いくら金をつぎこんでも埋まらねえ。」

発言者 ドン=ドルネロ
未来戦隊タイムレンジャー

ここに、と言うシーンで、ドンドルネロは自分の胸を指しています。
同じ悪人の台詞だというのに、しかも拝金主義系、お金儲け優先系と、似ているはずなのに。
意外にも正反対、人生の渋みを感じさせてくれる(三頭身のごつごつした鯨が二足歩行してるような感じの姿なのに)台詞である。
犯罪組織のドンだからこそ感じた「穴」なのであろうか。



村正宗殿よりご投稿の悪名台詞です。

「命が宝だと!?ならばこの俺様の命!貴様の手に渡してなるものか!ぬはははははは!!!」

発言者 ダイノガイスト
勇者エクスカイザー 最終回「本当の宝物」


勇者シリーズ第一作より、地球のあらゆる宝を奪おうとした宇宙海賊ガイスターの長、ダイノガイストの最後の言葉。
最終決戦の最後の最後、エクスカイザーに「命こそ本当の宝」と言われ、それに呼応してこの台詞を吐き、太陽に突入して自害。
いかにも「悪」らしい、命、と宝、に関する言葉である。

元々ガイスターは地球に来たが、地球の何に価値があるのかを理解せず、人間が「宝」と読んだものを(貴金属類骨董品はおろか、小麦粉から子供まで)手当たり次第に強奪しようと試みているような、価値観の壊れた宇宙人だったのだが。
「命は大切にされるべき」というエクスカイザーの言葉を、ある意味即物的に見せかけてえらく逆手にとって返して見せたこの言葉。
(宝ならお前にやらん!という直球返事の裏に、自害によりエクスカイザーの言う命の大切さを同時に否定してもいるわけで)
ぱっと見だけではない、クセモノ的な悪台詞でもある。

「マトモじゃ王様は勤まらねえ。王様ってのは欲張りで!気まぐれで!残酷で!・・・退屈してるんだよ・・・!」
発言者 パラダイスキング
クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶジャングル

南の島で、その島にすむ凶暴な猿を手なずけ、漂着した人間を猿を使って支配する男、パラダイスキングの言葉。
猿の王という有る意味酷く滑稽な存在でありながら、声優の怪演、林立するマネキンの群れの中で踊り狂うという、人間無視と孤独がスレスレに混ざった登場シーンがあいまって、なんとも威圧感をかもし出す。
「王者」ではない「王様」の、孤独と暴虐をあらわしたなかなかの悪台詞。

「お・・おのれぇ〜〜〜、何故だ!何故我を拒む!?そなたの心・・・憎しみがあったはず、何故許すぅぅぅ・・・・なぜだ、なぜ・・・な・・・」
「そのへんがなぁ。人間ってのの珍妙なところでなぁ。今日と明日が違う生き物。自らそれを知ることで成長する生き物なんだよ。まったくく見ていてあきねぇなぁ。」

発言者 ノブナガの魔装具 スルガ大納言
おきらく忍伝ハンゾー 著・山中あきら

人間の心の闇に付け込み破壊の力を振るう呪われた武器「ノブナガの魔装具」
ヒロインの一人の心の闇に付け込み暴れまわるが、最終的に説得によって彼女は己の闇を払い、その結果魔装具は力を失う。
驚き慄く魔装具に、その闘いを見守っていた悪の長、スルガ大納言が言ったのがこの台詞。
本編では明言はされていないものの左腕だけを切り離してそれが蛇の如き魔物と化して戦ったりと明らかに人間ではない大納言。
(作者サイトの裏設定集によれば元々人間だった本物のスルガ大納言に取り付いて乗っ取った精神寄生体のようなのだが)
人間ではない大納言の人間への思い。暖かくもあるような、焦がれているような、余韻の有る台詞である。



婆娑羅の真髄はただ奇を衒うに非ず。
こころの求めるままに振舞う――不惑――無恥――無思慮! 
欲一念を貫いてこそ婆娑羅!
そのような生き様が人に許されるのか!?
否……許されてはならぬ。
許されては面白くも何ともないわ!
否定せよ!
取るに足らぬ有象無象ども、その意思と力を結集して我が道を塞げ!
正義の英雄を差し向けるがいいわ!!
苦難を越えずして何の道か。
正道と対決せずして何の婆娑羅か

発言者 遊佐童心
装甲悪鬼村正


うむ、うむ……
罪は裁かれた。悪は報いを受けた。
世に正義はあったのう……
くふっくふ、ふふ、ふははは!
ふはっ―― はぁはははははははは!
む? 楽しいに決まっておるではないか。
正義はあったのだぞ……悪業への報いはあったのだぞ?
これほど痛快な話が他にあろうか……
お主こそ何故笑わん。
この結末こそは、おぬしが求めたものだろうが。
お主は正義を掲げ、姦悪なるこの遊佐童心と戦い ──
『勝利し』
『殺したのだ』
誇るがいい。笑うがいい。
この敗者を嘲り無慈悲に哄笑するがいい!
お主は完璧に正しく。
その正しさをもって、わしを殺したのだからのう!!

同上

村正宗殿よりご紹介いただいた悪セリフ。
原作は一応18歳未満禁止作品故ご注意を。
己の赴くがままに振舞い、それが正義の味方を差し向けられても仕方のない秋行であることを承知しながら、むしろそれすらをも楽しんで出迎える・・・
いろんな意味でどうしようもなく自由な悪党である。
殺しても反省しない、そもそも好き放題の為なら自分の死も恐れないんで殺しても裁きにならない、いろんな意味でどうしようもないフリーダム・ボンズである。
ここまでぬけぬけとしてしまうと、ある意味一種の魅力であるな。





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