名台詞3

「・・・・・・。分かってンだよ。こンな人間の屑が、今更誰かを助けようなンて思うのは馬鹿馬鹿しいってコトぐらいよォ。まったく甘すぎだよな、自分でも虫唾が走る。」

「けどよォ」

「このガキは、関係ねェだろ」

「たとえ、俺達がどンなに腐っていようともよォ、誰かを助けようと言い出すことすら馬鹿馬鹿しく思われるほどの、どうしよォもねェ人間の屑だったとしてもさァ」

「このガキが見殺しにされて良いって理由にはなンねェだろうが。俺達が屑だってことが、このガキが抱えてるモンを踏みにじっても良い理由になるはずがネェだろうが!」
発言者 一方通行(アクセラレータ)
とある魔術の禁書目録5 著・鎌池和馬

完全無敵の超能力者を作る実験のため、クローン超能力者の少女たちを惨殺し続けた、あらゆる要素のベクトルを変更し、あらゆる攻撃を弾き返し、風の流れを制御して空気を圧縮しプラズマを作り出すほどの力を持ち、核戦争が起きようが生き残れるだけの力を持つ最強の超能力者「一方通行(アクセラレータ)」
しかしあらゆる異能(魔術だろうが超能力だろうが)を打ち払う「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の右腕を持つ主人公に殴り倒され、実験は停止となる。
その後なんとなく納得のいかない日々を送っていたアクセラレータだが、クローンたちの最後の一人、「打ち止め(ラストオーダー)」とであったときから彼の人生は変わり始める。
ラストオーダーとの会話の中でアクセラレータは自分が本当は寂しいこと、強すぎる異能ゆえに醜い怪獣の如く扱われたことから、誰にも手出しをされない「絶対」を求めたこと、それゆえに、そしてあらゆる物から己を守れるが、誰かを救うためには役に立たない力ゆえに、心を閉ざしたこと・・・
自分の本当の心を見つけ出していく。

そして、己の罪深さも。

ラストオーダーを失いかけ、その喪失が、死の重みが実感となったとき、彼は叫んだ。これほど重い死というものを、今まで自分は撒き散らしてきたのかと。

その上で。

己の罪深さに慄き、己を断罪しながらも。

尚ラストオーダーを守るため、自分を守るだけだった力をラストオーダーに総て注ぎ込み、敵の前で自分を完全に無防備にして、頭蓋骨を割られ血塗れになりながらも。

叫ぶ。

あまりにも、強く、優しく。



「一人で死ぬのが怖いのでしょう。ならば道連れには私を選びなさい。子供達に手を出すことは、わたしが絶対に赦さない。この身に宿る、ただ一度の優しさに賭けて。」
「やはり、お前に「優しさ」は似合わない。」「お前のそれは、もはや「強さ」だよ。」

発言者 芳川桔梗 天井亜雄
とある魔術の禁書目録5 著・鎌池和馬

「私は一度でいいから甘いのではなく優しい行動をしてみたかった。」彼女はそう言った。己は甘いだけで優しくない。他人を可哀相にと思うことがあっても、思うだけで行動には移せない。

だけど。

アクセラレータの戦いを見て、彼女は奮い立った。いつ暴発するとも知れぬ銃口に立ちはだかり、静かに告げる。

天井亜雄は下種で悪党だが、最後に唯一つ正しいことを言った。


ここでの彼女は・・・強い。震えるほどに気高く、美しく、そして強い。

無論、優しい。

村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

「侮るな。あの程度の呪い、飲み干せずに何が英雄か。この世の全ての悪?は、我を染めたければその三倍は持ってこいというのだ。
よいかセイバー。英雄とはな、己が視界に入る全ての人間を背負うもの。

―――この世の全てなど、とうの昔に背負っている」


Fate /stay night
発言者:ギルガメシュ

英雄王ギルガメシュは、あくまで主人公と敵対する存在である。
そしてまた、陳腐なセイギノミカタへの願望を嘲弄する、覇道を歩む敵である。
しかしながら。
堂々とした王者であるからこそ、言える台詞がある。
魂を汚染する呪詛「アンリ・マユ(この世総ての悪)」を受けて、平然とこの台詞。
コミックアンソロジーやパロディ系の同人誌などでは道化的扱いが多い故忘れがちではあるが、ギルガメシュの英雄王の二つ名は伊達ではない、ということか。

村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

「バカげてる・・・70点差もあるんだぞ?今さら、たった1点とったからって何になるというんだ!!」
「これは異な事を言う・・・野球とは点を取り合う”死合い” ならば、70点も1点も同じことよ、命をかけて取りにいくまでだ

ゲームセットの声を聞くまでは、点差などただの数合わせにすぎぬ」


たのしい甲子園
発言者:キャチャー 太田

「バ・・・バカな、なぜ動ける!?巨象も倒す麻酔銃だぞ!!?」
「そんなものでは私の神経系統を止めたにずぎぬ・・・今や・・・私の肉体、細胞のひとつひとつまでもが貴様を打て(ヒット)と猛っているのだッ!!!!」


たのしい甲子園
発言者:総理 太田

感想欄でも紹介した、無茶苦茶に熱い野球漫画の名台詞。
たとえ何点差が開いていても、眼前の一点に死を賭して喰らいつく、物理法則すら超え、生物の限界すら超えて奮闘する、超絶なる敢闘精神の発露たる台詞。
無茶苦茶である。だがその無茶苦茶を押し通し、読者に衝撃を与えるだけの力がある台詞である。

村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

「好きな人は、やっぱり好き。そういう気持ちだけは、どうしようもないよ。そんな感情まで抑えつけちゃったら、あたしたちの未来には何が待ってるのかな? それこそ、ただ人を傷つけるだけの哀しい怪物になっちゃうんじゃない?」

ムシウタ
発言者:立花利菜

「たしかに俺はバカだよ!どうしようもない、大バカ野郎の意気地なしだ!自分が欠落者にした”ふゆほたる”にもう一度会う勇気もなかったし、敵だった利菜を倒すのを躊躇ったせいで彼女を殺した!ぜんぶ、俺が中途半端だったせいだ!
だけどな、お前だけにはぜったい負けたくないんだよ!俺は絶対に諦めたりしない!
・・・・・・!
俺は、お前なんか怖くないぞ お前達”虫”のせいで夢を諦めることのほうが、俺にとってはよっぽど怖いからな
やっと、見つけたかもしれないんだ、俺の――オレの本当の居場所を もう、誰にも邪魔をさせるもんか」


ムシウタ
発言者:かっこう(薬屋大助)

人に力を与え、代償としてその夢を食らう虫。その力で運命に翻弄されながら生きるものたちの台詞である。
これはある意味で制約多くして破倫と絶望に満ちる現代の社会構造の戯画化とでもいうべき要素とも取れ、また同時に人の心のない蓋うに存在する己を裏切り夢を穢してまで満たされようとする欲望をも暗喩するともとれる。
そんな中で、葛藤しながら、己の心と向き合い、その中から大切なものを探し、それを守り抜こうとするこの台詞たちは、現代人に対して珠玉とも言える価値を持つだろう。

村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

「わが生涯に一片の悔い無し!」

北斗の拳
発言者:ラオウ

物凄く有名であるが故に、オマージュやパロディの格好なネタにされつつある台詞であるが・・・
それでも原点としての魅力は全く衰える要素はない。
簡潔にして力強く、それでいて並みの人間には到底いえない、潔い台詞。
諸君等は己の人生の最後、こういいきることが出来るだろうか?

村正宗殿からご紹介いただいた名台詞です。

「過去は荷物と同じ。ないと旅はできないけど、ありすぎても邪魔になるわ。抱えれば抱えるほど自分を重たくしてしまうものだから。のえるはリュックの底に穴が空いてて、底から記憶がどんどんこぼれてってるから、いつも大胆でいられるのよ」
「それって……誉めてるの?」


総理大臣のえる!
発言者:サラ のえる

誉めているのか何なのか微妙な名台詞。
しかし、サラのこの言葉はほんとーに正しい。全くもってのえるはそういう人間だ。そしてまた、過去との付き合い方という点においても、確かな台詞である。
なくてはならないが、固執しすぎてもならない。
全くもってその通り。過去を失った者は今の基盤を無くして崩れ落ち、過去を持ちすぎる者は、其れに縋りすぎて醜態を曝す。(某国とか某国とか、あえて明言はせんが)

このバランスは、中々難しいが。

「オレだけじゃなくて、ブラボーまで死ぬなんて言うなら、だったら尚更諦められるか!!キャプテンブラボー!オレはアンタに勝つ!!勝ってアンタを死なせはしない!!」
発言者 武藤カズキ
武装錬金 著・和月伸広

何処までも優しくて、だからこそ何処までも強くなれる男。
それが、武藤カズキ。
相対する羽目になったかつての上司、敬愛する戦士長キャプテンブラボーが言った。
お前を殺した後、部下殺しの罪人として自らに始末をつける。お前一人を死なせるわけではない、と。すなわち自らも死すると。

それ故に。

自分を殺そうとする者の命を助けるために。
勝って、死なせはしないと。そう言える少年。
武藤カズキ。

これほどいいやつはそうそう居ない。つくづくそう思う。


「ボクの戦う理由はたった一つ。友達が困っている・・・ボクの友達が困ってる以上!!ボクがあの人を追いかける資格なんてない!目的も意味も理由も関係ない!そう!ボクが決めたんだ!!!ボクの好きな人に相応しい女は、義に厚くて情熱に燃える、真っ直ぐにしか生きられない女!!!ボクは総てを飛び越えて、あの人に笑顔で会いに行く!!!他にボクの進む道は無い・・・だったら!やれるだけやるだけじゃない!!」

発言者 ニーギ=ゴージャスブルー(本名・新井木勇美)
式神の城〜ねじれた城編〜 著・是空とおる/たかなぎ優名

次元の壁を飛び越え世界を救う英雄・絢爛舞踏に恋をして、自らもまた複数の世界を渡り歩く旅人となった少女ニーギ。
そんな中での一つの世界の危機に立ち向かい、その世界で出会った友が、窮地に陥る。強敵は笑う。大人しく他の世界に行った恋人を追えばいいではないかと。
それに対する回答がこれ。

底抜けに明るく、強く、真っ直ぐで、気高く美しい。
正に次元の旅人になる前の本名そのまま、といったところ。
素晴らしすぎる。

村正宗殿から頂いた名台詞です。

「マモル 地球は人類を滅ぼそうなどとは思っていない
 地上に生まれた命は すべて地球の一部なのだ
 その命を守るため ゴア! 地球人として私は お前と戦う! 私の名はマグマ大使」


発言者 マグマ
マグマ大使

機動武闘伝Gガンダムの「人間もまた天然自然が生み出したもの」という台詞を思わせる台詞。

地球人として戦う、という台詞が、マグマの出生を思うと中々複雑で、面白い台詞である。


「じゃあ教えてくれよ。根性ってのは、どんな単位で計るんだ?」
発言者 原田
ROD(漫画版) 著・作/倉田英之、画/山田秋太郎

データ・数字を重視し計算によって戦う相手。そんな相手に筋力やら肺活量やら反射速度やらから計算してお前は絶対勝てないといわれた時に言い返した台詞。
根性と単位という、相反するというより接点の無いとでも言うべき二つの事象を結びつけることにより相手の論理を吹っ飛ばす。
この発想の大転換は実に小気味いい。


「国民の生命と国の伝統を護ることが・・・我々軍人の使命だからな!」
発言者 鮫島軍曹
ねこだま 著・えびふらい

忘れ去られた、ごくごく当たり前のこと。
それをさらっと言ってのける。何のてらいも、気負いも無く。

鮫島軍曹は異世界の帝国軍人で、見た目猫そのものなのだが、言動はしゃれにならないほど完成された兵士であり、凄い。

「地球帝國宇宙軍、太陽系直援部隊直属、第六世代型恒星間航行決戦兵器、バスターマシン7号!!
発言者 ノノ(バスターマシン7号)
トップをねらえ!2

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?
と、テレビの前でひっくり返ること必至の、第四話で発覚した「トップを狙え!2」主人公ノノの驚愕の正体。
アンドロイドだってのは第二話で出てたんだけど・・・

まさかバスターマシンだって誰が思うか!!あの、やや長身だけどどっちかっつーと細身な印象の体に、星を砕き宇宙怪獣を粉砕し冥王星からタイタンまでワープするエネルギーが秘められてるって誰が思うか!!

正式バスターマシン特有の仰々しい正式名称、変身した時にノノの瞳に宿る旧地球帝國宇宙軍の星の紋章・・・このシーン、驚きと同時に血沸き肉踊る格好よさすら併せ持っているのだ。

それにしても脚本家曰く「二十年に一度くらいしか赦されない反則技」とのことだが、確かに・・・
アニメ見ててここまで不意を突かれたというのもそうそう無いであるぞ。

「ノノは本当に馬鹿でした!バスターマシンがあるとか無いとか、関係ないのです。バスターマシンさえあればなんて思うものが、本当のトップになれるが筈ありません!」
「なぜならば!自分の力を最後まで信じる者にこそ、真の力が宿るからです!」
「きっと、本物のバスターマシンパイロットは・・・本物のノノリリは!心にバスターマシンを持っているのだから!!!」

発言者 ノノ(バスターマシン7号)
トップをねらえ!2

「トップをねらえ!2」の主人公ノノは、やる気があっても不遇な主人公であった。憧れのお姉さま、バスターマシン・ディスヌフを駆るラルクのように、理想とする思い出の人「ノノリリ」のようになるために、バスターマシンパイロットになりたいノノ。だけど、この時代のバスターマシンは、超能力が無いと乗れない。で、アンドロイドのノノにはそんなものは薬にしたくても無いわけで。「飛べないアヒル」と呼ばれていたのだ。(とはいえ彼女の真っ直ぐさに心救われたあるパイロットは「醜いアヒルの子だったりして」、と言っていた。実際は上のように、白鳥どころかホワイトドラゴンといった有様だったわけだが)

バスターマシンさえあれば・・・と、思いつめ苦しみ無茶をする日々。

しかし、タイタン変動重力源・・・「本物の宇宙怪獣」、あの前作の主人公タカヤノリコを苦しめた巡洋艦怪獣ギドドンガスの復活により、ラルクたちが絶体絶命の窮地(劇場版エヴァ以来の大虐殺シーン)に陥った時、ノノはついに悟り、目覚め、叫ぶ。

この世界、超能力を人が保てるのは二十歳までで、超能力のみを己の拠り所とする者と、あらゆる他者を拒絶する宇宙怪獣を、「大人になれない子供」として描写する向きがあり、そこと重ね合わせればこのノノの言葉は実に重くそして強く響く。

若人よ、大人になるということはなるほど大変なことなのかもしれない。しかし、それに立ち向かい大人になるということは・・・

大人になるということは、心にバスターマシンを持つことなのだ。何だか格好いいではないか。

余談だが、彼女が理想とする人、「ノノリリ」。名前だけで劇中では一切触れられない謎の人なのだが・・・

我輩、この「ノノリリ」とは、即ち前作主人公・タカヤノリコではないかと思うのだ。タカヤ「ノリ」コの部分を、うろ覚えに覚えていて良く分からないながらノノリリと言うているのではないかと。

なぜかと言うならば、まず複雑で長いガンバスター世界(ネクストジェネレーション、コミックガンバスター、トップをねらえ!2参照)において、帝國宇宙軍のバスターマシン七号が建造されたのは西暦2039〜2048年の間の(コンピューターの反乱など諸々の用件を勘案して)ごく狭い時間帯(全体が数万年にわたるので)と特定される。

そしてこの時期はノリコがユングとともにガンバスターを駆り宇宙で戦っていた期間であるが、オオタコーチと結婚したお姉さまことアマノカズミ・・・厳密には結婚したのでオオタカズミ・・・が太陽系内地球圏で沖女の教官などをやったりしていた時期とぴたりと一致する。

2の第一話でノノが見せた「イナズマキック」は、沖女にのみ伝わる技・・・すなわち、建造途中のバスターマシン七号=ノノと、カズミが何らかの形で接触を持った可能性があるのだ。であるならば、友であるノリコのことを新たなバスターマシンの電子頭脳のなかにインプットした可能性は高い。時は流れ、記録に弱冠の障害が出たことにより直接的には分からないのだろうが、ひょっとしたら・・・と我輩は思うのだ。(「本物のトップ」と言っているところからも、前作のトップ部隊との関連が伺える。)

ちなみに同様の理由から、ノノの本名は、二人の名前をあわせた「アマノノリコ」ではないか、と考えてもみたり。こちらは根拠は少ないが、真ん中のアマ「ノノ」リコだけ覚えててノノと名乗っている・・・微妙にありそうなのだ。(まあ、単純に「憧れのノノリリ」の前半部分を借用している可能性もあるが)

(後に追加されたシーンで、彗星から発掘された直後のノノが「ノ、ノ、リ、リ・・・コ・・・」と呟くシーンがあった以上、この仮説はかなりの精度で確実なものと思われる)

村正宗殿から紹介いただいた名台詞です。

「あたしは、大助を守れなかったんだよ……がんばったんだけど、守れなくて――キミを虫憑きにしたんだよ
 あたしは大助のお姉ちゃんなのに……大助を虫憑きにしたら、必ず辛い目に遭わせるって分かってたのに……ごめんね、大助――
 キミが今、そんなに傷だらけなのも……そんなに辛い思いをしているのも、みんな――あたしのせいなんだよ」
「……」
「だからね、キミを虫憑きにした時に思ったんだよ――
 虫憑きになったキミに、いつかまた会えた時は……大助の手であたしを殺――」
「死んだほうがマシだって思ったことも、あったよ――
 戦うのが辛くて、傷ついた身体が痛くて、失うのにも飽きて……なんで俺はこんなに必死に生きようとしてるんだろうって思ったことがあるよ
 全部、自分が虫憑きだからって理由で、諦めてしまおうと思ったことがあるよ。虫憑きにされたせいにして、立ち止まろうとしたこともあった。
 ――でも、違うんだ
 大切な人を見つけたよ、千晴
 ただ戦って、ただ傷ついて、ただ失ってきただけじゃないんだ。俺は自分の意思で、戦ってきたんだ。自分の夢をかなえるために
 五年前に、千晴に守ってもらえなかったら……傷つくことも、戦うことも、失うこともできなかった。そこで俺の夢は終わってたんだ
 千晴のせいじゃない。千晴のおかげで今、俺は夢の続きを見ていられるんだ
 ありがとう、千晴。俺のこと守ってくれて」


発言者 薬屋千晴 大助
ムシウタ 

人の発想、考え方のそれぞれ、そして与えられた境遇への否定と肯定・・・
中々含蓄に富むセリフである。


シャドー殿よりから紹介いただいた名台詞です。

「俺は童貞だ!」
「悪いな、俺、童貞なんだ。お前に俺の純潔は渡せねー!」

発言者 ヴァン
ガン×ソード

えー・・・
ここまで堂々としていればいっそ清々しいという意味では名台詞です。(笑)
・・・ギャグセリフに分類するべきかどうかかなり激しく悩みました。

犬神長元坊殿から紹介いただいた名台詞です。(ゆえに書式が違います)

そして、個人的に大好きな名台詞。
『いいんだ、恵美子さん。これだけは、絶対に悪魔の手には渡してはならない設計図なんだ』
(『ゴジラ』より、芹澤大助の台詞)
ゴジラを知る者には有名すぎるこの台詞。ギャグマンガのネタとして使われがちなオキシジェン・デストロイヤーですが、その物語には一人の青年の科学者としての誇りや、人間としての良心といったもののせめぎあいがあったことをどれだけの人が知っているのでしょうか?
長い苦しみ、葛藤の果てに決意した人間の、一種の清々しさすら感じられる台詞です。
原爆や水爆の開発をした科学者たちに聞かせてやりたくなるような台詞だと思っています。


「正義同士悪同士の結びつきでは戦いは永遠に避けられないし憎しみの因縁も続いていくだろう・・・しかし!正義と悪とが一つ家庭になったとき!子供は選択することが出来る。正義か悪か・・・その子供達の選択に未来を預けようではないか!」
発言者 フィーリングカップル100×100関係各国首脳・機関責任者
ワンダービット 著・島本和彦

正義の味方や悪の総帥たち、日ごろ結婚に縁遠い職業の彼らが一堂に会した大お見合い大会。
その結果、何と正義と悪の(正義の男は悪の女の独特な魅力に引かれ、悪の女は正義の男の筋の通ったところに惚れ、悪の男はしっかりした正義の女を求め、正義の女は悪の男に保護欲を感じた)カップルばっかりが出来てしまい・・・
という中々にとんでもない話の結論。
意外ともっともらしい。


「人の価値ってのは誰に何をされたかで決まるもんじゃないっ。それに対して自分がいかなる反応をしたか、自分が何をやったかで決まるもの。」
発言者 トリプルコックローチマン
ワンダービット 著・島本和彦

正義のために命を捨てる覚悟を固め、悪に立ち向かうゴキブリモチーフのヒーローが、同じくゴキブリな悪の首領に「こんな姿になって差別されて、それでもお前は戦うというのか」と言われての返事。
短編じゃなくてきちんとしたヒーローもんのラストにもってきても充分以上の、貫禄ある名台詞である。


「俺も若いころは下らねえ本を沢山読んだものよ・・・ハッハッハッハ!まったくくだらねえ本だったぜ!だがな・・・俺が生き方を学んだのはそんな本からじゃねえ・・・くだらねえ本など足下にも及ばねえ・・・親父の強烈な生き様と、何があっても俺を信じてくれたおふくろのあったけえ愛だった・・・病気の子供の患部を取り除くことにやっきになっても、肝心の身体が栄養の行き渡った健康体でなきゃあ水の泡だろうが!ようするにだ・・・俺達が感動した漫画を買ってやりゃあいいのよ!フッ!子供の前に俺達が本を置く・・・その本は。俺達親が感動しやめられなくなり病みつきになったものだ・・・○○○○だけが売り物の半端な漫画とは感動の格が違うだろっ!それでもまだあんた達の気に入らねえ「悪書」と言われる漫画を選ぶようなら・・・そっからはそこまで育てた親の責任だ。違うのかい?はたして子供が感動しやみつきになる本を選ぶ事が出来るか・・・子供がなけなしの小遣いをはたいてまず買うのはどっちの本か?言ってみりゃあこいつあ親と子の感動バトルよ!!嫌な本を取り除くより・・・けちけちしねえでおもしれえ本をバンバン買ってやるのよ!これが人としての常識正道って奴じゃねえのかい!?」
発言者 謎の父兄A
ワンダービット 著・島本和彦

子供から教育に悪いとして「悪書」と指定した漫画を取り上げようとする父兄達の会議に、敢然と現れたむやみやたらと男気溢れる謎の父兄Aの名台詞。
恐ろしくまっとうで正面突破で男らしすぎる言葉である。まさにこうするべきである、と、我輩も思う。


「おやじの仇・・・母さんの仇・・・必ず討ってやるっ!!俺は燃える正義のバーニンガイ!!」
「待ちな!」
「誰だ。
「お前さん・・・個人の復讐をやるくせに正義を名乗るのはよしてくれないか!」
「何だこいつは!?」
「正義の名の下に戦いたいのならきちんと気持ちを落ち着けて動機を正すことだ・・・でなければ・・・いくらカッコつけてもお前さんは正義でも何でもない。」
「誰だ君はっ」
「俺か。俺は・・・正義の味方ジャングルJ!」
「ジャングルJ!」
「そう、正義は俺、俺=正義だ!!」
「・・・」
「・・・」
「バーニンガイとかいったな・・・復讐心を満足させて正義が立つか?復讐自体が争いを生むだけの見苦しい悪だっ!」
「しっ、しかし、復讐する相手は「悪の組織」なんだぞっ!」
「わかっちゃいねえなガイ・・・いいか。お前が両親の敵を討つために血を流して・・・両親は喜ぶか?」
「しっしかし、それじゃおれは・・・」
「フッフッフッ、復讐ではなく、お前自身の判断で悪を討ちまくればよい!」
「でも・・・おやじと母さんを殺した奴に復讐するのは筋が通るけれども、俺と何も関係ないところへいきなり討ちにいくのは」
「俺はやってるね。俺が悪いと思った者は根こそぎ討って討って討ちまくっているね!!」
「な・・・なんか・・・何かコイツは怖いぞ!もしもその、貴方の「悪」の判断が間違っていたら?」
「ふふふ、心配ない!俺は正義だ!!」
「こっ、こいつは、きてる!」
「フハハハハッハッハッハー!!」
「誰だっ」
「笑わせるぜジャングルJ!貴様の正義感はかなり歪んでいるという話だが」
「誰だお前は!」
「俺は正義の仕事人V!ミラクルVだ。」
「ミラクルV!!」
「フッ、奇跡の仕事人と呼ばれるミラクルVか・・・」
「Jよ・・・お前の勝手な判断でどれだけの人間が迷惑を被っているか知っているか?」
「悪に迷惑をかけて何が悪い!」
「何様だと思ってんだ貴様・・・!!いいかお前のやってることはいつもギリギリだ!!一歩外せば俺達の敵になる・・・お前の正義はお前にしか通用しない」
「ほう、じゃあ貴様の正義は正しいというのか。」
「俺に正義なんて無い差・・・ただ権力をかざす人間に苦しめられ涙を流している人達の恨み辛みをはらしてやるだけよ・・・」
「フッ、そんなことをして何の解決になるっていうんだ?お前のやってることは復讐の肩代わり、つまりここにいるセイギノミカタの卵兄ちゃんと同じ事だ!」
「なにぃっ」
「ホホホホホホホホホ・・・」
「誰だ?」
「愛と正義の妖精・・・バーニンギャルよっ!!」
「お・・・俺と同じコンセプトだ。」
「いい加減な自分の判断や・・・既に起こってしまった事件の復讐ですって?笑わせないでよ。あんたたちそれでも男?」
「なにっ」
「・・・」
「あたしは世界の平和のために戦ってるわ!あたしの敵ハアースフラッシャー、世界制覇を企む人達よ!世界征服よ世界征服!!!レベルが違うと思わない?」
「・・・・・」
「そいつはどういう敵なんだ?」
「どういうってそりゃあ・・・世界を制覇・・・」
「それだけじゃわかるまい。世界をよくしようとして制覇を狙ってるなら話は別だぞ。」
「・・・・・・・・・そっ、それは・・・でっでも全世界にアジトがあって・・・エスパー戦士を各国に奥って・・・ほら戦って出来た傷よこれほら。」
「そういう話をしているんじゃあないっ!!」
「全く国や世界を牛耳ろうとする者と戦えば正義だと思っているのか?」
「ちゃんと調べてから戦わないと駄目だぞっ」
「・・・・・・」
「ハハハハハハハハハハハハ」
「誰っ」
「誰だ!?」
「フフフフフフ、俺の名はアウトサンダー・・・俺は最初は悪に身をよせていたが・・・組織に裏切られ殺されそうになって目が覚めた男さ。・・・組織の奴らは絶対に許さん!みてろ・・・必ずこの俺の正義の怒りで貴様等を討ってやる。
「・・・」
「あんなやつあ言語道断だな・・・」
「正義の風上にもおけないわね。」
「ハッハッハッ」
「誰だっ?」
「何故か悪に狙われ・・・そのためにやむなく悪と戦う正義のヒーロー!ゴッドジャスティスだ。」
「だんだん出てくるのが情けない奴になってくるわね。」
「いいかお前ら悪と戦うから正義じゃないんだぞ!正義は正義そのものでなりたっているんだっわかるかっ!!」
「いやしかし・・・悪の組織に立ち向かうのも絶対条件の一つだ!」
「たいした悪でもないものを叩きのめして悦に入ってる男よりはましだね!!」
「ちょっと待ったそれは俺のことかっ?」
「そうだ」
「こっこいつっ何もわかっちゃいないくせに・・・」
「・・・・・・」
「俺は生まれた星を異星人に滅ぼされて地球に来た!この第二の故郷地球は奴らの手には絶対渡さん!俺の名はサンダーバトル!」
「これはかなり筋が通ってるわね。」
「全員が納得行く戦闘動機だ。」
「敵に故郷が滅ぼされた過去があっても復讐心で戦ってはいないってとこがポイントだな。」
「立派立派。」
「しかし宇宙的に地球が安全でもその地球上に住んで悪を行っている者がいるうちは・・・」
「そうだ叩かねばならんっ!!」
「それに正義の味方だってストレスがたまるんだし・・・」
「ちょっとそれを解消するために悪と戦うのはズレてるわよっ!!」
「・・・ええいめんどうくさい!!おれは俺のやり方でいくっ!!」

「「「「それがいかんというのだ!!!」
「こらっ変身ポーズの練習してる場合か!」

「お、おれは・・・おれはどうすればいいんだ!?」


〜中略〜


「どうやら俺達は・・・」
「そうだな・・・」
「それぞれの正義でそれぞれの悪と戦ってるのがいいのかもしれない・・・」
「だがもし君達の力を己自身の欲望のためだけに使うようなことがあったら・・・その時は命を懸けて俺が倒しに行くからな・・・!!」
「わかってる・・・俺も同じ事を言おうと思ってた。」
「おれもだ・・・!」
「あたしも・・・」
「じゃあ・・・また何時か会おう!」
「その時までみんな・・・」
「死ぬなよ!」

発言者 バーニンガイ ジャングルJ ミラクルV バーニンギャル アウトサンダー ゴッドジャスティス バトルサンダー
ワンダービット 著・島本和彦


殆んどこの回の話全部引用になてしまった、史上最長の名セリフ郡。
説明無用な「正義とは!?論」が凄すぎる。


「悪を倒すとはどういうことなのだろう・・・」
「結局人の心の中に悪の芽があるかぎりきりがないって事ね・・・」
「大体こんなテーマは何十年も昔のヒーローものから扱っていることじゃないのか!?」
「そーいえば昔の悪もそんなこと言ってたわね。」
「なのにいまだに人の心によって悪の首領か!!へっ酒でも飲まなきゃやってらんねーや!」
「落ち着いてバーニンガイ!」
「人の心の中まで俺達は責任もてない、あとはみんな自分でやってくれってことだ!!」
「君は悪の理想をうち崩したヒーローだろ。悪のそれ以上の理想があるはず。その理想で世界を動かしたらどうだ。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「まさかそれもできんくせに・・・一個人の感情で一つの組織を壊滅させたんじゃないだろうな!まさか・・・後のことまで考えずにやったのか!?感情的に許せないだけでやったのか!?それが君の正義か!?」
「だってヒーローってみんなそーいうものじゃないの?」
「その通り・・・確かに今まではそう言うものだった・・・だがそろそろヒーローも新たなる一歩を踏み出してもいい頃じゃないのか!?勝ち逃げじゃなくってやりっぱなしじゃなくって倒すだけ倒してはいさよならじゃあなくって!!なあ!バーニンガイ君とやら」
「オ、オレは・・・わからん、俺は「悪は許せん」ことはできるが・・・「許せない悪を倒す」事もできるが・・・そのあと何をどうすべきかなんて考えたこともない!」
「それよ!それだからまた人の心から悪の首領が目覚めるんだわ!」
「・・・・・・・そう考えると・・・「やつら」のほうがもしくは人類規模の見地に立って物事を考えていたのかもしれんな・・・」

発言者 バーニンガイ バーニンギャル ビッグラバー
ワンダービット 著・島本和彦

ありがちな悪の断末魔から始まる、「その後」について考えて居たのはどっちだったかという新たな視点。
確かに正義の味方は常に「対抗する存在」でしかなく、「彼らが勝っても世界は変わらない」のだ。
その点、悪は「世界を変えようと」しているわけで。

とはいえこのツッコミを入れたビッグラバーはこいつはこいつで物凄くたちの悪い男なのだが・・・

「というわけでバーニンガイ君!今ひとつ私にいい世界制覇の話があるんだがのってみないかね!?」

とか直後に言うとるあたりで大体分かると思うが。

(男は右目に鉄製の眼帯を付けている。裾がギザギザに切り取られた漆黒のマントを羽織り、身体にぴったりしたぴちぴちの黒シャツを身につけ、そのシャツはへその上辺りで丈が切れて腹筋が丸出しだ。黒ズボンの上からさらにもう一枚ベルトからつり下げたレザーパンツをはいている。)
「変態ッ!!」
「誰が変態だ。」
「そ、その格好は変態の格好だにゃ!!」
「・・・これはオレの妻がオレのために買った服だ。妻を侮辱するな。」
「そ、その妻、ちょっとおかしいにょら!」
「お前こそ「にょ」だの「にゃ」だの、救いようのない喋り方ではないか。オレの妻は正しい。間違ってるのはお前だ。」
「おかしいのはお前だにゃ!そんなとこで、そんな格好して、なんで自信満々にゃのだ!夏なのにズボンを二枚もはいちゃ駄目にゃ!そのマント、暑くないにょか?道を歩いてて笑われたりしにゃいにょか?自分の姿を鏡で見るにょだ!」
「貴様・・・このオレをナイトメアと知って侮辱しているのか。」
「ニャ、ニャイトメア?」
「ニャ、ではない、ナ、だ。ナ、イ、ト、メ、ア、言ってみろ。」
「にゃ、イ、ト、メ、ア。」
「・・・もういいお前と話しているとこちらが疲れる。オレのプラーナを嗅ぎ取ったことは誉めてやるが、次はそうはいかんぞ。今日は挨拶まで、だ。さらば。」
「わざわざ挨拶しなくていいにょに・・・」
発言者 ニナ=シモンズ ナイトメア(本名・鈴木太郎)
ナイトウィザードノベル・蒼き門の継承者 著・犬村小六

解説不要その1(笑)
イラストがあればさらに分かりやすいのだが・・・どー考えても彼、夢使いのナイトメアの格好は変だ・・・
格好悪い訳ではないのだが、変だ。


「・・・犬なのに、どうして「にゃ」がつくんだ。」
「うにゃ?」
「犬なら普通、後ろにつくのは「わん」だろう?「にゃ」なら猫じゃないか。」
「・・・座布団二枚だにゃ。」
発言者 九条水希 ニナ=シモンズ
ナイトウィザードノベル・蒼き門の継承者 著・犬村小六

解説不要その2(笑)しいて言うならばニナ=シモンズは人狼であるということか。
人狼(厳密に言えばビーグル犬に化けるので人ビーグルだが、獣人大体ひっくるめて人狼という扱いなので)なのに語尾がにゃん。
語尾と肉体に因果関係が必要なわけじゃないのだが・・・

でもやっぱり変だ。


「----だからオレは、お前の千年に答える」
発言者 春日祐介
ナイトウィザードノベル・蒼き門の継承者 著・犬村小六

転生者と不死の吸血鬼の物語である、蒼き門の継承者。
長き時を、もう一度転生してこの世界に現れるであろう人のために生きた吸血鬼、九条水希。
その宿命の転生者、春日祐介は、ナイトウィザードたちの戦いのことなど何一つ知らない凡庸な少年であったのだが。
彼女の意思、彼女の思いを知り。
その思いに答え、覚醒を果たす。
千年の時の重みをそのままに乗せたセリフであり、かつエピローグの特殊性へのつながりも有るセリフでもある。

犬神長元坊殿から紹介いただいた名台詞です。

今回紹介しますのは、犬神お気に入りの一品。バイオレンスとかサスペンスとかドロドロの愛憎劇とかはほとんどなしの、日常風景を基本としたコミックです。
タイトルは『並木橋通りアオバ自転車店』。宮尾 岳・著、少年画報社より現在16巻まで出てます。
各話ごとに自転車に関する物語が展開します。
ある人は父の形見の設計図から自転車を作ってもらって、父と『対話』します。
またある人は、不器用だったのがワンタッチで簡単に折りたためる自転車との出会いを通じて自信をつけていきます。
はたまた若い二人は自転車を通じて、初めはライバル、やがては誰もが認める恋人同士に。
自転車はあくまでも物語の道具で、主役はその時その時『アオバ自転車店』を訪れたお客さんたち──いつしか常連さんもできて、その世界が広がっていくような感じがします。
ちゃんとそれぞれのキャラクターが掘り下げられていくのもいいですね。もちろんアオバ自転車店の一家も過去編や小学生の娘アオバが友達と色々な体験をする話などを交えて、きちんと描かれているのも好感が持てます。
その中でお気に入りの台詞を二つ。
アメリカから来た大会社の社長、アーノルド・フィーバーが、アオバ自転車店の店長である峠工一に質問するのに答える、一連のシーンです。
ちなみにフィーバー社長の娘、エリザベスが日本のママチャリを「繊細だ」と評したのを受けての質問です。

「エリザベスはいま日本のママチャリを「繊細」と称しタ。ソレでは……日本のママ達はママチャリを「繊細」に扱っていますカ?」
「…………いえ。大多数はきわめて大雑把だと思います。日本に限らず…………いえ、自転車に限らず、およそ実用品というものは日常の中で乱雑にこき使われるのが宿命です。逆にそこでお客様が躊躇するようでは実用品にはなりませんから」
「ウム……」
「だからといって、実用品を「送り出す側」が大雑把でいいはずはありません。細心の注意をはらい設計し……なおかつ耐久性のある製品を作り送り出して、どんどん生活の中で使っていただく。それが実用品のあるべき姿だとぼくは思います」
それを聞いたフィーバー社長は、ただママチャリに使われている色々な機能を評して繊細だと讃えることしか頭になかったエリザベスに、
「どうだエリザベス。これがジャパン・プロフェッショナルというものだ」
そして、工一に対し、
「ミスター・コウイチワンモア・クエスチョンだ。なぜユーはママチャリやチャリンコという言葉を使わナイのかネ?」
それに工一が照れて言葉を濁していると、背後から「それは私がお答えしましょう」と妻であるワカバが声を上げます。
「主人は自転車が大好きなんです。「自らが転がしていく車輪」という美しい日本語を愛してるんだと思います。愛するものを呼ぶには、ママチャリやチャリンコという言葉は少し軽々しく感じるのでしょう」
この言葉にフィーバー社長は、この夫婦はサムライだ、と感動するのですが……犬神も感動しました♪
そしてもう一つ。
アオバが同級生のトシヒコくん(アオバちゃんラブ(笑))にどうして自転車に乗るんだろう、車やバイクのほうが楽じゃない? と質問されたのを契機に始まった話では、こういうセリフが出ます。……小学生なのにやけに哲学的ですが、
「自分の足でペダル踏まなきゃ一センチだって前には進まない。いえ…それどころか坂道なら後ろへもどされてしまう。だから……だから! みんな登ることをやめないの!」
実はこのセリフが、『自鼓翼』という造語の元になったんですよね〜。すごく印象深いです。
決してスーパーヒーローは出てこない。悪の組織なんて大層なのも出てこない。
けれども味わい深い佳作。そう思ってます。機会があればどうぞ♪

犬神長元坊殿から紹介いただいた名台詞です。

アオバの店の隣に引っ越してきたのは、『だるまコロッケ』の父娘。その娘のほう、ヒバリはアオバ同様金勘定がうまいのですが、もっとクールな美少女。
それもそのはず、『謎の天才少女』として売り出し中の小学生歌手(素顔はいつもサングラスで隠している)スカイラークその人で、幼くして大人たちの社会でもまれているので、考え方がシビアなのです。
ヒバリはその態度ゆえに「そんなんじゃ友達できない」とアオバに指摘されるのですが、「うわべだけの友達ならすでにたくさんいるわ。ご心配なく」とさらりと切り返します。
その後、マスコミに追われているところをアオバに救われた彼女は、ボディガードの私立探偵に言われるのです。以下、その一連のセリフ。

「…………なんでぇ、おめ──ちゃんといるんじゃないかよ。友達がよ」
「じょ……冗談じゃないわ。あいつなんてただのお節介なだけじゃない。友達だなんてとんでもない!」

ここからが犬神の好きなセリフです。
「おい」
「なによっ」
「その同年代のお節介のことをふつうは、友達っていうんだぜ」


これと似た系統の言葉に、どこで読んだ物か原典を忘れてしまったのですが、苦境に陥った主人公を助けに来た奴が、何故と問われて答える、
「そういう時のために、友達はいる!」
というのもありますねェ。作品は忘れたのに、言葉だけは妙に覚えています……。

犬神長元坊殿から紹介いただいた名台詞です。

今度はしろー大野が描いた『SAMURAI SPIRITS──覇王丸地獄行──』より。
説明不要とは思いますが、『サムライスピリッツ』とはゲームメーカーSNKが出した多数の格闘ゲームの一つで、現在はいくつか存在するチャンバラゲームの元祖でもあります。
それまでの格闘ゲームと違い、一発でも決まれば大ダメージ、特に主人公の『覇王丸』に至っては大斬り3発で昇天というシャレにならない威力ゆえのスリリングな勝負がサイコーでした♪
物語は『魔物となって復活した天草四郎時貞を、多くの剣士たち(含む、フランスの女性騎士や忍んでないアメリカン忍者や太りすぎの泥棒)が倒しにいく』というもの。
これを元に、多くの漫画家がコミックを描いているのですが、犬神お薦めのベストは、このしろー大野バージョンです。

多くの人を斬らせる事で覇王丸を暗黒に引きずり込み、自分のものにしようと図る天草。そのため、ナコルルも右京も倒されてしまう。
うまくいったと思い込んで覇王丸に誘いをかける天草と、天草が作り出した『黒い覇王丸』。だが、覇王丸はこれを拒否。続いて
右京がまだ生きていたと知って黒い覇王丸が彼を斬ろうとすると、無事だったナコルルまでが駆けつける。
この事態に、
「う……右京ばかりか小娘までも! なぜ生きている!? なぜ斬らなかった!? なぜだ、覇王丸!!!!」
叫び、問う天草。それに対する答えがいいのですよ!
「なぜと聞かれて どうしてもというなら」

そして、刀を堂々と構える覇王丸の顔アップが1ページまるごとにドーン! と描かれるのです。そこにかぶさるセリフはただ一言、
「この剣に聞け!」

もう、これぞ覇王丸! といったキメ台詞でしょ♪ 豪快に、剣一つで渡り歩く彼にこれ以上ふさわしいセリフはないような……。
ちなみに、このページ以前にも同じセリフを吐くシーンがあるのですが、そことの対比も面白いです。

犬神長元坊様からご紹介いただいた台詞です


タイトルは『アンリミテッド・ウィングス』(角川コミックス、松田未来(マツダミキ)著)。ヒコーキ物です。
神経中枢梗塞という難病を抱えているため、長くは生きられない少女、リズ(エリザベス=ホワイトヘッド)は、地上10mを時速800kmという気違いじみた高速で駆け抜ける、プロペラ機のエアレースで勝つことで生きた証を遺そうとする。
リノ・エアレース最大の種目、WWU以降のプロペラ機を使った「アンミリテッド・レース」の決勝戦、鉄也とファイアバードUは『王者』スキップ=ホルムに最後の戦いを挑む。
だが、王者の赤いマスタングは強すぎた。最終ラップで先頭に立たれ、誰もが王者の勝ちを確信する……しかし! 鉄也は二重反転ペラ(震電にも採用されていた、互いに別方向に回転する二重のプロペラ)のメリットを最大限生かす操縦法でついに追いつき、最後の大逆転を決める!
そのあと、鉄也とリズが若い二人らしく、キスとかして周りに冷やかされているのを横目に、スキップとダリル(かつてプロペラ機とジェット機両方で記録を打ち立てたアメリカの英雄(今は好々爺))が会話をしている。この会話シーンがいいのですよ。

「リノの小さな女神……か。後悔してないか? スキップ=ホルム!」
「女神の加護を受け損なった事ですか? 俺は……少し安心したんですよ、ダリル……王者の重圧から逃れたという意味ではなく、なんと言うか……リノの行く末に光が見えた気がして……」
「そうだな……。ここにある機体はどれも、俺と同じ骨董品ばかりだ……。遠からず飛べなくなる日が来る……。間違いなく時代の徒花だ。だが、あいつらは新しい翼を創り上げた。そして────リノの未来を現実にしたんだ。その意味で彼女(リズ)はリノにとって、本当の女神になったのかもしれんな」
「はい……」


では、もう一つ気に入ったセリフを。
レース中にエンジンがイカれ、プロペラも曲がり、ギアもへし折れ……と、墜落こそしなかったもののボロボロになってしまったファイアバードU。
チームの誰もが、一晩で直してレースに再出場することは不可能だと諦めたその時、なんとファイアバードUを作った町工場のじいちゃんたちが応援に駆けつける。
その一人、鉄蔵の昔からの友人である三吉じいさんがいいのですよ〜。
ひょうひょうと、
「さーてお嬢さん、ちょいと工具をお借りしますよ」
それに米側の技術者が慌ててて、
「ちょ、ちょっと待て。何をするつもりだアンタ……!?」
「決まっとる。コイツを直すんじゃ」
このセリフも好きなんですが、この後もいいのですよ。
「ちょっと待て! 出来る訳ないだろう、不可能だ!!」
「無理ですよ! エンジン交換だって、半日は優に掛かる代物なんですから………!」

叫ぶアメリカの技術者たちに、三吉じいさんが見得を切るのです!
「ふん。どいつもこいつも、出来ない理由ばかり並べおるわ。しゃきっとせい! 若造ども!! 儂らが60年前に戦ったメリケン人はそんなにヤワではなかったぞい! 日本工業界の中核を担って来た職人の根性を注入してくれるわ!」
これに触発されたアメリカ側の職人たちも、「俺達だってUSAの「職人(クラフトマン)」だ!」とやる気を出して……。本当に一夜で直すのみならずパワーアップすら果たしてファイアバードUを新生させてしまうのです……。



「………I'm……Superman……!!」
発言者 アイアンジャイアント
アイアンジャイアント

アメリカ人が造りあげた最高のアニメ作品の一つと紛れもなく言える、アイアンジャイアントの最後のセリフ。
正義であることを望みスーパーマンのコミックに無邪気な憧れを抱きながら、銃を嫌いながらも銃の類を見ると自動で発砲し自らが銃となってしまう優しき異星の巨大ロボット。
それが最後の最後、人間の愚かしさが誤射せしめた核ミサイルを、宇宙に持ち去って地球を救う、その間際に呟いた言葉。

憧れた者に、到る。己の宿命すら超えて。
その純粋さに、その一途さに、感動と涙を覚えずにはいられない。


「私は秘神真琴、このいのち、無用なものか!」
発言者 キンタロー=木村真琴=秘神真琴
秘神大作戦・歌う虚 著・木村航

複雑な出自を持つ主人公、真琴。多くの人を傷つけずにはいられない力を持たされ、そこから逃げても、尚逃げ切れぬ苦悩の果てに、それでも己の力を良き方向に使わんと奮闘する彼女の姿は実に凛々しい。
捨てたはずの己の本当の名を高らかと名乗るこのシーンが、秘神大作戦という割とリアル系地味路線(というか和風クトゥルー)を一気に熱く燃え上がらせる。


「人間は複雑だから、ごたごたを起こすのは得意だよね。予定通りにはいかないよ。たぶん神様にだって、そんなに先のことは読めてない。沙織さん、この大騒動には、確かに君も関わっている。だったら、あらかじめ決められていた、宿命的な結末で終わらせてしまうのは、つまらなくないかな?」
発言者 佐伯哮
秘神大作戦・歌う虚 著・木村航

さりげない、普段は引っ込み気味の知恵者タイプの男が放つ、静かないいセリフ。
いわゆる運命に逆らうセリフというのはよくあるけど、こういう穏やかなラインでのアプローチというのは珍しいと思う。


「沙織、私は凶器だ。触れたとたんに黒焦げだ。」
「違う。凶器って人殺しのための道具でしょう?人間は殺すために生まれたりなんかしないわ。生きるために生まれるの。」
「私が人間だなんてこと、本気で」
「当たり前でしょう!」

発言者 秘神真琴 島守沙織
秘神大作戦・歌う虚 著・木村航

邪神をその身に宿すが故の放電体質を、「私は凶器」と表現する真琴。己の力を懸命に良いことに使おうとしていた彼女の、戦いの果てでのこの言葉は、酷く切ない。
しかし、邪神の生贄としての高い資質を持つ、死ぬことが存在意義とされた少女沙織は、苦難と苦悩の果てに、それに対して全く別個の答えを持ってぶつかってくる。
救う側と救われる側の逆転、今までの「守り守られる立場にある二人の衝突」から展開するこの動きは、逆転の魅力に満ちている(それはこの小説自体の魅力の一つでもある)。


「びりびり様がいなくなったら、真琴、すごいわよ。あなた、女の子になれるの。ただの、当たり前の、女の子。ねえ、凄いでしょう?」
「やっぱりだめだ、沙織。」「沙織って、凄い。沙織を助けられて、良かった。この力、無駄じゃなかったって思う。・・・・・なんだか、この力、捨てたくなくなった。」

発言者 島守沙織 秘神真琴
秘神大作戦・歌う虚 著・木村航

先のセリフを受けての、切り返しの名台詞。力を捨てれば普通の人になれる。されど、力を持ったままででも、人間であると認めてもらえたのなら。
「こんな力なければよかったのに」という悲劇的で往々にして不可逆な状況から、「力を捨てることが出来る」という状況に置いて尚「この力と共に生きる」というのは、とてつもなく大変なことであり、そして偉大なことである。
それを為すと決意した真琴も、その支えとなった沙織も。

村正宗殿よりご紹介いただいた名台詞です


「あの・・・・・そういう時・・・自分を妨げる周囲の流れみたいなものってありますか?」
「ああ・・・今まさに」
「え?」
「いやしかし・・・・・俺は負けませんよ
邪魔する奴は俺の指先五本で倒します」
「・・・・・強いんですね」
「ハイ 強いです」

この人と・・・私は何が違うんだろう
・・・どうすれば強くなれるの?
男のように振舞えば良い?
もっと大人になれば良いの?
どうすれば この世界と闘えるの?

「・・・たしかに周囲の流れってのはあります
正直 つれーっス
だけど 考えたってしょーがねぇコトは考えません
全部受け入れて・・・・・それでも俺は笑ってやりますよ」


School Rumble スクールランブル
発言者 沢近愛理 播磨拳児

勘違いとすれ違いが凄まじい勢いで炸裂する漫画、スクールランブル。
その中でも特に運命に翻弄されまくってる男、播磨拳児の、彼だからこそ言える台詞。
ある意味、悟りの境地。

村正宗殿よりご紹介いただいた名台詞です

「なぜだ!? これほどの力を持った者が・・・なぜ・・・ペンタフォースごときの走狗におさまっているのだ!?
一体どのような甘言を奴等は持ちかけたというのだ!? 
それとも何らかの脅しか? いや・・・貴様にそんなものは通じまい!
お前ならば・・・その力だけで全てを手に入れることができように・・・
理解できん!!なぜそれ程の力を持った者が・・・あのような小娘の下僕に成り下がったと言うのだ!?」

「・・・・・・昔 「決して生まれて」きてはいけないと予言された子が生まれてしまった
この子は恐ろしい程の龍気を帯び、不死身の肉体と不滅の魂を持っていた・・・剣でも魔法でもその子を殺すことはできなかったんだ・・・
その子は万物を斬り滅す悪鬼であると予言されていた 言葉より先に殺しを覚え毎日のように自分に向けられた刺客を殺して遊んでいた・・・
その力を恐れた周りの人々は一計を案じた 子供の母親を殺して父親を追放し子供には強力な呪いをかけ・・・

肉体と魂を切り離し別々の場所に封印したんだ・・・

・・・ティルルは 俺をあるべき姿に戻してくれた・・・暗闇の世界から連れ出してくれた・・・
いろんな国の言葉を教えてくれた オレが知らないことを俺が知るべきことを・・・相手を斬り殺すことしか知らなかったオレに教えてくれた
ティルルに仕えてからは本当に楽しかった 世界がこんなに広いなんて知らなかったんだ
決して生まれてきてはいけなかったオレに・・・決して存在してはいけなかったオレに・・・生まれてきてよかったと・・・生きていてよかったと・・・そう思わせてくれた・・・

侍が人に仕える理由は唯一つ・・・

忠義だよ・・・・・・」


INNOCENT BLADE UNVEIL イノセントブレイド・アンヴェイル
発言者 「影の支配者(シャドーロード)」ハラブ カザラ

士は己を知る者のために死す。

要約すると、この台詞はこの言葉へと集約される。
だが。
それだけではない。
時として、人が決め付けることにより悪が生まれ、人が決め付けることにより鬼子が本当に鬼になる。
彼が彼自身であることを「見出してもらえた」幸運と幸福は、果たしていかばかりか。
その心が、滲み出してくるような台詞である。

シャドー殿よりご紹介いただいた名台詞です。


「150年も待たせてごめん」

発言者 リュウ・スザク
F−ZERO ファルコン伝説

刑事リュウ・スザクは捜査中に治療不可な重傷を負い、冷凍睡眠状態で保存される。目覚めたときには150年が経過していた。当時の婚約者が生きているはずもなく……と思いきや、彼女もまた冷凍睡眠で150年の時を超え、なんとリュウの前に敵として現れた。衝突、すれ違い、そして和解。
すべての戦いが終わった後、プロポーズのときに言った台詞がこれ。泣かせる。


シャドー殿よりご紹介いただいた名台詞です。

「ごめんなさいもありがとうも、心があるから言えるんだぜ」

発言者 ジョー
ビューティフルジョー

心にあこがれるアンドロイド・レイチェルが怪しげな男にもらった「心」の回路。それを取り付けたレイチェルは感情の起伏が激しくなり喜ぶが、あまりに激しい感情は周りの人たちに迷惑をかけてしまう。「心」を取り外したレイチェルが、ごめんなさいと言ったときの、ジョーの返答。
哲学的な考えはいろいろあるけど、もっとも基本的なのはそういうことかもしれない。ヒーローはこういう台詞がさっと出てくるんだな。


「子供は慈悲を持てない。だからこそ、人は大人になる。汚れるのではなく優しい生き物になるのだ。」
発言者 <キメラの魔銃士>オリヴァント
銃姫 高殿円

凄まじいまでの悪意と憎悪とすれ違いと悲しみと絶望と夢と現実と苦悩の応酬の果て、最後になって出てきた台詞。
それまでの全てとは言えないまでもかなりの事柄について、救済と言える台詞であり、それまでのキツい話の展開にかなりずたずたになった読み手の心も癒してくれる台詞でもある。
大人になるとはどういうことかということに対する様々な答えの中でも、特にやさしく暖かい台詞である。



「本当に大切なことは、貴方の手をすり抜けていったりしません。目には見えないかもしれないけれど、とても大きな輪を描いて貴方の元に戻ってきます。貴方が今までしてきたこと、流した涙や努力は、ひとかけらでも余すところなくあなた自身のものです。それは、決してなくなることはない。」
「私が妻と娘を死なせて失ったと思ったものは、長い時間の後に貴方となって帰ってきたのです。貴方がここで食いしばった歯も胸の痛みも苦しみも全部、貴方が忘れたころに大きな幸福となって戻ってきます。それこそ長いときをかけて星の周りを回る彗星のように、大きな輪を描いて・・・」

発言者 チャーリー=ケチャップ(サチュロス=シーモア)
銃姫 高殿円


執事と見せかけ実は元最強クラス死霊魔銃士だった男の、壮絶な人生があるからこそ言える、若人へのアドバイス。
努力したことが結果を生まなかったとしても、その記憶が、その体験が、その人を確かに成長させる・・・

人生における救済となりうる台詞である。

「殺すしか能がないならそれでいい 悪夢を見続けたって構わない
俺の全部で少尉を守る・・・」

きっとそれが・・・・ この図体の使い途だ


発言者 オーランド伍長
Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)


「“不公平”が 許せないからだ
貴族だから裁かれない 平民だから赦される 

笑止

罪あらば裁く! 悪あらば斬る!
それが貴族でも平民でも 皇帝陛下であろうとも!」


それが私に唯一できる 公平だ・・・

発言者 アリス少尉
Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)


「来るな・・・・って 言ったのに・・・・なんで
私は貴族で・・・・だから 貴族は独りでいなくちゃ」

「少尉
俺も・・・・ 独りでやらなきゃいけないコトがあります
それが少尉にとって『貴族』ってことなら 俺は なにもできない」

「うん・・・・」

アリス・L(レイ)・マルヴィンとランデル・オーランドは この先も ずっと独りかもしれない

「でも俺が出会ったのは 貴族じゃなくて・・・・ もしかしたら軍人ですらない
パンプキン・シザーズの『少尉』だから
だから・・・・少尉を守りたい
だって俺は パンプキン・シザーズの伍長だから」

「・・・・・・ご!」
「?」
「ご・・・・『伍長』?」

「はい・・・・『少尉』!」


発言者 アリス少尉 オーランド伍長
Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)


村正宗殿からご紹介いただいた名台詞郡である・・・アリスにしろ、オーランドにしろ、「この二人」として。この台詞は、いい感じであるな。こう、貴族の誇り高さと貴族らしさの型枠にとらわれぬ凛々しさ、そこに加えられる一匙分の弱さを包む不器用な男の優しさが実にいいヒロインをかもし出している、といったところか。(何だか料理か何かの例えのようであるが)




「ボクの戦士としての寿命は短かったが、その間に色々な事があった。本当に、色々・・・その中でボクが学んだ魔法の呪文がある。特別に聞かせてあげよう、よく聞きたまえ」

「“戦え”!

戦え! 戦え! 戦え! 戦え! 戦え! 戦え! 戦え! 戦え! 戦え!」

「楽しかろうと、悲しかろうと、辛かろうと、苦しかろうと、迷っていても、関係ないのだ。すべては戦うことによって解決できる。何をすればいいのか分からなければ戦え。戦える限り、戦え。戦えなくても戦え。戦いたくば、勝て。ボク達はすべてに勝つことができる。負けても、次に勝つことができるのだ」



発言者 獅子堂 戌子
ムシウタ


「痛いか、鯱人? 怖いか? 不安か? 悲しいか? 辛いか?何をしていいか、分からないか?――そんな時にどうするべきか、ボクはもうキミに教えたはずだよ」

「痛みを恐れるな。それはキミが生きている証拠なのだ。痛みを感じる以上、キミは生かされているのだ。誰の夢も、どこかでつながっている。キミを生かしているのは、キミ自身の夢だけではないのだよ」

「ボクもかつて、自分の夢を思い出した時に絶望した。こんな夢を守ってまで、生きる価値があるのだろうかと。戦場で戦うことに意味を見出そうとしたが、それもかなわなかった。だがボクは使命を与えられたのだ。――キミのような戦士を育てることだ」

「ボクは最強の戦士には、なれなかった。だからキミが生きて、強くなってくれれば――それはボクが生きていた意味もあったということなのだ」

「生きている限り、誰もが戦士なのだ。戦士に立ち向かえない敵など、いない」


発言者 同上
ムシウタ



「ようやく、ここまでこれた

“虫憑きとはなにか”――ずっと、その真実を追い求めてきたのだ

“虫”そのものが何者であるかは、彼ら虫憑き自身が見つけ出すだろう。だが私は虫憑きという存在が
世に知れ渡る前に、ジャーナリストとしてその本質を伝えねばならない

“虫”を恐怖する心は、“虫”すらも弄び、世界を混沌へと導きかねないのだから

そうなる前に、私は“記録者”として真実を伝えよう」


「――この作品に、タイトルはない

だがこの中に、紛れもない真実が込められているのである」


「――虫憑きとは、友達になれるのだ

“虫”を恐れる心こそ、その真実を歪めてしまうのだ・・・・・

そのことを伝えることこそ――“記録者”として、しなければならないことなのである」


「・・・・・――私の勝ちである

私のほうが、ほんの一瞬だけ早かった。一瞬でも伝わった電波を受け取ってくれた人々が、どこかに必ずいるはずなのだ

真実を伝えるのは、電波などではない―― 人どうしのつながりなのだから」


「――我々、報道部の行進は誰にも止められないのだ・・・・・」


発言者 “記録者”(南風森 愛恋)
ムシウタ

同じく、村正宗殿からご紹介いただいた名台詞である。
そろいもそろって、覚悟をがっちりと固めた台詞。戦う・・・戦い抜く覚悟。報道者としての使命に殉じる覚悟。
覚悟は固めてからは役に立つが、固めるまでが大変なもの。その、「覚悟を固めるまでの大変さ」が、どこかにじみ出てくるような感じがいい台詞である。


「馬鹿だよお前。大馬鹿野郎。」
「アンデルセンより全武装神父隊に告げる。第9次十字軍(クルゼイド)遠征熱狂的再征服(レコンキスタ)は完全に壊滅した。朝が来る、夢はもう醒めた、ヴァチカンへ帰還せよ。」
(「そっ、そんな!アンデルセン!!」)
「貴様らの死ぬところはここではない!帰れ!ヴァチカンを守れ法皇を守れ未来永劫カトリックを守れ。おれはあいつを倒す。吸血鬼(アーカード)を倒す!倒さねばならぬ。」
(「そっ、そんな!そんな・・・ッ、あんな男と戦ってどうなるというのです」)
「否!!今だ。今しかない。アーカードが全拘束術式を開放した今、只今がその時だ。」
「あれは奴の持つ全ての命を全て開放して全てを攻撃に叩き込む術式だ。城から全ての兵士を出撃させた総掛りだ。城の中に立つのは城主(ロード)がただ一人!!」
「奴は一人だただ一人!!今やただ一人の吸血鬼。ただ一人のドラキュラだ。」
「恐らくあの狂った大隊指揮官はこれが、これのみが目的だったのだ。アーカードただ一人を打倒するための生贄だ。千人の武装SSを、三千人の十字軍を、百万人の英国人を、敵も味方も。」

「きっと、俺が、征くことも。」

「御然(おさ)らばだ諸君。マクスウェルが泣いている、どうしようもないあの馬鹿が、相も変わらず意気地の無い弱虫めが。御然らば!!いずれ辺獄(リンボ)で。」

発言者 「聖堂騎士」アレクサンドロ=アンデルセン神父
HELLSING 著・平野耕太

力におぼれたかつての教え子たる指揮官を断罪し、強敵の最大攻撃の発動で壊滅しつつある自軍に撤退を命じ、最後の突撃をかけようとする男の仲間への別れの言葉。
アンデルセン神父はどっからどーみても危ない狂信者なのだが、ここからの一連の流れの男らしさはそれとは別物の、賞賛の対象たるほどの漢っぷりである。
己で断罪したマクスウェルに対する複雑な思いも最初と最後に匂わせてあって、たまらぬ名台詞である。


「貴様ら・・・!!この・・・この馬鹿野郎!!この・・・大馬鹿野郎ゥ共め。」

「このままヴァチカンに帰ったら、我々は我々でなくなってしまう。イスカリオテの第十三課(ユダ)でなくなってしまう!!ただの糞尿と血の詰まった肉の袋になってしまう!!」
「「そうあれかしと叫んで斬れば、世界はするりと片付き申す」、そう教えてくださったのは貴方じゃないか!!さあこれより狂信者の手管を御覧にいれましょう。」

「馬鹿野郎誰奴(どいつ)も彼奴(こいつ)も死ぬことばかり考えやがって、辺獄(リンボ)が一杯になって、代わりに教皇庁(ヴァチカン)はガラガラになって、」
「いいだろうついて来い。これより地獄にまっしぐらに突撃する。いつものように付いて来い!!」

発言者 アンデルセン ハインケル 由美恵
HELLSING 著・平野耕太

帰れといわれたのに、結局そんなアンデルセン神父の最後の(そして自殺的な)突撃についてきてしまった部下たちのやり取り。
狂信者なのだがそれでも、いやそうであるからこその格好よさがある。


「どうする?どうするんだ?化け物はここにいるぞ!!キリスト教徒(カトリック)。倒すんだろ?勝機はいくらだ。千に一つか万に一つか、億か、兆か、それとも京か。」
「それがたとえ那由他の彼方でも、俺には十分に過ぎる!!」

発言者 吸血鬼アーカード アンデルセン神父
HELLSING 著・平野耕太

とうとう宿敵の姿が見えて、尚立ちはだかる大軍。
強行突破しながらの雄叫び。可能性など知ったことかという猛々しい闘志が素晴らしい。


「「釘」か!「聖骸布」「聖杯」「千人隊長の槍(ロンギヌス)」ローマからことごとく散逸した聖遺物最後の一つ。
「そうだ。」
「「奇跡の残り香」「エレナの聖釘」」
「そうだ!!」

「やめろ!!アンデルセン!!」

「化け物になるつもりか!!「神の化け物」に!!神の力の、不死身の、本当の玩具になる気か。同じだ。まるで同じ糞たれだ。神を肯定した化け物と神を否定した化け物と。」

「そんな奇跡の残骸を使って、お前も奇跡の残骸になるつもりか。俺を、お前を、俺たちの闘争を、彼岸の彼方に追いやるつもりか。俺のような化け物は、人間でいることにいられなかった弱い化け物は、人間に倒されなければいけないんだ!!」
「やめろ人間!!化け物にはなるな、私のような。」


「これほど戦ったのだ。本当はお前も分かっている筈だ。俺は只の銃剣(バヨネット)でいい。神罰という名の銃剣でいい。」
「俺は生まれながらに嵐なら良かった。脅威ならばよかった。一つの炸薬ならばよかった。心無く涙も無いただの恐ろしい暴風でならよかった。これを突き刺すことで「そう」なれるのなら、「そう」しよう。「そうあれかし」(アーメン)」


「この、この、大馬鹿野郎!!」
発言者 吸血鬼アーカード アンデルセン神父
HELLSING 著・平野耕太

「最後の手段」を使おうとするアンデルセン神父。それは奇跡の力を秘めた釘。だがそれを使えば、その身は神の力、人ではなくなる。
それに対して、自分が窮地に陥るからとかではなく、人間であるお前と戦い、討たれるなら人間のままのお前でと願うアーカードの瞳は、まるで泣き出しそうなほどに悲しげで。
それだけに只管に「神に仕える只の力」であることに殉じそれを拒絶したアンデルセンに対しての「大馬鹿野郎!!」の叫びが実に切ない。
アーカードというキャラクターの多面性を象徴するやりとりである。


「そういう正義にあこがれる気持ちが・・・子供たちの中の勇気の芽を育てると俺は信じてるよ・・・」
発言者 大文字爆=装甲刑事ビッグバンΣ
チェンジング・ナウ 著・UMA

「正義の味方」というか「ヒーローもの」の真髄を捉えた名台詞。宮内洋氏の持論「ヒーロー番組は教育番組である」にも相通ずる台詞である。



「やっちゃん・・・」
「んだよ?」
「さっきの話、痛かったです。」
「何だっけ?」
「閃士が、人の命の重さを、引き金の重さほどにしか感じていないって・・・」
「忘れろ、お前のことじゃねえよ。」
「やっちゃんが剣で戦う道を選んだのは、そういうことなんですね?」
「剣士は剣を握った手で肉を切り骨を絶つ、その感触を受け止める。掌(たなごころ)という心で、命の重みを感じる。」
「・・・鬼になるぜ。」
「え?」
「斬った奴らの命を、思いを、全てこの手で受け止めていたらな。鬼になる。」
「鬼・・・」
「いや、俺はなりかけていたのかも知れないな・・・お前と、会うまでは・・・」
「どっちにしても、銃も剣も使わないにこしたことはないですよね・・・」


発言者 天道瑠朱奈 虎島冶次郎
グレネーダー〜微笑みの閃士

補足説明しておくと、「閃士」というのは、早い話が銃使いであり、より細かいニュアンスを説明するならば早撃ちのガンマンといった意味合いであろうか。
それまでの刀と刀での戦いに銃という新しい武器が持ち込まれたことにより、無法化の進んだ社会で、他の閃士と違い相手の武器を弾いたり急所を外すことで人を殺さず戦おうとする少女と、刀を使う武士の生き残りである青年の対話。
銃を持つことで、人の命の重さが引き金の重さ程度になる、ということ。引き金を引くだけで、返り血も斬る感触もなく人を殺すことがもたらす心の麻痺と。その全てを感じながら尚人を殺すことを続けざるを得ないことは人には耐えられないということと。

作品自体は少女アクションが売りの平凡な代物なのだが、このやりとりはなかなか秀逸。



「世界は、いつだって・・・こんなはずじゃないことばっかりだよ!! ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!! こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは、個人の自由だ! だけど、自分の勝手な悲しみに、無関係な人間を巻き込んでいい権利は、 どこの誰にもありはしない!! 」

発言者 クロノ・ハラオウン
魔法少女リリカルなのは

正統派正義的でありながら、言い回しが面白く、かつしっかりとした基盤によって立つ名台詞である。
世界と現実の非情さを「こんなはずじゃないことばかり」という比喩でまとめ、それに対する「向き合い方」から人のあるべき道を語る、文句無しの名台詞である。



「っ、仲間、かっ!!」
「・・・・・・・・・友達だ。」

発言者 鉄槌の騎士ヴィータ フェイト=テスタロッサ
魔法少女リリカルなのはA,s

「世界の危機を救い、日常へと帰還した主人公に襲い来る新たな敵。圧倒的な敵の力の前に絶体絶命の窮地に陥る主人公を間一髪の所で助けに来たのはかつて戦いそして心をかわしたライバルだった!今、新たな戦いが幕を開ける!」というのは明らかに魔法少女モノの第二期シーズン第一話の展開じゃねえっ!という話での名台詞。

だが、格好いいことに変わりはない。
そして、「仲間か」と問われて「友達だ」と返す、第一期シーズンで孤独な戦士だったフェイトが主人公・なのはから学び何より大切に心に刻んだ暖かい思いをきちんとこの場で語っている、その台詞の妙はきちんと押さえるべき所を押さえていて素晴らしい。



「いい気迫だ。私はベルカの騎士、ヴォルフェンリッターが将、シグナム。そして我が剣、レヴァンティン。お前の名は?」
「ミッドチルダの魔道士、時空管理局嘱託、フェイト=テスタロッサ。この子はバルディッシュ。」
「テスタロッサ・・・それに、バルディッシュ、か。」

発言者 剣の騎士シグナム フェイト=テスタロッサ
魔法少女リリカルなのはA,s

魔法少女モノの名乗り合いじゃねえ、っというか以下この作品に関しての解説において「魔法少女モノの○○じゃねえ」は常につきまとうので省略。
ライバルとして後に激しく火花を散らしながらも奇妙な友情で結ばれていく二人の今後を予感させる、騎士的名台詞。



「くそぉ・・・はやてからもらった騎士服を、こんなにぐちゃぼろにしやがって。まあ、騎士服は直るし、そこそこページも稼げたから、いいけどよ・・・」
「うぁっ・・・く!」(転倒)
「いっ、たく・・・ない!痛くない、こんなのちっとも痛くない!昔とは、もう・・・違うんだ。帰ったらきっと、あったかいお風呂と、はやてのご飯が待ってんだ・・・」
「優しいはやてが、にこにこ待っててくれてんだ・・・!そうだよ・・・あたしは、すっげえ幸せなんだ・・・!」
「だから!」
「こんなの!全然!痛くねええええええええ!!」


発言者 鉄槌の騎士ヴィータ
魔法少女リリカルなのはA,s

補足説明をすると、「ページ」というのはヴィータ等ヴォルフェンリッターが持つ「闇の書」という魔導書のページであり、魔法使いや魔獣を倒して魔力を集めることによりページを復活させていくのが彼女たちの目的であり・・・彼女たちが知る、彼女たちの主はやてを助ける唯一の道なのだ。
歴代の主は、常にヴィータたちヴォルフェンリッターと「闇の書」ををあくまでただの道具として扱ってきた。己の望みのための道具として。
しかし、不幸で孤独な身の上でありながら悪しき望みを持たぬ心清き主はやては、ただ家族として共に生きることを求めた。
そして、ヴィータたちヴォルフェンリッターの四人は、初めて人間的な幸せ、安らいだ暮らしを得ることになる。
故に、最大の忠誠と無限の愛を、彼女たちはその胸に抱く。
だが、そんな自分達の源である「闇の書」が不完全なままであるの影響が、主であるはやての体を蝕んでいるという事実を知ってしまったとき。
「自分達が主に仕えることが主を不幸にする原因」という、騎士としての矛盾を抱え。
その為に、自分達の騎士としての誇りを捨て去ってでも、「戦わないでいい」という主の命令に背いてでも、主には何も言わぬまま、自分達がどれほど戦いどれほど傷つきどれほど苦しんでも全てを知らせぬまま戦おうとする彼女たちの健気さは涙無しには語れず、思わず本来敵である筈の彼女たちを応援してしまうこと請け合い。
特にメンバー中最年少であるヴィータは大人ぶったり生意気だったりする癖に本当のところは一番純粋で懸命で。
ぼろぼろになるまで、否、ぼろぼろになっても戦いながら、それでも自分は幸せなんだと言い切るヴィータが、ヴィータにそこまで言わせる絆とはやての為にそこまでするヴィータの心が、たまらぬ名台詞。



「この身に、成さねばならぬ事が無ければ、心躍る戦いだったはずだが、仲間達と我が主の為、今はそうもいっていられない。殺さずに済ます自信が無い、この身の未熟を許してくれるか?」
「構いません。勝つのは私ですから・・・」

 
発言者 剣の騎士シグナム フェイト・テスタロッサ
魔法少女リリカルなのはA,s

「こんな出会いをしていなければ・・・・・・私とお前は、いったいどれほどの友になれただろうか。」
「まだ・・・間に合います!」
「止まれん・・・我等守護騎士、主の笑顔の為ならば、騎士の誇りさえ捨てると決めた。もう、止まれんのだ!!」
「止めます、私とバルディッシュが!!」

 
発言者 剣の騎士シグナム フェイト・テスタロッサ
魔法少女リリカルなのはA,s

騎士としての誓いも誇りも、己が己であるとする全てを捨ててでも戦い抜くことを選んだ騎士シグナム。
そんなシグナムと戦いの中で絆を結んだ、かつては孤独だった少女フェイト。
友情を知ったが故に強いフェイトと、そんなフェイトに共感しながら、騎士として正々堂々一対一の戦いを望みながらも、主のために全てを捨てる、騎士の誇りをも捨てたが故に逆に究極の騎士道を貫いているシグナム。
「殺さずに済ます自信がない」というシグナムに対し「勝つのは私」と答えるフェイト、「止まれん」というシグナムに、「止めます」というフェイト・・・
この、互いを気遣い互いを理解しながら尚も戦わねばならぬ、戦う在り方が、その美しさと切なさと凛々しさが聞く者の心を打つやりとりである。



「一つ覚えの砲撃、通ると思ってか。」
「通す!!レイジングハートが力をくれてる!命と心を賭けて、答えてくれてる!泣いてる子を、救ってあげてって!!」


発言者 「闇の書」 高町なのは
魔法少女リリカルなのはA,s

「悲しみなど無い?そんな言葉を、そんな悲しい顔で言ったって……誰が信じるもんか!!」

発言者 フェイト・テスタロッサ
魔法少女リリカルなのはA,s

己を感情(こころ)持たぬただのシステムだと言い、自らの頬を伝う涙を、あくまで主の思いの反映であって己の意志ではないと言い張る「闇の書」の精霊。
それに対する、真っ当すぎる程に真っ当な反論。
この真っ直ぐさ、この力強さ、悲しみに対する熾烈な反撃は、実質、「闇の書」は涙を流してはいるがそれ以外はまるで仮面のような無表情だという映像に、あえて「そんな悲しい顔で」という台詞を合わせる、「悲しみを知る力」が、力強さに優しさが加わっている。



「あ、なのはちゃん、フェイトちゃん。」
「あ」
「シャマル。」
「はい。お二人の治療ですね。クラールヴィント、本領発揮よ。「ヤー。」静かなる風よ、癒しの恵みを運んで!」
「あ・・・うわあ・・・」
「え・・・」
「湖の騎士シャマルと、風のリング・クラールヴィント。癒しと補助が本領です。」
「凄いです・・・」
「ありがとうございます、シャマルさん!」
「あたしたちはサポート班だ・・・あのうざいバリケードをうまく止めにいくよ。」
「ああ。」「うん。」
「・・・始まる」
「夜天の魔道書を、呪われた闇の書と呼ばせたプログラム・・・闇の書の、闇。」
「チェーン=バインド!」
「ストラグルバインドッ!」
「締まれ、鋼のくびきっ!でいいやっ!」
「ちゃんとあわせろよ、高町なのは!」
「ヴィータちゃんもね!」
「鉄槌の騎士ヴィータと、黒鉄の伯爵グラーフアイゼン!「ギガントモード!」轟天爆砕、ギガントッ、クラーークッ!!」
「高町なのはと、レイジングハート・エクセリオン!いきますっ!「ブロウ・カートリッジ」エクセリオン・バスターッ!!「ダブルシュート」ブレイクッ、シューーートッ!!」
「次!シグナムとフェイトちゃん!」
「剣の騎士シグナムが魂、炎の魔剣レヴァンティン、刃と連結刃に続く、もう一つの姿・・・「ボゥフォーム!」駆けろ隼!!「シュトルムファルケ!!」」
「フェイト=テスタロッサ、バルディッシュザンバー!いきます!はあっ!撃ちぬけ雷刃!「ジェットセイバー!」」
「盾の守護獣、ザフィーラ!攻撃なんぞ、撃たせん!!」
「はやてちゃん!」
「彼方より来たれ、宿木の枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け!石化の槍・ミストルティン!」
(中略)
「行くぞ、デュランダル!「オーケィ、ボス」悠久なる氷河、凍てつく氷の地にて、永遠の眠りを与えよ・・・凍てつけ!「リターンコフィン」」

「いくよ、フェイトちゃん、はやてちゃん!」
「うん。」
「うん!」
「「スターライトブレイカー」全力全開!スターライトぉぉぉぉぉ!!」
「雷光一閃!プラズマザンバァァァァ・・・!」
「ごめんな、おやすみな・・・響け終焉の笛!ラグナロクッ・・・」


「「「ブレイカーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」」

発言者 八神はやて 湖の騎士シャマル 高町なのは フェイト=テスタロッサ クロノ=ハラオウン ユーノ=スクワイア 鉄槌の騎士ヴィータ 剣の騎士シグナム 盾の守護獣ザフィーラ
魔法少女リリカルなのはA,s

登場人物全員集合どころか、この土壇場で第3の魔法少女として覚醒した新ヒロインを迎えての超絶一斉攻撃の一連のやりとり。
全員が二つ名を名乗りまくり技名を叫びまくりキメゼリフを放ちまくる・・・大熱血のラストバトル。

省略すると上で言ってはいたが、やっぱりこれは言っておきたい。

「魔法少女モノのラストバトルじゃねえ!!」

凄い燃えるけど。



「リインフォース・・・」
「はい、マイスターハヤテ。」

発言者 八神はやて リインフォース
魔法少女リリカルなのはA,s

文章にしてしまうと、まるで普通の台詞。
いや、実際劇中でもごく普通のやりとりなのだが。
・・・なのだが・・・

この最終回の最後の最後、エピローグの土壇場の土壇場で繰り出された、補完と救済の台詞なのだ、これは。
「世界で一番幸せな魔導書」への、祝福なのだ。
通しで見ないと解らぬ台詞なのだが、あえて掲載。・・・解れ。



「♪嘘をつく子は日暮れの別れの時の居場所が分からない♪
 ♪遊び疲れた言葉と空気の抜けたゴム鞠抱えて♪
 ♪傷の無い子は夜道で足を踏み出すリズムが解らない♪
 ♪暗いあぜ道踊り場怪我を恐れてお家に帰れない♪」

発言者 ハルハラ=ハル子
フリクリ(漫画版) 著・ウエダハジメ

漫画の劇中で歌われている、メロディの無い歌。
劇中のシーンやキャラクターの心理とあっているようなあってないような内容なのだが、SDなイラストも含めてみょ〜に印象に残る。



「昼間うろついてみないとその街は見えない。このだだっ広い誰も居ない道は誰の為か?駅まで続く無機質な商店街は誰の為か?タッくんの生まれる前から在る景色すら、ちょっと見当たんないぞ。これがマバセ市だ、タッ君の街だ。全てMMのために代わった、急に。でも、もうMMがなければ生活できないとこの街の大人は皆信じて、その不自由を恥じていない!洗練された奴隷制は隷属を喜ばすのだ。見ろタッくん!あれが「悪」だ!!」
発言者 ハルハラ=ハル子
フリクリ(漫画版) 著・ウエダハジメ

補足説明しておくと、MMというのは「メディカルメカニカ」という企業の名前である。
劇中このハルハラ=ハル子というのはどこまで真面目でどこから不真面目なのかがわかりにくいキャラなのでこの台詞もマジなのかそうでないのかあまりはっきりしていない。
しかし純粋に文面として捉えるなら、企業第一主義盲従に対する批判として明確に機能している名台詞である。



「レベル7程度の騎神(スペクター)がレベル18の私に刃を向けるなど、それだけで重罪だと気付かんのかGENERAL(ジェネラル)。」
「・・・・・・もっともな意見だ。しかし勝つのは、我々だ。」

発言者 騎神(スペクター)ROAR(ロアー) 騎神(スペクター)GENERAL(ジェネラル)
黒髪のキャプチュード 著・見田竜介

「反逆」の物語である黒髪のキャプチュードに置いては、武器までも反逆者である。
一種のインテリジェンスソード(知性を持つ剣)である騎神(スペクター)には、明確な「強さのランク」が存在する。切れ味、持ち主の身体能力の強化(主人公の剣ジェネラルで5〜6倍、相手の持つこのロアーだと2000倍と言われる)・・・
故にこそ己の能力を誇るロアーに対し、それでも「勝つのは我々だ」と言い切るジェネラル。
「我々」というあたりにジェネラルの拘りと、強さに対してだけではない誇りが感じられて、よい。

犬神長元坊殿からご紹介いただいた名台詞である。

今回は、最近気に入った名ぜりふのご紹介を。
モノは「ARIA」天野こずえ著、マッグガーデンより現在12巻まで刊行中。以下続刊。この話、何から何まで好きなのですが、その中でもお気に入りの台詞をいくつか。
その前に、基本的な設定を説明しておきますと、物語の舞台は遙か未来の火星……テラ・フォーミングの結果、極地の氷が予想以上に融解したため、惑星表面の大半が水で覆われた火星、水の惑星となったために「アクア」と呼ばれることになった彼の星が舞台となります。
その片隅に、地球(作品中では「マンホーム」と呼ばれる)では21世紀に水没して消滅したという設定のヴェネツィアを、このアクアに再現。ネオ・ヴェネツィアという名で、主に観光を基幹産業に栄えているのです。
このネオ・ヴェネツィアの花形職業が、観光案内を主に行う女性のゴンドラ漕ぎ「水先案内人(ウンディーネ)」。主人公「水無灯里(みずなしあかり)」はそのウンディーネになりたくてマンホームから一人でやってきた女の子。素敵なことでいっぱいの水の星で、いろいろな人やヒトではない者と出会い、友達を得て、日々の輝きを受け止めて成長していく、という話です。
そのエピソードの一つというのが、地球では失われてしまったヴェネツィアン・ガラスを再現している職人たちから荷物を受け取って運ぶ仕事の話。結局偽物を作っているんじゃないかと心ない人に言われて傷ついていた親方の弟子に灯里が語った台詞がこちら。
「その人が嘘モノと感じるなら、それはその人にとっては嘘モノなんでしょう。人の価値観は十人十色ですもんね。でも貴方が嘘モノだって言われて傷つくのは、貴方のネオ・ヴェネツィアンガラスに対する想いが、本物で大切なモノだからですよ」
「ぶっちゃけ私、この世には嘘モノはないって思うんです。たとえば地球から観光で訪れたお客様の中には、結局ここはかつての地球のヴェネツィアの偽物だって言う人もいます。確かに街の造りだけ見れば、真似っこかもしれません。でも火星と地球では街ができた課程も流れた時間も違いますよね?」
「当然そこで過ごした人も、紡がれた想いも違うと思うんです。すくなくとも私の場合、本物か偽物か決めることは全然問題じゃないです。だってネオ・ヴェネツィアが大好きで、その気持ちを宝物みたいに感じられる私が今、こうしてここに存在しているんですもん。だから何て言われてもへっちゃらぽんです」


……いかがでしょうか? こういった価値観は実に素敵なモノだと思うのですよねぇ。

灯里には、アクアで友達ができました。
同い年で同じく半人前の藍華ちゃん、年下でまだ見習いながらゴンドラを操るのがうまいアリスちゃん。二人ともそれぞれ別々の会社の子です。
灯里にはアリシアさんというとても素敵な先輩がいて、ネオ・ヴェネツィアでも「水の三大妖精」の一人に数えられる超売れっ子なのですが、実は藍華ちゃんの先輩の晃(あきら)さん、アリスちゃんの先輩のアテナさんもその「水の三大妖精」だったりするのです。
ある冬の日、なんと「水の三大妖精」の全員が、灯里たち同様、別々の会社なのに半人前同士で一緒に練習していた仲だったことが判明。それを懐かしんで、
「あの頃は楽しかったわね。毎日いつも3人一緒だった」
「忙しくてたまにしか会えない今が何だか嘘みたいに思えるよね。3人で合同練習する日々が、ずっと続くんだと思ってた」
などという先輩たちに、アリスちゃんが将来自分たちも、「3人でいることが当たり前でなくなる日が来ちゃうんですね」とアンニュイになってしまうのです。そこで、アテナ先輩の言葉が。
「…でも、少なくとも私にとっては、今だってまんざらじゃないわよ。かわいい後輩達ができたし」
アリシアさんも、
「うん、あの頃の楽しさに囚われて、今の楽しさが見えなくなっちゃもったいないもんね。あの頃は楽しかったじゃなくて、あの頃も楽しかった…よね」
「うん、きっと、本当に楽しいことって、比べるものじゃないよね」
「あっ、でもワンポイントアドバイス。今────楽しいと思えることは今が一番楽しめるのよ。だからいずれは変わっていく今を、この素敵な時間を大切に、ね」


いかがでしょうか?
まだまだ他にもあるのですが、今宵はここまで。

「小さい事にクヨクヨ悩んだりしてない?自分のやりたい事。やれる事。やればいいんだよ、少しずつさ。それが強さになるんだ。 君は強い!」
発言者 仮面ライダー響鬼
仮面ライダー響鬼

厳密には本編ではなく。CMでの台詞なのだが。
熱い思い満ちる、励ましと指導の名台詞である。


「お婆ちゃんが言っていた。悪魔の囁きは時として天使の声に聞こえる」
発言者 天道総司
仮面ライダーカブト

上記に対して、こちらは戒め。
都合のいい言い訳が聞こえてきたとき。
この言葉を、思い出して欲しい。
言い訳ぜずにいられぬ状況でも。言い訳せざるを得ない状況でも。
一歩踏み出す、力を生むはず。




「資格?バカヤロウ!!そんなもん誰も持ってねぇんだ!」いいか、あるのは責任だけだ!」
「闘う責任。あの子を傷付けちまった責任。そいつを果たすにはこの地球を守るしかねぇんだ!」
「俺は慰めねぇぞ!励ますつもりもねぇ!自分の責任は自分でとれ。駆け上がってこい。」

「そしたらいくらでも俺たちが支えてやる。」

発言者 マトイ
救急戦隊ゴーゴーファイブ

正義を行うことは義務か権利か?
性格には、正義をなし続けることは・・・と、なるかもしれないが。
ひとたび善悪を知る人として産まれついた以上、既に知った善を成さぬことに対する、善を放棄することへの警句を含め。
全ての正義と、全ての人に、叱咤激励となりうる台詞だと我輩は思う。



「それじゃベーダーと同じじゃないか!!人間は違うぞ。強い者が弱い者を守ってやらなきゃ!!男の子が女の子を守ってやらなきゃ!!それが人間だ!!」
発言者 青梅大五郎
電磁戦隊デンジマン

追い詰められ、「弱い奴が死んで強い奴が生きるんだ」と言い訳しようとした少年に対し、デンジブルーと呼ばれた戦士は、その状況を作り出した敵対者・ベーダー一族を例にだし、こういった。
男の子が女の子を、というのは、我輩は例え男女平等が叫ばれてもと思うけれど反論する向きもあろうが。
単純な弱肉強食を否定し、「強いものの義務」を訴えるこの言葉は、大切な意味をそれとは独立して有すると考える。




「お前がやらずに誰がやる!?お前の涙で奴が倒せるか!この地球が救えるか! 」
発言者 モロボシ=ダン オオトリ=ゲン
ウルトラマンレオ・ウルトラマンメビウス

「ウルトラマンレオ」で、ダンが若き戦士ゲンに。
そして、「ウルトラマンメビウス」で、ゲンが若き戦士ミライに言った熱い言葉。
猛々しい正義の魂、ウルトラの光の伝承。
それを伝える、熱い「師匠の名台詞」である。



「あの子が将来何になりたいかわかる? スパイダーマンよ」
「何で?」
「あの子には誰がヒーローかわかるの。あんな人は滅多にいない、ああして空を飛び回りこんなおばぁちゃんまで助ける。そう、ヘンリーのような子にはヒーローが必要なの。勇敢で自分を犠牲にしてまで皆の手本になる。
誰だってヒーローを愛してる。その姿を見たがり、応援し名前を呼ぶ。何年もたった後で皆語り継ぐでしょう。苦しくても諦めちゃいけないと教えてくれたヒーローがいた事を。
誰の心の中にもヒーローがいるから、正直に生きられる、強くなれるし、気高くもなれる。そして最後には誇りを抱いて死ねる。
でもその為には常に他人の事を考え、一番欲しいものを諦めなくちゃならないこともある。自分の夢さえも。ヘンリーはその気持ちを教わったからスパイダーマンの行方を聞くの。彼が必要だから。」


発言者 メイおばちゃん ピーター(=スパイダーマン)
スパイダーマン

アメリカンヒーローの中では比較的、よく悩むタイプである「スパイダーマン」。そういう点、やや日本特撮のヒーローに近い作品だが。(X−MENなども近いといえる。ちなみに、昔日本版も作られていたが、あれはちょっとおいといて)
苦悩に関する描写は、むしろステロタイプなのだが。
この、それに対する、「苦悩をしてまで、ならば何故」ということへの回答(メイおばちゃん自体はピーターの正体を知らないのだが)は、直接的であるが故にむしろすこぶる鮮やかな印象である。
宮内洋の「ヒーロー番組は教育番組である」という言葉に通じる、「目標として人の心に輝き救う」というヒーローの価値。
それを示す名台詞である。



「僕の後にもこの美しい惑星を好きになって、心から人間と友達になりたいと思う異星人がきっと現れる。でも彼らは僕のように人間の姿になれるとは限らない。
彼らは異星人の姿をしているせいで、侵略者だと思われてしまう。そんな時、もし過去に一人でも人間の信頼を得て本当の友人になれる異星人がいたなら、少しは違うと思うんだ 僕はね、その最初の一人になろうと決めたんだ」

発言者 宇宙人キーフ
ウルトラマンマックス

地球人に化けて潜入することも可能だったのに。平和目的だったから、ことを荒立てなくてもよかったのに。
あえて宇宙人による侵略の最中、自らその正体を防衛軍に明かした宇宙人キーフ。
それは、すべて。
宇宙人への疑念を晴らし、未来への礎となるためだった。
あまりの善良さに。
業を捨てきれぬ人として、涙すらにじむ名台詞である。




「俺はお前のお陰で、子供の頃からおかしな力を持ち、友達のひとりもいやしなかった。許されない事も、沢山してしまった。
だが、それをお前のせいにしようとは思わない。これも俺だ!!教えてやろう、デズモゾーリャ!!
人の中には、大なり小なり化け物がいるのかもな。だが、人はそれと戦い続け、いつかはそれに勝利する事ができる。
少なくとも、あいつらはそう信じている。だから俺も信じる、あいつらの事を!俺の中のデズモゾーリャと、戦い続ける!」

発言者 アバレキラー
爆竜戦隊アバレンジャー


戦隊の、ヒーロー系キャラクターでありながら不幸な出自から凄まじい悪の暴れぶりを見せたアバレキラーが、最後の最後で正義の魂に目覚めたときの名台詞である。
デスモゾーリャという、悪の長の名を、悪からの誘惑、良く悪が正義に対して事象する「誰の心にも潜む悪」と、あえて重ね。
そのうえで。
「だれもがその悪と戦うことが出来る。勝つことが出来ると信じる。」というこの台詞は。
紛れもなく正義の言葉である。

犬神長元坊様からご投稿の名台詞です

お久しぶりです、悪の博士さん!
なんか迷惑千万な宣伝がいくつも入ってるようですが、無視してまいりましょう。久々の名ぜりふ紹介です。前々から紹介しようと思っていながらついつい先延ばしにしていたモノなのです。

『終わりのクロニクル』電撃文庫、川上稔著、さとやす画。
この作者最大の長編となった同作ですが、すさまじいほどの情報量を誇り、特に最終巻などは文庫本の限界に挑戦したというか、京極夏彦に喧嘩を売ったというか、人間を撲殺できそうなほどの分厚さになり、伝説を打ち立てた感すらあります。
このシリーズの第一作は、なんと『全てが終わったあとの世界』での戦闘シーンが語られてから始まるのです。そこに至るまでに何があって、誰が何を得て、誰が何を失ったのか……それを語るのがこの物語だった訳なのですが、コレが面白くて、『シュラ』も『青のクエスト』も多大な影響を受けてます、マジで。
その冒頭の戦闘シーンに出る台詞。コレがなかなか好きなのです。まずは主人公、『佐山・御言(さやま・みこと)』のこれからまさに戦闘に入ろうかという時の台詞。

「さあ、君達が襲った少女は最後まで悲鳴を挙げなかった。君達も頑張ってくれたまえ」
「存分に行こう。私は全ての者に等しく寛大だよ? 容赦はしないが」
「−−諸君!」
「今こそ言おう。……佐山の姓(かばね)は悪役を任ずると!」
「私はここに命令する! いいか? 彼らに失わさせるな。そして彼らを失うな。何故ならば、誰かが失われれば、その分、世界は寂しくなるのだから」
「わかるな!? ならば進撃せよ(アヘッド)! 進撃せよ(アヘッド)! 進撃せよ(ゴーアヘッド)、だ! 馬鹿が馬鹿をする前に強く殴って言い聞かせろ!そしてこちらに連れてこい! −−それが分かったら言うがいい!」
それに対し、佐山が率いるつわものどもからの返事。
「−−契約す(テスタメント)!」
それを聞いてから敵に向かっていった佐山の台詞が、
「さあ、……理解し合おうではないか!」


なんというか、この一連を読んだだけで熱くなりましたよ。ここに至るまでに何があったのか。嫌がおうにも興味をかき立てられ、気づいてみれば次巻が待ち遠しくて気もそぞろ、完全な「おわクロ」ジャンキーとなっていました。
特に「彼らに失わさせるな〜」のくだりがいいと思うのですよ。今までに聞いたどんな言葉より雄弁に、人を殺すことを戒める「理由」を語っているように思われて。「世界が寂しくなるから」……なるほど、確かにその通りなのです。
一読をおすすめしますよ、悪の博士さん♪

ごきげんよう。

犬神長元坊様からご投稿の名台詞です

お久しぶりです、悪の博士さんっ。
この間、自分とこの掲示板に新たなライダーネタのことをちょこっと書きました。シュラの時同様、色々とご意見を求めることになるかと思いますが、その時はよろしくお願いしますねっ。

本題ですが、名ぜりふの紹介です。以前紹介しました、「終わりのクロニクル」の川上稔の以前の作品、「都市シリーズ」より。
取り上げるのは同シリーズでも最長を誇る「機甲都市伯林(ベルリン)」です。
元々このシリーズは、単体作品だった「パンツァーポリス1935」が好評だったため、他の都市についても書くことになって、ロンドンを舞台とする「エアリアルシティ」が書かれ、「風水街都香港」からまとめてシリーズと化した、という経緯があります。
そして「奏(騒)楽都市OSAKA」「閉鎖都市巴里」と続き、原点回帰というか、最初に取り上げた都市ベルリンを再び取り上げたのが「機甲都市伯林」なのです。(だから副題は「パンツァーポリス1937」にはじまって、1939、1941、1943と続き、最後が「パンツァーポリス1943Erste−Ende」となります)
紹介する台詞は全てが終わったあとのたった一言(でもないか)です。

「──ヘイゼル! 聞こえているか? ヘイゼル・ミリルドルフ!」

たったこれだけです。……ええ、「機甲都市伯林」を読まないと、ただ呼びかけているだけじゃないか、という台詞です。でも、これまでの経緯を読んでからこの言葉を目にすると、えもいわれぬ感動が味わえるのですよ。
これまで成し得なかった巨大な運命の壁を乗り越えて、未来へと繋がっていく……それを象徴する台詞でもあるのです。
ええ、読めば分かります。読むべきです。ええ……!  

「もうパワーアップしていくだけの殺し合いは沢山だ!そこからは何も生まれない!」
発言者 カンタムロボ
クレヨンしんちゃん内劇中劇「カンタムロボ」より

児童向けアニメの劇中劇と見せかけて、凄く意味の濃い台詞。
軍功競争、兵器の発展が齎す不幸、物語における闘いのインフレーション、闘いに依存した物語の構成・・・
様々なものへの悲憤を匂わせつつ、平和を希求し戦う叫びは、予想外に訊くものの胸をえぐる。



「怪獣とは、結局のところ何だと思うね?」
「え、あ、怪獣、ですか・・・。何でしょうね、そう言われると・・・。その、何というか、我々を怪獣って呼び始めたのは人間たちですからね。今じゃ我々自身も自分のことを怪獣って呼んじゃってますが。まあ、だから人間たちに訊いてくださいよ。」
「ほほう」「成る程ね。それじゃあ人間たちに訊くことにするよ。何故君たちを怪獣と呼び始めたのか。」

発言者 デモクリトス大佐 怪獣従業員クワレマス
怪獣工場ピギャース! 著・松山剛

「怪獣」というもの。
当たり前のように物語において使われる言葉では、あるけれど。
「怪獣」とそう呼ばれるものはどう思うのだろうか。人は何故、「怪獣」と戦うのか。
それを考えさせてくれる名台詞である。


「夢の中に生きる仮初の存在が、何故こうも抗える!所詮は覚めれば消える虚構に過ぎないというのに!ありえんっ!」
「お前は一つ勘違いしてるぜ、アウェイカー!」
「何っ!」

「起きてたって夢を見ることは出来るんだよ。そして、夢を現実にすることが出来るのが人間なんだ!たとえこの世界の始まりが夢だったとしても、俺たちはソレを現実に出来るだけのものを積み上げてきた。俺たちは決して虚構の存在なんかじゃねえ!」
発言者 ゲイザー=アウェイカー 柊蓮司
ナイトウィザードTheAnimation柊蓮司と宝玉の少女 著・菊池たけし+伊藤和幸

人の世界は神が見る夢、神の目覚めのために夢は消されなくてはならない。
暗黒神話体系を思わせる壮大な絶望に、委細かまわず反逆する、力強い言葉。
眠りの中で見る夢と、目標として目指す夢の交錯。
夢であっても、目指すことで現実に出来る。ナイトウィザードという作品が、もともとマイナーな出自から、アニメ化まで上り詰めたところからも、感慨深い名台詞である。


犬神長元坊様からご紹介の名台詞です。

今回はいわゆる美少女ゲームから。それも、今更ながら「ToHeart2」です。ええ、つい最近ようやくやったのですよ(笑)。
魅力的な各ヒロインの中でも犬神が特に好きになったのが、「小牧愛佳(こまきまなか)」。ヒロイン達の中でも、主人公の「河野貴明(こうのたかあき)」のお隣さんである幼なじみの「柚原このみ」に次いで早い段階で顔を見せる女の子で、いつもわたわたしている小動物的キャラながら、何かと頼りにされる「いいんちょ」です。
いつだって自分のことより誰かのために一所懸命で、他人の手助けを「悪いですよ」と断ってしまう。そんな彼女を強引に手助けしたところから、いわゆる「愛佳ルート」の物語が始まるわけですが、その最後があまりにも感動的だったので……。
愛佳にはずっと病院に入院している「郁乃(いくの)」という妹がいるのですが、その彼女の手術が物語終盤の肝なのです。
病気の影響で目に問題のある郁乃は、手術で視力を回復させることになるのですが、彼女が「包帯がとれたら桜が見たい」と言うのです。
ところが、病院暮らしが長かった上に周囲の状況を知る手段に恵まれなかった郁乃は知らなかったのか、その時はすでに五月。桜はすでに散って無いのですね。それでも愛佳は郁乃の望みなのだから、と必死で桜を捜すのです。
しかし、貴明も一緒に捜すものの桜が咲いているはずもなく、愛佳は「わたしは何もできない」と泣き出してしまうのです。手術は無事に終わり、あと少しすれば包帯はとれてしまう……貴明は「愛佳が何もできないなんてことがあるものか」と駆け出し、泣きはらした愛佳が空を見上げると、桜のとうに無い五月の空に時ならぬ花吹雪が舞っているという「奇跡」が展開されるのです!
種を明かせば、この学校の女子生徒の制服には桜色のスカーフが付いているのです。かつて愛佳に助けられた全校の女子生徒達が、高い階の教室の窓や屋上から、ハサミを手に自分のスカーフを切り刻んでまき散らしたのです。郁乃の病院は学校のある丘の下の方、ここからまき散らせば風に乗って、病院まで着く、というわけですね。
それは、愛佳がいつだってヒトのために頑張ってきたから。
誰もが、彼女に感謝していたから。
だからこそ、このシーン……女子生徒達の手が花吹雪をまき散らすイラストをバックに表示されたテキストは、百万言を尽くすよりも雄弁に。

「ありがとう」

その一言だけ。
これほどまでに感動的な「ありがとう」はなかなか出会えるものではないですよ! いつだって誰もが使う言葉でも、時と場合によっては深い感動を呼ぶといういい例だと思うのですよっ!
切り刻まれたスカーフの欠片ひとつひとつに、愛佳への「ありがとう」の気持ちを込めた花吹雪はちゃんと病院に届き、包帯のとれた郁乃はそれを見ながら、時ならぬ花吹雪に驚いている医師に「話を聞いてくれますか」
「きっと世界で一番のお姉ちゃんの」
……ここでもやはりホロリときましたね。やっぱり愛佳の気持ちはちゃんと郁乃に伝わってたんだなーって。
なお、「ToHeart2」のエンディングテーマ(だったかな?)は「ありがとう」というタイトルらしいです。残念ながら楽しむことはできない(聞こえませんからね〜)んですが、このエピソードにふさわしいんじゃないかと思いますですよ〜。


以下、まとめて村正宗殿からご紹介頂いた名台詞です。

手違いで更新時に記載漏れしてしまった、申し訳ない。


今回紹介するのは、私が知る中で最強の“日常”を誇る水上悟志作品の一つ「惑星のさみだれ」から。

この作品、随所に名台詞やら悪台詞っぽいのが散らばっていて、どれを選んだものかと迷うのですが(正直、分類せずに思うがままに書けるなら、一巻から順に挙げていきたいくらいです)、その中でも「大人」に関するものを3つ挙げてお送りします。



「大人ってのは お父さんや東雲さんみたいに 人生楽しそうにしてる大っきな子供や
ああいう笑顔を子供に向けられる人が大人!」


惑星のさみだれ
発言者:朝比奈さみだれ


「大人が笑うのはな 大人は楽しいぜって子供に羨ましがられるため
人生は希望に満ちてるって教えるためさ
・・・おれの大人論 ひひひ」


惑星のさみだれ
発言者:東雲半月



「こんな人になりたい・・・ って思わせるような子供達のヒーロー それが大人や
・・・おれの大人論 ひひひ」


惑星のさみだれ
発言者:朝比奈しぐれ(?)

・悪の博士の感想

この「ひひひ」シリーズ、いいあるなあ。勿論、最初の台詞もニュアンスは同じく。生きてる、ってことは、やはり「よきこと」で、あってほしいと思うのだ。

「ノイ」
「・・・なんだ」

「おじいちゃんをたすけて」
「心得た!!我が友 雨宮夕日よ!!」

パン(拍手)

「騎士の契約は今 完全となった
我ら二人合わせてトカゲの騎士!!共に死線を越えようぞ!!」


惑星のさみだれ
発言者:雨宮夕日 ノイ=クレザント

「姫に何度助けられたか・・・ 東雲さんにも助けられ 挙句死なせた・・・
ぼくは確かに無力で臆病な役立たずの貧弱根暗メガネだよ
でも・・・でもヒーローになりたいんだっ!! 誰かに助けられっぱなしじゃダメなんだ!!
ノイ!!お前もそうなんだろ!?
シアや・・・ルドに助けられ ずっと自分の無力を噛み締めてきたんだろ!?
わかるぞ お前の望み
言えよ 
ぼくを頼れよ 友達だろ!?」

ノイ・・・ぼくの願いを叶えて祖父さんを救ってくれたろ
あの日・・・確かにお前はぼくのヒーローだった
ぼくに・・・勢いをくれ・・・ヒーロー!!

「夕日・・・
シアを・・・ヘビの騎士を助けてくれ・・・!」
「任せろ!!我が友 ノイ=クレザント!!」

惑星のさみだれ
発言者:雨宮夕日 ノイ=クレザント




「無理ですよ!!二人を戦わせるなんて!」
「はあ はあ 未来をかけた戦いだからこそ・・・二人も当事者だ」
「でも・・・死地に連れてきて そのまま放り出すなんて・・・」
「大人のエゴで子供を真実から遠ざけてどうする 子供達のための未来なのだぞ」
「それで・・・それであなたは子供達に何を教えるっていうんです!?死体を就き付けるだけですか!?」
「それで死を教える」

「違います!!
命を最後まで使い切ってこそ生き様!!悔い無しと笑って死に様!!それを教えるんです!!
立てるハズです!! まだ・・・立てるハズ!!」


「・・・やれやれ・・・ ・・・ラクに死ぬことすら罪か・・・
・・・見ていろザンくん この老いた魂の絞りカス・・・使い切ってくる」

キュ ビュウン

「空間転移(テレポーテーション)!? そんな能力(ちから)まで・・・」
「師匠!?」

「受けよ 我が500年
天沼矛(アマノヌボコ)!!」 ビシャアア


惑星のさみだれ
発言者:ザン=アマル 秋谷稲近 月代雪待



「契約の願いを使ってください 今ならまだ回復が・・・」
「・・・願いはもう叶っている・・・子供達より先に死ねるなんてこれ以上無い・・・

喜びも・・・悲しみも・・・全部弟子達に教わった・・・「全てを知るもの」に心を震わされたことなど一度もなかった・・・
大事な事は知るだけではダメなんだ・・・時間をかけ魂に刻み込まねば・・・全知など・・・くだらん・・・

ザンくん・・・見えるか・・?

ほら・・・子供達が先に・・・行く・・・私より未来に・・・走って・・・いく・・・よ
なんて・・・頼も・・・しい せ・・・な・・・・・・・・・・・・・・・」


惑星のさみだれ
発言者:ザン=アマル 秋谷稲近

・悪の博士の感想

前の一群が「生きる楽しみ」についての台詞ならば、こちらは「生きる意味」の台詞か。

生きていることの台詞と、生きて行くことの台詞、有り方と目指す先。

二者両立して命・・・と、いうことか。



「食って寝て生きていくだけじゃ足りんのじゃ。それじゃ少しづつ何かが死んでいく。」
発言者 高知県民
うちのトコでは2 著・もぐら

日本各県の県民性をネタにした、県擬人化漫画。そこにおける、高知県でのよさこい祭りの歴史についての単行本読み切りより。
経済的にあまり上手くいっていないにも関わらず祭りをそれでも行う理由を高知(県の擬人化。本作品においては、人間と接する時の描写は人の姿をした精霊のような扱いにも見えん事もない)に問われての、県民の返事。
それは戦後すぐに地震まで重なって弱り目に祟り目の混乱期に祭りを始めようとした時に聞いた言葉と同じもので、それを切っ掛けに高知は少しづつ悩みから脱出していく、のだが。

・・・そういう細かい経緯を置いておいても、これは大事な台詞であろうと思うであるのだ。
大変な時であればこそ、特に。大変すぎてそれどころでなく仕方が無い時もあるかもしれないけれど、それでも、いずれ。戦後の時を乗り切った、高知の人達みたいに。


 


犬神長元坊殿より頂いた名台詞である。

『はじめてのあく』より

正義も悪も潰そうとする謎の組織『真世界』との戦いではなかなか熱い台詞も飛び出すのです。
圧倒的な実力差に敗色濃厚ながら諦めずに立ち上がるジロー達の先輩である赤城に、敵が
『ほう立ちますか。寝ててもよいのですよ?』
対する赤城の返答は、
『悪いがオレらが後輩に残せそーなものは楽しい日常くらいなのでね…! 負けるわけにはいかんのですよ……!』
その後の最終決戦、敵側最強の『来栖』との戦い。殺気を実体化させる力を持つが故に周りから物珍しがられ、疎まれ、そんな奴らを殴ろうとすると正義、悪の連中に『民間人を傷つけるな』『最低限のルール』と制止されたという来栖。そんなのおかしい、だから壊す。と語り、今までで最も巨大な殺気の塊を出す。
『この殺意はオレの…オレ達の! この世界への殺意だ! 止められるものなら…止めてみなよ!! 悪の首領!!』
それをみごと跳ね返し、語るジロー。
『悪の組織が世界を獲ろうとする理由−わかるか来栖? それはこの世界が好きだからだ。正義の奴らも同様。この程度の殺意で−このオレの愛をどうにかできると思ったのか? だとしたら−甘すぎるぞ『真世界』!!!』

なかなかいい台詞だと思うのですが、どうでしょうか?


犬神長元坊殿より頂いた名台詞である。

 最近、今更ながら『英雄伝説 空の軌跡』に手を出しまして。ストーリーを追うのが好きな犬神としてはドラクエ以上にお気に入りとなってしまいました。会話シーンに主人公達の台詞が入ったりするしね。
このシリーズ、もしかしたらご存知かもしれませんが、『FC』『SC』『3rd』と分かれています。
人々を守り、その依頼を果たす民間組織『遊撃士協会』が存在し、また、七曜石と呼ばれる七種類の宝石を利用した永久機関にして魔法の発動源たる『導力器』が浸透している世界。その大陸の西端に位置し、優れた導力器製造技術によって独立を保つ小国、リベール王国を舞台に、『いつか英雄と呼ばれることになる女の子』が、正式な遊撃士になることを夢見て旅に出る物語です。
『FC(ファーストチャプター)』では、主人公のエステルが、義理の弟であるヨシュアと共に準遊撃士になるところから始まり、遊撃士である父が行方不明になった事件について調べようと旅立ち、それをきっかけに正遊撃士になることを目指して王国中を巡ります。
その道中、様々な事件を解決し、依頼を果たす中で多くの人々と出会います。それがエステルの中で大きな力になっていくのがよくわかり、なかなかの良作と感じました。
(学園祭の演劇の助っ人で出演するエピソードで、まさかその劇をちゃんとミニキャラ達が演ずるとは思わず、しかも泣かされた(笑))
背後ではクーデターの陰謀が進行しており、エステル達が直面した数々の事件は、実はそのクーデターと関わっており、彼女達は阻止のために戦うことに。
クーデターを起こした連中に囚われた王女や、リベール通信という雑誌を出している『リベール通信社』の敏腕記者ナイアルを助けるエピソードがあるのですが、なんと王女はあの学園祭の演劇などで知り合った同年代の少女、クローゼだった!
彼女の本名はクローデット・フォン・アウスレーゼ。それを知ってなお彼女をクローゼと呼ぶヨシュア。
『わたしをまだ、その名で呼んで下さるんですね』
『うん、君がそう呼んでほしそうだったから』

後にクローゼはエステルに『ヨシュアさんのことが好きでした』と告白するんですが、そりゃ好きにもなるよな!(笑)
で、先程も名前の出たナイアル。エステル達の準遊撃士としての最初の頃の仕事で護衛して以来の付き合いなのですが、いつしか情報を交換しあったりする仲になっています。クローゼと知り合ったきっかけになった孤児院が放火されたり、学園の生徒たちが学園祭を通じて再建のための寄付金を集めたのに、院長が襲撃されて奪われたりする事件があった時、それを命じた真犯人がしらばっくれるのを、マスコミの人間らしく証拠を上げて追い詰めてくれたこともあるのです。
クーデター勢力に捕われたのだって、情報規制がかかって危ない状況で、何が起きているのか知ろうとしたため。その直前にエステル達にカレーをおごり、クーデターの真相に近いところを知ったというシーンがあって、だから最後の最後にこの台詞が。(正確にいうと、実は『リベール通信』をあちこちで購入して読むことが出来るのですが、クーデター阻止の後で特別号を購入できるんですね。その中でエステル達が重要な役割を果たしたことを、遊撃士協会の意向で名前は出せないものの報じて、最後に、実名は出せないが、二人に個人的に感謝したい、二人が目指すものになれることを祝福したいとページを割き、一番最後に……

『カレーなら何杯でもおごるぜ』

不覚にもジーンときちゃいましたね。
エステルはクーデター首謀者が『リベール王国がまた侵略されないように力が必要なんだ』と古代の力あるアーティファクトだと思われる『輝く輪(オーリオール)』を手に入れるためのクーデターだと告白したのに対して、ここまで来れたのはたくさんの人達に助けられたから。それこそが本当の力ではないのかと反論するのですが、間違いなくその力はここにあると思わせてくれました。
ちなみにリベール王国は十年前に北の大国エレボニア帝国に侵略されかかっているのですね。この『百日戦役』をはねのけたのは、当時軍人だったエステルの父、カシウスが作戦を立て、ラッセル博士という人物のの発明をはじめ、将軍達と力を合わせて反攻したから。クーデターを企てた人物もその中にいたんですが、それを理解できていなかったんですね。
なお、エステルの母親はこの戦争の時、幼いエステルを砲撃で破壊された時計塔の破片から庇い、娘を抱きしめて不安がらせないよう笑顔で子守歌を歌いながら亡くなっており、エステルが『あの時のお母さんのように誰かを守りたい』と遊撃士を目指すきっかけとなり、同時にカシウスが軍人をやめて遊撃士になったきっかけともなっています。
こうして大団円に終わるかに見えた『FC』はしかし、ヨシュアの過去にも関わるより大きな陰謀の片鱗を見せ、ヨシュアへの恋をようやく自覚した(自覚するまでの様子も初々しくてほほえましかったですよ♪)エステルにヨシュアが過去を告白、初めてのキスで睡眠薬を飲まされたエステルが昏睡するところで終わるという衝撃の幕引き。『SC』に続くのです。
今まで肌身離さず、時折『星の在りか』という曲を吹いていたハーモニカをエステルに託して(ちなみにエステルはハーモニカが苦手)姿を消したヨシュア。『SC(セカンドチャプター)』は、ヨシュアが自分を置いて消えたと信じられないエステルが、彼は家に帰ったんだと信じようとして慌てて帰り、誰もいない現実に打ちのめされながらも、彼を絶対に連れ戻すと決意するところから始まります。前作のラストで正遊撃士になった彼女は、王国各地を巡り、王国どころか世界をも揺るがしかねない『結社』の陰謀に立ち向かうことに。
『結社』のエージェントである『執行者』達が起こす事件に対処するのですが、その一人『幻惑のルシオラ』と対決したときのこと。
ルシオラは人を昏睡させ、目覚めない眠りの中幸せな夢を見させる事件を何件も起こすのですが、彼女を逮捕しに向かったエステル達も昏睡させられるのです。
いつも忙しくて家にいない父がいて、死んだはずの母がいる家にいるという夢。いつしか幼い少女に戻ったエステルは、父と遊び、母に甘える幸せな日を過ごす……のですが、開かずの部屋を探検してハーモニカを見つけ、『誰か』の声を思い出すのです。
ハーモニカを吹いてみるエステル。失敗しては繰り返すうちにその姿は現在のものに変わり、吹き終えた彼女の一言がこれ。

『ヨシュア…わたし、吹けたよ。『星の在りか』』

それこそが、今まで誰もが破れなかったルシオラの術を破り、自らの力で目覚めるきっかけになるのです!
ヨシュアとの繋がりこそが強大な力を打ち破ったということに感動。更に、幻とはいえ母に『大きくなって恋をするようになった娘に会えてよかった』と送り出されて目覚めた彼女は、まだ昏睡している仲間達(まず間違いなく幸せな夢を見ている)に言い放つのです。

『さあ、幸せなだけの夢の時間はもうお終いよ!』

それをきっかけにみんな目覚めるのですが、最初から術にかかっていなかった(敵が誰か薄々気付いていて対策できていたらしい)仲間の一人に、自力で目覚めるだけじゃなくて他の人まで目覚めさせるなんて、とびっくりされてました。エステルの成長が感じられたことも合わせてよいエピソードでしたよ♪

戻る