このアイディアは、ゲーム「艦隊これくしょん」の、小説二次創作のアイディア断片である。
尚、 本作品においての艦娘等の設定については、一部前作『艦隊これくしょんZero』と共通とする。
今回はアイディアということで、予告編じみて、全体のあくまでごく一部をダイジェストとして掲載としておくものである。
では、以下にそれらを記載してゆく。

 

艦隊これくしょん〜艦これ〜
二次創作アイディアノート
「海賊艦娘アドミラル・シェーア探偵行」

 

天龍「そういう艦名だから仕方ないけど、海賊で探偵な上に提督なのか?」
龍田「あらあら、そこつっこんじゃダメよ〜?」

・・・ともあれ!

 

それは、日本にビスマルク率いる第一次独逸遣日艦隊が到着してから、第二次派遣であるプリンツ・オイゲンが到着する間の物語である。

「日本で大丈夫かねえ、あいつ等は。マースたちはしっかりしてるけど、ビスマルクは大人ぶるくせに妙に子供っぽいところもあるから・・・」
遣日艦隊を途中まで送った二人の艦娘は、送った相手の消えた水平線を見ていた。一人が呟く。
ビスマルク達と同じ灰色の軍服を纏っているが、袖と裾を破ったノースリーブ・ホットパンツ改造、その上、軍帽の変わりにかぶっているのは海賊が被るような髑髏印入りの三角帽。
腰にはカットラスを下げ、左腕にはアンカーチェーンを射出する機能を有すると思しき機構のついた手甲。
「・・・大丈夫、少なくとも、欧州よりは、まし。」
その傍らで答えるもう一人は、まるで幽霊か深海棲艦のように真っ白な肌と銀色の髪、軍帽を被っているが首から下は真っ白いワンピースの少女。
びっしりとルーン文字の刻まれたストールを巻き、長大な杖を持った彼女は、まるで魔女のようだ。
「・・・違いないね。ハッ、人類の危機でも、過去には縛られずにはいられないって訳だ。」
苦笑する海賊艦娘の名は、ポケット戦艦アドミラル・シェーア。水上艦による通商破壊作戦で最も戦果を挙げた、第一次大戦で大活躍した「皇帝陛下の海賊」の後継者たる、「海賊」。
「俺のオウムが帰って来たが。敵が近いってさ・・・頼むよ、シャル」
オウム、すなわちアラド水偵を回収報告を受けて、シェーアは相方の名を呼んだ。
白の少女、即ち巡洋戦艦シャルンホルスト。霧に守られし強運の武勲艦だが、それ故に「幽霊」の悪名を受けた艦娘。
「分かった。」
杖を掲げ、ルーン文字を空中に刻む。古いゲルマンの呪言を唱えながら・・・ルーンが輝き、霧を生み出す。
かつて霧に紛れて戦果を上げ、それに後世オカルトじみた尾鰭や噂がついた彼女が、そこから有することになった力。
それによってシャルは己とシェーアの姿を深海棲艦から覆い隠す・・・二人は正にうってつけのコンビ、天性の遊撃戦力なのだ。

それは、欧州の複雑な事情が独逸艦娘に強いる少数での遊撃行動にとっては、有用であるが、有用であるが故に過酷な任務を強いられる力でもあり。

そしてそれが、二人を事件を解決しに行く立ち居地へと導く事になる。


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「誰かと思えば海賊と幽霊じゃありませんか。相変わらずの戦犯海軍には相応しい略奪仕事、お似合いですこと。」
「ビスマルクに1発でKOされた癖に偉そうな事言うな!」
「何ですってええ!?」
太平洋の広さと間に深海棲艦の領海があるが故にぶつかり合わぬ日米艦娘と違っての、欧州艦娘達の間に存在する国籍の確執。
その確執を激化させるような事件が勃発する。

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「ハーケンクロイツをつけた未確認艦の攻撃!?」
「深海棲艦にそのような謀略を行うタイプの奴が居るのか・・・?」
「もし、深海棲艦の仕業じゃないとしたら・・・」
深海棲艦とも艦娘ともしれぬ未確認の敵の存在。
それがハーケンクロイツを掲げていたという噂が、欧州艦娘たちを混乱へと導いてゆく。

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「つまり、俺達が奴らの尻尾を掴まなければ、混乱は更に拡大する、って訳だ。」
「・・・二人だけでは、流石に厳しい。プリンツ・オイゲンもティルピッツも、こういう活動には向いていない・・・貴方にも手伝ってほしい、『夕風』」
疑心暗鬼の中を駆け抜けるのは、「海賊」と「幽霊」と、そして、日本から逆に欧州へ派遣された、戦闘ノウハウを伝える役目を与えられた旧式駆逐艦の一人。
「うん、うん。」
髪を結い質素な古いセーラー服を纏った、素朴でボーイッシュな少女。艤装は旧式で小さい。
「分かった。僕に出来る協力ならいくらでもするよ。」
けれど、その立ち姿は、小柄さと幼げな表情に反して、ひどくどっしりして、頼りがいのあるものだ。
実際、彼女は艦としての前世において、ある意味空前絶後の行いを成し遂げた娘。
その小さな体で、触雷し航行能力を失った軽空母・海鷹を牽引索で引っ張って航行、その状態で、つまり自分より十倍でかい軽空母を引っ張りながら、敵軍の空襲を全弾回避して生き延びたのだ。
海鷹は流石に再利用不能であったものの、機雷から生き延びた乗務員を救った彼女は、正に救いの神。
その頼りがいあふれる立ち姿は、さながら索縄を携えた不動明王の化身か。



(駆逐艦夕風。キャラクターアイディア・犬神長元坊殿、イラスト・葉山海月殿の提供である。感謝!)

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「やれやれ、おばさんは怒りっぽくていけねえな。」
軽口を叩くシェーアだが、その実戦力差を認識して冷や汗が頬を伝う。眼前で大剣を掲げ大砲を構える艦娘こそは英海軍無双の武勇。
太平洋で日露戦争時代の艦娘が戦っていたころ。大西洋で、第一次大戦を戦った艦娘たちと共にて第一世代深海棲艦と戦っていた存在。そして、第二次大戦の時代も戦い続けた戦艦。
『オールド・レディ』ウォースパイト。
三笠が消息不明となった今、恐らく艦娘の中では最も強壮な艦娘。
嵌められた以上、切り抜けて証拠を掴まぬ事には許されまい。だが、切り抜けるのは至難だ。ウォースパイトは足に古傷を抱えており、そもそもの基礎機動性の差から、一旦逃げの機会を作れば逃げられるだろうが・・・
(さて、その機会をどう作るかだね。)
突進してくるウォースパイトの対艦ロングソードは、己のカトラスでは受けきれぬ。武器の強度差、戦艦とポケット戦艦の膂力差で、そのまま叩き斬られる。
さりとて、背を向けて逃げても・・・射程外に出るまでに主砲を食らうだろう。
逆に此方の砲は、重巡以下の艦ならば確実にKOできるだろうが、戦艦には通用すまい。
(となれば・・・)
賭けるは、チェーンアンカー。敵輸送艦を数多く鹵獲した彼女の逸話の具現。敵輸送艦を今次の戦いでも数多く強引に捕縛し、多数の物資を人類に齎した。
正面切っての堂々の戦が出来なかったが、堂々の戦ではない通商破壊の分野で、随一の成果を上げた彼女の、寂しさと誇りの入り混じった武器。
(けれど、それだけでは足りない)
・・・思い返す。夕風が披露して見せた縄術を。
この事件を解決する為に走り回った間に、彼女に見せてもらった技、乞うた教えを思い返す。
(・・・夕風。あんたの技・・・再現できる範囲で、借りるよ!!)
ヒュン・・・!
鎖が、風を切り始める・・・!

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「・・・提督、こっちで把握した状況は以上だ!」
通信が響く。相当の遠距離である為に、だいぶ通信状況は悪いが、辛うじて可能。
『燃費の良い』二人でなければ、そもそもたどり着けなかっただろう。
だが、これまでの彼女の力であれば、たどり着けたとしても、状況に対し十分な戦力になったかどうか。
「分かった。・・・二重決魂システムと、結理勇情システム。前回の戦闘で使った後の調整は万全だ。」
「ヨーロッパの奴らに、見せ付けてやれっ!お前たちの『コワさ』をなっ!」
けれど、今の彼女達には、十分な戦力がある。
彼女達の提督と、その上官であり・・・彼女達に、己の武具たる三笠刀を預けた美坂提督の霊力を二重に送り込む力が!
「了解・・・此方、天龍改二甲!」
「同じく、龍田改二乙。」
眼前に迫る欧州の戦海に、二人の艦娘が高らかと宣言する。
「「これより介入する!」」

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欧州情勢は複雑怪奇也・・・
因縁と混乱の渦巻く土地を、駆け抜けるはぐれ艦娘達。
「海賊」は、如何にして真実という財宝を手に入れるや!
そして「幽霊」は、如何にして因縁を解きほぐし遺恨を成仏させるか。

「海賊艦娘アドミラル・シェーア探偵行」は、そんな探偵物語である。


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