<艦隊これくしょんZero「プロローグ」>


「えーいっ!」
「おっと!」
「や、やぁっ!」
「ふふ、まだまだよ?」
白兵戦用武装としても使用可能な錨を構えて突撃する電の攻撃を、天龍が装備した刀で受け止め。
同じく錨を小さな体で精一杯振り回す雷の攻撃を、回転に合わせるように薙刀を振りかざして龍田がさばく。
このように駆逐艦娘の雷と電、軽巡洋艦娘の天竜と龍田が、近接戦闘訓練をしていた時の事である。
「白兵戦用装備って、してない人のほうが多いのです。」
と、ふと、そのような疑問を電が抱いたところから、話が転がり始める。
実際、木曽のように後に改二型に改造された時に新規で近接装備として軍刀を装備する例もあるが極めて希少で、また、それ専用の装備を持たなくても、人間のサイズで艦船並の出力を持つことからの格闘で何とかするものが多く、刀剣等の専用装備を持つものは少数であると言えるのだが。
「白兵戦用装備は最後の武器だぜ。ぎりぎりの状況で、こいつが物を言う」
「それに、天龍ちゃんにとっては、あこがれの人の思い出でもあるしね〜?」
「ば、ちょっ!?(///)」
「憧れの人なのです!?」
「く、詳しく教えてほしいのよ?」
天龍の真面目な説明に、余計な補足を入れた龍田の言葉に雷電姉妹が反応したことから、天龍がかつてその一部を目撃した戦いのことを話し始めるのである。
「・・・俺も、全部を見たわけじゃあない。その後、気になっていろいろ調べて、そこから考えた話も交じってる。そういうのでいいなら、話してやるよ。」
彼女が語るのは、刀の記憶。天龍が幼い日に見上げた、武人たらんとして刃を掲げた一人の艦娘の姿。深海棲艦の第一次大侵攻、人類が初めての脅威になすすべもなく犠牲を積み重ねるのに対し、最初の艦娘たちが現れ出でて今よりも更に絶望的な戦況と未成熟な力で抗った時代。
「・・・あの時、まだ小さかった俺の、残ったこの目が見たあの人は。美しくて。優しくて。強くて。・・・哀しい人だった。それでも。時代を切り開いたあの人の刀は、俺の憧れだったんだ。」
前弩級戦艦型艦娘・三笠と、その仲間たちの物語である。


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