平成ウルトラシリーズ名怪獣
名怪獣と呼ばれる存在がかつて何匹も居た。映画ならゴジラ、モスラ、キングギドラ、ガメラ、ギャオス・・・まあ、上げていけばきりが無い。
では、TVで、円谷プロのウルトラマンに登場した怪獣ではどうか?これも多い。レッドキング、ピグモン、ゴモラ、ジャミラ、シーボーズ、バルタン星人、イカルス星人、エレキング、ムルチ、ベロクロン、バキシム、ヤプール、アストロモンス、マグマ星人・・・
やはり枚挙に暇が無い。しかし、それらは皆昭和のウルトラマンの怪獣・宇宙人である。平成のウルトラ怪獣たちは、いまいちこういう「名怪獣」を取り上げる場で扱われないというか、地味な感じである・・・既に最初の平成ウルトラマンであるティガが放送されてから相当たつのであるから、此処で一つ昭和版に比べ印象が薄いとか言われる平成怪獣の中から、名怪獣とでもいえるものを探してみました。
並びに友邦サイト「空科傭兵団」において意識調査を行い、さらにそこで推薦された名怪獣を追加。(黄文字が三毛殿の言葉)
我輩があげる名怪獣は次の面々です。皆様はどう思われるでしょうか、そしてそもそも名怪獣の条件とは?
炎魔超人キリエロイド
平成のヤプールかバルタン星人か、といった名悪役。「人類に自らの崇拝を求める」という目的と、そのために天使の幻影を使うなどという戦術、そしてそのために人類が信頼するウルトラマンに嫉妬し倒そうとする行動、そのドレもが独特の禍々しさを持ち、キリエル人という存在を特徴付ける。
そしてまた、その戦闘形態も面白い。ウルトラマンというイメージをゼットンのように反転させることなく面影を残して邪悪化させたような、骨色と濃紺、そしてカラータイマーの如き赤い球体のコントラスト。さらに第二戦ではフォームチェンジまでやってのけるなど、進化するというのも面白い。
最終回にもちょっと出てたけど・・・我輩としてはもっと登場して欲しかった気がする。
ハイパークローン怪獣ネオザルス
DNAを元に再生された様々な怪獣がすむ遺伝子実験場の島で作られた、対怪獣兵器としての遺伝子合成怪獣という設定がまずたまらん。ウルトラマンの多々良島とジラースの湖が一緒になった感じか。さらに合成兵器怪獣ということでまるでタイラントや超獣のような魅力も兼ね備える。
デザインもまたいかにも凶暴そうで、「優しさの遺伝子」を入れる前に暴れだしたという設定を露にしている。
催眠怪獣バオーン
バオーンの鳴き声を聞いたものは皆眠ってしまうという設定のパワーが凄まじい怪獣。無邪気でおとなしい性格だけど妙な能力を持ったバオーンを、生かして捕獲しようと四苦八苦七転八倒する正義のチーム、それを楽しんでいるようにはしゃぐバオーン・・・
スカイドンやシーボーズ、ガヴァドンみたいなほのぼのとしたのどかなこういう怪獣と展開がまた見れたということが、嬉しい。村人ともなんか仲良しだったし。
知略宇宙人ミジー星人/三面ロボ頭獣ガラオン
超徹底的ギャグ宇宙人アンドロボ怪獣。完成すれば東京タワーよりでかいはずなのに、玩具工場に見せかけた偽装がバレて頭だけで出撃するガラオンも可笑しければ、侵略に失敗して安アパートに身を潜めオカマバーに就職しつつ再起を誓うミジー星人も、またとんでもない。脳のどこからこんな設定って考えつけるんだろ!?
単純なギャグキャラだけど、そのギャグにセンスオブワンダーが光る。
超高熱怪獣ソドム
四足歩行の地底怪獣で、接触変成岩を食う、ニューギニア火山帯の伝説に登場する。などなど、とてもとても「昔の正統派怪獣」のDNAを濃厚に受け継ぐ名怪獣。名前もまたかつてのゴモラをつぐような、旧約聖書で神に焼き尽くされた二つの都市ゴモラとソドム、そのもう一方である。これも燃える。
しかし防衛軍基地地下に現れて地上を灼熱地獄にして、地上に姿を現すや大量の水蒸気のカーテンの向こうに灼熱の体をマグマの如く赤く光らせる姿は、文句のつけようの無いほど格好いい。
だが、突然くしゃみ。なんと元々2500度の体温を持っていたソドムだが防衛軍の冷却攻撃で風邪をひいていた、というこの設定も面白い。風邪を引いた高熱怪獣に必死に冷却攻撃すれば、熱が上がってさらに周りが灼熱地獄・・・うう、面白すぎる。格好よさと面白さを両立させるとは、もう大好きであるソドム。
宇宙怪盗ヒマラ
奴隷をさらいにきた(宇宙を越えてやってくる科学力があるのに、何故また)ブラック星人や、地球を別荘にしにきたストラ星人など、変な理由で地球に訪れる宇宙人はしばしば居るが、このヒマラもそういったとんでもない宇宙人の一人だ。
何しろその二つ名の通り、美しいものを盗みにきた泥棒なのである。以前にも泥棒怪獣ドロボンとか、パンダグッズ盗みにきたスチール星人とかいたけど、このヒマラはそんな連中とは格が違う。
何しろ「夕焼けに染まる景色が綺麗だ」という理由で、街を一つ丸ごと盗んでしまったのだ。さらに彼が宇宙船の中で宝石箱を開けると、そこにはビー球の中に銀河系がはいったものがぎっしり。「次は火星のオリンポス山でもいただこうか」などという発言もしており、どこまでもとんでもない奴である。
「もしも貴方の街が、いつまでも夕焼けのままなら・・・それはヒマラに盗まれてしまっているのかもしれません」というナレーションが、なんとなくウルトラQを思わせるし。
守護怪獣ルクー
平成三大Q的怪獣・宇宙人の一体。他の二体はグラルファンとヒマラ。おっさんの空想でしかなかったはずの国、空中都市ウクバールからそのおっさんを本当に迎えにきたというとんでもない怪獣。その設定だけで幻想感に鳥肌ぞぞぞ〜っ。
デザインもレトロなんだか前衛的なんだかよく分からない、極め付きにへんてこな姿しているし。それでいてこいつが実際に現れて、そしておっさんをつれて消えた後、おっさんの実家からウクバールとルクーが「カレンダーのイラスト」であったことが判明し、ますます現実と虚構の区別がつかなくなる、というオチにもぞぞぞ〜っ。
やはりウルトラマンから独立した、Q的存在である。
悪質宇宙人チャダビン星人
宇宙でも五本の指に入る邪悪な宇宙人種族、とか言われながら地球に来たのはごくごく一般ピープルな研究員だった、という設定が凄すぎる。
そんな彼が地球で暮らし、地球の人間を愛するようになる過程も細やかに描かれていて、SFとして面白かった。
しかし、「チャダビン」という星の名前、そして「ンダモシテX」という惑星破壊爆弾の名前・・・これもまたユニークでいい。
人造ウルトラマンテラノイド
人造ウルトラマン、というフレーズにまずビビった。初代からウルトラマンに触れてきた我等にとって、ウルトラマンというのは神も同然。それを人造する・・・凄い!と思う。
同時に、それを企画したゴンドウ参謀の心も、なんとなく分かってしまう。ウルトラマンになりたいという願望・・・結局スフィアに乗っ取られ怪獣になってしまったが、一瞬とはいえウルトラの力を握った、というのが凄すぎる。
これを見ていて思ったのだが、テラノイドが失敗した理由はウルトラのエネルギーだけ注ぎ込んだからで、それを統合する人格の存在がなかったから、ではないだろうか。いっそ発案者ゴンドウ参謀が自らなればよかったのに。
伝説聖獣グラルファン
美しい音楽を聴くとカードの門の中から時間停止現象の中雪と光を纏って現れる、思い出を司る幻の獣・・・
三毛殿も言っていましたけれど、美しすぎます!それが老人と少年のふれあいを描くドラマの中で、極めて演出的存在でありながら確固たる印象を残す力となっているわけです。
天本英世氏の最後の特撮参加作品となったこの作品、それだけの価値がある。ひょっとしたら氏の最後の床にグラルファンは現れ、本当に氏を思い出の世界に連れて行ったのかもしれない、などと夢想するほどに。
正直TVの30分ではなく、ウルトラマンでもなく、このグラルファンのカードの起こす不可思議な現象を追った脚本で一本映画作れそうなくらい、独立しきった孤高の、二度と現れないほどの特異な怪獣であろう。
・・・といっておきながら、我輩天本氏演じる老人の「思い出の世界」が現れるとき、「白いタキシードと黒いマントに身を包み仮面ライダーと戦ってたらどうしよう」などと思った、たわけものだったりする。
バロック怪獣ブンダー
「怪獣、この脅威なる存在が人間のカタルシスに利用されていいのか?」
そんな劇作家の叫びから、こいつは生まれた。錬金術という科学の否定によってSF交渉という理屈から己を切り離した「理不尽と不条理の象徴」たる存在、それがブンダー。世界を劇場へと帰る、歪みの獣。あれはいうなればウルトラマンそのものを劇中劇としかねない存在であり、
暗黒砂塵大怪獣サンドロン・尖兵怪獣スコーピス
(この二匹の二つ名は捏造です。本当の二つ名知らなかったけど、イメージ的にこんなかな、と)
レイジャの美しさと対極をなす二匹。サンドロンは基本的に前座だけど十二分に強いし、同じ奴一杯出てくるけどいかにも昆虫然としつつ怪獣らしさを保ったそのデザインが蝗の群れのような行動と合致していい。
そしてサンドロンは、かなり特異な怪獣だと思う。何しろこいつ喋るのだ。「弱肉強食は宇宙の掟で、当然のことだ」と。
ソレは恐らくこの怪獣のモチーフが原因だろうと思う。星星を砂漠にして食いつくし尖兵を飛ばして次々勢力範囲を拡大するこいつは恐らく砂漠化を進行させる今の人間の暗喩ではないだろうかと思う。
そういったテーマ的なものもあるけど、それを体現した溶け崩れたようなデザインと巨大な口、そして周囲を闇に包んでそこから攻撃するという戦法もまた光と闇の演出が効果的でよかった。
邪神ガダノゾーア
平成ウルトラマン最初の作品であるティガのラストを飾るに相応しい迫力のある怪獣。でかいでかい、とにかくでかい。ウルトラマンの四倍は有る。その後ガイアに出てきた根源破滅招来天使ゾグに身長では抜かれるけど、それでも凄みがある。でかいだけじゃなく、アンモナイトを組み合わせたような体に逆さについた頭っていうデザインも独創的。
邪神と呼ばれるだけあって悪っぽいんだけど、怪獣らしい超越した部分もちゃんと持ってる。TPC占拠など知性があるような行動を見せるが、彼は人間とは完全にコミニケーションをとらない。超然と、人の思いなど歯牙にもかけず、総てを漆黒に塗りつぶしていくその姿はまさに破壊的怪獣の醍醐味そのもの。派手な姿のキングギドラよりも有る意味格好いいかも。
太平洋上のルルイエ島とよばれる場所から現れるという点、このガダノゾーアはクトゥルー神話を元に製作されたのだと思われるが、その選択と生かし方は実に見事である。
注・クトゥルー神話とは、R・H・ラヴクラフトという作家がその小説「クトゥルー神話体系」という作品で作りあげた架空の神話。宇宙の総てを邪悪で狂気すら超越した超狂気の邪神たちが支配するという設定の絶望的世界観は幾多の作品にその後展開した。
千の顔を持ち人を誘惑する「這い寄る混沌」ナイアルラトホテップ、邪悪中身の世界とこの世界をつなぐ門を操る顔無き門番「ヨグ=ソトース」、星星の間を飛びまわりすべての英知を持つ巨大図書館惑星を領地とする「ハスター」など様々な存在があるが、中でも特に南太平洋に沈んだ古代の都ルルイエに住み、半魚人の群れを手下として支配する蝙蝠の翼を持つ巨大な蛸の姿をした邪神「クトゥルー」が有名。
ルルイエ島という地名から、このクトゥルーがガダノゾーアのモデルと成った存在と思われる・・・というか、クトゥルーがむしろ神というよりは怪獣に近いのだ。南海の蛸だし、でかいし、人間など知ったこっちゃ無い超越と背徳の獣だし。
またこのクトゥルーの眷属で「ダゴン」という半魚人の棟梁たる神がいるのだが、ウルトラQとウルトラマンに出てきた「ラゴン」に何か似てる。
三毛殿のくれたデータ。
>ガタノゾーアは、クトゥルーの一編「永劫より」にでてきたガタノトゥアが元ネタだとおもいます。(名前のみ)
・・・我輩より詳しい・・・(笑)
そして三毛殿が推薦したのが、以下の怪獣達。
>モグルドン、そしてレイジャ戦闘形態を推薦!
レイジャ!あいつのことを忘れていた。凄く滑らかなラインと生物感を併せ持つ、名獣なのに!はじめてみたとき「おおっ、獣鬼兵!」って思いましたもん(笑)漢字だと「麗蛇」て書くのかな。
モグルドンも可愛いとは思いますけど、ちょっと地味かなと思う向きもあり。お腹のギミックは実際カエルとかイモリにああいうのいるしイイとおもったけど。
>ガゾート
ああっ、そういえばこいつも!あの子供のように無邪気な、だけど「食べに来る」という「違和感から来る恐怖と嫌悪」は一種独特で、たまらん怪獣っぷりでしたな。デザインも面白いし。
>ヤマワラワもけっこう好みです。大人になった少年の切なさを、ああいう形で描くには、妖怪キャラがふさわしい。
>それになんといっても、彼がもっていた大きなドングリ(のプロップ)が、実にほしくなる質感でしてねえ…。これ伝わらないかな(笑
>妖怪キャラでは、ティガのスクナ鬼も面白かったですね。
ヤマワラワとスクナオニって、正反対の妖怪キャラかも。ヤマワラワは童話的で懐かしい存在だけど、スクナオニはおどろおどろしい怖さを持った、古い寺の地獄絵巻みたいな奴。手足ばらばらで復活したり、怖い声で語りかけてきたり、首だけで飛びまわったり・・・しかしこんな巨大な鬼を倒したのか、凄いなあ景竜(お侍)。ネロンガを倒した村井強右衛門ってのもいるし・・・昔の人は凄い。一説によれば江戸時代、赤穂浪士討ち入りの数ヶ月前ごろ大戸島で放射能を浴びる前の呉爾羅と侍七人が激闘を繰り広げたというし・・・
ヤマワラワに話を戻すと、あの話を見て昔映画館で宣伝だけ見て酷く印象に残った「河童」という映画を思い出した。こう、昔村のこともだったおじさんが子供のころの約束の場所に来ると、すっかり老いて痩せた風の河童(河童だけど宇宙人ぽいデザインで独特)が、じっとそこにいて。
「お前、ずっと待っていてくれたのか・・・ごめんなぁ」って言う、それだけ鮮烈に覚えているんだけど、それを電光のように思い出した。
そして、二人で話し合った・・・「名怪獣の条件」とは。
>1、まずデザインが個性的で、秀逸であること。
>単に派手さを狙っただけのもの、単に動物を巨大化させただけのものはダメです。また、ここにいうデザインとは、形態のみならず、その行動、鳴き声、必殺技なども含みます。他の怪獣の声を流用してたらアカン!
「我等にとってもはや必勝は当然の有様」というのは漫画「覚悟のススメ」の敵・現人鬼(あらひとおに)散(はらら)の台詞ですが、このデザイン的秀逸性というのは「怪獣にとってもはや必然の有様」かも。粗製濫造のはともかく、初期の怪獣は皆一体一体生命美と幻想美の結晶だったものです。
>2、怪獣の設定がストーリーに生かされていること。
>そうでないと、その話は説得力を欠いてつまらないものになり、したがって印象に残らず、オブジェとして如何に優れたデザインであろうとも、名怪獣とは呼ばれないでしょう。
確かに。スカイドンとかバオーンとか極端な例はともかくとしても、同じ地底怪獣だからって「バラージの蒼い石」はアントラーの独壇場であり、テレスドンやモグルドンやモゲドンでは代役不能です。そういう部隊にあったインパクトは、確かに重要ですね。
>テーマ性ってのも加えようとおもったんですが、テレビシリーズの1挿話において、いちいち反核とか環境保護とか重いテーマを背負わせることもないかな、と思ったので加えません。
テーマ性というのは、絶対条件ではないと思いますが、重要要素だとは思います。テーマ性がなくても名怪獣というのはいますが、テーマのある怪獣だけどB級怪獣・・・というのは、殆んどないといっていい気がします。
結果纏めると、
>1、まずデザインが個性的で、秀逸であること。
>>2、怪獣の設定がストーリーに生かされていること。
3、できればテーマ性豊かであること。
この三つに収束されるだろう、名怪獣の条件というのは。
そして三毛殿曰くに、
>この名怪獣3条件って、実は、名機(メカニック、たとえばロボットとか戦闘機とか)の条件としてもよいのでは?
ふむ。我輩としてはそこにもう一つ追加したい。
4.パイロットとの相性・人機一体性
人が乗るメカだからこそ、その「人」との相性に大きく左右される。どんな強いメカでも軟弱へたれが乗っていては格好悪いし、逆に弱い旧式メカでもいいパイロットが乗ればその着たい性能を補う必死の活躍が輝きとなる。
昔美少女型巨大ロボットにごっつい髭オヤジが乗り込む話がを見て以来(ARIELにあらず)、これには拘るようになった。その話ではこれをギャグとして成立させ、かなり笑わせてくれたけど。真面目なシナリオでこんな不協和音かまされたらたまらん・・・と。
あ、ちなみに女の子が無骨なメカにのるのは可、とす。