唇が重なった。甘い液体が、涙のように一滴苦い液体が、私たちの口移しに流れていった。あたしたちはしばらく黙っていた。
 だけど、彼は言った。
「もう最後だから、受け取って欲しいんだ。」
 彼の一年分の給料で買ったプレゼント。
あたしは首を振った。受け取らなかった。
「これで、最後じゃないから・・・。また会えたときの、お楽しみ。」


続く