怪獣大戦ガメラ2026
第四章
イリエズの攻撃に備え分厚く装甲された隔壁を軽々破壊して立つ、「アトランティスの守護神」ジャイガー。
身長、90メートル。均整の取れた、屈強な戦士体型の人型を、黄褐色の、両生類じみたぬめぬめした皮膚に全身を包んでいる。それだけではない。細く鋭い白目がちの目、鰓とおぼしきスリットがいくつも入った首、先が吸盤のような作りの指、折り畳まれた背鰭、頭頂部より生えた角、側頭部と言うよりは両頬から生え、前方に向かって湾曲する牙とも角ともつかない物と、どこか作り物じみた外見のイリエズとはずいぶん異なる姿をしている。
「ふっ・・・」
軽く、真珠のように白い歯を見せ、笑うシュラ。膝を突いてジャイガーがさしのべた掌の上に乗り、肩の上まで運ばれる。ひら、と服の裾をなびかせ飛び移り、笛をまるでサーベルのように海に向かって突き出す。
「さあ!我が帝国再興の狼煙として、まずは地上にはびこり下等人類の守護者である貴様から倒してくれようぞ!」
「・・・え?」
一方的に宣言するシュラに、呆気にとられた海は尋ねた。
「え・・・っと、話が見えないんだけど・・・」
大迫も、何が何だかさっぱり分からないと言った表情でかくかくと頷く。
「貴様はメカガメラとやらの巫女なのであろう?」
怪訝そうに質問を返すシュラ。
「・・・まあ、そう、だけど?」
「ならば問題はあるまい。はやく勝負せよ。」
「問題大ありだ!」
「せめて理由くらいはっきり言って下さいよ。」
「貴様等愚民にいちいち説明する必要など無いわ!」
「何だとぉ!」
「う、海、落ち着いて!今攻撃されたらひとたまりもないだろ!」
「うるさい!大体あんな怪獣人間相手に敬語を使うな!」
「だ、だってなんか偉そうだから」
「あほか!」
「誰が怪獣人間かっ!無礼なこと抜かすな恥ずかしタイツ女がっっ!!」
「な・・・」
「た、確かにあのパイロットスーツって・・・」
「言わないでよ!!私も気にしているんだから!」
何だか同レベルで不毛な怒鳴りあいがしばし続き、突如現れた謎の少女という雰囲気も何もぶちこわしになったところで、ようやっとシュラが正気に返った。
「ええい、仕方がない!・・・ともかく、余と戦え比良坂海。そうすれば、全てを教えてやる。戦わないのなら・・・こんな町、消し飛ばすまで。」
「・・・」
殺気までとはうって変わって真面目になる海。
だが・・・
それも長くは続かなかった。
「さあ、メカガメラとやらを呼ぶがよい!」
「・・・・・・」
「どうした?何故呼ばぬ?」
「呼べって・・・無理。」
「何故じゃ?怖じ気づいたか?」
ふふん、と鼻で笑うシュラ。
「いや、そうじゃなくて。物理的に無理なんだって。」
・・・・・・
「何?」
「乗り込まないことにはどうにもならないから・・・」
うって変わって ぽかんとした表情になるシュラ、呆れ顔の海・・・間の悪い沈黙。
「む、ぬ、原始的だ原始的だとは思っていたが、そこまで情けない代物とはな・・・」
しばし決まりが悪そうにしていたシュラは、ようやく高圧的な表情を取り戻して言った。
やっと分かってくれたかと、ほっと・・・しようとした大迫は、甘かった。
シュラは支配者の声でこういった。
「やむを得ぬ、慈悲を与えてやろう。待っておるから、早く乗ってくるがいい。」
と。