怪獣大戦ガメラ2026
第二幕
「ゲートを開けろ!」
「医療班、整備班、所定の位置に!」
巨大な格納庫に、緊迫した雰囲気が充満する。もうじき帰還するメカガメラを収納するのは、それほど大仕事なのだ。
ここは、地上の都市がほとんど壊滅したため造られた地下要塞都市、そのうちの一つ。
人類最後の城、いや、逃げ込んだ穴蔵かも知れない場所。
ごごごごごごご・・・
重々しい音を立てて、イリエスの攻撃に備えた分厚い扉が開く。
ご・・・ごん・・・ひゅひゅひゅひゅひゅ・・・・・
扉が開ききると同時に、また別の音が聞こえてくる。
メカガメラの飛行音だ。
「おおっ!」
待機した整備兵達がざわめく。
がっしゃあああああんっ!!
飛び込むように格納庫に入ったメカガメラの重量が基地を揺るがした。すぐさま巨大なクレーンのようなものが次々延びて、メカガメラの巨体を支える。
まるでそれに安心したかのように、がくりと脱力したメカガメラ。
その胸の甲羅が一枚ばくっと開き、そこにすぐさまクレーンが延びる。
「海!大丈夫か!?」
クレーンの先に乗っていた一人の少年整備兵が慌ててコクプットをのぞき込む。この時代は、子供にも猶予を与えない。少年兵の存在は、既に既成事実と化していた。
心配そうな、少し気弱そうな顔の少年の肩を、海はぱんぱんと叩いた。
「大丈夫大丈夫、大迫は心配性なんだから。」
そういうと、海はそれを証明するようにコクピットからひらりと飛び降り着地すると、ぐっと細い腕でガッツポーズを決めてみせる。
まだ吹き出した血が生乾きの腕でそんなことをされても、微塵も説得力がない。
「ほ〜ら、この通りゃ・・・あれっ?」
案の定、いきなりふらふらと倒れ込む。まさに「この通り」だ。
「ああっ!?」
慌てて支える
「か、看護兵〜〜〜っ!!」
「あ・・・」
目を覚ました海は、自分が医療室に収納されていることに気が付いた。
「海!」
とたんに何者かにしがみつかれる。
「わっ!??」
どしん!
海は一息に投げ飛ばした。その後で、誰か確認する。
「あ、なーんだ大迫か」
「あたた・・・」
部屋の隅で目を回しているのは、殺気の少年整備兵、大迫
「心配したぞ・・・。死んじゃったかと思った」
本当に心配そうな顔の大迫に、照れくさそうに海は後頭部をがりがりと掻いた。
「相変わらずね〜、あんたも。」
「そっちこそ。」
実は、毎回繰り返されている事だったりする。こんなくり返しでも、なにより嬉しい生の確認。
「本当に、心配性に過ぎるよ〜。」
「でも・・・お前も知ってるんだろう!?あれがどーゆーもんか!整備してて言うのも何だけど、あんなのに乗り続けるなんて・・・」
「大丈夫!あたしは大丈夫だって!」
「何で!」
そして、決着の付かない喧嘩がまた始まろうとしたとき。
扉が開いた。
「海君、気が付いたかね?」
「あ、清川博士。」
そこに立っていたのは、白衣を身にまとった痩身の男。枯れ木のようにやせているが、声は案外若々しい。
「君にこんな重荷を背負わせてしまって、すまないと思っているよ。なに、来週にもギロンが実戦配備される、それまでの辛抱だ。」
「本当ですか!?」
ぱっ、と 大迫の顔が明るくなる。
「ギロン・・・例のガメラ・ギャオス・レギオン・草体・イリス・イリオスの遺伝子を混ぜ合わせて作られた、対怪獣用人工生物兵器・・・でしたね。」
「ああ、アレさえ完成すれば、もう危険を冒し、命を削って闘う必要なんて無くなる。もう、海君一人に重荷を負わせる必要はなくなるんだ。」
「でも・・・」
晴れ晴れとした笑顔の清川博士に比べ、海の表情は暗い。
「どうしたんだい?」
「体の具合でも・・・?」
のぞき込むようにする二人に、海は問いかけた。
「本当に、ギロンを使っていいんでしょうか?」
「?」
「な、何言い出すんだよっ!?」
海の予想外の反応に、つい 大迫は声を荒げた。
「アレさえ有れば・・・」
「だって、」
の声を遮るように、海は続ける。
「よく分からないけど・・・なんか、卑怯な気がするんだ・・・」
「・・・・・」
清川博士は、妙に空虚な笑いを浮かべたまま、ただ黙っていた。
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