Fate/But I don't obey


このアイディアは「もし、当サイト管理人・悪の博士が、「Fate/stay night」シリーズの設定を使用した小説を作るのであれば、という想定で用意したアイディア集である。
(Fateシリーズについての詳細は、紹介がかなり大変なので申し訳ないが各自お調べいただきたい)
ただ、聖杯戦争という形式には従うものの・・・「しかし私は運命に従わない」といった意味を匂わせるタイトルを見れば分かるように、いわゆる「Fate」シリーズ、その母胎であるタイプムーン作品の雰囲気とはまた違うノリの作品になりそうではある。
むしろ熱血的なストーリーになりそうな感じがしておる。主人公もタイプムーン作品の主人公の文脈からはだいぶ離れたキャラクター造形となっておるしな。

話の基本骨子としては、「主人公が、引っ越してきた町で行われている聖杯戦争に巻き込まれ、自らも特殊な宿命を持ち魔術的能力を持っていたが故にサーヴァントを召喚。聖杯戦争の悲劇を食い止めるために戦いを潜り抜け、様々な出会いを繰り返していく」と言う形になるか。
Fateシリーズは話の基本骨子はある程度固まっている為、問題なのはむしろキャラクターの設定と召喚される英霊サーヴァント達のチョイスにこそあり、そこから、テーマが作っていける、という形故。
なのでこのアイディアの公開は、各キャラクターの設定を提示する形で行うのものである。

まずは、聖杯戦争に召喚されるサーヴァント達から紹介する。
(各サーヴァントの真名については、一応秘密にしておいてあるである。ただ地の文の色と合わせる形で隠してあるので、コピーしてみれば分かる事ができる。初見バレ防止かついつでも見られる、というわけである)


<今回聖杯戦争のサーヴァント達>


・セイバー
古代東洋のシャーマンを思わせる、そこにやや露出度を向上する改造を加えたような装束の上から、手甲脚絆、そして縁が鳥の風切羽のようにギザギザした外套を纏った旅姿の、絶世の美少女とも美少年とも見える中性的な美貌をした長い黒髪の英霊。
詩歌や舞いに秀で、王族とも見える程の丁寧な物腰だが、戦闘スタイルは非情にして卑劣にして残虐。
敵を誘惑する(異性を惑わす性的誘惑なのだが、男女どちらにも見えるため男女どちらにも通用する。加えて精神・本能両面への干渉ではあるが魔術的なものではないので魔術防御では防げない)第一の宝具である装束「斎姫御衣(サイヒノオンゾ)」の効果を用いて、奇襲や武器の奪取など、どちらかといえばアサシンのサーヴァントではないのかと思う程の立ち回りを見せる。
他に、第「三」の宝具として、攻撃にも防御にも使える火を放つ火打石「向火焼津(むかえうちやきつくすひ)を装備している(手甲に仕込み、素手攻撃の攻撃力上昇と素手で刀剣等を受ける為の防御力向上として使用するという、我流にアレンジした用法で用いている)。
神族の血をひき、隔世遺伝的に荒ぶる神の膂力を宿すその手は一見華奢だが並み程度の身体能力のサーヴァントならば、素手で四肢や首を引きちぎり、胴から内臓を引きずり出して殺害することすら可能。
強靭な肉体を持つサーヴァントに対しても、素手打撃で在る程度十分な攻撃力を発揮できる。
(当人曰く、「素手戦闘ならセイバーの中では(ヘラクレスのような複数クラスで召喚が可能な者を除けば)二番目に強い」とのこと)
そして、剣を取る時も宝具ではなく普通の剣を使い、その剣の使い方も外套や服のたもとに隠したそれで奇襲気味に刺し貫くような暗殺剣術。
普通のセイバーのような騎乗スキルを持たず、その代わりに外套を鳥のそれのような羽へと変化して飛行するという異能を見せる等、明らかに「人」の範中からはみ出していると言える存在。
しかし、そんな異端でありながら彼?彼女?の瞳と表情はどこまでも哀しく切なく、世界にただ一人、友情も愛情も肉親も無く佇んでいるかのような印象を含み、戦闘時の非道な手腕も、戦いそのものを厭い、己そのものをもまた厭い・・・「自分はこの身そのものが王権の剣、人ではない」・・・人じゃないから、どんな非道も行える、人じゃないから・・・と、認識している、というより、そう認識してこなければ生きていけなかった生前の故である。
生前命令を誤認して悲劇を巻き起こした事があるためか、マスターの意思を確認する時は慎重であり、それゆえ、マスターがしっかりと教え導けば、非道残虐は抑制する事も可能。
そして、己を厭っているが故か自己破壊的な行動を取る事に躊躇が無く、あまりにマスターとの相性が悪いと勝手に戦闘を停止して自分から相手に撃ちとられそうになるという行動をするため・・・そして、卑怯な己を厭うている為、マスター側が戦闘スタイルを見てそれに同調するような悪属性の場合、自分と同じような奴だと思っていると逆らわれてしまうため、サーヴァント本人は悪属性に近いのに善属性のマスターとのほうが相性がいい、という変則的な存在でもある。
そのいびつなありようは、彼?彼女?が英霊となった理由、そして聖杯戦争に挑む理由に深くかかわっている。確かめたい、どうしても確かめたいある一つの事柄があり・・・そのために、マスターを見極めようとし、試そうとしながら、聖杯に向かってその問いを叩きつける為に動く。
尚、装束が第一の宝具、火打石が第三の宝具であるように、第二の宝具として「剣」をちゃんと持っている。
それは滅多に抜かれる事は無く、彼?彼女?の存在と同じく禍々し謂れを持つとされているが・・・その心が、もう一度戦う意思を取り戻した時、抜き放たれ、その力を発揮するだろう。

「僕は怪物、僕は剣。けれど・・・それでも僕は寂しいんだ、愛されたいんだ!身は怪物、宿命は剣、なのに何で、僕には人間の心なんかがあるんだっ・・・教えてくれ・・・!」

・真名
ヤマトタケル=ヲウスノミコト。つまり、第二の宝具であるその「剣」は、草薙剣=三種神器・神剣アメノムラクモ!
彼に関する設定としてはまず古代日本の王朝解釈が必要なのだが、この世界での古代の設定のイメージとしては以下の如し。
まずヤマタイが北九州に存在。ヒミコ=アマテラス、イヨ=アメノウズメ、ヒミコの弟であり彼女の意向を伝える摂政であったとされる人物=ツクヨミ、ヒミコの後に王になろうとしたが国を混乱させてしまった男=スサノオ、という解釈で、ヤマタイ=タカマガハラ、ヤマタイ周辺の他の国々=国津神たちという形。
で、スサノオ=オオクニヌシ=イズモ王、という形なので、ヒミコの後を継いで王になろうとしたスサノオが失敗して亡命した先がイズモで、現地の竜種の王であるヤマタノオロチ(厳密に神話を解釈するとコイツのフルネームは「コシノヤマタノオロチ」で、コシ地方からイズモを襲撃していたという解釈なので、ヤマタノオロチもまた別の土地からやってきた竜王。あえて大胆な設定とするが、コシ族という「大陸で獣神・黄帝の一族と戦って敗れた武器神・シユウの一族の生き残りである渡来人。あらゆる武器を作る全身金属の魔神シユウの血族(シユウの外見は獣人であるとも竜であるとも言われた)であるヤマタノオロチを崇拝する。オロチを成長・強化させ黄帝を倒せる程に強化すべく、生贄をかき集めていた」(ヤマタノオロチが多頭蛇として生まれたのは、蛇神を崇拝する周辺古代日本人に対し、蛇神よりも凄い存在として誇示するためにこの姿となった)」の神である蛇龍王、とこの話ではヤマタノオロチを設定)を倒してイズモ国の王オオクニヌシとなり、これがのちにヤマトタケルに倒されるイズモタケルが所属する国になった、と設定。
それでイヨがヒミコの王位を継承したのが、アメノウズメがアマテラスの引きこもりをやめさせる神話になった。
これは「ヤマトタケルが日本書紀等の古代日本国史・日本神話に連なる英雄であるため、出来るだけ日本神話・日本書記などの記述を優先する形で史実を解釈した」結果「神武天皇による東征が行われたとするならば、東にいってヤマトに落ち着いたヤマト王権は、ヤマトより西からやって来なければならない」という点から、ヤマトにやってきた以上ヤマトより西の北九州にもともと居た筈、という点でこの設定としたわけである。
(ただし畿内説に通じる設定部分も造っていく。以下の中にあるように。)
それで、イヨの力で国譲り(クナ、原始イズモ王朝の征服)が行われ、その過程でヤマト王権が成立したものの、代を重ねるごとに神の血が薄まったヤマタイ・タカマガハラ族はその支配を維持できなくなり、(コノハナノサクヤヒメとイワナガヒメの神話で、イワナガヒメが嫁に選ばれなかった為に神の子であるニニギも、人間と同じ寿命しか持てなくなったというエピソードがこれに当たる。)巻き起こった反乱から脱出する形でヤマタイから畿内のヤマトに遷都。
この際ヤマタイから出向して現地を統括していたナガスネヒコ(神武天皇と戦った敵。自らも天津神の子孫であり、同じ天津神の子孫が国を奪うというのは不当だと主張した。この場合彼が、ヤマタイ畿内説の根拠となる存在として扱われる訳だ。つまり、北九州と畿内、両方にヤマタイの土地があったと)と交戦。ヤマト王朝が成立したが、クナ=クマソとイズモ王朝が独立。
ここまで長い時間があって、天皇家もすっかり神の血が薄まったころ、イズモに出奔したスサノオの血の傍流でヤマタイに残っていたやや冷や飯ぐらいの系統から、突然変異的に先祖がえりの神の力を持ったヲウス=ヤマトタケルが生まれ、彼の征服の物語が始まってしまった・・・と、いう設定である。
ちなみにこの設定によるアメノムラクモ=草薙の剣は、「草薙とは、すなわち汚蛇(クサ=、臭い、汚い、毒。古代においてはこれらの意味が混在していたとか。ナギ=蛇の古称)」。山の神であり川の神でもあり祟る毒神をも兼ねる意味合いでの鉱山神(川は山から湧き出るもので、山から鉱石や砂鉄を掘るには水力を用いるのが古代では効率が良い。しかし、それをやると水が土砂と鉱毒で汚染される事がしばしばある)としての竜種・ヤマタノオロチ(大陸渡りの製鉄民族で、スサノオ以前のイズモの征服者であるコシ族の王神竜)の尾骨であり、鉱山を体とするその中から引きずり出されたという意味で「星の光が鍛えた聖剣」であるエクスカリバーとは真逆の「大地の闇が鍛えた魔剣」。
スサノオが使用した神の剣すら欠けさせる凄まじい切れ味・硬度と、八つの鉱山の八つの山と八つの谷を穢し滅ぼしつくす鉱毒を凝集した毒気を宿す剣であり、真の力を開放すればヤマタノオロチの骨格を取り戻し、「8つの谷川と8つの山にまたがる」レベルの射程と、八本の尾、八本の頭(尾である刀身が八本に分裂し、頭があった側の柄から頭に当たる八本の刃が更に追加出現する)購読汚染された山崩れと水の混じった土石流と共に襲いかかる16連攻撃が可能になる(対軍だとオロチの巨体を生かして凪払うので16体どころではない攻撃回数と範囲だが英霊級の敵に対単体攻撃するなら、「相手が小さすぎるので」16連撃となる)。
が、神話においてこれほどまでの効果を出した事がない、というか草薙の剣の名の通り、ヤマトタケルが火攻めを逃れる時に使ったくらいしか使われてない事からも分かる通り、己の宿命に屈折した感情を持つヤマトタケルはこの剣を使いこなしきれなかったため、これほどの効果を発揮した事はない。この効果を発揮するには、サーヴァントとマスターが真の絆を獲得し、マスターがヤマトタケルの悩みを解きほぐしてやる必要がある。
形状としては、伊勢神宮に奉納されている状態を盗み見た者が記した形がベース。最初の鉄剣、まだ半分青銅武器の形を引きずってる両刃剣。
(日本刀の原型というのはむしろ蝦夷のアテルイ達が使っていた蕨手刀との交流から本格的に発展した印象が強いし)
より正確にその形を描写するならば「切っ先は笹の葉のような諸刃で、鍔元近くに幾つかの節があった」と言われている、その姿。
この「鍔元近くの幾つかの節」は、まさしく、蛇の尾骨の節々の形。
真の力を開放してオロチに戻ると、この節の部分が伸びて、ファンタジー等でたまにある多節剣状になる。
(尚草薙の剣=アメノムラクモは、一般的イメージでは「壇ノ浦で沈んだ」というのが多いのだが、実は宮中行事や神社の都合もあって、複製含めて数本存在したんだ、あの時代既に。だから安徳天皇が持って逃げたのが本物なのか、熱田神宮に安置されてたほうが本物なのか、あとあと「安徳天皇が持ってたのは偽物」といって天皇家が持ち出したものが本物なのか、実は詳細不明だったりする)
性格としてはこの設定としてはスサノオからヤマトタケル、そしてのちの源義経にもつながる、日本の中の「少年英雄」の構図からヤマトタケルを捉えている。
図体的には大人でも、母を恋しがり、子供のようないたずらを繰り返して天の国を追われ、下界の女との恋でついに英雄として成長するスサノオと、牛若丸としての少女めいた若々しさと軽やかさで弁慶を下して仲間にし、平家を討つも兄に使い捨てられる悲劇をたどる源義経の間にいるものとして。、
知恵と魅力で戦う少女めいた少年英雄(おろち退治でお酒を使った、そして国で騒ぎを起こしたスサノオと、だまし討ちで熊襲と出雲を撃ち、兄殺しの顛末で父王にうとまれたヤマトタケルの構図は、不思議なほどシンクロする)のヤマトタケル。
そして、多くの罪を背負い、己の業深さに苦悩し、愛を求めながらも得る事が出来ず失い続け、正義に利用され続け善性を失いながらも、尚諦めきれない愛への渇望が、正しさというものを希求させるという悲劇的存在、人間の時代になったのに神の力を持たされて生まれてしまった、それゆえに英雄として国家に使い潰されてしまう、神として崇められても人としても愛されぬ、悲しみを持ち愛に飢える英雄。
尚・・・
あえて性別は「不明」と設定させていただく。「女装した少年」だったのか、その逆だったのかは・・・それは話の展開の中で明らかになるべきであろう。
キャスターとは「人の世に生まれた神代の奇跡、時代に取り残された存在」として、いささかの共感が存在する。
(余談だが、セイバーの中では素手戦闘なら二番目、という発言で想定される「一番目」は、フルンティングとネイリングという立派な名剣を持ちながら、巨人も水妖も火炎龍も、最後には拳で打ち倒した欧州の伝説・ベーオウルフ王である)

・アーチャー
西部劇から抜けてできたような金髪碧眼の男装ガンマン美少女、という「お前本当に英霊か!?」と突っ込みを入れたくなるような姿の英霊。
自称「英霊としては半人前以下」「見た目がアレ過ぎるんですぐ正体が特定されそうなダメ英霊」「というか、なんでオレが英霊なんだか。明らかに英霊じゃねえし」とのこと。
冬木の第七回で召喚された偽アサシン佐々木小次郎のような「架空の存在としての要素が大きい英霊」らしく、生前はここまでの美少女でも金髪碧眼でも無かったらしい。
野外生活能力(それに付随する自炊と負傷の手当て等)、馬を御したり馬車を操ったりと、見た目から想像できるような事は大概出来る。
英霊としての特性は「安物の幻想(ダイムファンタズム)」と呼ばれる特殊な身体構造がまず特筆される。普通の英霊より霊的存在が希薄で、存在するための霊力をかなり消耗するために乱用こそ出来ないものの、一瞬だけ体を霧散させて(その際「安手の冒険小説(ダイムノベル)のページがバサバサと舞い散るように体が分解する)」無数の銃弾の中を当たらずに(正確には当たった筈なのに体を突き抜けさせてかわして)つっきるようにして、敵の打撃銃撃鏃に斬撃をかわす能力があるのだ。
とはいえ、攻撃力が乏しい為、それを補う事は出来てもこれで圧倒的なアドバンテージを得ると言う事はそれほどできはしない。何しろ、武器は伝説の武器というわけでもなんでもないシングルアクション・リボルバーとレバ―アクションライフルでしかないのだから。
(安物の幻想」のもう一つの効果として己と一体扱いとなっているため、霊的効果を持っているため英霊にも打撃となりうるが、火力はあくまで銃弾程度でしかない)
ただ、その攻撃力を補うための手段として、伝説的な渾名に起因する「悪運で守る漆黒(カラミティ・ノワール)」「不運を与える深紅(カラミティ・ルージュ)」という、黒と赤の魔弾の宝具を生成する能力を持っている。共に運と確率を限定的に操る能力を持つ魔弾で「漆黒」は防戦時に放てば自分が脚を踏み外した拍子に相手の攻撃が外れる、相手の武器にトラブルが発生して攻撃が不発になるなどの効果で防御する事が出来、「深紅」は逆に相手が転倒して隙を晒したり、弾丸がたまたま鎧の隙間に飛び込んだりしてダメージを与える事が出来る、という効果を持つ。
聖杯戦争に対してはさしたる興味を持っていないが、マスターを見捨てるのはサーヴァントとしてのそして故郷の気風と生前の気質からありえない、として、マスターとともに戦う事を選択する(ただしそれは、マスターが善属性の場合であり、マスターが悪属性の場合いやいやながら渡世の義理で従う感じで戦う事になる)

「(マスターの頭を撫でて)オッケー、面倒みようじゃねえか。ガキンチョの世話は姉ちゃん慣れてるからな、俺に任しとけ!」

・真名
ジェーン=マーサ。「カラミティ」ジェーン、といったほうが通りがいいか。
西部劇の舞台になった時代のころのアメリカの女ガンマン。軍の斥候等も務めた人。
女性ガンマンということで珍しがられ、色々な逸話もあり、当時のニュース等に取り上げられもしたけれど、「尾鰭のついた逸話が多い」「自伝に若干の誇張が見られる」「実際はそこまで大したもんでもない」という話も、結構あって。
その二つの要素を解釈し、かつ、「6人姉弟の長女として早くに死んだ父に代わって少女時代から家族を養っていた」という情報から再構築・再解釈を行い、
「愛する家族を守るために何でもした。色々の仕事も、ガンマンや斥候として戦う事も。体も売り、ガンマンや斥候として挙げた名をも売り、面白おかしく誇張した伝記やダイムノベルを売る事で自分自身の信ぴょう性すら貶め偽英雄扱いされてでも、家族や仲間への愛を貫いた」という設定。
我輩個人はエミヤに関してはそこまで評価せぬが、Fateファンの間ではクーフーリンやエミヤが兄貴的立ち位置で高評価を得ている(海外の日本アニメ・漫画・ゲームファンの文句で「Gar」というのがあるのだが、いくつかの誤記や転用の変遷を経ているとはいえ、もともとは「エミヤに惚れたからそのためにゲイになってもいい」という意味の言葉の略だからのう)のに対して、「サーヴァント界の姐御」という感じのキャラクター立てにする感じである。
(エクストラに出てきたライダー=ドレイクとはまた違う方向性で)


・ランサー
古代アジア風の鎧に身を固めた、屈強な長身、赤い顔、長い髭が特徴的な風貌の武人。
余りにも有名であり、またその風貌が非常に特徴的であるため、ひと目で正体を見破られやすい、という弱点を持つが、生体宝具である乗騎の馬「赤兎(セキト)」と、得物である青龍堰月刀「冷艶鋸(レイエンキョ)」の2つの宝具を持つ通り、ランサーとして召喚されたがライダーとして召喚される事も出来た多才の英雄であり、2種のサーヴァントの能力を兼ね、並のサーヴァントの2倍とまでは言わないがそれに近いレベルの身体能力を持つ。
これは後代に民の崇拝を得て神格として扱われたが故の効果でもあり、神の血など一滴も流れてもいないにも関わらず、神族に匹敵するレベルの肉体を有しているわけだ。
ただ、身体能力が隔絶している代わりに装備する二種の宝具はあまり強力ではなく、馬として、武器としての基本性能が優れている、というレベルにとどまっており、これといった特殊な効能には乏しい。
生前に仕えた相手への忠を英霊化しても貫く頑固者であり、マスターとはあくまで契約のみの関係であると明言。聖杯を求める理由も、過去へと帰り、果たせなかった主との誓いを全うするためである。
また、正義感の非常に強い性格なのだが、その正義感は土着的・古代的な「侠」のそれであるが為、現代的な正義とはしばしば明確に衝突する(禍事に組みした者は弱さや事情など組みせざるをえなかったとしても穢れているとしたり、己の侠の為には犠牲を厭わず悩む事も恥じる事も無いなど、大陸的な人命軽視が散見される)事がある。

「侠は己の信じる道を行く者。信じる道を行くに当たって、道を塞ぐ者を踏み潰す事をいちいち着に病んでいては先に進めんよ。」

・真名
関羽雲長。
三国志演義的な英雄面も強く持つが、「侠」の現代の倫理観と衝突する大陸的な人命軽視要素は、時としてバーサーカー的とまではいかないが流血の暴走を引き起こしかねない面倒な存在でもある。
彼の武器宝具、青龍堰月刀は、本来これといった効果が無いというか、何しろまあ軍記物の武器なんで神話伝説の宝具のような飛んでも無い効果は無いわけだけど・・・
古代の武器でありながら、五関に六将を斬るなど圧倒的な切れ味を持ち続けた、その切れ味はまさに宝具。それは実は、伝説的な時代であるが故に、神話時代の武具であるところの宝貝を造る技術の残渣で造られた故で。
それゆえ時代を超越した威力を持つその武器の銘が「冷艶鋸」。「冷たく艶めくノコギリ」であるその名が顕わす武器としてのその実相は。
「一見してぎらぎらと輝く普通の刃。しかしよく見ると微細な刃の集合体が高速で回転するチェーンソーのような構造になっており、故にすさまじい切断力を持ちかつ何人切っても切れ味が落ちない故、戦場で何千人もなぎ倒す戦働きが出来た」というもの。
命中すれば故に相当の破壊力を持ち、長大なこの武器を自在に振るう膂力と機動性を補う赤兎馬の機動性でもって縦横無尽に戦場を支配する。


・キャスター
小柄だが綺麗で精巧な西洋鎧を纏い、腰には身の丈にあったサイズの剣を帯び、手には旗のついた槍を持つ西洋人の少女、という姿をした英霊。
・・・見た目は、むしろセイバーにも見えるしランサーにも見えるし、という形なのだが、実はキャスター、という、かなり紛らわしい恰好である。
そしてまらその顔立ちも、栗色の髪とハシバミ色の瞳をした、素朴だがかわいらしい村娘、という感じだから・・・ますますキャスターっぽくない。
事実、彼女自身「私は魔術師でも魔法使いでもありません・・・魔女じゃありません」と、キャスターのサーヴァントとして扱われることを嫌っている。
実際彼女の能力は、所持する旗型宝具「永遠なる百合の御旗(フルール・ド・リス)」を媒介に発揮される基督教に基づく聖なる奇跡の力で、厳密にいえば魔術とは少し違うものである。
そしてその能力は・・・サーヴァントとしてもいささか風変わりなもので、非常に強力な「他者強化」だ。つまり、サーヴァントとして自らが戦うより、マスターを強化してサーヴァントなみの戦闘能力を与えるほうを得意とする、という、世にもまれな「マスター支援特化型サーヴァント」なのだ。
(通常のキャスターでもマスターの強化は可能だが、それに限定して特化しているのはやはり稀有な存在と言わざるを得ない)
本来この能力は軍隊に対して使用し、多数の人間の能力を底上げする事が本来の使い方なのだが、それを単一のマスターに対して集中的に使用する事で、人間に英霊に近い力を与える、というわけである。ただ、あくまで効果は増幅であるため基礎がなっていなければ増幅してもたかがしれるため、そのため相性的にある程度の戦闘能力を持つマスターと組む必要がある。
一応、サーヴァント本人にもある程度の戦闘能力はある・・・強化の力を自分と装備にもある程度かける事が出来る為、己と剣、槍を強化し「疑似セイバー」「疑似ランサー」的に戦闘を行う事が出来るし、普段は霊体化してしまっておいているものの、クロスボウや、彼女が戦った時代に実用化され始め、貴族が使わずにいたものを彼女が戦場で運用した初期型の大砲を隠し持っているためクロスボウや大砲を強化して更に「疑似アーチャ―」的な射撃戦闘までこなすある程度の万能性を持つが、基礎がキャスターであり、加えて強化の能力は自分とその装備にかける場合他者強化より効率が落ちる為、どれも本職には及ばない。
また、自分とマスターに同時に強化をかけると、一人当たりの強さが低下するという弱点があるため、いささか以上に扱いづらいサーヴァントである。(しかし逆説的に、大半のサーヴァントが魔法に強い抵抗力を持つというキャスターの弱点を克服しているともいえる。)
性格は騎士と聖職者を兼ね備えたような真面目で潔癖な面と、少々天然ボケな所のある穏やかで優しい村娘という面の二種を併せ持っている。また、生前のトラウマからか火を嫌う。
前述したが魔女と呼ばれる事を非常に嫌っており、聖杯に挑む理由も、己が魔女ならざる事を証明するため、と言っている。
が・・・何らかのそれだけでは済まない面がある模様。

「唯、救いたかっただけでは無かったのかもしれません。救われたかったのかもしれません、私自身も。けれど、それは、その不純は、魔として断罪される程の罪だったのでしょうか・・・神よ・・・。」

・真名
「オルレアンの聖女」「乙女(ラ・ピュセル)」ジャンヌ=ダルク。有名な人物なので説明は省略して解釈と設定を。
まず設定としては・・・実は、この設定におけるジャンヌダルクは、アルトリアみたいに条件次第で黒化する。
これは史実でジャンヌが長らく魔女として扱われていた(列聖されるのはずっと後の事)から来る要素と、悲惨な最期を遂げた事による内面的トラウマ、それとそもそもの魔術的素養によるもので・・・解釈としては、ジョルジュ・サンドの小説「ジャンヌ〜無垢な魂を持つ野の少女」のイメージであるな。
これはジャンヌダルクそのものを書いた小説ではなく、ジャンヌダルクをモチーフにした「聖なる少女」の物語なのだが、そこにおいてヒロインのジャンヌは19世紀フランスにありながらケルトの神や妖精を信仰する素朴な村娘として登場する。無論このジャンヌはジャンヌダルクとは別人なのであるが、ジャンヌダルクの英霊化には一連のジャンヌダルクもののロマン文学が結構影響すると思うのである。
その影響で、この作品内ではジャンヌには元々ケルト魔術の素養があった、と設定しておる。そして、「聖女ジャンヌと悪魔ジル」なども解釈としては面白いし、「オルレアン開放の為の聖史劇」などでは神への愛と人への愛の間で引き裂かれる少女であったりもするジャンヌダルクは、危うい二面性を持つ存在であり。
劇中設定としては、ジャンヌはもともと先祖にドルイドか何かが居たのかケルト系魔術の素養があり、けれど魔女は迫害されるキリスト教世界だからこそ自分を罪悪視して熱心にキリスト教に祈り、それゆえに神の声を聞く事が出来た。故に奇跡の力を振ってオルレアンを開放したが、イギリス軍に捕らえられ責め立てられ魔女とされて処刑された。そ
の魔女とされる過程で、ジャンヌは穢された上で魔女術・悪魔魔術の技能を強制的に刷り込まれたのだ。真実魔女であると証明するために。刑場で魔術を使って脱走されないよう、魔術を使えない段階まで消耗させてから術式を刻みこんで殺すという、徹底的冒涜がなされたわけであるが。
(死後に吸血鬼呼ばわりされた結果生前は人間だったのに死後魂が吸血鬼に変質したランサー・ヴラド=ツェペシュに近いが、生前に行われたという点で寄り悪質)
それでもイエスの名を呼んで死んだジャンヌではあるが、このケルト魔術の素養と拷問で得た悪魔の力は英霊化した後も魂に残っており、何らかの状況下で属性が反転すると魔女として覚醒。騎士鎧が魔女裁判の拷問拘束具服に変貌し、ケルト魔術と魔女術・悪魔魔術の混合の魔力を振い、死霊の軍団を編成して大暴れする魔女へとなり果てるという可能性を有している。
ちなみにそれを乗り越えて成長した元に表返った場合、オルレアン解放に集った騎士・兵士・武将達(Fate/Zeroのキャスター・ジル=ド=レェも正気モードで加わる)を仲間として一斉召喚する固有結界宝具「我が青春のオルレアン(オルレアン・ドゥ・メ・ジェネッセ)」が使用可能になる。
(尚、本家タイプムーンの没企画であるフェイト・アポクリファでもイレギュラー・ルーラーとしてジャンヌ・ダルクが登場しているが、アポクリファのヴラドとFate/Extraのヴラドが全然別の英霊としてデザインされ登場しているように、アポクリファはあくまで没企画ということでかぶっても問題ないと考える)
セイバーとは「人の世に生まれた神代の奇跡、時代に取り残された存在」として、いささかの共感が存在する。


・バーサーカー
18世紀欧州風の、しかし軍人や戦士のそれではない装束を纏った男。そして、武器も持っていない。
髪の毛の淵を短くカールさせ、緑色の色眼鏡を掛けているのが外見上の特徴であるが、一見して非常にバーサーカーらしくない。
しかしその表情は極めて、非人間的なほど謹厳実直、冷徹でありながら強過ぎる信念を帯びており、色眼鏡に隠された眼光はバーサーカーのクラスに相応しい狂熱にたぎっている。
狂化によって強化された身体能力ではなく、その狂気的な精神そのものを武器とする、極めて特殊なバーサーカーサーヴァント。
生前は革命家であり、弁舌でもって民を駆り立て世を覆した。その成果を象徴する二種類の結界宝具「最高存在の祭典(ラ・フェット・デ・レット・シュープレーム)」「神授王断つ正義の柱(ボワ・ド・ジャスティス/ラ=モール)」を所持。
「最高存在の祭典(ラ・フェット・デ・レット・シュープレーム)」は、最大で一国をも覆う、人間の意志力に作用する結界。とはいえ、「本来は言論による行いであった」という魔術的な制限から、拡大速度に一定の限界があり徐々に範囲を増していく、という形をとるため、数日単位であれば一都市を覆う程度の射程距離である。
その効果は、革命家であるバーサーカーの「革命精神」を周囲の普通の人間に伝染させるというもので、魔術師であれば耐えられるものの普通の人間程度の精神抵抗力では忽ち伝染させられ「革命万歳」状態となり、そして、「普通の人間」ならざる存在に対して革命を初めてしまう。
この「革命万歳」状態の人間はバーサーカーの「擬似的マスター」というべき存在となり、バーサーカーに活動に必要なエネルギーを一人あたり少しずつ供給する。普通の人間であるので供給量はわずかだが、束ねる事によって実質上の単独現界を可能にする。
そして、その「革命万歳」状態の人間に対して「神授王断つ正義の柱(ボワ・ド・ジャスティス/ラ=モール)」が作用。
「革命万歳」状態の人間に、「敵と認識した相手に対して上からギロチンの刃を落とす」という能力を与えるのだ。この刃は擬似的な宝具扱いであり、低いレベルではあるが王属性・神属性の敵に対しての追加ダメージ効果を持つ。
また、サーヴァント本体も、この効果を自由に使いギロチンの刃を落とす事が出来る。
一発一発は宝具としてのランクが低いとはいえ落下するギロチンにはそれなりの威力があり、しかも結界範囲内の人間全てが、次々と落としていくのだ。
降り注ぐ無数のギロチンの刃は、生前の彼が巻き起こした革命と等しく、射程範囲内に血の雨を降らせるがごとき大殺戮の能力となるだろう。
広範囲攻撃に特化した、身体能力こそ低いが強烈な攻撃力を持つサーヴァントであるが、しかし、この「革命家であること」という事が、サーヴァントとしての致命的欠陥となっている。
反逆することがその宿命であり存在意義、存在のすべてであるが故に。「絶対にマスターに逆らう」のだ。しかも、スキル「革命」で、令呪の効果を無効化するという恐るべき能力を所持している。
故に召喚されたマスターがまず第一の犠牲者となり、しかる後に召喚された町が革命による処刑地獄へと変化ししかも単独現界可能という、召喚そのものが一種の災厄というべきたちの悪いサーヴァントである。
王や神に関係するサーヴァントにきわめて強い敵愾心を持ち、狂化していながらも弁舌言論という理性の信奉者であるが故にある程度自我を保っており、それらを優先的に攻撃する性質がある。

「我が革命は理性の革命!理性の道は人類の必然!英霊も魔術師も、道を開けよ!理性が通る!」

・真名
マクシミリアン・フランソワ・マリー・イジドール・ド・ロベスピエール。フランス革命の指導者の一人にして、「徳なき恐怖は忌まわしく、恐怖なき徳は無力である」として恐怖政治を巻き起こした男。
王権神授説を標榜するブルボン王朝を打倒し、理性を絶対的に信奉、キリスト教カトリック信仰すら否定して人間の理性そのものを神として信仰すべきとすら言った、極めて純粋すぎる何もかもを革命する男。
人呼んで「ルソーの血塗られた手」。聖杯にかける願いは、完全なる革命。この地球すべての王なるものを絶滅し神を否定し、全ての人間が理性に従って生きる世界の構築である。


・アサシン
華美な装束に身を包み、皇帝の覇業を黄金の象嵌で刻んだ五本指幅広短剣(チンクエディア)を帯びた・・・「どこがアサシンだ!」と言いたくなる華麗で豪華な印象の美青年。
身体能力はアサシンのサーヴァントとしては平均的レベル、といった所で、派手な身なりに似合わず「礼儀に溢れた仕草と殺気をまるで感じさせない仮面の表情でごく当り前な人間の社会に溶け込む」という変則的な手段で隠行もしてのける。
通常のアサシンと大きく違うのは、普通のアサシンが「命じられて動く暗殺の刃」であるのに対し、このアサシンは「自ら能動的に策略を立てて敵を謀殺し己の覇を打ち立てんとする策士」であるということだ。
高い謀略立案能力で、兵を募り、罠を仕掛け、詐術で人の行動を情報を動かし、暗殺を行うのに必要な隙を作り出す。武器に塗って傷に与えても、飲食に混入させても、それ以外の手段で接触させても高い殺傷能力を持つ猛毒宝具「陰殺屍毒(カンタレラ)」よりも、その謀略こそが彼の最大の武器であると言えるだろう。
そして、彼の宝具は毒だけではなく、もうひとつ思いもかけない形のとんでもない宝具を持っている。
現世においては不本意な最後を遂げた英雄である彼は、「己の英雄たる才覚にふさわしい人生」を聖杯に要求するべく、マスターすら己の願いをかなえる為に利用するべく、面従腹背で裏で謀略を巡らせている。

「私には是だけの事が出来る・・・!見よ、世界よ、我を見よ私は、消えて良い存在ではなかったのだ!」

・真名
チェーザレ=ボルジア。マキャヴェリの「君主論」のモデルとなった人物で、教皇アレクサンドル6世を父に持ち、カエサルの再来たらんと混乱するイタリア統一を目論んだ男。軍事的勝利を重ねる事に加え、妹であるルクレツィアを政略結婚などで利用したり、ボルジア家秘伝の毒薬であるカンタレラを用いた暗殺で勢力を拡大したが、あと一歩のところで病に倒れ、心身困憊の状態で判断を誤った結果滅亡した。
聖杯に要求する英雄にふさわしい運命とは、病に倒れなかった場合の可能性を実現する事、というわけである。
ちなみにもう一つの宝具とは、チェーザレと近親相姦関係にあったとも噂され、毒殺による暗殺にも利用されたとも言われる妹のルクレツィアそのもの。ルクレツィアは疑似サーヴァント的な存在として扱われ、宝具としての性能全てを魔術的隠ぺいに特化させた存在であるためサーヴァントであることを見抜かせず、正体を隠して敵にとりいり情報を得たりカンタレラを盛ったりすることをその用途とする。また兄の道具扱いとされる事から、チェーザレの自在に動かす事が出来、マスターがサーヴァントを令呪で動かすように動かして、いざという時の盾にする事も可能。
また毒使いということでチェーザレもルクレツィアも毒に耐性を持ち、それを利用して自分の体にカンタレラを使っており、したがって盾にされたルクレツィアをばっさり切って返り血を浴びたりするとそれでカンタレラを服毒させられてしまう、というえげつないカウンターも可能、としている。


・ライダー
長髪長髭、遊牧民風の装束と鎧を纏って馬にまたがる、狼を思わせる野性的に凶暴でありながら一種の美質を備えた風貌をしている壮年の男性。
傲慢尊大残虐非道、殺し、奪い、辱め、屈辱を与える事こそが王者の成すべき事であり人生で最も大事な事であると豪語する覇王。自ら、「都市一つしか支配していないで英雄王?島一つで騎士王?は、あの程度の面積の領土で征服王を騙るか。それならばこの俺は、世界王とでも名乗ろうか!」と言うだけあり、その生前に成した覇業は圧倒的。
幼少時にどん底まで没落し、家族を無くし愛する人を奪われ、泥水を啜って這いあがり、友を打倒し、援助者の氏族を滅ぼし、王として成りあがったすさまじい生き様から激しい人格が培われ、それゆえに王として揺るがぬ精神性を持っている。
騎馬や短弓、剣を武器とするが、それらは宝具ではなく、「歴史上もっとも多くの子孫を残した史上最強の雄」であり己の特に血の濃い子孫を「黄金の氏族(アルタン・ウルク)」と称えられた、その祖に「灰色斑狼(ボルテ・チノ)」「白鹿(コアイ・マラル)」を持つとされる血統そのものが宝具としての能力を持っている。
その効果は、「灰色斑狼(ボルテ・チノ)」、「白鹿(コアイ・マラル)」、「黄金の氏族・真父祖(アルタン・ウルク・イジ・ブレン・エツェグ)」と、三つの宝具として扱われ、それぞれ「英霊中最強といっていいレベルへの身体能力の増強」「打ち倒したサーヴァントやマスターがいくつかの条件を満たす場合、そのサーヴァントを己の下僕とする事が出来る」「敵から宝具を奪う事が出来、奪った宝具を使用するための基準を強引に満たしているものとして扱わせる。また、馬や剣、弓、投石機、火砲、攻城兵器等様々な武器を無尽蔵に、まるで空間から掴みだすようにして装備できる」という機能を持つ。
激しい人格の持ち主ではあるが同時に遊牧民らしくさっぱりした所もあり、過去に関してもそれなりに思う所はあるらしく、王の立場から他者に助言をする事もある。
そのさっぱりした面はある意味での素朴というか単純というかな要素も兼ねており、英霊として聖杯を目指す理由も「俺がいて、戦場があって、宝があるんなら、戦って勝って奪い取る、それは必然で当然の事だ!」と、あまり細かい事は考えていない様子。
ちなみに子孫の件を見ても分かるように、愛妾を最大で500人も囲っていたという雄っぷりも有する。

「勝利したのならば滅ぼさねばならぬ。制覇したのであれば辱めねばならぬ。勝者とは、力を持つ者とはそういうものだ。貴様も力を持つ者であれば覚悟を決めよ。強者は弱者を踏み躙る宿命にある。弱者の情等当てにするな、強者は弱者とは草食動物と肉食動物程に違う生き物なのだ、覚悟を決め、心を固めるのだな、さもなくば、貴様は強者では無く、我が餌だ。」

・真名
テムジン=チンギス・ハーン。
細かい説明の前に、真名に関係するので簡単な説明に留めた宝具の効果をより精密に説明すれば、以下のようになる。
「灰色斑狼(ボルテ・チノ)」=遺伝子分析で判明した事実としての、チンギス=ハーンは過去に存在した人間の男の中でもっとも多数・多大範囲に子孫を残したという事実。
<チンギス=ハーンこそが人類史上最強の・・・現在地上の支配種であるのが人類であることを考えれば全生物最強の・・・雄であるという厳然たる事実>
それをもって、人類の集合無意識たるアラヤ、生物の根源であるガイアに干渉する、肉体と精神が宝具となったもの。
人類集合無意識と生物根源本能に対し「チンギス=ハーンこと地上最強の人類生命」と定義・認識させることで、そう認識したとおりの能力増強を受ける・・・
つまり、知名度による英霊としての強さにかかる補正を爆発的に増大させる宝具なわけだ。人間の文明や文化に対する知名度なんて生易しい、って思えるような、種族としての人類の本能に最強と認識させ、その補正を得る。
厳密には「最強の雄」であるとすることで、過去に存在した種類様々なあらゆる男性英霊よりも上回る身体能力をハーンに付与する宝具である。
(Fate/Extraに登場したバーサーカー・アルクェイドのスキル「原初の一(アルティメットワン)」のより限定的なバージョンと言うべきか)
「白鹿(コアイ・マラル)」=遺伝子分析で判明した事実としての、チンギス=ハーンは過去に存在した人間の男の中でもっとも多数・多大範囲に子孫を残したという事実。
<チンギス=ハーンこそが人類史上最強の・・・現在地上の支配種であるのが人類であることを考えれば全生物最強の・・・雄であるという厳然たる事実>
それをもって、人類の集合無意識たるアラヤ、生物の根源であるガイアに干渉する、DNAとフェロモンが宝具となったもの。
人類集合無意識と生物根源本能に対し「チンギス=ハーンこと地上最優秀のDNA」と定義・認識させることで、立ちはだかる者から気力を奪う・・・
優位なる者、支配する者、アルファ(生物学用語で、群れのリーダーである雄を示す言葉)であることを相手に刻み込んで屈服させる宝具。
厳密には「他者に優位に立つ雄である」ということを強調する事で、その場に存在する女性に圧力を掛けて能力に負荷を刻み、倒し屈服させた場合擬似的令呪を刻んで己の配下にする、という効果である。
(優位に立つ雄、というのを、他の雄の優位に・・という意味で拡大解釈すれば男性英霊相手でも服従強制効果は発動できなくも無いのだが、ハーンは女好きなので男相手には使いたくないらしい)
「黄金の氏族・真父祖(アルタン・ウルク・イジ・ブレン・エツェグ)」=ユーラシア全土の征服者にして、征服した土地を代々受け継ぐのはハーンの血統の者のみとする掟が具現化した宝具。
世界の征服者として、天の下全てのものをその手に握ることが出来るよう魔術的・物理的な法則を改変。
他の英霊が所持する宝具を掴むことで己にもそれを使用する権利を持つものとすることが出来(例えば相手が持っている槍の柄を自分ででも掴んだ場合、相手はその槍をそのまま押し込んでハーンを傷つける事が出来るが、押し合いで勝てばハーンが刃を相手のほうに押し込んで槍の持ち手を切ることも可能であり、相手を倒すかそのままひったくれば自分の武器として使える)、
また、天地万物を己のものとすることで、周囲の物質を己の武器へと変える(空気や土をモンゴルで使っていた弓矢や剣に物質変換して、武器を次々つかみ出して使えるようにする)事が可能。
おまけ的効果として「子孫のものもオレのもの」と、ハーン没後にモンゴル軍が実用化した火薬武器や、子孫が上げた戦果によるほかの英雄との相性の良さ(息子がヨーロッパを制した戦果を己のものとして欧州出身の英雄相手に有利な補正を得ることが出来る、など)の効果を得る事も出来る。
更にここで言う子孫は後々のモンゴルの影響を受けた国、チンギス=ハーンの末裔を自称したティムールが開いたティムール帝国や、そのティムール帝国の系統を受け継ぐとし、そもそもその名が現地語でモンゴルを意味するムガル帝国等の武器や相性効果をも得る事が可能である。
(フェイトゼロのランスロットが宝具「騎士は徒手にて死なず(ナイトオブオーナー)」と、フェイトアポクリファの弁慶の宝具「八つ道具」を合わせて強化したような宝具というべきか)
(尚、他のチンギス=ハーンの子孫たちであるモンゴル王系英雄も、同系統の血統宝具「黄金の氏族(アルタン・ウルク)」を所持しているが、これは「真父祖」よりも効果が弱く、空間から武器や馬を調達する事はできるが相手の宝具を奪う事は出来ない)
以下、劇中立ち位置等も含めた設定・説明。
余りに有名な人物であるが、王となった後部下に「人間の最大の幸せとは何か」と問い、部下が「当たり前の暮らしこそなんだかんだいって一番なんじゃないでしょーか」と答えたのを嘲笑し「人間の最大の幸せとは憎い敵をぶち殺しその財産を奪いその仲間を奴隷に堕としその女を略奪し辱める事である。」と、「それが分からんから貴様らは王になれんのだ」とでも言うように得意げに告げたというアレすぎる逸話の持ち主で、挙句支配した部族がことごとく忠誠の証として部族一の美女をささげた事から愛妾が500人くらいいたとかいうアレげな伝承の持ち主であるが故に非常に獣欲爆裂のキャラクターになってしまった。
結果、男くさいってぇか、雄くさい英霊。とっても野獣的。灰色斑狼(ボルテ・チノ)」の最大出力を出すと、人間と鹿と狼のキメラめいた獣人(あるいは鹿の角の生えた人狼)を思わせる姿へと変貌する程(変身前からモンゴル風皮鎧に狼と鹿を象った意匠を刻んである)。
尚「白鹿(コアイ・マラル)」の効果はチンギス=ハーンを主人公とした某歴史戦略SLGが実はネタ元なのだが、ぶっちゃけ本編のギルガメッシュも、金色の鎧というのはドルアーガの塔の英雄ギルガメスから取ってるみたいだし、沢山の武器を持ちセイバー=アルトリア=エクスカリバーの持ち主に執着するというのも、四本の腕に別々の武器を持ち、エクスカリバーを探し偽物の剣エクスカリパーを持つファイナルファンタジ−のギルガメッシュの影響があるし・・・大本のギルガメッシュ成分よりむしろネタの方が多いのではないかと思われるので問題は無かろう。
ただ、彼ほどの英雄、ただひたすら凶暴なだけ、というわけではない。
むしろ主人公たちにとって超えるべき大きな壁でありながら同時に鍛え上げる存在でもある、父性的な印象が強く感じられるキャラクター。
また、己こそ天(テングリ)の覇者、とするその気質故、マスターに仕えることを良しとしない英霊なので・・・
冬木第七回聖杯戦争のギルガメッシュみたいな「前回の聖杯戦争からの生き残り組」で、その宝具の効果の応用で「マスターを持たずに単独現界を続けている」サーヴァントでもある。
「他の英霊の宝具を奪う」能力を持っているので、聖杯の効果を受けずとも「前回参加者の他の英霊から強奪した宝具の効果で現界を続けている」という状態なのだ。
加えて、前回参加者の宝具を強奪して装備している為その強さは更に増大、主人公たちにとっての巨大な壁として立ちはだかるというわけだ。
尚、彼が単独現界をし続けているため聖杯戦争のサーヴァントの数が揃わなくなり、イレギュラーランクのアベンジャーが召喚されうる余地が発生した訳だったりする。
ちなみに、ハーンは日本の英霊に対しては警戒心を持ってかかるという設定があったりする。
なんとなれば、西洋系英霊は息子世代の連中がハンガリー・ポーランドまで遠征してドイツ騎士団をぼこぼこにしてるので「磔台を拝んでるせいで頭も悪いし重い鎧を着すぎて動きも鈍い、殻が硬いだけの変種の羊。アジアを追い払われた遊牧民の面汚しであるところのアッティラ相手にびびっている時点で文明としての程度が知れる。雑魚。」だと思っておるし、中華系の連中も孫世代の連中が征服に成功したので「所詮畑の作物を食っている中原の連中は、草食動物が肉食動物のえさであるのと同じように我ら肉と乳を食らう遊牧民にとっては生態系の下位の存在」と見ておるが。
フビライが征服に失敗した日本の連中は(前回で交戦したランサー・矢沢頼綱の宝具が強力でえらいてこずったせいもあって)相当警戒してるという設定。(ちなみに東南アジアにも元朝の侵略を退けた国はあるので、そっちのほうの英雄も警戒する傾向あり)
なので、色々な悩みを抱えるセイバー・ヤマトタケルに対して「どうしたどうしたぁ!それでも我が孫を退けた、黄金の国の戦士か!国一番の勇者という名が泣くぞ!」という感じに接触して、ヤマトタケルにとって自分を遠ざけた父とは違う「立ちはだかり乗り越えるべき父性」として意識されていく、という話の筋が出来る、と。


・イレギュラー=アベンジャー
イレギュラーサーヴァントの一体。バーサーカーよりも特殊な、世界への反逆を行う「復讐者」。
・・・と、禍々しいランクを授けられているのだが。その姿は、骨と皮に近いレベルの褐色の痩身に粗末な手織の白布を纏い、鉄ぶちの眼鏡をして口髭を蓄えた禿頭の老人。
その表情は慈悲深く徳高き印象で、性格や言動もその印象にたがわず聖者を思わせる、と、まるっきり復讐者らしくは無い。
ただ、その能力は恐ろしいものがある。相手の魂を直接わしづかみにする、魂を構成する第六架空要素で作られた不可視、無数、伸縮自在の腕「真理乃把握(サティーグラヤハ)」は事実上の対国宝具であり、暴力をふるう事に反応し良心を刺激、自我に激烈な苦痛を与える事で強制的に戦闘を中断させる効果を非常な広範囲にまき散らす事が出来るのだ。
その苦痛は狂的と言える程の強靭な戦意を持つといえど生まれた時の記憶すら掘り起こし、狂的になる前の良心を掘り起こしてでも痛撃を与える為、そもそも人間の心を持っていないレベルの鬼畜・怪物か心の働きを完全に停止させられるマシンの如き存在でなければ突破できず、こいつが出撃すると聖杯戦争が事実上ストップしてしまいかねない。
しいて前述以外の条件でこの宝具の突破を狙うのであれば、その良心の苦痛が振るわれる力に比例する、という所を狙うしかない。つまり、サーヴァントでは力が強すぎて、ふるわれる力が齎す破壊の大きさがより強く魂にダメージを与えるが、ただの人間ならば・・・というわけだ。加えて、非暴力不服従を旨とするアベンジャーは身体能力的には人間に毛がはえた程度なので、マスターでも撃破出来ない事はない、そこが付け目である。
サーヴァントとしては極めて頑固であり、平和を望む物の元に現れ、聖杯戦争によって発生する犠牲を阻止するために、暴力を振るわない戦いを行う。

「そう・・・ただ、人の良心というものを信じたいと願った、それだけですな。」

・真名
モーハンダース=カラムチャンド=ガンジー。人呼んで「偉大な魂(マハートマー)」
非暴力不服従運動でインドを大英帝国から独立させた・・・英雄というよりは聖者といったほうがしっくりする人。
英霊と呼ぶには無論アレであるが、日独との戦争でぼろくそになっていたとはいえそれでも世界最大の王国であった大英帝国をしてインド支配を諦めさせた手腕は(むろんネルーたち他の運動家の力もあるのだが)ある意味大帝国を制覇した英雄にも匹敵すると言えるだろう。
宝具は、要するに非暴力不服従というのは相手の良心を責める事で相手を根負けさせるものであるというエッセンスを凝集したものであり、「偉大な魂(マハートマー)」そのものが宝具であるという発想から魂を操作する腕となったわけである。アベンジャーとして召喚されたのはインドを支配する英国への(暴力を伴わぬとはいえ)反逆者であり、インドの独立が事実上覇権国家としての大英帝国にとどめを刺した・・・母国を苦しめた帝国に見事復讐した、と言って言えない事もないので、このランク、というわけである。


・偽バーサーカー
ある陰謀によりてルールを無視して召喚された、もう一人のバーサーカー。
「現実上の幻想(リアルファンタズム)」という、神話伝説、騎士戦士の時代の英雄ならざる・・・火薬と油と鉛弾の時代の英雄。それゆえに霊体化の能力を持たないが、その代わり霊体化した相手や魔術魔法による防御にも(魔術防壁を打ち破るにはある程度の攻撃力を必要とするが、霊的加護無しに、という意味で)強引にダメージを与える力を持つ。(本当にやってのけた歴史的に明確な事実であるという驚異が与える威力)
草色の無骨な軍服と鉄兜、小銃、拳銃、迫撃砲、手榴弾、機関銃などをごてごてと装備した軍人。
一見ごくごく当たり前な凡人の軍人にしか見えない。英霊としての能力も、平均的と言えば聞こえがいいが中途半端とも言える。
ただ、その能力の本質は、殆ど不死身と言っていいレベルの生存能力である。史実において公式記録で200人以上の敵兵を殺傷し、あきらかに致命傷レベルの傷を何度も受けながらも尚死ぬことなく戦い続け、敵に囚われ、あきらかにもう死ぬ者として扱われながらも尚蘇生し破壊工作で抵抗を続け死ぬまで戦おうとしまた囚われながらも戦死を諦めずに抗い続けた猛烈な敢闘精神と生命力の持ち主である人物が英霊化したため、肉体そのものが宝具「真乃英霊(しんのえいれい)」と化し・・・粉みじんにでもされん限り、僅かでもマスターからの魔力供給がなされるのであればはらわたがはみ出ようが致命的な出血を使用が自己修復し、腕がもげようが脚がもげようがはいずってでも戦い続ける、死徒顔負けの不死性を有するに至った。
(粉みじんにされなければという条件なので、心臓や脳髄などピンポイントな急所を有する死徒より実質しぶとさは上)
立ち向かった英霊は、近代兵器という対処し難い武装と、そのでたらめな不死性の前に苦戦を強いられるだろう。
人格は真っ当かつ人間性のある性質で、ただ尋常でないレベルの不屈さを持ち合わせている。

「不本意ながら、敵対しよう・・・どうか諦めないでほしい。」

・真名
舩坂弘。
なんというかあんまりにも凄すぎるので説明するのが大変すぎるので、以下のアドレスの資料を呼んでほしい。最初のアドレスがまともな資料、後のが面白おかしく書いた逸話だが・・・「偽」シリーズの3人は別名「枢軸三大人外軍人」と呼ばれており・・・正直、「嘘八百の話を書こうとしても嘘より真実のほうが凄すぎる」為、下のほうも大体間違いではないという・・・(笑)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%A9%E5%9D%82%E5%BC%98
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E8%88%A9%E5%9D%82%E5%BC%98


・偽アーチャ―
ある陰謀によりてルールを無視して召喚された、もう一人のアーチャー。
「現実上の幻想(リアルファンタズム)」という、神話伝説、騎士戦士の時代の英雄ならざる・・・火薬と油と鉛弾の時代の英雄。それゆえに霊体化の能力を持たないが、その代わり霊体化した相手や魔術魔法による防御にも(魔術防壁を打ち破るにはある程度の攻撃力を必要とするが、霊的加護無しに、という意味で)強引にダメージを与える力を持つ。(本当にやってのけた歴史的に明確な事実であるという驚異が与える威力)
真っ白いギリースーツを纏い、雪の反射光を避ける遮光器の効果も兼ねる真っ白いのっぺりした覆面を身につけ、子供のように小柄な体に匹敵するほどの長さの狙撃銃と、小型の短機関銃で武装した「兵士」。
必殺の技量を持つ狙撃兵であり、確率的にありえざる近接塹壕戦で一方的に敵を殺しつくすレベルの短機関銃の使い手。生前、二種の銃で700以上の敵を射殺した「白い死神」。唯人の身でありながら、唯の練習によって絶人の領域に達した狩人であり、神話伝説の鎧も盾も、彼の目には隙だらけも同然であり、その弾丸はそれらをもかいくぐって死を与える。
固有結界「雪中の奇跡」をその身に纏う時、周囲の物は猛烈な寒気と吹雪で次々と凍りつき、その冷気をむしろ自らの助けとする偽アーチャ―の狩り場と化す。
その性格は寡黙にして堅実、一種の職人気質と言ってもいいかもしれない。

「ここまでの経験を練習とし、出来る事を成せ。唯只管に。奇跡に辿り着いて見せろ・・・私は、やり遂げて見せたぞ?」

・真名
シモ・ヘイヘ。
なんというかあんまりにも凄すぎるので説明するのが大変すぎるので、以下のアドレスの資料を呼んでほしい。最初のアドレスがまともな資料、後のが面白おかしく書いた逸話だが・・・「偽」シリーズの3人は別名「枢軸三大人外軍人」と呼ばれており・・・正直、「嘘八百の話を書こうとしても嘘より真実のほうが凄すぎる」為、下のほうも大体間違いではないという・・・(笑)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%98
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%98


・偽ライダー
ある陰謀によりてルールを無視して召喚された、もう一人のライダー。
「現実上の幻想(リアルファンタズム)」という、神話伝説、騎士戦士の時代の英雄ならざる・・・火薬と油と鉛弾の時代の英雄。それゆえに霊体化の能力を持たないが、その代わり霊体化した相手や魔術魔法による防御にも(魔術防壁を打ち破るにはある程度の攻撃力を必要とするが、霊的加護無しに、という意味で)強引にダメージを与える力を持つ。(本当にやってのけた歴史的に明確な事実であるという驚異が与える威力)
その姿は鷲と逆卍の紋章を飾った黒い軍服を纏った軍人、といった風情だが・・・その軍服に佩びる、黄金と金剛石(ダイヤモンド)で飾られた異様な輝きを帯びる勲章がひときわ目を引く。
その宝具は、まず第一がレシプロ副座の爆撃機型宝具「大砲鳥(カノーネンフォーゲル)」。爆撃だけではなく、この機体が製造された時代においてこのサイズの航空機に搭載する用途としては限界ぎりぎりの破格な大口径機関砲を搭載し、敵の薄い上面装甲をブチ抜くという戦術を得意とする。
彼は、生前「千年帝国の一人目にして唯一の円卓の騎士」と称えられ、一国から「国家最大の敵」と恐れられ、30回もの墜落から生還し、現在の賃金で五億の懸賞金を積まれ、戦車だろうが大砲だろうが装甲列車だろうが戦艦だろうが、眼下の全ての兵器を合計推定2000以上撃破(むろん、乗り手の数は戦車で一台あたり3〜4人、大砲ならば操作するのに同数以上の人員、戦艦や装甲列車に至っては・・・)した、神話の英雄も顔色なさしめる超存在であった。それゆえに、英霊化してのその強さは隔絶しており、宝具を駆っては神馬だろうがかまわず追いつき、伝説の甲冑や盾だろうが問答無用に爆砕する威力を持つ。
その成し遂げた30回の生還は、「普通ならば絶命するような12の偉業を達成した」冬木聖杯戦争第七回のバーサーカー・ヘラクレスが宝具として12の命を授かったように、「30回分の命」として第二の宝具である片足がもげても飛び続けた生前の逸話の具現たる義足、「死せざる独空軍(レツテンルフトヴァッフェ)」の宝具の機能として付け加えられてしまっている。30回の自己再生、再生数でいえば、ヘラクレスの2.5倍なのだ。
更に言えばこの再生は乗機他の宝具ごと行われる為、冬木第七回聖杯戦争のアーチャ―・エミヤが得意とした「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」をも行いうる、という攻撃力強化にもつながっているというわけだ。
そして加えて第三の宝具として、祖国最強の兵、第二次世界大戦の円卓の騎士であることを証明する第三の勲章宝具「黄金金剛石剣付柏葉騎士鉄十字章(リッター・デス・ルンデディッシュ)」を有し、この宝具の機能として「大砲鳥」を変形させることができる。
大砲鳥は同型の兵器としてはG型と呼ばれる区分なのだが、急降下爆撃用のA〜F型と襲撃用のG型では全然性能が違うので、爆撃したい時は機体の型番を取り換えたほうが良く、この為単純な大火力だけではない汎用性のある戦闘パターンを取る事も可能と、空にあっては万能の英霊と言っても過言ではない。
つまり、実質ライダーの機動性とバーサーカーのタフネスを持ち、通常攻撃はアーチャ―やキャスターなみの弾幕、という、手がつけられないレベルの怪物・・・である。
ただ、一応唯一の弱点と呼ぶべきものが存在する。宝具の急降下爆撃機は副座であり、後部座席手であるこの英霊の相棒は(おそらくそれまでもろともに召喚しようとしてはマスターが持たないが為に)召喚されなかったため、マスターが後部座席手を担当せねばならないのだ。・・・いくら英霊が30回再生できるとはいえ、マスターはそうではないため、偽ライダーはマスターを守るために腐心せねばならん、というわけだ。
人格は誇り高く頑固でかつ極めて戦意旺盛。

「己を価値なしと思うのでなければ、休んでいる暇はないぞ我がマスターよ。さあ、出撃だ・・・己を打ち立てる為に!」

・真名
ハンス=ウルリッヒ=ルーデル。
なんというかあんまりにも凄すぎるので説明するのが大変すぎるので、以下のアドレスの資料を呼んでほしい。最初のアドレスがまともな資料、後のが面白おかしく書いた逸話だが・・・「偽」シリーズの3人は別名「枢軸三大人外軍人」と呼ばれており・・・正直、「嘘八百の話を書こうとしても嘘より真実のほうが凄すぎる」為、下のほうも大体間違いではないという・・・(笑)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB


と、そして・・・ライダーの設定を見れば分かる通り、この舞台となる町で行われる聖杯戦争は今回で二回目。
前回というものが存在し・・・そしてその前回において、この町で行われる聖杯戦争の理由と意味、その設定が明らかになるのである。
故に回想編として行われる前回聖杯戦争、それについて聖杯戦争参加者についてより先に紹介しておこう。
何故ならば、前回の戦争に因縁を持つ者も、多数今回聖杯戦争に参加しているが故に。
(前回聖杯戦争に関しては劇中で既に確定完結した事項故、サーヴァントの真名は最初から公開している)

<前回聖杯戦争のサーヴァント達>

・セイバー
真名、オジェ・ル・ダノワあるいはホルガー・ダンスク(国によって複数名前の発音があるのだ)
中世フランスの騎士道物語ドーン・ド・マイアンスに登場するのが有名だが本質的にはデンマークの英雄であり、イギリス王家伝来の宝剣であるクルタナのもともとの所持者という国際色豊かな英雄。
デンマーク王で、息子をフランク王帝シャルルマーニュの子に殺された因縁からシャルルマーニュに敵対するも、「ローランの歌」ではイスラム教徒相手ということで恩讐を脇に置いて共闘し武勲を立てている。
デンマークの危機に復活するという伝説があり、今もクロンヴォー城の地下で眠っているという。
宝具はローランの剣デュランダルやシャルルマーニュ大帝の剣ジョイワユーズと同じ製法で鍛えられたとされる宝剣クルタナと、自らが眠るクロンヴォー城そのもの。
クルタナとデュランダルとジョイワユーズは同じ製法で出来た剣、という逸話があり、故にデュランダルやジョイワユーズに匹敵する強度と切れ味を持つとされている。
そしてジョイワユーズは「柄に聖遺物が埋め込まれ、刀身の色が日に30回変わる」と伝えられている。
その伝承の正体は、「ジョイワユーズは、柄に仕込まれた複数の聖遺物を動力源と出力機構として、束ねた魔力光を刃とする、魔術的ビームサーベルというべき宝具である」というもの。
剣身が不壊と言われるデュランダルも同じ製法で造られている、つまりビームサーベルであるから、刀身が何やっても壊れない(ビームだから壊れようが無い)のだ。
そしてそれらと同一の構造の剣であるクルタナもまた同じ魔術的ビームサーベルである。
クルタナは「切っ先が無い剣」という形をしているが、その存在しない切っ先の部分からビーム刃が伸びる。
柄から発するジョイワユーズやデュランダルより長砲身の大砲のように射程が長く、モードチェンジでビームライフルみたいにビームを射出することも出来る強力な宝具である。
クロンヴォー白は、「復活の時までそこで眠り続ける」という特性を強化した、その中に籠ることで魔力を補充し傷を回復する回復ポイントとしての機能を持つ宝具。
これらはのちにライダーに奪われ、このクロンヴォー城に籠る事でライダーは現界を続け第二次辺来聖杯戦争に出現した。

「正しく責務を果たすが騎士の道、王の道よ。不満は、胸に納めておく。」

・アーチャー
真名、ダビデ。ユダヤ人の英雄であり、ペリシテの巨人戦士ゴリアテをスリング(石投げ紐)による石投げで打倒した。のちユダヤ王として君臨。
その逸話の具現であるスリング(石投げ紐)「ゴリアテ殺し」を宝具としている。これは、相手が強大であればあるほど威力と急所への命中率を上げるという宝具である。
マスターに十分なキャパシティがあれば、ユダヤ民族の王となってエルサレムに契約の箱を変換した
聖王形態へと進化させる事も可能で、そうなれば契約の箱そのものを宝具として、一度はそれを奪ったペリシテ人が
恐れをなして返還したという「災厄」を発射する力を得たのだが・・・
残念ながらマスターの力不足でそれは出来ず、ゴリアテを倒した時の少年の姿で召喚されるも、ランサーに撃破されている。
断末魔の台詞は「聖王形態になれさえすれば・・・畜生・・・畜生ぉおおおおおお!」。
外見は少年だけど、中身はおっさん。強い王だったが、嫁を寝とる為に部下を謀殺して神に祟られた、割とダメ人間。
一応、それでも古代ユダヤ人らしく神を狂信していたのだが・・・。
(尚、本家タイプムーンの没企画であるフェイト・アポクリファでもアーチャ―としてダビデが登場しているが、アポクリファのヴラドとFate/Extraのヴラドが全然別の英霊としてデザインされ登場しているように、アポクリファはあくまで没企画ということでかぶっても問題ないと考える)

「ユダヤ人以外が万人死のうが億人死のうが、僕は知ったこっちゃないけど?」

・ランサー
真名、矢沢頼綱。戦国武将で真田幸村の父であり「表裏比興の者」と言われた謀将真田昌幸の叔父にして家臣。知名度は低いが戦においてはでたらめに強く数百の寡兵で数千〜数万の北条軍勢を撃退する事二度三度。
その所持する槍「小松明」は、そんな戦歴よりも更にデタラメな伝説を持つ魔槍であり、「本物の松明のように眩しく光り輝きながら焔を発し、空間を切り裂いて持ち手の体を隠す」能力を持っていたという・・・閃光眼つぶし+火炎噴射+光学迷彩+空間湾曲(攻撃にも防御にも活用可)と。
北欧神話やケルト神話の伝説でもここまでの武器は滅多にねぇぞ、というトチ狂った能力を持つ。
あまりに戦が強いので「こんな槍でも持ってないとおかしい」という事から伝説が生まれたのかもしれないが、色々とおかしすぎる。
アーチャ―=ダビデを撃破したサーヴァント。ダビデの必中ゴリアテ殺しは空間断裂に身を隠しても防げないのだが。
軍略能力を持つ彼はダビデの宝具があくまでスリングであって石ではない事を見抜き、スリングによって急所必中の魔術をかけられた石そのものを迎撃して破壊する事で、攻撃を防いだ。
(あくまで急所必中なのは石に付与された魔術なので、石そのものを砕いてしまえば魔術は命中するかもしれんが実体を伴わないのでダメージにはならない)
能力的に空間断裂に身を隠しながら攻撃できる宝具の力が強すぎる。しかも、この能力、戦場でずっと振るっていた事から燃費も悪くないのだ。
対抗できる宝具は同じく必中修正持ちの打神鞭しかなく、太公望を撃破しそれを強奪した結果何とかライダーも戦えるようになったが(打神鞭強奪以前にも戦闘したが、その時は流石のライダーも手も足も出ずに撤退する羽目になった)それでもなお空間断絶と焔と光を纏った攻撃は強力かつ避けるのが極めて難しく、最後まで劣勢のままであった。
結局マスターがアサシンに暗殺されるまで他のサーヴァントは直接勝利できなかった、前回聖杯戦争最強のサーヴァント。

「ド田舎の老骨と侮って貰っては困るのう。無名だ有名だ、大国だ小国だ、そんな所とは無縁の所にこそ、武者の値打ちがあると言うものよ!」

・ライダー
第二回時のライダーと同一存在。説明は第二回時のライダーを参照。

・キャスター
真名、太公望。古代中国は周王朝建国の軍師であり、封神演技の主人公たる方士(近年有名な漫画では仙人とされていたが、原作では仙人にはなりきれなかった方士とされている。)
そのため、外見は老人。
素質が不足していたのもあるかもしれんが、封神演技の仙人どもは(特になぜか主人公側のほうの連中、中でもより上級とされる存在が)正直そろいもそろってろくでなしで、そもそも殺戮衝動を満たしたいから戦争に参加してる奴、ライバルを追い落とすために戦争の陰謀をめぐらせた奴、動物出身の妖怪仙人を下等な存在と見下している奴とこんなんばっかりの挙句、敵側の必殺の魔法陣計である十絶陣を突破する戦いにおいて太公望から軍権をはく奪して指揮を執った燃燈真人なんぞ、「まず、味方の中の弱い奴を突っ込ませる。当然討死するが、敵の手の打ちが分かる。そこを我ら上級仙人が出て確実に突破する」という地雷原突破に囚人部隊を突っ込ませる共産国家もかくやというえげつない戦術をとりくさった・・・ある意味Fate世界の魔術師たちの非人道ぶりと似ている・・・そんな感じなので、彼が仙人として大成せなんだのは実質、外道になりきれなかった故。
他の英霊の名前を一発で表示する人名録型宝具「封神傍」と、封神傍に名前の乗った相手に問答無用の必中ダメージを与える宝具「打神鞭」を持つ。
方士窟(工房に相当。仙人が作る仙窟よりはランク下)に籠って封神傍で分析したサーヴァント名からじっくり作戦を立てようとするが、ライダーが投石機と馬群の暴走による力技で方士窟を粉砕。
(ライダーは、「子孫のモノは俺のモノ」という理屈で、投石機や爆弾などの後代の武器も使える)
生き埋めを避ける為に慌てて出撃し打神鞭で交戦するものの、「振れば必中なら振らせねばよい」とライダーの機動性を生かして懐に飛び込んだライダーに腕を捕まえられて無力化。そのままハーンの頭突きで頭部を砕かれ殺された。
(この「振らせない」という打神鞭攻略法はのちに強奪した打神鞭を使うライダーに対し第二回聖杯戦争セイバーも行っている)

「殺しの帳尻を合わせる無慈悲な戦は正直嫌なんじゃが。やらねば願いがかなわぬ、というなら、致し方なし、かのう。不本意だが、そういう戦は慣れておる。」

・アサシン
真名、クレオパトラ7世。アサシンのサーヴァントとなるには微妙という気もするが、絨毯にくるまれた状態でカエサルの元に潜入した逸話と・・・彼女と関係した男たちが次々滅んだ逸話から、アサシンとして扱われた。
件の逸話の絨毯を気配遮断用の宝具とし、そして己が自害する時に使ったコブラを噛みつかせて相手に毒を与える武器宝具として使用する。
上記にあるように、無敵のランサー打倒のきっかけを作るサーヴァントで・・・
色気による魅了も武器にする。というか、それほど強くないのでそれが一番の武器というか。
実際、その能力でマスターを魅了して思うがままに操り、戦争を遊泳。
うまく立ち回り他のサーヴァントを利用して勝利しようとしますが・・・仕掛ける相手としてライダーチームを狙ったのが悪かった。
カエサルなど他の英雄に沿う事で生きてきた、魔性の女ではあるもののどこか男に依存する気のあるところをハーンに見抜かれ、共犯関係になるが主導権はライダーが握る形となってしまう。
結果、前回聖杯戦争の最終局面においてのサーヴァントとマスターが互いに裏切りあうぐでぐでの乱闘の最中、マスターからの脱却を望んでいたライダーに、ライダー1のマスターもろとも始末されてしまう。

「私が愛した者は、全て私の手から零れ落ちる・・・寂しい、寒い、私の国はあんなにも温かなのに・・・。貴方は、私の手かから離れないで居てくれますか?」

・バーサーカー
真名はアロンソ=キハーナ、いやさ、ドン=キホーテ=デ=ラマンチャ。
物語の中の登場人物の筈の存在。偽アサシン・佐々木小次郎のように、実在した無名の人物に物語伝説の存在の外側がかぶさっている存在ではないかと思われているが、どうもはっきりしない。
これは小説としてのドンキホーテ自体が、劇中後篇で発行されたドンキホーテ第一巻が出てきてたり、この話はあくまで作者の創作ではなくある人物から聞いた話という体裁をとっていたりするので、実は事実であり、アロンソ=キハーナが実在の人物であった可能性もこの世界においてはありうるようだ。
バーサーカーのサーヴァントでライダーとしなかったのは、「ロシナンテがいなくてもドン・キホーテはドン・キホーテかもしれないが、己が騎士であるという妄想が無ければドン・キホーテとは言い難い」というところから、騎より狂の属性のほうが強い。
(ドン・キホーテを元にした漫画「徘徊老人ドンキホーテ」と「スターウォーズドンキホーテ」には共にロシナンテは登場しない。けど、どっちも非常に名作)
外見は話通りの錆びた鎧に剣と槍、痩せ驢馬に跨った老人。不思議なほど透き通った印象の瞳をしている。
宝具はその精神であり・・・そして二つの宝具となっている。
一つは「ライオンの騎士」。情熱のままに正義の騎士道に邁進し、何度酷い目にあっても何とか生き延びて立ちあがる不屈を具現したもので、自分の耐久性と幸運の確率を操作して生き延びる、一種の固有魔術に相当する宝具。
そしてもうひとつは「憂い顔の騎士」。
・・・召喚されたドン・キホーテは、原作の物語の最後までを経験している為、ドンは正気と狂気を両方に持ち合わせている存在となっている。
つまり、物語の最後、ドンは正気を取り戻して死ぬ。そのあとでサーヴァントになった。だから、ドンは正気も知っている。
この世界にはもう騎士なんて存在しないし、騎士が忠誠を捧げるに足る貴婦人も存在しない事も知っている。
その悲しみが宝具となったもので・・・騎士の憂いが、神秘を分解し、崩壊させるのだ。
巨人は風車に、悪の騎士団はただのちんぴらめいた旅人に、そして、神秘の英霊はただの過去の人間に。宝具はただの古臭い武器に、魔法や魔術はただのぺてんに・・・
他のサーヴァントとマスターの力を無力化して打ち消す神秘殺しの波動である固有結界。
(ただ、立ちまわり次第で最強、というわけでもない。なんとなれば、この能力で相手の英霊補正を無力化しても、ドンそのものが普通の老人なもんだから・・・例えば騎士の英雄から騎士としての神聖さをはぎ取って唯の人にしても、唯の人となっても、単純な腕力だとドンより強いかもしれんのだ)
・・・だが、英霊となったドンは気付いている。物語の最後の最後、ドンの死後を知っている。
サンチョがドンを騎士として葬った事を。・・・サンチョは、心でドンを騎士だと認めた事。
なればこそ、英霊となったドンはもう一度騎士として立つのである。本物の騎士などもうどこにもいないし、自分も偽物の騎士であることを知りながらも。
この世が無慈悲で無機質で無情で正義などどこにもないことを知りながらも・・・
尚、否と。それでも否と言う為にドンは立ち上がるのだ。「残酷なこの世界で正義として戦おうとする事がバーサーカー(狂気の所業)なのだ」と言われようとも。
「たとえば、人の手の届かない所にしか正義は無いのだとする。ここからでは見えない。だが、届かないからと言ってそれを否定する事が出来ないだろう。届かないからといって・・・そこへ向かって歩いて良くない訳があるだろうか」
正義を否定するエミヤとも、それでも正義を求める士郎とも違うスタンスで、理想を見据えているタイプ。
(「理想を抱いて溺死しろ」に対して「溺れなくてもどの道、人の一生は有限。ならば、溺れるのがなんで悪かろう!」と言い返す感じか)
マスターの命令と己の騎士道故に完成直前の聖杯から最重要のパーツを奪って脱出、聖杯戦争を継続不能に追い込んだ。
のち、サーヴァントとしての能力を失い一人の人間となることで現界を続け、死んだマスターの娘を育て続けた。
(ために、最初娘であるセイバーのマスターは、彼を人間だと思い込んでいた)
本編開始時点では人間としての寿命で死亡しているが、過去回想や夢を通じて登場し、主人公たちを教え導く存在である。

「正義は、騎士道は、在るか無いか。そんなことは、そう大事な事じゃあないんじゃよ。大事なのは、在ると信じる事。信じて憧れ己を律し、それを顧みて恥ずかしくないよう振る舞う事じゃ。」


<そもそもの事の根本、この聖杯戦争の黒幕について>
(この件に関しては重要事項故、一応全体を秘密にしてあるので、見るならサーヴァントの真名を見るのと同じ要領で見てほしい。)

・結社「シモン・マグス」
キリストの奇跡を金で買おうとしたサマリアの魔術師シモンの名を持つ、裏の魔術組織。(裏というのは教会に追われているという意味で)
奇跡のタネを買い、分析して原理を解明して奇跡を魔術と化し己の術を強化しようとしたという逸話の魔術師を名前にするだけあって、その目的は恐ろしく先鋭的かつ、タイプムーン世界ではありえない程に冒涜的かつ禁断的。
魔術と科学の融合、奇跡の解明と制御、いずれはアラヤとガイアすら操り、遠未来の可能性を変革する・・・そんな目的を抱いている。
(世界観的に繋がっているとされるタイプムーン作品「鋼の大地」の滅びかけた地球や、Fate/Extraの西欧財閥が支配する世界にいたる可能性を操作しようとしているわけだ)
その為に英霊を操り英霊を人工的に発生させたり制御したりする行為を可能たらしめんとしたり、聖杯を作りそれを制御し願望をかなえたりしようとしている。
この土地の聖杯は彼らが「キリストの墓」の伝承の残る土地、戸来で発掘したものをそのために改造したものである。
その目的故教会からも協会からも敵視されているが、協会と教会の対立を利用したり、時として国家に絡んだり、死徒と取引すらして組織を存続させ、活動を続けている。
尚、衛宮キリツグに協力を持ちかけた事もあるが、断られた事があるとか何とか。


<前回聖杯戦争のマスターたち>

・バーサーカー(ドン・キホーテ)のマスター
マリー・天良(あまら)。日仏混血、前回の聖杯戦争の当時26歳。柔らかな栗色のウェーブヘア、穏やかな頬笑みが似合う顔立ちのたおやかで美しい女性。
慈愛深い性格であり、魔術師らしさと言うものが無く、むしろ保母が似合うような印象を受ける。
「産育(うみそだてる)」という起源を持つ魔術師であり、古式魔女術をベースにした魔法を使う。
キリスト教に弾圧され変形する前の原初的な「女性の、母の魔術」を研究し再現しそこに含まれる魔法の可能性を再検討するという研究を行っていた。
源流を手繰った結果ドルイド魔術に近づいているが、ケルト系・北欧系のそれよりも戦闘に纏わる要素が少なく、治療・防御の方が得意という特徴を持つ。
彼女いわく「最初の魔女術はお母さんの手。病気になったわが子の為に薬を煎じながら、熱よ下がれ、痛みよ飛んで行けと祈りを込めて額に触れた手こそが、魔女術の本質であり根本」との事。
性格の故に理想と世界の救済を求め、魔術教会の中に居てはそれを成し遂げる事は出来ないとして、シモン=マグスに接近した。
士郎やエミヤとはベクトルの違う意味での「善人」、そうそう壊れない、見た目の柔らかさよりは強い精神の持ち主。
(かの魔術師アラヤ=ソウレンと過去に出会い、人類の救済について討論したが、死にこだわるアラヤと生にこだわる彼女ではやはり方向性が違い、物別れに終わっている。ちなみに彼女の苗字「天良」は、アラヤが阿頼耶識なのに対し、アンマラ識をイメージしてネーミングされている。)
魔術の属性的に戦闘は不得手だが、アラヤから知った起源覚醒の方法を己に対して使用する事で能力を強化。
(起源覚醒を行っていながら、白純里緒のように「起源に飲まれる」事がまるでないという時点で、精神的に相当な超人であったりする)
植物の種子や鳥の卵を魔術媒介とし、生まれ育つ過程に干渉することで武器化した植物や幻獣モドキに進化させた動物を使役することで戦闘する。
また、「手かざしの治癒」を逆に用いる事により、相手に速攻性かつ致死性の病を与える呪詛を使う事も出来る。しかし本人としては命をそのようにゆがめるのは本意ではなく、あまり積極的に術を使おうとはしない。
(だが、この「逆手かざし」を確実に当てるべく、合気柔術を学んでおり、そちらの腕前もかなり達人レベル。魔術と拳法の組み合わせを学習したのが、後述登場するのちの弟子・サラ=マドラーヤとの縁だったりする)
本来シモン=マグス側が用意した触媒でアサシン(クレオパトラ7世)を召喚する予定だったが、触媒が持ち逃げされたのでバーサーカーを召喚した。
ドンに対しては彼の悲しみを理解し、「彼の為の貴婦人」として振る舞う懐の深さを見せる。彼の一番はドゥルネシア姫であっても、騎士のいない時代に生まれた騎士の魂を持つ男、貴婦人がいない時代に守るべき貴婦人を探した男を彼の生きた時代より更に無情になった現代に呼び覚ました事に対する対価として必要な事であると考えている。
尚、ドンは戦闘能力が低い関係上生傷が絶えないので、回復魔法によるサポートは必要不可欠であり、割とサーヴァントとの戦力的相性はいいのであるが、ドンは攻撃力にも問題があるので魔術師側が支援火力としても機能する必要があるという(なので彼女は自分を強化した、と)
この事からも分かるように彼女はサーヴァントを人間扱いしており、シモン・マグスの非情なやり口に対しては異論を呈していくようになる。
結果、最後の段階でシモン・マグスと決裂、彼らが完成させようとしていた聖杯の部品を奪い計画を中止させた。
ちなみにのちに第二回聖杯戦争セイバーのマスターになる娘は、魔術と聖杯の部品を使い、ドンとの間に作った娘(半人半サーヴァント!)である。

・キャスター(太公望)のマスター
ヤン=ティエンファ。中国系だが、南方の血の入り混じった混血のややこしい出自を持つ。
髪を真っ赤に染め、左右色違いの金と銀のカラーコンタクトを嵌めているので一見して人種不明。
29歳。妖艶な美女で、性格は過激で情熱的。仙術と練丹術・・・それに加え、死徒の能力を再現する独自魔術を幾つか編み出して習得している。
(目のカラーコンタクトに死徒の邪眼を再現する術式を、髪の染料に死徒の肉体変異を再現する術式を織り込んである。)
シモン・マグスの魔術師。聖杯にかける願いは全人類の強化。平凡な魔術師であったが弱さゆえに辛酸を舐め、組織に加わる事でその力を増した過去から、人は強くなる事で悲しみを克服し理想に至る事が出来ると考えるようになった故の願いである。
戦場では猛々しい魔術戦士だが、若いころ出来なかった事だから、という理由で、意外と少女趣味な一面を持っている。
太公望からすれば戦った相手である狐仙(ダッキ)を思い出させるという点で少々苦手な相手であり、サーヴァントとの相性は、当初微妙であった
だが、辛酸を舐めて力を求めた過去は、太公望とも重複する所があり、短い時間で主従の関係は深まっていく。
激しやすい性格ではあるが計算は出来るタイプであり、太公望の宝具と能力を生かす最善の戦略として持久戦を選択。
防備を固めた方士窟に籠り、能力を把握した他のサーヴァント同士の衝突を誘導することで自分に有利な展開を作るという作戦を立案。
非情になりきれない太公望と少々揉めるものの、その悶着が互いの対立と先入観を解きほぐし、コンビとして主従を結び付ける事になった。
だが、組織を危うくしかねない周囲を巻き込むライダーペアの予想外の猛烈な攻勢に作戦と陣を崩され、応戦を強制され。
折角絆を築きつつあり、もっと互いに影響と成長を齎しあう事が出来ればより強力なコンビに化ける事も出来たであろうが・・・
ハーンと乱造の情け容赦のない攻撃に蹂躙され敗北。ライダーペアに利用されそうになるが、太公望の死を知って自害し、協力を拒んだ。
そういう意味、組織の理想より、短い時間で育まれたサーヴァントとの友情に殉じた、とも言える。

・ライダー(第一回)のマスター
御逆乱造(みさか・らんぞう)。日本人。30歳。
程ほどの長さの柔らかい黒髪、鋭い眼光、年齢の割には若々しい滑らかな顔立ちの美丈夫。軍服めいたいでたち。
シモン・マグスの魔術師。数秘術をベースとした術を使うが、魔術をあくまで技術として扱うシモン・マグスの特徴故に、それに陰陽術・修験道を織り込んでいる。
正義を信じ、組織の理想を信じその為に戦う古風な軍人と言った印象の人格の持ち主だが、ある意味、ライダーに負けず劣らず我の強い男。
狂信者というよりは独善的な哲学者、というか、組織の教えを積極的に独自解釈して、自前の正義と信念を練り上げ、その元に行動している。
その思想は端的にいえば「正義の味方が、正義より人命を優先する理由があるか?」という言葉に集約される。
正義、文化、歴史、そういったものを重んじ、それが時とともに代わりうるものではあってもうまく扱えば「百年と持たず腐る下らない人間の生命」よりずっと持つ、故に、それらは人命より尊い。
かつて、幾つもの革命が、幾つもの理想が人命と人間の幸福を無視したという理由で潰されてきたが・・・
何よりも人命と幸福を重んじる現代の倫理は間違っている。正義と使命は人命と幸福より価値があると信じる、という思想を持つ。
「人間なんてものの生き死には運で決まる。交通事故で偶然死ぬ事もあれば、ごみが気になってひょいと身をかがめて生き延びる事もある。
生命なんてものは、その程度の軽いもの。正義とも悪とも、何の関係も無い。・・・衛宮切継。君はこの時代に正義の味方であろうとする、酔狂と言う素晴らしい文化的資質を持つ男と思っていた。
だが違ったようだな。より沢山の命を救うなんていう、運否天賦の賽ころの出目を正義と勘違いしているとは。失望したよ。」
かつて、このような文言で衛宮切継との対話を打ち切ったという過去を持つ。
彼の信じる正義とは「行動の規範」、このように生きる者が価値ある存在とする「基準」だ。それは誰しも納得しうるものもあり、そうでないものもあり、ややこしいのだが・・・
彼は聖杯にその「行動の規範」の統一を願うために、聖杯を戦う。
ライダーに対しては「俺はお前を利用する。裏切りたくば、己の利益を計算して裏切れ・・・こちらも、対策は取る」というスタンスで接していた。
最終的に、完成しかけた聖杯の奪い合いで、対策を突破されライダーに殺されてしまうが、ぐだぐだの乱闘の挙句結局誰の手にも聖杯は渡らなかった。

・ランサー(矢沢頼綱)のマスター
ムスタファ=アフマドヴィッチ。イスラム系とロシア系の混血。87歳。
老魔法使いというイメージに思わずぎょっとする程に忠実な、頭巾にローブ、節くれだった長い杖という出で立ちの老人。
肌の色は「白人にしては濃く、アラブ人にしては薄く、黄色人種とは方向性が違う」黄褐色。鉄板を張り合わせたようなごつごつした面に鑿で削ったような皺を持つ、鼻と顔が長く、ぎょろりとした目がでかい・・・目だけでかくて暗緑色の瞳は極端に小さい。髪色は灰色。
シモン・マグスの魔術師。現存メンバーの中では古参の部類。見た目に反して意外とバランスのとれた人格の持ち主で、魔術師ルックで盛り場やコンビニに繰り出す、むしろファンキーな爺。
アラブ的な妖霊(ジン)使役と、スラブ由来の東方系ルーン魔術をミックスし、そこに軍略と現代技術の応用を加えた戦法を取る。
一件穏健派のようにも見えるがそんな事は無く、「理想を達成するのには回り道やモグラの道も必要不可欠」という思考法故の普段の行動。
普通に、穏当に他者と接しながら、それとなく相手の心を変化させ、自分の陣営に引きずり込むのを得意として、組織の拡大に貢献してきた。
その才能は、聖杯戦争にはあまり関係しないのだが・・・ジンや精霊の部隊を指揮能力を持つサーヴァントに指揮させたり、録音装置と魔力蓄積機関を組み合わせた魔術時限爆弾を仕掛けたりなど、巧みな戦ぶりを見せ、老将であるサーヴァントと性格的相性も良く、急激に第一回聖杯戦争の台風の目となっていく。
彼の望む理想は「統一された世界」である。同じ見解を皆が持ち、不幸も、幸せもしっかりと定められて分かる世界。
そう言えば聞こえがいいかもしれないが、実質は「己の意志の元での世界の支配」に近い・・・さりげなく腹黒いタイプ。
クレオパトラに暗殺され、想定外の脱落を遂げる。

・アサシン(クレオパトラ7世)のマスター
ジャック=アンダーソン。イギリス系アメリカ人。19歳で、年と人種の割りには小柄で、やや目つきの悪い、不良風だけど何となくそこまで悪くも成りきれてないような若造。
シモン・マグスの魔術師見習い。未熟者扱いされている事に憤り、また、マリーが参加する事で組織以外の者に聖杯が渡る可能性を危惧し、野心もあって触媒を奪って独断で召喚を強行した。
これに対して他の参加者である三魔術師は未熟者が差し出がましい事をと怒ってはいるものの、聖杯の流出を(マリーの協力が偽りである事を疑って)危惧した、という所もあり、むしろ性格は真面目で組織の理念に忠実。
ただ、上昇志向が過剰に強く、また、己の才能を過大評価する所があった。
それに対して首領は競わせる人数を多くしようと思い、隠然と彼を支援し独断召喚を行わせるよう裏から仕組んだという事実がある。
しかし、出馬を仕組んでおきながら首領は彼が勝つとはさらさら思っておらず、息のかかったものが一人でも多ければ儲けもの、とドライに割り切っている。
そして、やはり実力不足故に召還したクレオパトラ7世にあっさり魅了されてしまい、サーヴァントに逆に操られるように。
結局、クレオパトラ7世がライダーに従属する形で同盟を組んだおかげでその余禄である程度長らえるものの、最終局面で始末されてしまった。
シモン・マグスの術者固有の特徴として様々な魔術の要素を混合して学んでおり、初級〜中級の魔術しか納めていないものの、初級の中では出来ない事が無いくらいバリエーションは広い。
上級に到達できる程の才能は無いが中級までを高速で収める程度の才能を持ち、それゆえに周囲からは低く見られ、本人は己の才能を過大評価する原因となっていた。
とはいえクレオパトラとの関係はそう単純ではなく、彼自身の未熟さに対する反抗とコンプレックス、使命感と劣等感とサーヴァントへの執着でそれらの感情が流されそうになる事への苦悩、己のサーヴァントへの執着と疑惑、そしてサーヴァント側からの利用と罪悪感、とかなり複雑。
サーヴァントに利用されているかもと思いながらもサーヴァントへの愛着を捨てらないジャックと、利用しているんだけどかつて利用はしたが愛した男達が破滅したことと重ね可哀想に思う所があるクレオパトラ。
その混乱故に、悲劇的結末を迎える事になる。

・アーチャ―(ダビデ)のマスター
ゲオルグ・シュタインベルク。ドイツ系。本人は「ゲオルグ・フォン・シュタインベルク」と名乗り貴族を自称しているが、それは単なるはったりの嘘。
オールバックの白銀の総髪に青白く頬のこけた幽霊じみた顔、その割に両目にはぎらぎらとした精気が感じられる年齢不詳の男。
聖杯戦争の情報を効きつけて参加した、はぐれ者の魔術師。術士としては正統派の西洋黒魔術を得意とするが、その中でも隠れ身や生存に特に長ける。
いわゆる「業界ごろ」であり、真面目に戦争を勝ち抜いて聖杯を手に入れる、と言うよりは、聖杯戦争の中をうまく立ち回って利益を得ようともくろんでいた。
あっちこっちに顔を出してはくちばしを突っ込み、おいしい所だけかっさらって去っていくタイプであり、年齢もあって魔術師としては非常に世間慣れしていて老獪。
あちこちから得た成果でなんだかんだ言って研究は続けているのだが、その研究はあくまで自分の利、魔術師としての己の強化と寿命の増進に向けられている。
(年齢不詳なのも道理、中年ごろに己の体の魔術的延命を始め、今では90近い老人である)
己の陣営を戦力として、この戦いの中枢であるシモン・マグスの3魔術師に「自分と組めば他の2人を倒して聖杯をとれますぜ」と売り込み、かつ、シモン・マグス側に情報を知った事で口封じされる可能性を考えて、裏では教会代行者であるシスター・アルマチュアとも取引をしていた食えない男。
しかし、鼻っ柱が強くやる気満々のダビデに思いっきり振りまわされしまい・・・
結局持ち込んだ装備を全部失い、大損をした挙句逃げ出す羽目に陥ってしまった。
・・・命があっただけめっけもんというか、流石に死ななかっただけ大した老獪ぶりである。
この一件の情報をあちこちに売って何とか赤字を補てんしようとしたため、のちにこの町の聖杯が再起動したとき魔術師が再び集う事になり、
そして彼の情報が不正確なもんだった為にシモン・マグスが活動を続けていた事が気付かれなかった、ある意味第二回戦争の原因みたいなやつでもある。

・セイバー(オジェ・ル・ダノワ)のマスター
シスター・アルマチュア(コードネーム。本名は捨てた。)
教会の代行者で、シモン=マグスの行いが魔術師の行動規範に反する上に聖杯を利己的目的で製作・使用する行いが信仰を冒涜しているとして断罪にやってきた。
(本来なら協会側からも手勢が刺し向けられてしかるべきなのだが、それはマリーが誤魔化してしまった)
金髪と褐色の肌に蒼い眼差し、屈強な長身、だけど女性的な美しさは失っていない、そんなタイプの魅力的な容姿の持ち主。
深紅のシスター服の上から黒金の鎧を纏うという重装備シスター。
鎧には聖人の肉体構造を疑似的に再現する術式が刻まれており、苦難に耐えて絶命した聖者の耐久力と、竜退治をした聖者の膂力を着用者に与える魔術パワードスーツ。
教会に育てられた孤児で、自身もまた代行者として活動する傍ら孤児院の運営を手伝っていたのだが、魔術組織の暗闘に巻き込まれ孤児たちは全滅。
それ以来、あらゆる魔術を憎しみ殺戮する復讐者と成り果てた。
己が教えに反する程に憎悪に振り回され、自分自身が自分の憎しむ魔術を破壊活動に使う悪に近づきつつあることを認識しながら、自分が殺しているのは悪しき魔術師だから、自分はまだ辛うじて正義の筈だと、何とか自分を納得させることで精神のバランスを保っている。
オジェ・ル・ダノワが彼女の召喚に答えたのは、彼自身シャルルマーニュに息子を殺された恨みを抱えていたが故という事だろう。
英霊という規格外の力を得た事で、自らの憎悪が周囲の罪無き人間を巻き込んでしまいかねないという状況に陥り、悩む羽目になる。
乱造とムスタファに散々精神のペースをかき乱され、一時期はマリーに癒されるものの、結局最後はサーヴァントもろともライダーと乱造に殺されてしまった。
この一件が、マリーの組織離反の引き金になる。


そして、この前提のもと、現在の聖杯戦争に集い、物語を紡ぐのが、以下のマスター達である。


<今回の聖杯戦争のマスター達>

・セイバーのマスター
ドゥルネシア=天良(あまら)主人公。前回のマリー天良の娘で、能力を捨てて寿命を得ることで単独現界する・・・つまりは人化したバーサーカー・ドン=キホーテに育てられた。
父はそのドンであるが故に、血統的にはフランス四分の一、日本四分の一、サーヴァント(スペイン系)半分、というややこしい血統で、外見にもそれは出ている。
赤褐色の髪と色素が薄いんで金色がかって見える褐色の瞳、やや小柄だが出るところが出てる体つき。髪型はふわっとしたショートヘア。
体内にマリーの命でドンが奪取したシモン=マグスの聖杯の一部を埋め込まれており、それゆえに強力な魔術の才能を持つ。
胎内の聖杯から魔力を引き出して魔術を行使する為、大源(マナ)を一切使わず小源(オド)だけで魔術を使えるという妙な特徴を持つが、その為に魔術を使用しても周囲に殆ど魔術的な痕跡を残さず、他の魔術師に存在を極めて探知されにくいという特徴を持つ。
ちなみに、ドンは出来れば聖杯戦争に関わってほしくないと思って余り情報を与えずに育てたが、基本的な魔の使い方はある程度指導していた。
というか、当人が才能を持っていたために自然自然と使えるようになっていったため、それを暴発させないよう指導する必要があったというべきか。
その為魔術の使い方を知ってはいても魔術用語に関する知識はあまりなかった為、当初自分が使用する魔術を魔法と言ったりもしていた。
ただ、それもあながち間違いではないかもしれない。彼女の使う魔術はマリーの古式魔女術よりも更に原始的な、願いを直接魔術的結果に反映させる「原初の祈り」と、理論を通さずに感情を媒介させる人間が言葉を得る前から得ていた音楽、「原初の歌」。
種別でいえば極限まで魔法に近い魔術であると言える。
強いて言えば空の境界に出てきたゴドーワードに近い、ある意味固有の特殊能力みたいなもんと魔術的能力が混然一体となったもの。ゴドーワードは「最初の言葉」だけど、原初の祈りは言葉が生まれる前からある、生物に自然とある生きたいという願いが感情によって祈念、祈りとなったもの。
原初の歌は、大脳生理学的に人間は言葉を発明する前から、動物の求愛の鳴き声に近い歌を歌う能力を持っていたかもしれないという仮説があるが、まさにそれである、言葉が生まれる前の歌。思いを直接伝えて反映・共鳴・同調させる、原初の魔法としての歌。
最も、理論的に「最も魔法に近い魔術」であるだけで、「魔術を超越したでたらめな強さ」を持っていると言うわけでは全然ないのだが。
「原初の祈り」は、あくまで彼女が真摯に願い祈った良き事がある程度実現する程度で、思いの強さと術式の無駄の限界で、万能ではあるが全能ではない器用貧乏というところだし
(傷を癒したり、攻撃を防いだり、物を取り寄せたり、まあ、普通の人がイメージする魔法的なもの・・・ちちんぷいぷい、そんな感じか。)
「原初の歌」は会話なしで思いを伝えたり、仲間達の心を高ぶらせることで力を思い切り発揮させたりする、コミニケーションと支援に使うものなので、
そこまで強力というわけではなかったりする。
自分が魔法の力を持って生まれたことに対して真摯に考えをめぐらせており、(ドンからは、母が魔法使いだから魔法を使えるようになったんだ、と教えられた)
それゆえに高い倫理観を持つようになった。「魔法の力は人を幸せにするもの」と考えており、人助けのためにほいほい魔法を使う。
魔術は秘すべし、という魔術協会の思考法を知ってからも、「人間を幸せにするために使えない技術なんて持っている意味なんて無いじゃない」と、明快にそれを否定している。
魔法は幸せのために、というのは、魔法を肯定するため=魔法を使える自分を肯定する(ばけものなのではなくよきものなのだと)ため、という向きが無いでもない、ということを自覚してはいるが、自覚して理解して割り切っている。
人間の社会というものは、そうやって相互に肯定しあい支えあうことで生きていくものなんだ、と。
Fate系作品では珍しい、割と最初から精神的に完成しているタイプの主人公。性格の方向性が「清く正しく優しく強い正統派魔法少女」なのも、ある意味Fateというかタイプムーン的に異常だが。
サーヴァントであるセイバーのほうがある意味ヒロイン枠なので、それを受け止めうる包容力のある娘さん、というのがキャラクターのコンセプト。
セイバーに対しては複雑なコンプレックスとトラウマを抱える彼に対して穏やかに接し、その心を解きほぐしていく。
当初は偶然から町にやってきて聖杯戦争に巻き込まれたと思われていたが、実際は滅んではいなかったシモン・マグスのひそやかな誘導によるものであったりする。

・キャスターのマスター
木華龍造(きはな=りゅうぞう)戦闘の手段として魔術を使う「魔術屋」の傭兵を生業としている。彼曰く、「魔術は科学でも再現できるから価値が低い?馬鹿野郎。火をおこそうと思ったら、科学でも魔術でも、確かに準備は要るだろうがよ。
普通の軍人が「銀色で呪文が書いてある皮の手袋」を、武器として警戒すると思うか?それで呪文をくみ上げて人間を殺せる奴がいるってのに。
魔術師共相手にも、方向性は逆だが同じこと。魔術師同士の戦いでいきなり科学技術や軍用の武器が飛び出してくるってな怖いもんだぜ。
人間の固定観念を潜り抜ける事が出来るってだけで、魔法と武器を併用できる魔術傭兵にゃあ、軍人にも魔術師にも負けない強みってもんがあるのさ。」とのこと。
戦闘スタイル的には、衛宮切継やシモン=マグスの一部の魔術師に近いといえる。
黒コートにちょっと長めの黒髪をなびかせる、傭兵なのに意外と色白で美麗な顔立ちの青年。ただ、目つきは刃物のように鋭い。だがこの容姿について当人曰く、
「相手が侮ってるのを利用できるのは悪くないが、相手を脅すときに威圧が効きにくいのが難点だな」と、まるっきり実用から考えておらず美醜には無頓着。髪も、あまり切らないから長いだけらしい。
目つきは悪いし口も悪いし、手が早い上に皮肉屋で性格きつく見えるのだが、その一方で存外面倒見が良かったり貸し借りや義理人情にこだわってしまうタイプ。
傭兵として生き残るためにクールに振る舞い、他人とはビジネスライクに付き合いいざとなればすっぱり相手を切り捨てられる、という態度を取ってはいるものの、
それは裏を返せば「ビジネスライクに付き合っておかないと、情を通わせてしまった相手に対してはクールに振舞ったり切り捨てたりすることが出来ない」という、
本質的には人情味があるタイプであることを無意識に自覚して警戒しているが故。その為、結局利ではなく情で動いてしまって悪態つきながらも奮闘したりしてしまうことがしばしば。
口では「正義なんて」と、幼少のころ魔術師同士の戦いの無残さに巻き込まれた結果からひねくれた振りをしているが、巻き込まれた戦いとは先代達の聖杯戦争であり、幼いころ見た戦うドン=キホーテの姿に反発と憧れの入り混じった強い感情を持っており、
封印魔術や対抗魔術等様々な術式を複雑に組み合わせてドンの宝具をかなり限定的に再現した、「蹴りつけた相手の受けている魔術的効果・英霊能力を接触している間打ち消す魔法の蹴り」という、固有魔法「鏡月乃騎士(ミゲル=ド=セルバンテス)を編み出している。
(発動させると、足に鐙と融合した銀色の脚甲がつき、それで蹴る事で効果を発揮する。ドンの幻想を否定するために騎士を装って彼と対決した男のエピソードを元にしている)
それ以外の戦闘方法としては、サブマシンガンと魔術武器化したナイフを主な武器として、銃で牽制・魔術の詠唱阻止を行いながら自分側の魔術を構築するというスタイルをとる。
シモン=マグスの偽の依頼で戦争に巻き込まれ、キャスターを召還することに。キャスターに対しては時にからかったり皮肉を言ったりしながらも、
彼女の宝具の効果でパワーアップし、自分が前線に立つことで何だかんだ言ってキャスターをかばおうとしているあたり、やっぱり偽悪者である。

・ライダーのマスター
無し。ライダーは、今回はマスターを持たず単独参戦。周囲の人間を食ったり、前の戦争でかき集めた宝具を魔力に変換して現界の足しにしている。
宝具に関しては、太公望の封神傍と打神鞭、オジェ=ル=ダノワのクルタナとクロンヴォー城を所持。
地脈からエネルギーを組み上げて英霊に活力を与えるクロンヴォー城の効果で魔力の消耗を抑えている。
クルタナや打神鞭は使用のエネルギーをそれ自体から賄っており・・・つまり、一発真名解放でぶっ放したら、宝具は自分自身を魔力化させて消滅するという使い捨て。
(打神鞭は魔力消費が少ないので何発か打てるけど)封神傍は敵の名前が大体分かったら後は不要なのでその時点で魔力化して現界の足しにする。

・ランサーのマスター
李木鴻一郎(すももぎ・こういちろう)。45歳。のっぺり、どっしりした仏像やモアイ、あるいは中国の古い絵等に描かれる士大夫といった印象の顔立ちで、糸のように細い眼差し、雄大な体格、外面は一見善人にも見えかねない。
舞台となる土地のセカンドマスターたる魔術師。聖杯戦争のあった土地である、すなわち魔術的な要地でもあるこの場所を研究するという名目でこの土地に派遣された。
だが、実質研究の対象としようとしていたのは、過去に起った聖杯戦争そのもの。シモン・マグスの魔術的研究成果と、そして可能であれば聖杯を手に入れる為に。
その為、前アーチャ―・マスター、ゲオルグ・シュタインベルクから様々な情報を買い集めていた。
「前回の戦争を引き起こし、そして壊滅した」魔術組織、シモン・マグスの情報に関しては、事更に念入りに収集していた。
その、「目的の為ならば手段を選ばず、まして魔術の流派などにも縛られない」そのあり様。それを手本として、様々な魔術をごった煮にして会得するにいたった。
しかし、シモン・マグスの掲げる理想にはまるで理解せず、その全てはあくまで己の栄達の為。そういう意味、ゲオルグと同類の俗物であり、
実質互いに狐と狸のばかし合いのようなやりとりをしばしば行いながらその仲は悪くなく、むしろ悪友というような関係であったりする。
シモン・マグスが聖杯を生み出した製法を研究していたが、「自然再生した」聖杯が再起動した事を受けて、それを己が手にしようと試みる。
実際このような事が起る可能性をも考え、サーヴァント召喚の準備や、聖杯戦争の際に己の勢力となる弟子の育成を行っていた。
己のサーヴァントである関羽雲長に対しては、武侠者らしい扱いにくさを感じてはいるものの、特有の思考形態のつぼを抑えれば望む行動をさせる事は不可能ではない、と判断。
何より精度の高い召喚を行うために多額の散財をして素材を集めた事とそれに見合う高い性能を有している事もあって、高額・高性能な兵器に対するそれに限りなく近いものではあるがある程度信頼はしている。

・バーサーカーのマスター
赤井金光(あかい・かなみつ)。21歳。眼鏡をかけた大人しめな髪型の青年。平凡ではあるが、能吏を思わせる整った理性を感じさせる風貌ではある。
才能の平凡な魔術師であり、精神的にも普通すぎる。魔術協会の中では、それゆえに居場所が無かった所を、のちにランサーのマスターとなる李木に拾われた。
それを経緯に李木の弟子となった。それゆえ恩義を感じていたが、李木としては彼が凡夫であることを承知の上で、いずれ利用する為に弟子として計算づくで恩義をかけていた。
そしてその李木の目論見通り、恩義を感じてしまったが為に騙され、マスターに手駒というか捨て駒として利用されて参戦。
李木に、「壊滅したシモン・マグスの技術である魔術師の才能を追加で一段階上に覚醒させる方法」として、複数系統の魔術を初歩から納めていく修行法を行わされていた。
だがこれは赤井がわざと完全な一人前として大成しないように成長させようとしつつ、かつ、便利な手駒としては使えるよう術を教えようとした事を糊塗する嘘であったというのが真相。
(師である李木は複数の魔術系統を修めながらも広く浅くとなりすぎないように魔術を取得している)
また「我こそ聖杯に相応しい」という自負の強い師である李木が、ライバルを減らす為に故意に彼の成長を留めて聖杯を争う人数を減らそうとした節もある。
(彼を手駒として利用する予定なのに彼が自分より強くては困るということ)
最も、召喚したバーサーカーが壊滅的なまでの暴走サーヴァントで、召喚→直後暴走+宝具発動で即死させられてしまった為、本編には一切登場しないも同然だったりするのであるが。
李木は赤井がバーサーカーの召喚で破滅することを承知の上で彼に触媒を渡しており、爆発のようにその影響力を広げるタイプのバーサーカーを使って、他のサーヴァントとマスターを焙りだし、消耗させ、あわよくば抹殺を、その為なら必要な犠牲、と割り切っている。

・アーチャ―のマスター
如月顕人(きさらぎ・あきと)。町の病院の病室と家を行ったりきたりで過ごしている病弱な少年で、年齢的にはドゥルネシアより少し上、龍造より数歳下くらい。
(前の聖杯戦争時に子供だったのが龍造、前の戦争が終わった一年後くらいに生まれたのがドゥルネシア、前の戦争の時に母親が身ごもっていたのが顕人)
色素の薄い髪(髪型はショートボブ)と肌と目をしており、少年としてはいかにも華奢。温和そうな可愛らしさのドゥルネシアとも、鋭くきりっとした顔立ちの龍造とも違う、儚げな美しさを持つ容姿の持ち主。
前の聖杯戦争のときにまき散らかされた魔術の余波を母親の胎内に居るときに受けた結果、突然変異的に魔術回路を会得すると同時にその反動で酷く虚弱な体になってしまった。(時々咳き込んだりしている。)
前の戦争で父は死に、母もまたしばらく前に病で死に。両親の遺産で病院に通いながら勉学をしているという不幸で苦労な少年。
見た目と病弱さから柔弱な性格と思われがちだが、そう思っていじめてくるようなクラスメートから両親の遺産を狙う親族までを相手取って争ったり、
遺産を管理して自分で生計を立て、医者と治療の方針について話し合い、天涯孤独を生き抜いてきた、精神的には酷く世慣れしつつもタフな人格の持ち主。
ただ、根の人格に清純さがあるため、そういう暗くどろどろしたやりとりをして生きてきた自分について生汚いと少し自己嫌悪してたりもする。
表向きには大規模な事故の頻発という形で処理されている両親の死について、苦労に鍛えられたゆえの聡明さゆえか、その死に不信感を持って調査を開始。
前回の戦争の時に魔術師達が残していった資料から、聖杯戦争、そして魔術・魔術師の存在について突き止め、独学で初歩の魔術を会得するに至った。
その真実を知る過程において、やり場のない怒りと嘆きと悲しみ、そして、魔術で受けた己の体の傷たる病弱さが、現代医学では解決しにくく、またこのままでは長生きできないという恐怖をも知り悩む。
何とかかじった初歩の魔術で己を治療しようとしている矢先に第二次聖杯戦争が勃発。未だサーヴァントの召喚準備中であった赤井と、サーヴァントの召喚を行っていた李木に運悪く出くわし。
魔術の力をある程度持っていることをかぎつけられマスター候補として殺されそうになるも、生き延びるためにサーヴァントを召喚。戦うことは怖いながらも、乗りかかった船、せめて聖杯で己の体を癒す事を目的に、戦争に加わることに。
しかし突然変異の結果である彼の魔術回路は細く脆く、サーヴァントを維持するので精一杯。その状態で他の魔術を使おうなら血反吐を吐く程度のレベルであり。恐ろしく苦戦する羽目になる。
第三の主人公、というべき立ち居地のキャラクターで、魔術的才能の高いドゥルネシア、戦慣れしてる龍造とは違う「実力不足で苦労するマスター」的描写の対象というイメージか。
苦労しながら最初は主人公達と別に戦っていて、後に合流して、という話の流れになると思われる。

・アサシンのマスター
ファーザー=ニコロ。教会の代行者で、丸眼鏡に丁寧に整えられたオールバックの髪、細面の怜悧な要望と、いかにも知恵者風の印象な姿をした神父。
前の戦争の参加者であったシスター・アルマチュアが回収・送付しきれなかった情報の収集を任務として派遣されてきた、のだが・・・
その過程でこの土地の聖杯戦争について色々と知った結果、野心を抱き。そして魔術師が集まりつつある事実ならびに地脈の動きから聖杯戦争が再び起こる事実を察し。
上層部に様々な手練手管でもってしかけ、「再び起こる聖杯戦争の混乱を収拾するために聖杯戦争に参加する」事を認めさせた。
だが、その目的はあくまで口実である・・・それでも、実際の行動として、当初あくまで事態を収拾しようとする善意の介入者として振る舞い、主人公達に協力を申し出てくるのだが。
それは彼の目的というか欲望が、李木鴻一郎のような魔術的栄達のような俗的なものではないことであるが故だ。
・・・彼は、美しいものが好きだ。美しいものは神の祝福を受けているものであり、神の世界に近しいものであると思うから。きっと、黙視の後に現れる神の世界というのはとてもとても美しいものなのだろう。
当たり前だ、神は完全者であり、完全者に最も近き世界も、また完全にもっとも近い美しさを持っていてしかるべきなのだから。
美しさとはただ外見が美であるということではない。人の心が美であり、人の絆が美であり、人々の抱く倫理が美であること。それが理想だ。若き頃かれは、そんな人々の心の美の為に戦った。
・・・だが、長じて彼はこう思うようになった。だがそれでも、結局この世には醜が多い。醜い悪人は忽ち美しくも儚き善人を蹂躙し、醜い打算や欲望は美しかった心と絆を年月に従い汚していく。
それを知り、彼はその戦いの目的を変えた。外面的には教会の戦士であることも信仰者であることも保ちながら。
彼の望みは、美しきものをつくり、美しきものを保つ事。そして、醜いものを排除すること。・・・人を襲い、窮地を仕立てて追い込み、ぎりぎり責め苛み、悩みを押し付ける。
その過程で醜く情けなく振舞うのであれば、それは美を汚染するものだ。殺さねばならない。そんな苦境の中で、それでも尚気高さを保ち、他者をいたわり、愛と善の心をもってよき絆を求める者が居れば・・・
窮地に追い込むことで、またひとり美しい善人を生み出せたのであればそれは何よりの喜び。地獄に落ちるべき醜き者を犠牲に善人を目覚めさせたのであれば、神もそれを嘉したまうだろう。
ならばあと必要なのは何か。決まっている。目覚めた美しき善なる人が、永遠にそのままで居られる手段だ。死徒化はだめだ。あれは際限なく長く生きながら、際限なく長く劣化していく事でしかない。
その手法に悩んでいた彼はこの町で気づく。聖杯なら・・・それが出来るだろう、と。美と善のために人を苦しめ殺す歪んだ神の使徒は、かくして聖杯を目指す。


・アベンジャーのマスター
サラ=マドラーヤ。インド系の妙齢の女性。徳高い尼僧を思わせる穏やかな物腰と柔和な風貌。服装は、一般的なインド人女性といった風のサリー姿。
マリー天良の弟子であり、前回の戦争の真相を彼女から聞いていた数少ない人物。
マリーは本編開始時に死亡していたが、彼女から「もしあの土地で聖杯戦争が再開したら、真相を伝えてほしい」と頼まれており、それゆえに来日。
すでに七つのサーヴァントの枠が埋まっていたため、イレギュラークラスであるアヴェンジャーを召還して、何とか戦況を阻止し、状況を良い方向に向けるべく戦争に介入を行った。
アヴェンジャーをパートナーとするだけあり本質的には平和主義者だが、柔弱ということはなく精神的にはかなりタフで、平和を望むのは傷つけたくないものがあるからであり、武力を行使しないことでそれを達成できるのであればそうするが、武力を行使することでしか傷つけたくないものを守れないのであれば武力も用いる、というタイプ。
性格的には普段はおっとりしたお姉さん、という感じ。ただ、一見清楚なんだけど意外と色好みの所があり、主人公達をカップルにしようとしたり関係を進展させようとしたりしてくるところも。
魔術師としてはインド古来のものを用い、チャクラを使っての生体強化、性魔術(色好みの部分があるのはこのせい)、食事魔術(食うと魔力が増強するカレーとか作る。月姫のシエルさんなんかが食いついてきそうだ)等を得意とする。
特にチャクラによる身体能力強化は、肉体戦闘においては歴代マスターの中でも最大レベルで、ちょっとしたサーヴァント並みの格闘能力を発揮。カラリパヤット(インド拳法)の使い手でもあるため、戦闘能力の無いガンジーに代わって直接戦闘を行う。
(身体能力的には魔術強化を受けた葛木先生やバセット=フラガ=マクレミッツをも遥かに上回る。ただ、バセットみたいに宝具を持ってはいないため、身体能力では圧勝でもフラガラックを使われるとバセットさんが勝つ、というくらいの戦力バランスか)

・偽サーヴァント達のマスター
(この件に関しては重要事項故、一応全体を秘密にしてあるので、見るならサーヴァントの真名を見るのと同じ要領で見てほしい。)

「真なる」シモン=マグス。「シモン=マグス」の首領にして・・・キリストの奇跡を金で買おうとした魔術師、サマリア人の魔術師シモン=マグス本人。
定期的な再改造・調整を必要とするものの、死徒なみかそれ以上の不老不死性を獲得して、長き時を生き抜いてきた魔人。
その不老不死性などそんじょそこらの魔術師なら一生渇望して果たせぬ程の成果を得ているながら、尚理想を追い求める貪欲な怪物。
魔術と科学を融合させ、全人類にあまねく魔術科学を与え、神話の領域や奇抜なSFの世界にまで人類文明を引き上げることを望んでいる。
特に、科学技術的エネルギー(電力等)と魔術的エネルギー(マナとオド)の相互変換を強く深く研究していた。
つまり、発電機で起こした電気を魔力に変換して魔法を使ったり、逆にオドを使って電気を起こしたり。
これによって、神秘として徐々に滅びつつある魔術を生き延びさせ、星の資源を食いつぶして滅びかねない科学技術を人と共にあれば永遠に潰えぬものとなし、人類種が滅亡する破局を回避し、人に永遠の理想郷をもたらすことをその最終目的としている。
(TYPE−MOON作品で言うところの「鋼の大地」にいたる未来の阻止を狙っている)
根源にいたることをまったく望まぬどころか、いずれ「人の手で制御できる人造の根源」を作る、英霊の座を征服しガイアの守護者もアラヤの守護者も人類の隷下に納めることを目指す、危険過ぎる魔術師。
そしてその野望は誇大妄想などではなく、事実として戸来の聖杯に残されていたイエス=キリストの血のDNAを分析することで願望機(願望器ではなく、機械システムとしての聖杯)を作成。
完全起動こそマリー天良に阻まれたものの、それを媒介に人造サーヴァント三体(そう、偽サーヴァントと呼ばれる人外軍人三人は、彼らが不完全起動モードの聖杯を使って無理やり作りだしたものなのだ)を作成。
その力でもって聖杯を完全起動せしめ、大望を成就せしめようとしている。
その肉体は度重なる改造ですでに人間の原形を止めておらず、本部基地の地下に設置された巨大培養層に浮かぶ、いびつに増設・肥大した脳と、過去に死亡した部下の魔術師達から取り出した魔術回路を接続した・・・巨大な脳みそから神経系のような魔術回路が何人分もだらだらと垂れ下がった、奇形のクラゲに似たおぞましい姿に成り果てている。
その為肉体的な運動能力は喪失しているが、代わりに魔力は神代の魔術師やキャスタークラスのサーヴァントにも劣らず、科学兵器と魔術の併用で三騎士級サーヴァントの魔術防御すらぶち抜く怪物的レベル。
そして、三体の偽サーヴァントだけでなく、もうひとつ、切り札と呼べるものを持っているのだが・・・。
人格的には純粋な理想主義者なのだが、長く生き過ぎたせいで感情的な要素が希薄になりすぎており、殆ど目的にめがけて淡々と邁進するコンピューターのような感じになってしまっている。
それゆえに人命・人道をまったく顧みず、結果多くの犠牲者を出し続けるが故に主人公達と敵対することになる。

ホムンクルス・トオナ。シュトゥーカの後部座席に相棒を必要とする偽ライダーのために首領シモンが作り出したホムンクルス。
外見年齢は12歳ほどの少女で、金髪と黒髪が入り混じったトラ猫のような髪色をしていて、それがちょっとばさばさっとしたショートヘアになってる。瞳の色は黄色。
普通のホムンクルスが人形っぽいのに対して、人形というよりは「人型の剣」といった風の無機質さがある風貌の美少女。
名前の由来はシモン・マグスの作った107体目のホムンクルスで、当初ナンバー107と呼ばれていたのを、それでは味気ないと偽ライダーが「当地である日本風の数字の読み方をもじって」名づけたもの。
シモン・マグスからの魔力を中継し偽ライダーに与える端末としての能力も持つが、体内に周囲のマナを徐々に吸収して蓄積する能力があり、それを供給することで一定時間ならシモン=マグスからの魔力送信が無くてもサーヴァントを維持できる。
その能力を利用してシモン・マグスの魔力負担を軽減するのが目的であり、それゆえマナとオドを操る能力にかなりの素質を有し、擬似的な令呪を使用する事も出来る。
マナ操作能力に反して、それほど身体能力は高くないのだが、「この戦争1回の使い捨て」と割り切って作られているため、破損覚悟でリミッターをーカットする機能があり、それで一時的に身体能力を大幅ブーストすることが出来る。
性格的には当初は自我が極めて希薄であったのだが、騎士道的なほど彼女に紳士的に接しながらも、同時に後部席を任せるものとして教育するルーデルと接していくことで、その要素は急速に変化。
どんどん人間らしくなっていき、偽ライダーを慕うようになっていく。

 

そして、これらのサーヴァントとマスターが相争い、物語が進み。
更なる最終局面へと向かっていく・・・!
その最終局面で登場するのが以下の二体の隠しサーヴァントである。全体を秘密にしてあるので、見るならサーヴァントの真名を見るのと同じ要領で見てほしい。

<以下、最終局面で登場する隠しサーヴァント更に二体>

・偽キャスター/ロバート・オッペンハイマー
他の偽サーヴァント3体と同じく現代の人物・・・原子爆弾の開発者の中で主導的地位を占めていた「原爆=核兵器の父」
その恐るべき技術と知恵は魔術より凶悪であるという理由で、キャスターランクで召喚された。
シモンマグス首領の4体目のサーヴァント。但し、さしもの首領でも4体を完全に召喚・制御するのは不可能で、不完全な召喚をされている。
・・・ぶっちゃけ、首から上しか召喚できなかった。本来サーヴァントとして維持もままならない状態であり、本部基地の地下、首領の間の魔方陣の中に「死んではいないが生きているかは微妙」な状態で無理やり現界させられ続けている。
そこまでしてこんなものを首領が維持しているのは理由がある。・・・この状態でも、宝具を使用する事は出来るのだ。
宝具の名は「我は死なり、世界の破壊者なり(バガヴァッド・ギーター11-32/クリシュナ)」。
己が生み出した原子爆弾の破壊力に慄き呟いた聖典の一節の名を冠する・・・「宝具化した原子爆弾」。
原子爆弾としての破壊力を持つ上に、宝具化しているが故に霊的攻撃力を有し、爆発に巻き込まれれば英霊だろうが真祖だろうがアルティメットワンだろうが「普通の生物が核攻撃を受けたように」ダメージを受ける超破壊宝具。
追い詰められたときの自爆覚悟の最後の切り札として首領はこいつを維持し続けているのだ。
対シモン・マグス戦の最終局面で、首領がこれを使おうとするのだが・・・。

・セイヴァー(救済者)/ナザレのイエス「救世主(キリスト)」
基督教の救世主、唯一神の子たるものが英霊扱いで召喚されたもの。
フェイト・エクストラで電脳空間上にセイヴァー(救済者)のランクで召喚された仏陀に勝るとも劣らぬ破壊力を現実世界で振るう恐るべき存在。
シモン・マグスの聖杯が辺来に伝わったキリストの墓から練成されたのは、科学と魔術を融合する彼らの性質を生かし・・・キリストの(つまり神の)DNAデータを制御し、その力で奇跡を起こす事が。
神や神に近しき根源や英霊の座を魔術科学的に制御する実験、そしてその技術の確立こそがシモン・マグスの最大目的であった故である。
(英霊の座の科学的制御の実験過程で召喚されたのが、偽サーヴァントたち)
事実それはある程度成功し、セイヴァーを地上に降臨させることにシモン・マグスは最後に成功したのだが・・・
召喚されたセイヴァーは、己が救おうとした人類の浅ましさへの絶望と、DNAから再生させられた「生の感情を持つキリスト」であるが故にあふれ出した処刑された怨念を暴走させ。
シモン・マグス首領を殺害し、全人類の殲滅の為に己と聖杯の力を使おうとし始める。
外見は、痩せ細り長髪長髭、ぼろ布をまとった頬のこけた男。怒りにその表情は歪み、怨念に瞳が燃えている。
神の子としての力を癒しや教化から破壊に転化した凄まじい魔力と、3つの超級宝具により立ちはだかるすべてをなぎ払う。
・一の宝具「聖釘」キリストの腕を貫いた釘の事だが「キリストを貫いたものが聖釘」という逆定義により「腕の聖痕の穴を通った空気を聖釘に変換して発射する」という能力に。救世主の血を受け一本一本が上級宝具級の威力を持つ聖釘が、乱れ討ちの弾幕射撃で飛んでくる。
・二の宝具「聖槍」ロンギヌスの槍。世界を征する力を持つという伝説を体現しており、打撃する時、なぎ払う時に、世界そのものに匹敵する質量を発揮し、それに比例する暴風を巻き起こす、とも。聖釘の弾幕をかいくぐって踏み込んだものをコレで倒す。
・三の宝具「聖十字」キリストの背後に立つ、身長50mの巨人でも磔に出来そうな巨大な十字架(世界各地の聖十字架の破片を併せるとそれくらい大きくなってしまうという冗句より。余談だが仏舎利も全部集めると仏陀はウルトラマンなみの巨人になるらしい)巨大な要塞として機能し、その中から無数の天使兵を召喚する。
この三つの宝具を同時発動して暴れまわるその力は、まさに黙示録の具現・・・聖杯戦争を戦いぬいた主人公達の、最後の敵である。


アイディアノートとしてのこの「Fate/But I don't obey」は、以上である。
当アイディアが何らかの楽しみ、あるいは閃きの元となったのであれば幸いである。


戻る