南海奇皇ネオランガ
これは・・・怪獣アニメだっ!
過去に特撮において幾度も描かれた「怪獣」・・・それをアニメーションにて捕らえなおしている。ことにそれは第一〜四話(このネオランガはかなり特殊な区切りで、十五分で一話、一時間で四話だがそれで一つの区切りという微妙なもの。)において顕著。
海から上陸する正体不明の巨大生物、段々と広まっていく状況、迎撃作戦を練る自衛隊、そして作戦。まさに王道的怪獣映画の醍醐味がある。
だがそこから、さらにこのアニメは様々な展開を見せる。怪獣(といっても外見は爬虫類的なステロタイプではなく、土偶のようなデザインである)ランガは、南の島国バロウの守り神。島の王位を継ぐものに従う。その権利があるのはたまたま行方不明になった兄がバロウ王族と結婚していた三人の姉妹なのだが、その三人の三者三様の対応と、日常に突然現れた怪獣という存在に振り回されるドラマを主体に、前半は進んでいく。そして徐々に謎が提示され、後半戦における日本を制圧した組織「虚神会」との戦いが始まるのだ。(一種右翼的、国粋的な印象を受ける組織。彼等が使う「虚神」は古代に存在したランガと同種の「神」の残骸をサイボーグ化したもの。ランガと同じく土偶的な一種独特のデザインはかなり奇抜で面白い)しかもそれで終わらず、かつてランガたちを滅ぼした「大いなる存在」宇宙意志とかそういういかがわしいもんみたいだけど、実存しているといわれる「タオ」、その手下にして髪に力と父子を与えられた人「キュリオテス」の乱入においてさらに話が加速されていく・・・が。
ここで重要なことは、第一章で提示されていた、ランガと同調できる三人姉妹の考え方の違いと心の問題が、最後の最後までテーマとして続いているということだ。女で一つで妹二人を養ってきた現実感覚あふれる商人でありながら同時に実の兄に禁断の恋心を抱く長女魅波は、ランガを金儲けの道具にしようとしたり兄との絆として求めたり。力を、強さを渇望し、ある意味長女よりもリアリスティックに物事を考えランガの力をすぐに振るおうとする過激な三女夕姫はランガを貧しい自分達にお与えられた世界と戦うための力と捉え。そして自由を求めてもかなわず、正義感で行動しても被害を出してしまう、世界の制限の中であがき続ける次女海潮は、ランガの力を精一杯「いい方向」に導こうと師ながら、「いい」ということの具体性に思い悩む。といった具合にそれぞれの心に。
(ちなみに我輩は三女夕姫に共感した。・・・一番考え方が我輩に近い。キャラクターとしての活躍も俗人の魅波や健気ではあるが見ていてやきもきしたくなる未熟な海潮よりも一本芯が通っていて美しい。ことに最終決戦における、キュリオテスとなった兄すと、見方全員すらたばかって勝機を作り、勝ち誇ってのセリフが「哀れなお兄様・・・神の使いっ走りになってしまったのね。さようなら、元お兄様」。いろんな意味で凄い娘じゃ・・・)
最終回は微妙なものだ(我輩には)。「ランガは神じゃない、俺たちと同じ・・・命!」というセリフは評価できる。うっかり知らない人が見てネタバラシになってはこまるので伏せるが、(それでも戦う、という展開にして欲しかった。なぜならここまで主人公海潮の特質として「あがき」を見せてきたのならば、「完璧はありえない」と知っても尚その中で精一杯あがく姿を見せて欲しかった)
と我輩は思う。
まぁそれを除けば、高評価の作品である。
(他にも往年の特撮やロボットもののオマージュや、ギャグ編など盛りだくさんだし)
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