一頻り話が終わった後、ふとさっきまで隣に座っていた彩乃が居なくなっている事に気が付いた。
「彩乃姉さんが居ない、どこに行ったんだ?」
「やはり彩乃の前で説明するのは不味かったか・・・」
WILLが失敗したという顔で呟いた。
「どういうことですか?」
「・・・・君は彩乃が改造人間に見えるかね?」
「いいえ、髪が変化する事以外特に変わった所は無いんで、しかしそれにどういう関係が・・・」
「彩乃は金属細胞で構成された身体を持つメタル・ヒューマノイドと言う存在でね、その改造手術の際に手違いで構成細胞が暴走し、髪の
毛はおろか脳まで、一つの例外も無く金属細胞に代わっている」
一旦言葉を切り、言うべき言葉を告げる。
「そう、一つの例外も無く、即ち生殖細胞までだ。彩乃の体には子を宿す機能が無い。そのため他の星将達よりも深い愛情を子供たちに注
いでいる・・・君をからかったり、子供達を弟妹と呼ぶのも、決してなれぬ母としての愛情を「姉」としての愛情に置き換えている事から
生じたものだ」
「・・・だからあんな風に怒っていたのか」
彩乃の戦場での、そして少女誘拐の話をしたときに見せた表情の意味を知り、村正宗は小さく溜息をついた。
日が傾き辺りが夕闇に沈む頃、村正宗は彩乃の姿を見つけた。泉の畔、蒼月寄りのその場所で
「彩乃姉さん」
「・・・あ、何?村正宗くん」
声を掛けると、いつもと同じ様な笑顔を見せた。
「どうして急に居なくなったんですか?」
「う〜ん・・・どうしてだろ♪」
「姉さん」
「・・・・・誘拐された子達、どうなっちゃうのかなって。身勝手な大人に玩ばれて・・希望を失って・・・辛いだろうなって、思って」
やや声を低めて・・・今にも泣きそうな声で言った。
「私は平気だけど、あの子達は大変な事になる。折角の人生を・・台無しにしちゃう・・・そう思って・・どうにも出来ない自分が・・・
悲しくて」
ついには涙声になり、顔を押さえて蹲る。嗚咽が聞こえる。
なでなで・・・
そんな彩乃の頭を村正宗は撫でた。慰めるでも、罵るでもなく・・・ただ撫でた。
一瞬ビクリと体が動き・・・次第に嗚咽が小さくなり・・そして
「ありがと・・・村正宗・・・・くん」
小さな感謝の言葉。