「さて村正宗殿、貴方は闇の住人というのをご存知ですか?」



手術を終え、応接間に戻ったWILLが開口一番に尋ねてきた。



「え・・・と、それは吸血鬼とか人狼といった者達ですか?」

「そうだ、貴様は彼らに対して嫌悪などの感情は・・・」



言葉を切り、試すような視線で見下ろされる。



「ありません、知り合いにその眷属や近い者がいるんで」

「そうですか・・・ネコクェイド」

「ニャ?は〜い」



村正宗の答えに満足したのか、見下ろすのを止めソファーに座っていた猫少女を呼ぶ。



「彼を「町」まで案内して、そこで事情を説明せよ」

「分かったニャ、ムラマサムネこっちに来るニャ」

猫少女―ネコクェイドが村正宗のズボンの裾を引っ張る。

何か状況が把握できないが、取り合えずその「町」とやらに行くことにした。





地上に出ると外は既に夜、満天の星空に煌々と月が照っている。



「じゃ、行こっか」

「はい・・・て、ええっ!?」



驚いて隣を見る。

さっきまで足下を歩いていたネコクェイドの声が、突然隣から聞こえてきたからだ。

そしてその姿を見て固まる。



その美しさに・・・



月明かりに映える白い肌、プラチナブロンドの髪、紅玉のような赤い瞳、その全てに息を呑んだ。



「・・・・・」

「どうしたの?」



惚ける村正宗の顔を覗き込む元・ネコクェイド



「あ・・の、その姿は・・・」

「ふふっ、驚いた?これが私の本当の姿だよ。今は事情があって、月明かりの下じゃないとこの姿に戻れないんだけどね」



さっきまでの2頭身ではなく、20歳くらいの姿(耳と尻尾も消えてる)で微笑みかける。

村正宗は情報をまとめようと、視線を虚空に彷徨わせている。



「それと、私の名はアルクェイド=ブリュンスタッド、アルクって呼んで」

「あ、はいアルク・・さん」



まだ混乱した頭で何とか反応を返す。



「アルクでいいわよ、さ、早く行こう」



アルクェイドが村正宗の腕を掴んで引っ張る。

ズルズルと引き摺られて村正宗は考えるのをやめた。とにかく「町」に着けば疑問は全て消える、そんな気がしたから。







研究所を出て20分

今朝方、村正宗と神奈が居た町の泉を挟んだ反対側にその「町」はあった。対岸に見える町とは違い、松明の炎と月明かり以外に光源が無く薄暗い。

その町の入り口に誰か立っている。筋肉質で大柄な体に国連軍の制服を来たワニ面の男。



「やっほージョウエン、見張りご苦労様ー」

「お、アルクやないか、どうしたんや連絡も無しに来て?」



どうやらアルクの知り合いらしい。見た目ロシア系なのに何故か関西弁。



「うん、お客さんの案内」



村正宗を引っ張り上げる。



「村正宗です、よろしく」

「ふん・・・」



ジョウエンが村正宗を凝視する。何となく視線を合わせると



「いい眼しとるな、ワシはジョウエン、この町の守備部隊に所属しとる」



ニヤリと笑い村正宗の肩をバンバン叩く。笑った拍子に見えた歯は、どれが犬歯なのか分からないほど鋭い物が揃っていた。



「覚えておきます、それにしても凄い歯ですね」

「おう、ワシの自慢や、カッコイイやろ」



自慢げに歯を見せるジョウエン、ワニ面が更に強調される。



「それはそうとアルクさ・・「アルクって呼んで」・・・アルク」

「なに?」

「そろそろ手を離してください」

「あ、ごめんね」



手を離すアルク、支えを失い地面に突っ伏す。



「眼鏡、無事か」



起き上がり確認、無いと輪郭しか見えないので念入りに。



「大丈夫や、ところで村正宗はなんでココに来たんや?」

「なんでって・・・」

「昨日、奴らに襲われたんだって」



質問の意味が分からず戸惑う村正宗の代わりにアルクが答える。その言葉を聞いてジョウエンが目つきを変える。



「なるほど・・・で、ココに来たと、それで奴らは?」

「彩乃が全部倒した、でも結構侵攻が進んでるみたいね」



深刻な話なのか、2人の顔が真剣さを増す。

蚊帳の外になった村正宗は昨日の事を思い出しながら、靴の中に入った土を出していた。



「それで結構素質あるみたいだから、WILLがここで状況を説明しろって私に案内させたのよ」

「ふむ、あわよくば村正宗もワシらの仲間入りか」



意味深な言葉に少し悪寒を感じた。



「それじゃジョウエン、引き続き見張りよろしく」

「おう、任しときや」



ジョウエンと別れ、町の中へと促される。



「アルク、ジョウエンさんて・・」

「当たり、死徒・・・吸血鬼よ、そしてここは・・・」



一呼吸おいて、静かに、誇るように告げる。



「吸血姫アルクェイド=ブリュンスタッドが治める、夜族(ミディアン)安息の地・・『蒼月』」





町の中に入ると、何処からか良い香りがしてきた。



「この町は薔薇を作って生活しているの。向こうの町へ売ったり、補助食にするためにね」



歩きながら説明するアルク



「薔薇の蕾を煮詰めて、その上澄みで作るエッセンスが血の代わりに私達の渇きを鎮める・・・イギリスの、ある一族に伝わっていたものよ」



言われてみればそこら中に薔薇が生えている。自生しているのか栽培されてるのか分からないが凄い数だ。

そのまま町の中央広場まで行き、置いてあるベンチに腰掛ける。



「それじゃあ説明を始めるわ。まずここ、蒼月を含めた『街』について」



ゆっくりとした口調で話が始まる。



「この街は『Chaos(混沌)』と呼ばれている・・・様々な人種の人は勿論、私達の様な異端と呼ばれる者も差別無く受け入れてくれる・・・数少ない場所の一つ・・・」



吟味するように言葉を選び説明を続ける。

話によると、この街に住む者の大半は内戦で家や家族を失った難民で、その次に夜族と改造人間、その他に異次元や宇宙から来た人達が幾らか居るらしい。『混沌』と呼ばれるだけあって実に多様な人口構成である。



「それと、この街は此処『蒼月』と対岸の『陽白』、地下の『地天星』の3つに分かれていて、其々が影響しあうことでより良い環境を作ってる・・・んだけど・・・」



ちょっと困った顔で広場の一角に目をやる。視線の先には、何やら酒瓶を持って土下座している男と、オロオロとその男を諭している忍び装束に似た服を着た男が居た。



「まーた来てる、今度はブジンにお願いにしに来たのね」

「何ですか、あの人」

「・・・死徒志願者よ、「自分もこの街の為に戦う」って自分から吸血鬼になろうとしてる人。相手をしてるのはジョウエンの同僚のブジン、彼もここで死徒になったから、よくお願いされてるのよ」



溜息混じりに話す。



「ここで?昔から居たんじゃないんですか?」

「昔から残ってるのなんて数えるほどしかいないわ。この町に居るのも少し前に死徒になったのや混血・ダンピールが殆どよ」



視線を戻して話を再開する。



「さっきの志願者が悩みの種なのよ。仲間が増えるのは嬉しいけど、それだと他の町とのバランスが取り辛くなるから」

「でもブジンさんは死徒になれたんでしょう?」

「許可が出たからよ。適正があるか調べて合格すれば死徒になれるの、さっきのあれは違法だからダメ」



色々と決まりがあるらしい。しかし



「許可って言ってましたけど、アルクさ・・・アルクが出してるんじゃ」

「私じゃないわ、この街にも一応統括者が居るから、その人の許可が無いと出来ないの・・・それに」

「それに?」

「これ以上男性比率が増えてもね・・・ダンピールが多いのその所為だし」

「ああ・・・」



何か納得。



「脇道に反れたわね・・じゃあ次に、昨日あなた達が会った奴ら「組織」について・・・」

「アルク、敵襲だ」



話し始めたアルクの声を遮って、さっきまで向こうに居たブジンが叫ぶ。



「ゴメン、この話はまた後で・・・それで、状況はどうなってるの?」



どうやらさっき言いかけた「組織」が来たらしい。何処からか武装した集団が現れ外へと駆けていく。アルクも指揮を執るべく戦列に加わる。



「始まったようダナ」

「っ!」



突然後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには研究室に居るはずのWILLが立っていた。

その姿は研究室に居た時とは少し違い、長かった白衣の袖が半袖になり、両肩に3つ穴が開いたパットが装着され、それぞれの穴から金属製の蛇が生えている。



「着いテ来なさい、戦況を見なガら説明す・・・しよう」



そう言うとクルリと背を向け泉の方へ歩いていく。言っている事は良く分からなかったが、このまま此処に居ても仕方ないので黙って着いて行く。





泉の畔まで来たWILLは、村正宗が着いて来ているのを確認すると、水面に手を翳して何かを呟く。

すると俄かに水面の一部が揺らぎ、ひとつの光景が映し出された。



「これは!」

「ふム、今回は掃討部隊かイ。奴らモ懲りないノねぇ」



水面に映し出された光景、それは先程出撃した者達と敵対者「組織」との戦闘だった。







[Sideジョウエン]

岩石が転がる荒野、その岩陰から顔を出し遥か前方をに視線を巡らせると、傍らの通信機を取る。



「こちらジョウエン、敵部隊確認、前衛イスカリオテ聖別メダロット部隊、後方にサイボーグソルジャー部隊、いずれも対夜族戦闘用の模様」

『前衛機種は?』

「TND、RIN型各10機、FRL型20機、TOT型6機や」

『遠距離戦か・・・後方は?』

「両腕部に聖別銀爪装備の高速サイボーグ」

『了解、「砲」部隊、総員「魔」部隊の攻撃と同時に掃射、「槍」部隊を援護しつつ前進!』

『「槍」部隊、御意』

「「砲」部隊了解や、ほなアルク、号令の一発頼むで」



通信を切る。と同時に敵部隊に七色の光が直撃する。



「攻撃開始!!」



ジョウエンの指令で一斉掃射。最前の身長1m程のサイに似たロボット数体が粉々になる。

同時に後方から迷彩色の兵士ロボが跳び出し、散開しながら左腕のライフルを発砲。

それを皮切りに戦車を人型にしたようなロボットも発砲、頭部・砲塔、右腕・ミサイルランチャー、左腕・バルカン砲から一斉に火を噴く。

サイ型ロボの残りも両腕からミサイルを発射、大量の浄銀弾と水銀弾頭ミサイル、閃光弾が「砲」部隊に降り注ぐ。



「右翼、散開しつつミサイルを迎撃!左翼は回りこんで後続を牽制しい!」



弾丸飛び交う中ジョウエンが檄を飛ばし、自分も鉄柱のような巨大拳銃をブッ放つ。

口径35ミリ、砲弾サイズの弾が敵機を粉砕し、貫通した弾が後続のソルジャー隊を牽制する。



「意思の無い人形風情が・・・ワシらを滅ぼせると思うな!!」



上下二連の銃口が鉄の兵士を打ち砕く。





「粗方片付いた・・・か!?」



突然の閃光がジョウエンの脇腹を掠める。傷口を押さえ攻撃の来た方を睨み付ける。



「エイメン!!」

「うおっ!」



強烈な光に慌てて身をそらす。光を放ったのは法衣を纏った一見神父に見える男・・だがその肩には大きな筒状の物体が乗っている。



「神の名の下に、滅びよ異端!」



言葉と同時に筒の先端から眩い光が迸る。それを何とか回避し、岩陰に身を隠す。



「ちっ、やはり出よったか、人工聖人サイボーグ「砲牧師」」



ぼやきつつマガジンを取り出し、数初の弾丸を込め、通信機を手に取り



「聖人サイボーグ出現、「砲」部隊後退せよ」



指令を出し銃を構える。岩の向こうでは何かがぶつかり合う音。



「ジョウエン!」

「おうっ!」



声と同時に岩陰から跳び出し発砲



「ぐっ・・・ぎゃああああああああ!!」



銃弾を浴びた砲牧師が地面をのた打ち回る。銃創がドス黒く変色し、辺りに腐敗臭が立ち込める。



「どうや、この「穢血弾(わいけつだん)」の威力」

「お、おのれ・・・化け物の分際でぇ・・・」



顔をしかめ起き上がろうともがく



「五月蝿い」



斬!



砲牧師の首が胴体から切り離され、傷口から崩れだす。



「ナイスタイミングや、ブジン」

「喜ぶのは後でござる、まだ「魔」部隊のほうに幾らか残っている」

「了解や、待ってろアルク」



砲牧師が完全に崩れるのを見届け、残存戦力打破のためアルクの部隊へと駆け出す。







[Sideブジン]

通信機からアルクとジョウエンの会話が流れる。



『了解、「砲」部隊、総員「魔」部隊の攻撃と同時に掃射、「槍」部隊を援護しつつ前進!』

「「槍」部隊、御意」



それだけ言って通信を切り、自分の部隊に号令を下す。



「総員、「魔」部隊の攻撃と同時に・・・」



七色の光と激しい銃撃音が響く



「突撃!!」



ブジンの叫びと共に戦士達が雄叫びを上げて突進する。剣、ナイフ、大鎌、斧、槍、爪、装甲で固めた拳。接近戦装備の一団が敵部隊に攻め入る。



「おおおおっ!」

「ごああっ!」



恐竜のような両腕の突服姿の男と、痩躯で刃状の髪をした狼頭の男が最前線のロボットを粉砕しながら突き進む。それで出来た「道」に他の戦士達が入り込み、放射状に広がっていく。



「哲!風牙!周りの連中は他の者に任せ、この集団を両断しろ」

「おうっ!」

「がうっ!」



突服と狼頭に指令を飛ばしながら、両腕に巻きついた極薄の刃を振りかざし



「ふっ!」



両腕を交差させるように振り下ろす。



「ぎゃあああ!」

「ぎ・・・!」



真上から降ってきたソルジャー数体が切り裂かれる。



「はあっ!」



続けて横なぎに振り左右の兵士ロボを両断する。



「この程度で・・・」



ブジンを取り囲むように高速移動するソルジャーが、その爪を振り上げる。



「我らを滅するなど・・・笑止!」



全方位に張り巡らされた刃の軌跡が球を描き、それに触れたソルジャー達が細切れになって吹っ飛ぶ。





勢いに乗り周囲の敵を撃破したブジンが残りの敵兵を追撃していると、しかしに戦闘中の「魔」部隊の様子が見えた。

特に苦戦している様子は無いが、念のため自分も合流しようと走りかけ



「む!」



その気配に気付く。自分達を滅ぼそうとする純粋な意思、それが近くにいる。



『聖人サイボーグ出現、「砲」部隊後退せよ』



その存在を確信させるジョウエンの声、そして



「神の裁きを」



現れた気配の主



「ぬうっ」



向けられた砲口を刃で逸らし、もう片方の刃で岩を砕きぶつける。

反撃に繰り出された銀のナックルを刃の側面で受け止め、力任せに跳ね飛ばす。



「ジョウエン!」

「おうっ!」



呼び声に答え、ジョウエンが岩陰から跳び出し発砲、打ち出された「穢血弾」を浴び砲牧師がのた打ち回る。聖なる体を穢す特殊弾が砲牧師を腐敗させる・・・それでも尚戯言を吐き起き上がろうともがく。



「五月蝿い」



首を切り落とす。



「ナイスタイミングや、ブジン」



嬉々とするジョウエンに釘を刺し、敵の残存戦力を伝え、共にアルクのもとへと駆け出した。







[Sideアルク]

月明かりに光る黄金色の手甲、揺らぐ空間、漆黒の波動・・・それらが渦巻く中、美しき月の姫は前方に鋭い眼光を向けていた。



『こちらジョウエン、敵部隊確認、前衛イスカリオテ聖別メダロット部隊、後方にサイボーグソルジャー部隊、いずれも対夜族戦闘用の模様』

「前衛機種は?」

『TND、RIN型各10機、FRL型20機、TOT型6機や』

「遠距離戦か・・・後方は?」

『両腕部に聖別銀爪装備の高速サイボーグ』



報告を聞いたアルクが一瞬目を細め



「了解、「砲」部隊、総員「魔」部隊の攻撃と同時に掃射、「槍」部隊を援護しつつ前進!」

『「槍」部隊、御意』

『「砲」部隊、了解や、ほなアルク、号令の一発頼むで』



通信が切れる



「魔拳隊、マインダー一斉射撃!」



号令と同時・・・否、言い終る直前に黄金色の手甲から緑、黒、青、赤、黄、白、紅の光が放たれ・・瞬時に型を成し、敵部隊に襲い掛かった。



緑・鷲と人を融合させた姿の精霊が無数の拳を繰り出し、黒・蝙蝠と人の女性を融合させた姿の精霊が衝撃波を放ちながら突進、青・

マンモスの毛皮を被った精霊が斧の両腕で切り裂き、赤・蜉蝣を思わせる女性型精霊が炎を纏って突進、黄・鎧武者の精霊が篭手の爪から雷光を放ち、白・頭と肩に氷牙を付けた女性型精霊が冷気を撒き散らす。そして真紅の龍が鋭い牙と爪で襲い掛かる。

マインダーと呼ばれる、古代アトランティスで生み出された特殊魔導攻撃。



そしてその直後、他の戦士達が攻撃を開始



「ゲートオープン!黒炎爪!!」

「氷竜牙!」

「行け、影竜(えいりゅう)!!」



異空間から呼び出される黒炎、巨大な氷牙、影から出(いずる)竜・・・各々が持つ魔力を容赦なく敵に叩きつける。

マインダーで出来た「道」を通り抜け、後続のソルジャー部隊を直撃、周りのメダロット数体を巻き込む。が



ズオッ!ビュイ!ドン!



「うおっ」

「ぐっ・・・」



他の機体の陰に隠れていた奴がレーザーを発射。不意をつかれ正面に立っていた数人がモロに食らう。致命傷は無いようだがダメージは大きい。

すぐさま他の戦士が迎撃・破壊する。それで大体を退けた。



「・・・・」



その様子を見たアルクの表情が険しくなり、手に力がこもる。



「隊長・・・」



その理由を知っているのか、傍らの一人が心配そうに見つめる。



『聖人サイボーグ出現、「砲」部隊後退せよ』



突然ジョウエンからの通信、同時に忌まわしい光が前方に見える。

周囲を見回し、他の兵にも警戒させる・・・必要は無かった。



「エイメーーーーン!」



猛スピードでこちらに向かってくる一団。砲牧師と同じように法衣を着て両手に大型ランスを持った人口聖人「槍侶」、その後方に数体の砲牧師が見える。



「「魔」部隊、総員迎撃体制、他部隊が来るまで持ち応えて!」



アルクの檄が飛び、先程より大規模な攻撃が始まる。しかし相手も巧みに回避・相殺してくるためそう長く持ちそうにない。

徐々に槍侶達のランスが迫ってくる。



ドン!ドン!ドン!



銃声が響き、数体の槍侶が吹き飛ぶ。



「無事かアルク!」

「ジョウエン!」

「拙者も居るでござる」



敵のド真ん中から刃を振るってブジンが跳び出す。



「ブジン!」



駆けつけた2人の後方から「槍」部隊が集結していく。



「アルク、ワシの部隊以外を後退させぇ」

「了解、「魔」「槍」部隊総員後退!」



ジョウエンの言葉にアルクが通信で伝える。後退する二部隊と入れ替わりに物陰から「砲」部隊が姿を現す。



「蒼月防衛法第2条、自国に殲滅の意在る者が侵攻してきた場合、全力を持って抗戦・排除せよ!総員・・・撃てぇ!!」



鳴り響く銃声、容赦なく降り注ぐ穢血弾、反撃する暇も無く崩れていく人工聖人達。





「エイメン!」



ジョウエンの後ろから包囲から出た槍侶が飛び出してきた。



「っ!」



驚き目を見開くジョウエン



ズシャ



肉を裂く音。倒れ伏したのはジョウエンではなく・・・槍侶、その前方には手を血に染めたアルク



「やっちゃった・・・また会うのが遅れちゃうな」



血を振り払い寂しそうな笑みを浮かべる。

戦闘終了、各部隊が負傷者を担ぎ蒼月へと帰還する。

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