11.日本・縁(後編)
炎々と戦禍が燃え盛っていた。
煙と炎が、破壊されたビルをまるで製油所の煙突のようにしている。
今の日本ではそこここに見られる戦場の光景。
その周囲には、タロンの兵器であるタランテラとメドゥーサが、無数に破壊されて死に転がっていた。
残骸が残っていない奇怪な爆発痕は、ロードが倒された後だ。驚愕すべき事に、それも何個もある。フォルミカ級やパンテーラ級のような比較的数のいる下位型は最早減少し、既に中位から高位の者が多くなりつつあるロードを、かくも多勢撃破するのは何者か。
それを行ったのは、そのただなかに、立ち尽くす一人。
いや、二人か。立ち尽くす一人に、もう一人が縋り付くように、支えるように体を寄せている。
「・・・・・・」
睥睨するように背筋を伸ばして立ち尽くすのは、外装をイグアナから、より途中で取り込んだ怪獣王の姿へと近づけたJUNNKIだ。
外装の変化と同じくして力は増大しつつけている。かつての怪獣王の炎を完全に操るようになったその力は、既に改造人間にして怪獣の領域に等しい。
それは力加減を間違えば己の身をも損なう意程であり。今も野戦軍服の袖や肌の一部が、自らの炎で焼け焦げていた。
「ねえ、もう・・・もう休もうよっ・・・」
その背中に縋り付くように、涙を軍服の背に吸わせているのは、水瀬名雪だ。
「タロンの最終計画も上位次元の最終計画も、こうしている間にも進んでいる。」
「それでも、皆と一度、合流しないとダメだよっ・・・」
旧支配者層を粛清してタロンを掌握した鳴海清隆とサグの最終計画。経済的支配にとどまらない人類支配。
彼らが栄光学園で分析した、アギト系のそれに至らぬものや、それ以外の様々な新人類のデータ。
それを利用しての、全人類のアギト進化による神の打倒。
そして、強制進化の際に紛れ込ませる因子による、全てのアギトのタロンへの隷属。
鉤爪(タロン)は牙顎(アギト)までをも得て、世界を征服する。
既に栄光学院生徒の能力を解析した超兵器を実用化しているタロン。
その力を己の増大に振り向けていないはず等なく、今やサグも清隆もかつてをさらに上回る超絶の怪物へと成り果てているだろう。
全ての勢力が相互の戦いに力を割いている間隙を縫うがごとき大規模計画。潰えさせねば、盤面は覆る。
上位次元の陰謀に至っては言うまでもない。北米支部の全戦力とあまたの人命を犠牲に阻止した儀式を再度実行されては、全てがおしまいだ。
それ故にJUNNKIは、そのどちらにも因縁を持つ天魔王として、両陣営の強化を上回らんとする勢いで自らを強化し、その戦力を削って戦い続けていた。
「こんなに無茶し続けてたら、死んじゃうよ。JUNNKI君、死んじゃダメだよっ・・・」
命を燃やし尽くすように休みもせず。
「死んじゃったら、あゆも悲しむよっ!!」
あの日から。
「・・・後何人敵を殺しても。後何人味方を助けても。」
取りすがる名雪に対し。
それでも、先だけを見据えながら。けれど、その華奢な体を振り払う事も出来ない。
ガラスの糸のような微妙なバランスの上に立ちながら、JUNNKIは呻いた。
「あゆは帰ってこない。」
帰ってこないものは、悲しむこともできはしない、と。
口にする事は、出来ず。けれど、背中でそう語って。
「っ・・・!」
誰もが、気づかって問えずにいた答えを彼に吐かせたことに、名雪は罪悪感と悲壮で涙を散らして。
それでもなお、行かせるわけにはいかないと、その背中に強く縋り付いた。
「・・・・っ・・・皆だって、悲しいよ・・・?」
「あゆが、帰ってこない。あいつを助けるといったのに、あいつに助けられて・・・あいつは奇蹟に為って果てた。」
涙の痕が焼けついたように、引きつった赤い傷跡が片目から流れている。対照的に、その目は焼き付いて、もう二度と涙を流す事はないだろう。白く濁ったその目は、怪獣王のもう一つの側面、戦争の死霊の凝集。死と苦と魂を見る目だ。
その目をもってしても、もはや彼女のことを見る事はかなわない。月宮あゆは、その魂の最後の一欠けらまでも燃やし尽くして、奇跡を作ってのけて、完全に消えてしまったのだ。
「俺があいつにできる事はもう何もない。これは、俺が好きでやっている事だ。」
皆の悲しみという口実を、個人的感情で動いてしまっているんだ・・・そんな配慮で動けるなら、今さらこんなことはしていない、と、JUNNKIは否定しようとする。
あゆが救った命を無駄に散らすつもりはない。負けるつもりはない。ただ、あゆを追いつめ殺したこの世界の現実を否定し撃砕し続けなければおさまらないだけだ。
彼女が為したことは奇蹟だ。オーキッド因子保持者のアスカ蘭に打撃を与えて彼女の進化を押しとどめ、その身を犠牲にするまでに全力で周囲の神聖霊子をあの小さくて華奢な体で燃やし続けた結果、ロードたちが使用可能な残存神聖霊子量を大幅に削った。
それ故に、学園特武隊への追撃が止んだどころか、上位次元軍の計画は大いに狂った。おかげで上位次元軍はそれを行う行動が隙になるとわかっていてもHA残存勢力の取り込みを行わなければならなくなり、また、再度の生贄儀式の準備も大幅に遅れている。
感情に振り回されていると一見思えるJUNNKIの行動にも、ゆえに意味はある。上位次元にしてもタロンにしても、攻めるには今しかないのだ。
「・・・俺はあいつを愛していた。愛していたんだ・・・それが死んでしまった。」
二重の意図が、その悲痛な唸り声には込められていた。
愛するあゆの死と。
あゆを愛していた自分の心の一部が死に落ちたことが。
「だから、止まれない。怪獣王の力は、最後の住処と同胞を歪んだ力に奪われた憤怒と絶望だ。今の俺ならそれを全部引き出せる。俺の全部を燃やし尽くせる。そうすれば・・・届く。」
負けて死ぬつもりはないが、あゆを愛したこの心を全て燃やし尽くして、自分が自分でなくなっても、俺は復讐を成し遂げたいんだと、JUNNKIは大傷から湧き出す血潮のように、どくどくと熱いが静かな声で言った。
「嫌だよぉ!!!」
・・・その、頬を張るように悲痛な声を、名雪は叫んだ。
縋り付く指に力がこもりすぎて震える。それほど強くしがみついても、もうJUNNKIの体表は硬質化僅かも肌と肌の生きた接触の間隔は感じられない。どころか。ぱきり、と、名雪の美しい桜色の爪が割れて血がにじむ程。
「っだって・・・私だって!」
そして名雪は、それまでに懸命にこらえていたことを叫んだ。
「私だって・・・私だってJUNNKIの事好きなの!愛してるのっ・・・!死んでほしくないんだよっ!!!」
「−−−−−!?」
それは、JUNNKIの怒りを鎮める事はできない言葉だ。JUNNKIの悲しみを否定する事はできない言葉だ。JUNNKIのあゆへの愛を忘れさせる事はできない言葉だ。
それでも。
「・・・あゆちゃんがJUNNKIのこと好きだから。JUNNKIがあゆちゃんの事好きだから。私言わなかったよ。言わないつもりだったよ。私とあゆちゃんは友達で、JUNNKIも私を友達っていってくれてるんだよ。だから。こんなこと、いえなかったよ。こんなタイミングで言うことだって、ずるいよ。だから言わない、って思ってたよ。けど・・・!」
悲痛な叫びと共に。割れた爪から滲む血の量が増える。背中に密着した名雪の頭と、胴に回された名雪の腕が震えた。
「JUNNKIが、少しでも動揺して。私を罰するためででも、少しでも止まってくれるなら。・・・嫌われてもいいから言うよ。」
JUNNKIは、名雪の腕を振り払おうとした。
腕を振り上げた。
振り上げた腕が震えた。縋り付く名雪の腕と同じように。
・・・振り払う事は出来なかった。
「・・・」
僅かな沈黙と共にJUNNKIは腕を下した。頭をめぐらせ、周囲の間隔を感知する。
多くの、敵対的気配を感じない反応の接近。結局、味方と合流する羽目になったようだ。
・・・泣きそうなのをこらえるような微苦笑を、JUNNKIはバイザーの下で浮かべていた。
・・・・・・
「正直、まさか生きてこんな日を迎えるたぁ思わなかったな。」
無数の弾痕とクレーターでボロボロになった栄光学院の校門を見上げて、本田愛は嘆息した。
「ええ、お互いにね。といっても、私は途中から意識がなかったんだけど・・・」
「それは、正直こっちのセリフだ。」
愛にふてぶてしく笑む疾子。その二人に対し、ユキが静かに愛の傍らに立って言った。
「・・・あの時は、もう、ダメかと。」
繊細な睫毛を伏せて思い返す。粛清を逃れる地獄の撤退戦。殿を務めた愛と疾子は数日帰らず・・・
誰もが二人の生存を諦めかけたその時、ぼろ雑巾のようになって気絶した疾子を肩で支えて、髪から服から絞れば血が噴き出す程満身創痍となった本田愛は帰ってきて・・・そのまま門に血だまりを作って倒れこんだのだった。
腕など千切れかけの上、目にも重大なダメージを受け、一時は死亡が危惧され、その後かなりの間も失明と腕機能喪失等の心配が為された程であったが、それでも尚、そもそも人間であれば失血死していなければ生物学上おかしい状態から生き延びた愛は持ち直した。
能力者として身体能力強化に特化しているとはいえ、すさまじい生命力であった。
「・・・悪かったっての、何度も謝っただろ?・・・それとも、またキスしてほしいかよ」
「・・・そ、それは。」
少し唇をとがらせて、赤面してうつむくユキをからかう愛だが、すぐにからっとした笑みを浮かべた。彼女自身も頬を上気させながら。
「、はいはい、ごちそうさま。」
ここしばらく見せつけられ続けた二人の間に芽生えた愛情の集大成を食らった疾子は、視線をそらすためもあり、時が来たこともあり、振り返った。
「こうなるとは思わなかった筆頭の御大将。さ、下知を頼むよ。」
まあ、視線をそらした先も、それなりに甘酸っぱいんだけどね、と思いながら。
「ああ。」
そう言われて頷いたのは、「刀」、否、御影村正宗だ。紫暮に記憶を解放されたが、彼女とその仲間達を護ることを、彼は選んだ。
それは彼自身の倫理観の結果でもあり、そしてまた同時に、彼が記憶を失うことをある意味で許容した、心の傷から回復するまでの間に過ごした絆の故でもあった。
何ものをも切り裂く刃を持つ最強の改造人間。それ故に負う、切り破り滅ぼし続ける事の心への負担。
それを埋めたのは、同じように戦いに日々を過ごしながらも、生きる事に必死で、荒廃したそんな環境とその環境による精神の上にも尚、絆を作ろうとし続ける、絆を守ろうとし続ける彼女達だったのだ。
辛くても尚、しがみついてでも護る、力が足りないが故に得る覚悟。
それと共に過ごすことで、力の意味を再び捉えたのだ。数多を殺す事が出来るのであれば、数多を活かすことも出来る、そして、数多を活かすことが、己を活かすことに繋がるのだと。
故にかつてを乗り越えた。
故に、「我らの軍団の指揮権を執らないか」という紫暮からの提案に乗った。
共に生きると誓ったのだ。
「俺達の生存を目指す。そのために必要なのは他勢力との協調だ。」
語る村正宗の言葉に、車椅子の紫暮は静かな表情で頷いた。
無論、記憶を取り戻した村正宗には、ここに車での因縁がある。
何人かの少女が、紫暮と同等かそれ以上に彼の事を好いているだろう。
それでも、彼を愛おしく思っている自分を、よしとする。例え先に何が待っていても。なぜなら。
体調の悪化が指揮権を委ねねばならぬ程にまで達した、無力な自分。
だが。
「紫暮様・・・」
「ああ。」
そんな自分を。仲間と共に在る値打ちなど無いと己を断罪した自分を、そんなことはない、と否定した彼がいる。
そして。彼が担いで帰って来た自分を、その身を真剣に案じて出迎え、無事を喜び、共に戦い抜き生き抜くことを当然のように受け止めた彼女達がいる。
生きねば。
深く、紫暮はそう誓った。
「俺の縁があれば、バリスタスとの関係改善は可能だ。恐らくは折原軍も、のえるの気質、そして戦力が切羽詰ったこの状況においては、共闘をして恩を売る事はできるだろう。」
バリスタス構成員としての記憶と自我を取り戻したが、やや中立的観点から村正宗は語った。
それは、ひとえに栄光学園軍の生存を最重視した戦略をとろうとしているからでもあり。
また、すでに戦後を見据えて考えているからでもあった。
「戦って活路を開き、他軍へと合流する。タロンの攻撃をこれ以上受ける前に打って出て、タロンと上位次元軍が混戦状態にある領域・・・バリスタス学園特武隊のいる戦場へと飛び込む」
それは死中に活を得る判断であった。だが、現状、敵軍の海の中に孤立している状況で、生存の可能性を上げる手は合流しかなく、そして、合流の機会がある最も近い場所は戦場であり。
となれば、敵に正面から当たるよりは、敵同士が戦って此方に向かう戦力が少しでも少なくなる方で勝負をかけるほうが、まだ勝機があるということだ。
「・・・」
気になる点としては、ただ一つ。
「鳴海清彦・・・に。」
紫暮はわずかに言いよどんだ。複雑な思いを込めて。だが。
「勝てるな。村正宗。」
問うのではなく、確認するように言って、その思いを振り切った。
「ああ。」
決然。村正宗はそれに対し言い切った。
「勝つ。・・・俺の刀は研ぎ澄まされた。今なら、斬れないものは、無い。」
と。
「私も往く。ともに来てくれることを、感謝する、村正宗。」
紫暮が、笑んだ。
その隣、ふと、風が吹いたようについと立つのは、栞だ。
隊一の悲観論者で、ある意味すべてを知りながら、どうせ滅ぶのだからと、それを傍観した少女。
では、あるが、今、ここに彼女はいて。
「・・・これは奇蹟じゃないといえるのね。」
「勿論だ。そして、これから起こす事もな。」
そう問うて、村正宗の答えを聞く彼女の表情は、氷雪の色から、未だなりきってはいないが春を待つ季節の色になりつつあった。
ユキが「どうせ今さら、そういうことをとがめだてする事はない」と。どこか本田愛の影響を受けたようにすばと言い切った結果、彼女はここにとどまった。
実際、ハウンドとシープドッグの確執を乗り越えたことを思えば、まさに今さらだ。
そして、だからこそ今、春が来ようとしている。
「・・・なら、私も頑張ります。ええ。奇跡じゃなくても人が救われる、っていうんだったら・・・完敗です。絶望(わたし)が負けたのならば、きっと希望が勝ちますよ。その為に私も戦います。」
「ああ。」
頷いて、村正宗は宣言した。
「征くぞ。」
と。
12.日本・その時、戦場外
「怖いねえ・・・」
遠くで連続して爆発音が響き渡る。そちらは、戦場だ。
「そんなことを言えている間は、まだまだ大丈夫。さ。早く行こう。」
当然、戦場ではない場所は、戦場外の空間であり。
そこには、戦士でも兵士でもない、人々がいるのだ。
ある者たちは戦場に近づかれ、避難を今まさに行おうとしていた。
「大丈夫ですか?よく来られましたねえ。さ、こちらへ。」
「・・・ありがとうございますっ・・・」
あるものは、そもそも戦闘から遥か遠い田舎で。
都会の戦場から避難してきた者達を、受け入れて支えようとしていた。
『であるがゆえに、政府の発表によりますれば・・・』
『此方折原海賊旗ニュース!今日の総理は・・・』
『ラジオ・エレバン。今日の戦況予測です。バリスタス軍の進路は・・・』
複数の陣営に属する報道、中立であろうとする報道。
あるものたちは、そんなさまざまに語る声を聴きながら、避難所シェルターに集っていた。
「どう思う?」
「折原軍のこと?」
「それと、バリスタス」
「それは・・・」
あるものは語り合う。
「シェルターの護衛の件だけど、話が付いたよ、来てくれるって!」
「滅多な奴らを呼ぶと大変なことになるぜ?一体誰が・・・」
「折原郡の人たち。元HUMAのヒーローさんたちもいるし、やっぱり一番人格的に信頼できるのはあそこかなあ、って・・・」
・・・
「逃げるぞ、あっちだ!」
「どっか、宛てあるの!?」
「・・・あっちにバリスタス軍の野営がある、虐殺者だって言われてるけど・・・むかし、見たんだよ、おいらたちみたいなオルフェノクを助けてくれてるところ!おいらも、助けてもらったんだよ!・・・だから・・・!」
「分かった・・・信じる・・・!っ、追っ手来たっ、ええいっ!!」
「切り抜けるぜ!ロードならともかく、その取り巻き共なら、なんとか・・・!」
あるものは行動する。走る、手を打つ、そして戦う。
彼らは生きており、生き続けており、生きようとし続けていた。
かれらはこの世界であった。そして。
「・・・五代の奴、どうしてるかねえ・・・」
仮面ライダーの日常を知る者がいた。
「やれやれ。学校帰りにちょくちょくうちの店によっていた子供らが、世界の命運をかけて殺し合いか。・・・死ぬんじゃないぞ、学生は死ぬにゃ早すぎらぁ・・・」
戦う学生たちの帰り道にいた人たちがいた。
「北海道から疎開してきたけど、こっちもこの騒ぎか。あの時助けてくれたあのカップルの子たち、大丈夫かな・・・。」
錬金の戦士に救われた疎開者がいた。
「きっと、帰るわよ。私たちと一緒に、秋葉原に!」
騒がしき電子の魔都で戦った者達と共に、その町の一員であった者達がいた。
「こう騒がしくちゃ、ファンサイトの更新もままならないや。・・・ひいきの子が死んじゃったサイトの人と比べりゃ、文句は言えないがね。生き残ってくれよ、俺の可愛い怪人ちゃん・・・!」
改造人間の少女たちのファンとなった、こんな状況でも萌えることを諦めないある意味どえらい男もいた。
「のえる、早く帰ってこないと。出席日数足りなくて留年になって、健ちゃんと違う学年になっちゃうんだから・・・早く帰って着なさいよ・・・」
太陽の少女のクラスメイトもいた。
「・・・今の名前は『白き輪舞曲』。今の居場所は宇宙の果て、か。・・・帰ってきて、とは、言えないけれど。・・・せめて、生きていてね・・・家族なんだから・・・そのくらいは・・・」
宇宙を地上から見上げる者もいた。
そして彼らは、戦う者達のことを覚えていた。
戦う者達のことを思っていた。
戦う者達の命を祈っていた。
戦いの終わりを、願っていた。
彼らの帰還を、待っていたのだ。