「星の客人」
「がっ、がはっ・・・!」
ずうん。と。
音を立て倒れる巨躯。
ロストグラウンド自治集団副団長ゼネラル=モーターバロンは、その瞬間倒れ付した。
「バロンッ!?」
叫ぶ晶。
HOLYの大規模恒星を迎撃すべく出撃したロウレスのアルター部隊は、「反逆者」カズマとの折り合いを何とかつけることに成功。
同盟組織であるバリスタスから送り込まれた人造人間・ハカイダーの力とネイティヴアルターの総力をもってHOLYに会戦を挑んだ。
結果は、勝利とはいえぬもののロウレス、箕条晶の想定どおりに進んでいた。
劉鳳、ストレイト=クーガー、マーティン=ジグマールなどの強豪と良く戦い、途中、共に、よく似ながらも紙一重で違う誇り高さと猛々しさを持つハカイダーとカズマの対立こそあったものの。
敵の完全撃退に成功したわけではないあったが。こちらの犠牲も多かったものの、相手側に戦闘継続を断念させることには成功した。
・・・だが。
かくて戦いを終え、秘密結社Qの軍勢と別れ本拠地に帰還したロウレスのその前に。
一人の男が、現れ挑みかかった時。
再び戦いが巻き起こった。
「・・・変身っ!!」
五つの腕と銀の体、金の心を持つと嘗て謳われた男。
「伝説の十人」において、ただ一人、人の夢のために生まれた存在。善の手により作られた男。
最も、夢と正義に純粋な仮面ライダー。
宇宙の男。
沖一也。
またの名を。
「仮面ライダーッ!スーパー1!!!」
宇宙から来たれる男は叫ぶ。
全てはあの日々のままに。
正義と悪がその全存在全魂魄を賭けて戦いあった、「黄金の混沌」が、まるで今も続いているのかと、錯覚してしまいそうになるような声で。
「ええいっ、サテライガーからの報告にあった「宇宙船」の中身が、まさかこいつだったとは・・・!」
同時。
ロウレスを支援する秘密結社・Qの幹部、M・ガデスは偵察部隊から送信されてくる映像を見、軍帽を落として頭をかきむしった。
ロウレスのネイティヴアルターたちが、たった一人の改造人間相手に、まるで人形を散らかすかのように跳ね飛ばされていく。
いかなバリスタス以外では稀有な上級改造人間で基本戦力をそろえるQとて、人員はそれほど多くは無い。
宇宙活動用改造人間サテライガーから送られてきた映像を解析し、地球帰還寸前の段階で故障を起こしロストグラウンドに墜落した謎の宇宙船が「黄金の混沌」末期に建造されたジュピタースーパー1号・・・宇宙開発用改造人間としてのスーパー1とセットで開発されスーパー1と共に宇宙開発・銀河連邦との交流に旅立ったたものであったと調査結果を出すことが出来たときには、既に遅かったのだ。
「っ、こちらから増援を出したほうがよくは無いか?このままではむざむざロウレス全滅ショーを見物する羽目になるぜ!?」
同じく映像を見ていたレイジが、龍を象った鎧を軋ませて叫ぶ。
上級改造人間を指揮する幹部だからこそ、最上級決闘用改造人間たる仮面ライダー、ましてその中でも技も装備も飛びぬけた存在であるスーパー1の恐ろしさをレイジは熟知している。
「だめです。現状で即座に戦線投入できる増援改造人間は完全飛行型のプテラジェット以外は、衛星軌道からサテライガーを降下させるしかありません。これだけでは・・・!」
「っ、分かってはいるが・・・!」
しかし、副官・シャドーローズの制止が、レイジの言葉をさえぎった。
Qの中で、飛行可能型のゴキブリジャガーを唯一速度で上回る完全飛行型のプテラジェットは、先行偵察、一撃離脱の奇襲には無類の効果を発揮する。
だが逆に言えば速度のための防御力を削ったプテラジェットではそこまでであり、正面切って仮面ライダーと戦うだけの力は無い。それに比べればまだましの力を持つゴキブリジャガーでは、間に合わない。第一、ゴキブリジャガーでも、スーパー1相手にはたいした戦力とはなり得まい。
「くそっ、HOLYの本隊側を警戒してこちら側の改造人間を一端分派させたのが裏目に出たか!」
ロウレスのネイティヴアルターたちと別れ、現状Qの改造人間たちはHOLY本拠地・ジーザスタウンの警戒に当たっていた。軍団規模の動きを想定しての行動、その裏をかいての単騎出現に、Q改造人間の大半はこの戦闘に間に合わない。
一方衛星軌道上のサテライガーは、Qの中でも屈指の破壊力を持つ改造人間だ。衛星レーザー砲と蛾の改造人間であるサテライガーのレーザー攻撃の威力は、まさに絶大。
だが、多彩な装備を搭載しながら同時に赤心小林拳の達人でもあるスーパー1が相手では、ロウレス側も即座に彼我入り乱れた白兵戦へと追い込まれてしまう。
そうなれば、サテライガーの破壊力は、味方を吹き飛ばしてしまいかねない。だがだからといって地上に降下させスーパー1と直接対決でもさせようものなら、攻撃力こそ高かれ白兵戦では宇宙用装備と大型レーザー、充電・発振用の翼などを抱え込んだサテライガーでは、確実に後れを取る。
そして、制空・制宙におけるQの要であるサテライガーは、失ってしまえば取り返しがつかない損失である。
「っ、結局、こちらから打てる手はなし、か・・・!」
苛立たしげにコンソールを拳で叩き、レイジは唸る。
「こうなってしまえば・・・!」
その視線の先、ディスプレイに写るは。
銀色の英雄に立ちはだかる、黒き騎士。
「バリスタス秘蔵の人造人間・・・ハカイダー・・・あいつがどれほどのものかが・・・ロストグラウンドの運命を決するということか・・・」
ハカイダー。
仮面ライダースーパー1。
両者の対決は、まずはハカイダーからの一撃で始まった。
轟く銃声、否、最早「砲哮」というべきか。
無言のまま、先制のハカイダーショット。巨大装甲車すら一撃で消し飛ばす破壊力を秘めた弾丸が超音速で飛翔。
しかし。
見よ。否、見て驚くことすらかなうまい。
優美なしなやかさすら垣間見せる、仮面ライダースーパー1の腕の動き。
その微かな受け流しだけで、ハカイダーショットの弾丸は彼方へと弾き飛ばされ、ロストグラウンドの荒れた大地にクレーターを刻んだのみ、スーパー1の銀手には毛筋ほどの傷も無い。
これぞ赤心小林拳の奥義。可憐なる花を包み込み守る梅花の形意。
ゆるり、しなやかに、自然体でスーパー1は構えている。
だが、ハカイダーの赤いカメラアイは、微塵も揺らがず、危ぶまず。
その様子に、寧ろ完全な防御を達成したスーパー1のほうが、怪訝さを覚えて問いかけたほどだ。
「お前は・・・誰だ?その姿、嘗て見た人造人間、ハカイダーのそれに近いが・・・ハカイダーそのものではない。何者だ。何のために戦う?」
スーパー1の問いは、怪訝さがあってすら尚真っ直ぐだ。
固唾を呑んで見守る晶すら驚くほど、その単純な問いに込められた意味は清冽にして凄烈。
何者か。
何のためか。
この二つの問いは、あまりも、答えるものを明らかにする。
この二つの問いに、戦場に立つ意味と覚悟、その全てが映し出されてしまう。
「ハカイダー。破壊すべきものを探すために戦う。」
二つの問いに、ハカイダーは答える。
それは、問い二つに対して、事実上一つの答えといってもいい、さらに研ぎ澄まされた答え。
破壊するものという意味の名を冠する。故に、破壊するべきものを破壊する。
唯一つなる、破壊への集約。
「破壊するべきものの、破壊、だと・・・!」
それは、ある意味では悪しき暴虐。
しかし、漆黒の騎士は言う。
「破壊すべきものを」と。
暴虐たる破壊を、それも純然たる破壊の意思を、「べきものを」探す理が、その小さくも揺るがせならぬ一つが、異なる要素を提示する。
解放。建設的破壊。革命、と言ってもいい。
秩序に新風を吹き込む。
もう一面の正義。もう一面の悪。
「・・・お前は?」
そして、ハカイダーは、寡黙にただ一言。
その一言で、先刻の問いの全てをスーパー1に返す。
「さて・・・どうなるかしらね、この戦い。」
そして、銀と黒の戦士の戦う様子を、彼方から見守る影がある。
金色の髪に鋭く縁取られた、冷徹さと妖しさを併せ持つ美女。人間の視力からすれば視認が難しいはずの遠距離から、この戦いを見つめている。通信機を耳に当て、その向こうと会話しながら。
「・・・そう。戌子のことはもういいわ。キノの件にしても、「メルクリウス」による人造エージェントは増加し続けている。アストロラーヴ・メイルサーヴィスから今キューザックが居なくなっても、生産体制そのものに影響はしないわ。」
アスカ蘭。
HA日本支部エージェントということなのだが。その神出鬼没。その会話、通信による各種計画への参画。
どうにも、ただそれだけの存在とは思えない。
「それより、北海道方面の錬金戦団を中心とした派遣軍の査察と、本国のほうを優先して。全ては、予定の範疇で動いている。だから、計画に遅れぬよう、進めなさい。」
目で戦いの様子を追いながらも、耳と口では素早く通信で各方面に指令伝達を行っていたアスカだが、ひと段落が着いたらしく、通信機のスイッチを切った。
「・・・分析結果は?」
その後、細まきの煙草に火をつけ軽くくゆらせると、アスカはぽつりとつぶやいた。
話しかける、のではなく、音声認識の機械を作動させるのと同じ、無感情な声。
そして、それに答えるのは、人型をした、機械。
「ハカイダー、射撃目標補足速度、発射完了速度、弾速、着弾時運動エネルギー、観測完了・・・」
「仮面ライダースーパー1、対攻撃反応速度、四肢駆動速度、表皮装甲強度、観測完了・・・」
「事前データとの差異、0.000021パーセント。」
新型人造人間、ビジンダー、ワルダー、ミカエル。
ジーザスタウンの長、Drグルジェフがハカイダーのデータを元に作り上げた、より完成度の高い人造人間。
「・・・そう。」
その分析結果に、安心したようにも失望したようにも取れる声で、アスカは一人つぶやく。
「わざわざ星の世界から引き摺り下ろして、検証する甲斐も無かったかしらね・・・」
冷え冷えと。
地上全てを見下すような視線で、アスカは戦いを見続ける。
「・・・俺は、人の夢のために戦うもの。」
そして、ハカイダーの問い返しに、スーパー1は答える。
「人の未来に立ち塞がるものを、俺は討つ。」
かつてのままの、真っ直ぐな未来への道を歩む答え。
その答えと同時。ハカイダーショットの第二射撃。
再びの「梅花」。弾かれる弾丸。
だがそこからの展開は同じではない。五つの腕を持つ男の、変幻自在の連続攻撃が炸裂した。
電撃。装甲を貫き、人造人間の回路を破壊せんとする黄金の投網。
火炎。装甲を焼き炙り焦がし溶かす灼熱の吐息。
その二発を流れるように放つと同時に、三撃目を放つための構えを取りながら、同時にスーパー1は既にそれに紛れ間合いを詰めている。
三発目は、冷凍攻撃。過熱した装甲を歪め、皹入らせ、崩壊させる反転。改造人間としての己の能力と特性を熟知するが故の、芸術的連携。
そして、四発目は当然。
全装備の中で最大の打撃力を誇るパワーハンドにより、脆くした装甲を叩いて砕く!
ガン!!!
打撃の激しさに反し、音はそれほど響かない。
否。音として響くはずのエネルギーすらすべて打撃として相手に叩き込む。それほどの身体駆動効率を達成する業。
それこそが、赤心小林拳なのだ。
「っ、ハカイダー、っ!?」
それを見、晶は、叫び。
己のアルターを、展開。
「・・・やめてくれ。」
したときには、もう。
ハカイダーを吹き飛ばしたスーパー1は、晶の懐にまで飛び込んでいた。
手刀は喉元に。もう片方の手は、実体化したアルターを握る晶の手を掴んでいる。
完全に、僅かでも抵抗の動きを見せようものなら、一瞬で制圧できる、晶からしてみれば、制圧されてしまう状態。
「っ・・・・・・・!!」
僅かに息を呑む、ことしか、晶には出来ない。
至近距離。赤い、そして人間・沖一也の柔和な印象とは正反対の、他の仮面ライダーよりさらに鋭いイメージを与える鋭さを持つ、スズメバチの複眼。
複眼ゆえ、晶には今スーパー1が正確にはどこを向いているのかは分からない。
だが、何故だか。
今至近距離にいるスーパー1は、自分の顔を覗き込んでいるのではないか。
晶は、そう感じた。
「何故だ。」
仮面の内側から、染み出すように。
銀色の顎からこぼれるように。
「何故、お前たちは抗うんだ。争うんだ。先へと歩まないんだ。」
「な・・・」
押し殺すように、スーパー1は問いかけてきた。
驚く晶。
「当然、の、ことだろう・・・!圧制を行う者に、座して屈することなど!」
しかし、一瞬の驚きの後、気おされまいと晶は叫ぶ。
彼・・・否、彼女たちの理を。
「やっぱり、か・・・」
帰ってくるスーパー1の声は、嘆息。
知ってはいたのか。突然の落下によりこのロストグラウンドに来たにもかかわらず。ジーザスタウンの真実を。
ならば何故、と晶は思う。
「知っているなら、何故!」
何故、「人間の自由のために戦う」のをその戦の本義となす仮面ライダーの一人が。
ジーザスタウンに、HOLYに抗うロウレスと戦を交えるのか。
「久しぶりに帰ってきて。、この星を見て・・・それが、これでは、なあ。」
青年の声音が、苦笑する。
「夢の宇宙に飛び立っても、誰もついてこないわけだ。地球では、皆そろいもそろって、足踏みばかりしていたんだな。」
その声は、宇宙のように、広く果てなく、星の輝きを宿して・・・
どこまでも空。
どこまでも、冷。
真空と絶対零度に近しい、宇宙の気配。
「何故だ。何故変わらない。誰もかも、何もかも。何故・・・未来は来ない。」
晶は気づく。気づかされてしまう。
それは、正義でも悪でもなく。
自由でも秩序でもなく。
ただひたすらに、明日にあまりにも遠い今日への痛憤。
全てへの、かつて人が目指した未来に置いてけぼりにされた男の、怨嗟だ。
今むき出しにされる。
帰ってきたヒーローとして、ではなく。
沖一也が、その力を振るう理由。
その問いの前には己も、己の属するロウレスとそれが戦うロストグラウンドも、全てが卑小な一要素に過ぎぬと悟らされ、晶は、沈黙に陥りかける。
だが。そのとき。
「そうか。そういうことか。」
瓦礫が消し飛んだ。
凄まじい騒音と共に、放電の爆ぜる音、それよりもなお猛々しい機械の駆動音が響き渡る。
ダメージを負った胸部装甲が大きくひび割れているが、それでも尚まるで無傷であるかのように平然と、ハカイダーが立ち上がったのだ。
「ハカイダーッ!!!」
我知らず、晶は喜びに叫んでいた。
しかし同時にスーパー1が、無言のままハカイダーに対して身構えるのを感じ、ぎくりとする。
先ほどの対決で、スーパー1の技量がハカイダーのそれを上回っているのは、見て取れた。
そして、先ほど聞いた、スーパー1の言葉。
・・・この男が今、止まることも退くことも無いことが、そこからは感じ取れる。
このままでは。
だが。
「・・・下らん。」
心配する晶を、励ますように。
スーパー1の言葉を、打ち砕くように。
濃密な灼熱を思わせる、ハカイダーの言葉が響く。
「未来も夢も自由も・・・それが要らぬのであれば、無価値なものだ。それを求めること自体には意義も価値も無い。必要であると感じた者が欲し歩み、それを是とするものが道筋の障害を砕くだけだ。」
ハカイダーは、揺らがない。
未来に対しても、夢に対しても、自由に対しても。
それらは今ここを生きる者の望みの中においてのみ価値付けられると。
「俺は嘆かない。俺は苦しまない。唯只管に・・・破壊すべきものを砕く。それが、俺だ。それが俺のありようだ。」
そして、今ここに生きる者の望み、そこにおける良き望みのために障害を排除する。
それが己の生き方である、と。
ハカイダーは言う。まるで誓うように。破壊すべきものを破壊するというありようを。まるで、それを曲げれば何かを確実に失うと言うことを知っているかのように、強く、強く。
「ハカ、イ、ダー・・・!?」
そのために戦うとして。
ハカイダーは、己の撃鉄を弾いた。
突進するハカイダー。しかし、必殺武器であるハカイダーショットは先ほどの衝撃で取り落としたのか、見当たらない。
だが、しかし。
その漆黒の体躯の突進も、己の行く先を見据える赤い瞳も、微塵も揺らぎはしない。
右。
左。
漆黒の拳が、同時に繰り出される。
「・・・っ!!」
その二撃を、しかしスーパー1は迎え撃つ。
完全に、完璧に、紙一重で制する。
と見えた、刹那。
轟き吼える爆裂。
穿つ銃弾拳の牙。
「っ・・・・・!!?」
それは、絶人の功を積んだスーパー1の技の、僅かにハカイダーの叫びでたった漣のような誤差。
その通常であればそれでも尚通ること叶わぬ隙間を。
己の身が諸共貫く攻撃。
「「なっ・・・あんな、ところに!?」」
自らの一撃目の拳を貫いてハカイダーは銃弾を放った。
銃も持たずに。
そう。ハカイダーの腕には、ハカイダーショットに拠らずその弾丸を発射するための隠しアームガンが仕込まれていたのだ。
無論、普通ならばそんな小細工、赤心小林拳には通用しない。
だが。
この奇襲は、先ほどの言葉の一撃も含め。
スーパー1に、確かに効いたようだった。
「っぐ!くっ・・・!」
その銃弾で腕を射抜かれたスーパー1は、高振動弾に体内の精妙なメカニズムを破壊されて苦悶する。
致命傷ではないが、チェックマシンによる整備が欠かせぬほど複雑な構造の改造体を持つスーパー1にとってこの一撃は、戦闘能力の大幅な低下を招いた。
「だ!大丈夫ですかっ、ハカイダー!」
「・・・」
その間に咄嗟に走り、ハカイダーの隣で、スーパー1と再度対峙する晶。
ハカイダーの腕の損傷を気遣うが、ハカイダーは己の損傷などなんでもないかのように、ただ答えることも無く、スーパー1を睨みつけている。
そのゆるぎなさ。
その力強さ。
その不屈に、頼もしさを覚える晶だが。
同時にどこか悲しかった。
痛みを堪え睨み据え破壊する、そのありようが。世界に反逆する自分たちアルター能力者の、縮図のようで。
そして、何より。
あの日夢に見た黒い騎士の。憧れだけでは済まされない、戦いに。
彼にすがらずに居られない己の弱さと戦わずには居られないハカイダーの宿命に。
悲しみを感じずにはいられなかった。それは、夢を持ち飛び立った宇宙から堕天した、スーパー1にも感じられ、尚、それもまた悲しく。
その後。
この戦いはその後、滅人同盟の襲撃による混乱とスーパー1の撤退と言う形で結末を迎えるのだが。
ロストグラウンドを巡る戦いと陰謀、悲劇と対立は、その後もさらに複雑さと激しさを増していくことになる。
決戦の、その日まで。
戻る