秘密結社バリスタス第二部関東編第四話 現人鬼

ロストグラウンドの南のはずれ、俗にシティと呼ばれるロストグラウンド唯一の市街地から最も離れた部分に当たる場所。
廃墟に囲まれたガラン城と呼ばれる巨大要塞で、今ひとつの戦いが、あっさりと結末を迎えようとしていた。

「さぁ、どうした?かかって来い。」
構えるでもなく、緊迫するでもなく、領地を見る王者の如く悠々と周囲を睥睨し、その者は言い放つ。
男でも女でも、そのどちらとも取れる顔立ちは、眼光鋭くも美しい。短く刈った赤い髪と、薄化粧の微妙なアンバランスが、その存在に似合う不可思議かつ妖艶な気配をかもし出す。
微妙な艶のある白銀色の服からつながって指先までも覆われた掌で、ゆるゆると手招きする。
その手招きされた相手は、いずれも特殊な強化装甲服を纏った面々・・・新生HUMA所属のヒーローたちだ。
様々な装備と、高速移動用の機構を兼ね備えた「戦隊」と「宇宙刑事」の利点を併せ持つ三人チーム、超音戦隊ボーグマン。
俊敏な鳥を思わせる鋭角の翼を生やした、夢を現実化するドリムノートの力で変身する、異次元世界ポドリムスを救った夢戦士ウィングマン。
かつてダークザイド殲滅に戦果を挙げた「超光戦士」のデータを元に、強化服として再設計した、結晶体で構成された強化装甲服の、超機動員ヴァンダー。
いずれ劣らぬ新鋭ヒーローのはずだったが、これと言って強化服も改造手術も受けているようには見えない相手に、まるで気圧されたように動けないでいる。
「どうした?お前達の目的、滅人同盟の首魁であるこの現人鬼・散(はらら)が相手をしてやろうというのだぞ?私を倒せば、滅人同盟を壊滅させたも同じこと、まさにお前達の目的はかなうではないか。そのチャンスをやるために・・・わざわざ護衛のものを下げさせたのだ。折角の機会、無碍にする気か?」
いや、事実気圧されているのだ。現人鬼(あらひとおに)を名乗る目の前の相手の、絶対的自信と・・・それを裏打ちするであろう、桁外れの闘気に。
「さぁ・・・来ないか腰抜けども!」
「、っくっ!」
声を荒げる散。
それに弾かれるように、咄嗟にヴァンダーが前に出た。数ある武器の一つである、クリスタルビュートをひっ掴む。
だがその時にはもう、散も動いていた。
「零式防衛術・超吸着掌打! 」
叫びとともに、散の一見細やかで優美な掌がヴァンダーを撃つ。腹部の、装甲の継ぎ目に近い部分を狙っているとはいえそう勢いがあるでも、鋭い刃があるわけでもない、ただの掌である。
だが!
「ぐぎゃああああああっ!?!」
叫び声をあげるヴァンダー。激痛と、信じられない光景への恐怖に。
散の掌での一撃、それが彼の腹を離れると同時に、装甲が内側から砕けて血と肉と内臓が飛び出してきたのだ。
誰が気づくだろう。一見何気ない掌の一撃が局所的な真空を作り出し、周囲との強烈な気圧差で強化装甲服の中からはらわたを引きずり出したなどと。
ひとたまりもなく絶命して倒れるヴァンダー。その様を見たウィングマンは咄嗟にソーラーガーダーを装着する。ポドリムスをめぐる戦いでの最後の敵・帝王ライエルとの戦いに使ったエネルギーユニットをかねる装甲だ。防御力・攻撃力ともにアップしながら機動性に悪影響を与えないという高性能なものである。
その様子を見ながら、余裕と軽蔑、そして嫌悪の乗った声で散は呟く。
「ふん、いくら鎧で身を固めても、大地を力とする我が零式防衛術を防げるものか・・・」
「な、」
なに。その二音節すら言う暇もなく、再び散の掌が唸りをあげる。
それは、先ほどの超吸着掌打とはまた構えと動き。腰を低く落としながら、反り返るほどに引いた掌を全身を旋回させるような動きとともに。
打ち込む。

「螺旋!」


吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられるウィングマン。だが、それだけで終わりではない。
「な・・・えぶっ!?ごばぁっ!?」
人間が発するとは思えない、狂わんばかりの苦しげな声。同時に、ウィングマンの装甲がめきめきと音を立てて内側から膨れ上がっていく。
自分の辛さに何が起こっているのか分からず、いびつになった体をもがかせるウィングマンに、散は毒々しくも悩ましい微苦笑を与える。
「ふ、無様を晒すなよ。死に際に微笑まぬものは、生まれ変われぬと言うぞ・・・」
その、散の言葉と同時に。
「おごごごご・・・ぼぐじゅあ!!」
最後の奇声を上げ、内側からウィングマンは木っ端微塵に弾けとんだ。飛び散る血、砕けた骨とちぎれた肉に内臓、そしてばらばらの強化服。
「くっ、みんな!」
「おう!」
叫ぶボーグマンのリーダー。それに応じて、素早く三人が集まる。いわゆる合体必殺技の姿勢だ。
「ほう・・・それで?どうするのだ?」
対して散は、先ほど見せた瞬発力と攻撃力を持ってすればやすやすとその発射前に攻撃できただろうが、あえてそれをせずに見守っている。
技を受けようと言うのか。いくら超絶的格闘能力を持っていても、肉体の強度という点では必殺技を受ければただではすまないはず、だが。
「バトル!!」
「ゲット!!」
「オン!!」
「シュ――――――――――――ト!!!」
閃光。
その中に散のシルエットが消えるのをはっきり視認し、一瞬勝利を確信し、頭部装甲の中でボーグマンたちの頬が一瞬緩む。
だが。
爆煙のむこうには・・・もっと禍々しく、もっと恐ろしい姿が。
「ふん・・・あまりに弱すぎて使うこともなく、この強化外骨格・霞を錆びさせてはならんと思って受けては見たが・・・傷どころか艶も失せぬ。失望したぞ。」
散の声で、散の仕草で、それは語る。
黒鋼の輝きが人体の動きを阻害せぬよう計算されつくした女性的なフォルムの微妙な曲線を艶めかせ、散の身のこなしがそれを動く芸術へと変える。鋭くも優美な指、四本の角と四つの目という異形ながらそれ以外の容貌はあたかも観音菩薩の如し、さりとて体を鎧い力を武装を備え力を倍するそれは、明らかに兵器・・・彼ら新生HUMAのどのものの着用するそれよりも洗練された鎧。
暗黒の大地母神。
そう呼ぶべき、まさに滅人同盟の首魁に相応しい姿がそこにあった。

そして、さらに肉と鎧の爆ぜる音が三つ、響いた。


「流石散様・・・あの程度の者ども、相手にもなりませぬか。」
暫くの後、平静を取り戻したガラン城で、散の部下らしき遺伝子的には既に人間ではなかろう、怪異な姿の老人が確認するように主に言う。
「当然だ。あの程度なら、最低千人用意してもらわねばつまらん。超人とは退屈なものだな・・・」
そんな部下に、散は余裕の笑みをもって答える。
「身体データ・強化装甲服と強化外骨格の性能差・着用者の技量・・・」
と、それまであまりに巨大すぎて、背景のように見えていた巨大なコンピューターが動き、言葉を発した。大きな目が一つついた巨大な円筒からいくつもの棒と、中のシステムが透けて見えるいくつもの透明球体がまるで人間のニューロンの如く繋がっている。
「ハララの言う「千人」という数値も、正しいようだな。」
その声は、機械が発していると言う印象からはかけ離れるほど渋く深い。そして、恐らく散と対等の存在なのであろう、口調も堂々としている。
「ハ・ハァ、凄いもんだ!まさーに、天下無敵!ミス散と巨人頭脳ブレイン!東西南北中央不敗っと言うのかな!」
その巨大極まりない、城の大半を占有しているであろうコンピューターの傍ら、それゆえに妙に小さく見える男が呵呵大笑した。濃い口ひげに特徴のある禿頭と、ややくどいくらい印象過多な面構えだが、白衣を纏っているところを見ると科学者か何かだろうか。
が。
「ハスラー君。私を呼ぶときはミスターをつけるように言ったはずだ。」
「ミス、ではない。この散は男女両性を、人類種そのものを超越する意志だ。」
巨大コンピューター・・・ブレインと、散、両名からクレームがつく。途端首を縮めるようにすくめて押し黙るハスラー。
と、散は不意に踵を返し、大広間の天井を支える巨大な柱のうちの一つを指差した。
「さて、そこの貴様!いつまでそうして隠れているつもりだ?」
「WHAT!?」
「何ですと!?」
臣下たちがその言葉にざわめくのを無視して、散は続ける。
「さっきの連中との戦いの間中、ずっと見ていたのは気づいている。よくこのガラン城に忍び込めたものだ・・・褒美に、少しは話をする間を取ってやろう。出てくるがいい。」
暫くの間。そして。
「・・・まさかばれているとは、ね。これでも隠行には少し自信があったのですが。」
柱の影から現れたのは、黒い装甲に両腕に刃を備えた改造人間・・・バリスタス第二天魔王、シャドー。
色めき立つ周囲の兵たちを軽い手まねだけで押さえて、散が前に出てくる。よほど心酔しているのか、部下達は実に素直だ。
「で、なんのようだ?」
「早い話が、言いたいことを言いに。」
シャドーのそっけないと言うか、なんと言うかきっぱりした答えに、声を出さずに散は唇だけ笑みの形にする。
構わず、シャドーは続けた。
「先日、我が組織バリスタスの海底牧場が、貴方がたの手先に襲われた。撃退には成功したが、中々どうして被害も馬鹿にはならない・・・と。」
そこで、きょろきょろとあたりを見回すシャドー。
「彼らの責任者、ゾーンダイク教授は南極基地の方にいるようですな。仕方が無いので、それに他の軍団に関しても同じことであろうから貴方達に伝える。」
バリスタスの諜報能力は、はっきり言って高いほうではない。戦闘能力に特化した改造人間をそろえることによりようやく勢力を維持しているので、諜報とかそういう裾野の部分の力にさく人員が足りないのだ。
だが、滅人同盟よりかは何ぼかましである。彼らは基本的にひたすら壊しひたすら殺すだけ、諜報など概念も存在しない。
故に、海洋生物学の世界的権威と目されながらも遺伝子合成生物による軍を作り上げ滅人同盟に参画した、ゾーンダイク教授の動向もある程度探ってはいた。
「我等に襲い掛かるのであれば、相応の反撃を覚悟されたほうがいい。そして・・・人類抹殺などと、馬鹿はやめろ。」
「貴様っ!!散様を愚弄するか!!」
決然言い放つシャドーに、散の周囲にいた、髑髏と猛牛を掛け合わせたような鎧を纏った大男が声を荒げ、腰の刀に手をかける。
「かまうな、ボルト。もう少し囀らせろ、沙汰はこの散が決める。」
が、散は平然とそれを流した。軽く手を差し伸べ、刀の柄を握る手を押さえる。
僅かに唸り、鎧の下からぎろりとシャドーを睨みつけながらも、ボルトと呼ばれた大男は渋々引き下がる。激しい怒りが、鎧を通して伝わってくるようだ。
対してシャドーは余裕綽々といった様子で構えているが、内心はかなり緊張していた。
何より、目の前の散の戦闘能力に、である。
まさか生身で、新生HUMAの選抜されたヒーローをああまで一方的に粉砕するほどの力があるとは、これは流石に分からなかった。
以前から得ていた情報にプラスし、もう一度この場でその感覚器を総動員して、会話の合間に散を調べ上げる。
肉体は、噂に聞いていた通りに真正半陰陽・・・いわゆる両性具有、アンドロギュノス。その体には旧日本軍が開発した防御兵器の一つ・零式鉄球が内蔵されている。胎内に溶け込み、緊急時に体表に現れ防御力を高める力だが、倍力能力はないはず。
そして、先ほど相手の攻撃を「受けてみる」ため着用していた、あれは強化外骨格・・・同じく旧日本軍が、アンドロイド兵士「超人機」、巨大ロボット兵器「鉄人」、F式死体蘇生人造人間「F兵器」などとともに開発していた、究極の鎧・・・いくつか造られたその中でも最強、強化外骨格の大将をうたわれた「霞」。
他の超兵器同様終戦前夜に姿を消し(とはいえ、これらの存在が米軍にそれ以上の破壊を躊躇せしめたという説はあるが)それ以来行方知れずとなっていたが、何がどうなってこの者の所有物となったか。
いや正確には所有物、ではないだろう。とシャドーは慌てて思い直す。強化外骨格には、意志が存在すると聞く。戦死者の霊が憑依させてあり、その意志でもって一心同体となる、生きた鎧。「霞」の装備としては両腕からの高熱エネルギー兵器・殲滅弾、気象を操り雷を落とす戦略天誅、装甲材質はシャドー怪人形態・ゴキオンシザースの装甲「超弾性チタン」の元となった「超展性チタン」。
元になった、といっても超弾性チタンのほうが完全に優れていると言うわけではない。否こと格闘においては、より柔軟に動くのは超展性チタンの方ですらある。そして、その特性を最大限に生かすのが、あの超絶の技・零式防衛術。地脈エネルギーを体内に誘導し操るその技の威力はたった今見たとおり。強化外骨格は、あくまでその防御面でのサポートに過ぎない。
はっきり言ってしまえば、正面から戦っては勝てる可能性はシャドーには無い。彼は一応バリスタスの中でも最上級の戦闘能力を持っている部類だが、それでもこの相手には勝ち目と言うものを見出せないでいる。
だが、構わずシャドーは続けた。
「馬鹿な行為である理由については、一応説明しよう。まず一つ。人間とて、そもそもが君達の守ろうとしている自然の産物。古来、一つの生物のせいでそれまでの環境ががらりと変質したと言うのも、無いわけではない。たとえば、光合成をして酸素を排出するバクテリアの出現により、それまでの生物の殆んどは滅んだ。だがその中から、酸素を糧とする今のほとんどの生物の祖先が生まれ出たのだ。」
ぴん、と超弾性チタンの指を一本立てるシャドー。己の説明に悦に入っているように見えるが、その実確実に相手との間合いを計っている。
「第二に、君達も人間ではないか。君達以外の人間を滅ぼしても、君達は残るだろう?」
これには、それまで黙して聞いていた散が嘲笑とともに否定する。
「散は人間ではない。善悪を超越した不退転の意志なり。」
「その通り。ここにいるものは、皆変異を受け遺伝子的にも人間ではない。そして、私は機械だ。」
ブレインも言うが、シャドーはそれらにまとめて答える。
「私が言っているのは、意志の問題です。我々は人と言うものは遺伝子的にホモサピエンスであることがその条件だとは思っていない。むしろ・・・」
にやり、と笑う。
「意志があること。主張をもつこと。そのために行動すること。それこそが人の証。つまり、貴方がたが人類殲滅を狙えば狙うほど、貴方がたが人間であると言うことを証明するわけです。動物は、意図的に他の種を滅ぼそうなどとは考えたりしませんからね。
二本目の指が立てられ、そして。
「第三に。どうせ近い将来、我等バリスタスが世界を征服する。そうなれば人類は、もう馬鹿な環境破壊をする必要など無くなるよ。われらの技術力は、完璧の段階に達しているからな。」
第三者からしたら一番薄そうな根拠だが、シャドーはそれを一番自身ありげに語る。
そして、それは散の気にいったらしい。
「っふ、はぁはははははははは・・・・・・」
いかにも面白そうに、白い咽喉をそらせて散は笑った。
そして、ひとしきり笑ったのち、シャドーに向き直る・・・が、その目は一切笑いの余韻を残していない。
「面白いな、貴様。随分自信があるようだ。だが、所詮戯言、自信があるのはこちらも同じ・・・ならば、戦いだ。ここから生きて帰れると思うなよ?」
そう、血も凍るような冷徹な表情を浮かべ、すぃと身構えた。
だが、シャドーも負けてはいない。
「ええ、まぁ、こうなることは分かっていましたんで・・・」
に、と笑う。同時。

ずどがあぁぁぁぁん!

突如、巨大なガラン城が揺れた。生半可なゆれではない。直下型の大地震か、はたまた・・・
「・・・・爆発か?」
じろり、と巨人頭脳ブレインの単眼が動く。同時に響きだした、何か獣の悲鳴のような音。
と、その大広間に泡を食った様子で一人の鉄兜を被った一人のひょろっとした男が駆け込んできた。
「血髑髏!?」
「たたた、大変で御座います散様!地下の戦術鬼居住区が爆破されました!さらにこのままでは床が崩壊し、ゾーンダイクさまから預かった海洋生物軍の洞穴まで落盤崩壊・・・ああっ!」

ズズズズズーーーーーーンッ!!!

先ほどの爆発に比べて鈍いが、さらに大きな振動が起こり、血髑髏の言葉を裏付ける。
「き、貴様っ・・・!」
「どうせ話は聞いていただけないと思いましたので、細工させていただきました・・・では!」
にわかに色めき立つ周囲に、わざとらしく一礼。
同時に、換気機構を細工したらしく、地下の煙が一気に逆流し流れ込んでくる。
「シャドーさん!」
「分かってます!」
煙のむこうから響くきっどの声。それに短く答えたときには、既にシャドーは走り出していた。
目指すは窓。素早く背中の翼を展開し・・・
「この散から逃げられると思うてか!」
「!?」
驚愕するシャドー。動きを完全に読まれていたらしく、散が真正面にいる!
「姑息なりや外道、ど許せぬ!螺旋!!」
唸る死の掌。
シャドーの感覚器が捉えるその速度は、瞬間最大でマッハ3。
咄嗟に手を突き出し、防ぐ。しかし、それだけしか出来ない。
散の顔が勝利に笑う。一撃当ててしまえば、螺旋は体内を駆け巡り相手を爆殺する。
が。
「何!?」
螺旋が体へと伝わる前に、シャドーの腕が肘から外れた。
「片腕・・・仕方ないですね!」
シャドーの両腕はナックルシザース・ブレイキング発射用に外れるようになっている。それを利用して、それ以上螺旋が体に伝わるのを防いだのだ。
同時に切り離した腕は内側から爆発するが、それをシャドーはしたたかに目くらましとして使用する。
窓をブラックロッドで叩き割り、脱出。

「大丈夫ですか、シャドーさん!」
地下に爆薬を仕掛けた後、煙を逆流させて即席煙幕を造ったきっども、脱出していた。
バリスタスの技術力で普通のそれの数十倍の飛行距離を誇る折り畳み式グライダーでシャドーの隣を飛びながら、叫ぶ。
「流石に片腕吹っ飛んで大丈夫と言うことは無いですよ。まぁ私は再生能力の強いほうですし、ナックルシザーの予備はあります、すぐ直りますよ。しかし・・・」
重く呟き、シャドーは煙を上げるガラン城を振り返る。
「あれっぱかしでは、大したダメージにはならないでしょうな。ゾーンダイク軍のこっち方面のヤツラは当分出ては来ないでしょうが、散がぴんぴんしている限り戦術鬼は現れ続ける。まさか、あそこまで強いとは思っても見なかったですからねえ・・・」

ところが、基地へ帰ったシャドーは数日後、戦術鬼が原因不明の撤退を初め、しばしば前線に出ていた散がぱったり現れなくなったと言う報告を受け取る。
彼ら自身は何もした覚えがないというし、HUMAではなく第三者の介入の形跡あり、としか、諜報の結果は出なかった。
「結局・・・私達、骨折れ損のくたびれもうけか?」
そう、シャドーは呟かざるを得なかったと言う。

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